グリゴリー・ラスプーチン:帝政ロシアの聖職者。怪僧とも呼ばれた男。
ユスポフを英霊足らしめている最大の要因であり、彼を殺害したことでユスポフの名は人類史に刻まれた。
彼を殺害した動機に関しては諸説あり、彼自身も供述を二転三転させていたため、何を目的とした暗殺だったのかは今も尚不明。
愛国心のためであったとも、漁色家振りを嫌っての殺害だったとも、皇帝に取り入った事自体を危ぶんだとも語られる。
どのような理由にせよ、確かなことは唯一つ……ユスポフは、確固たる殺意を感情を以て、怪僧ラスプーチンを殺めたのである。
疑似サーヴァントである彼に興味は無く、そもそも「ラスプーチン」であると認識していない。
むしろその容れ物――――“外側”である男に関して興味を抱いていて、曰く「あの男以上に歪な男」だと評している。
というより、自分と似た気配を感じている。背中に回って刃物でズブリって、中々良い性格してるねえキミ!まるで僕みたいだ!
グリゴリー・エフィモヴィチ・ラスプーチン:エロい方のラスプーチン。
ラスプーチンの殺害動機その2「漁色家」を満たす方の怪僧。
ユスポフの第三スキルは彼のような側面に対抗するために得られたといっても過言ではないが、それはそれとしてそのコピヨーを愉しむのもアリかもしれないと思っている。
まあ……その場合でも一物に「ローションだ」と偽って毒薬を塗りたくる程度の事はやってのけるだろうが。
もう一方のラスプーチンとは異なり、俗物的で卸しやすく理解もしやすいので、もし巡り合うならばこっちを所望する程度には気に入っている。
「にしてもそのコピヨーを宝具にするって、懲りてないのキミ?またぶった切られてホルマリン漬けにされたいの?」
グレゴリー・エフィモビッチ・ラスプーチン(老):口達者な方のラスプーチン。
ラスプーチンの殺害動機その3「巧みに皇帝へ取り入ったこと」を満たす方の怪僧。
まさしく“ラスプーチン”といった存在であり、ユスポフが生前忌み嫌っていた彼そのもの。そのスキルも宝具も、全てが嫌悪の対象である。
ユスポフという存在は、彼のような存在―――対象を虜とする者に仇する為に生まれた存在であり、言ってしまえば……“対洗脳の抑止力”。
彼が“友達”を増やせば増やすほどに、その毒の効力は増していく。彼が信頼を、信仰を得るほどに……その毒は、霊格そのものを脅かす。
「正義の味方は他のことで手一杯だってさ。だから僕が来た。悪いね……また、あの日のように殺されてくれないかな」
ニコライ2世、アレクサンドラ皇后:生前の親族。
彼らからの評価は悪く、前線へ向かうことを拒んだユスポフを「本ばかり呼んで遊び呆けてる不快な男」と評している。
ラスプーチンを殺害後に二月革命が勃発し、彼ら一家もまた殺害されることとなるのだが、ユスポフはボリシェヴィキの追手から逃げ延びていた。
ユスポフに「愛国心」があったのかは定かではないが……もしサーヴァントとして昇華されていたとしても、会わせる顔はないだろう。
エミヤ・オルタ:似た境遇、似た経験を持つ抑止の守護者。
ユスポフもまた抑止力に連なる一騎であり、史上「国の上層に取り入って存続を脅かしかねない存在」を殺害する機構として登録されていた。
故に……彼の末路には思う所があり、その名を失いながらも執行者として在り続け……最後には役割を果たしたことを、心から尊敬している。
「…………正義の味方っていうのは、あの人みたいなことを言うのさ。僕みたいな、何の信念も持たない亡霊は………………ただの、薄汚い悪党だ」