kagemiya@ふたば - プロタゴニスト
“HELLO, WORLD”.

基本情報

【出典】科学学説、科学仮説、哲学用語、継承の王
【CLASS】ヒューマン█
【真名】プロタゴニスト
【付属真名】“英雄”
【付属真名】“超人”
【付属真名】人間原理
【付属真名】ID仮説
【異名・別名・表記揺れ】“あなた”、“きみ”、知性、上位存在、オーバーロード、プレイヤー
【性別】“あなた”と同じ。
【身長・体重】“あなた”と同じ。
【肌色】“あなた”の色。 【髪色】“あなた”の色。 【瞳色】“あなた”の色。
【外見・容姿】これは“あなた”そのものだ。
【地域】“あなた”のいる場所ならばどこでも。
【年代】“あなた”のいる時間ならばいつでも。
【属性】“あなた”と同じ。
【天地人属性】少なくとも人だ。
【その他属性】“あなた”と変わらない。
【ステータス】なにもかも、あなたと同じでなければならない。

【クラス別スキル】

霊長の獣:EX

 数多の危難を乗り越え、生存競争を勝ち抜き、神代の神秘を新たな法則で塗り潰す。
 無数の生命と歴史の上で、遂に霊長の座に君臨した人類に与えられた、何処までも傲慢な祝福。
 人類という種族が持つあらゆる可能性を、その所有者から簒奪し、自らの糧とすることが出来る。
 それが魔法であろうが、超能力であろうが、人類が到達し獲得し得るのであれば例外はない。
 自身の持つ理と同じものを、ヒューマンは、人類全体から奪い去るのである。

 自らの善性を掲げ、今の為に種族の可能性を食い潰す。
 このスキルを有するヒューマンのクラスの根本には、人類自身の、未来への恐怖がある。
 より良き未来の為に、人類愛の故に「人類が滅ぼす悪」として顕現するビースト。
 より良き現在の為に、人類憎悪の故に「人類で滅ぼす善」として顕現するヒューマン。
 この二つは、その本源からして、完全に対となる存在である。

 ヒューマン█が掲げるのは、己自身を内包する全存在の讃歌。
 幸福ではなくとも、歓喜に満ちていなくとも、それでも“在り、在り尽くす”というただそれだけの大偉業を、彼/彼女は成し遂げ続ける。

抑止顕現:B

 本質的に、このクラスが人類の危難へ対抗するためだけに存在する事を体現するスキル。
 このスキルの所有者は、如何なる手段によっても意図的に召喚することが出来ない。
 唯一現界し得るのは、人類史に対する危機が発生した時か、或いは、それを防ぐ事が可能な誰かが、サーヴァントの召喚を行った場合のみ。
 前者の場合であれば、アラヤそのものをマスターとして自動的に顕現し、危機を打破する為に活動する。

 このスキルのランクとは、要するに「召喚されにくさ」と同義である。
 高ければ高いほど、より脅威的な危機に対してしか召喚されなくなっていく。
 また、このランクが低くとも、それぞれのヒューマンが持つ理にそぐわない事態に対して召喚されることはない。

 ヒューマン█の持つ機能とは、あらゆる物語の存在証明である。
 物語とはつまり、人類史であり、神話であり、伝承であり、発明であり、革命であり、偉業である。
 それが“在るがままに在る”ことを保障することで、獣が齎す“願われた理想いじょう”を否定する。

ポジ・エピック:EX

 ビースト█──理想の英雄メアリー・スーの持つ「ネガ・エピック」の対偶にあるスキル。
 語られし物語の一切をあるがままに肯定し、その存在を保障する概念結界。喩え救いなく報いなき物語であろうと、全ての存在は結果としてそれを生き抜く。
 これを帯びたヒューマン█は、あるべき物語を覆すような存在を徹底的に否定し、消去する力をアラヤより授かっている。

 また、理想の世界こうへいせかいかせつの持つ「ネガ・フォーチュン」、亡失そのものダムナティオ・メモリアエの持つ「ネガ・メモリアエ」に対してもある程度の抵抗力を有する。
 が、ポジ・エピックとしてスキルが固定されているこの現界に於いては、その効果が発揮される機会が訪れることはない。

【保有スキル】

永劫回帰:EX

 自分の負債を来世に担うキリスト教的考えではなく、古代ギリシアの回帰的時間概念を元にフリードリヒ・ニーチェが考え出した概念。
 世界は何か目標に向かって動くことはなく、現在と同じ世界を何度も繰り返すという世界観を指す。意味などなくとも、無限に繰り返し生き抜くという超人思想の根幹に在る概念。
 かの哲学者が規定した“超人”そのものであるヒューマン█は、永劫をも刹那とする。
 人類善としての活動の結果として繰り返される無限回の試行を経たとしても、その存在は揺らぐことがない。
 どれほどの苦難が待ち受けていようとも、ヒューマン█は飽くことなく世界のやり直し周回プレイを繰り返し続ける。

理性の術策:EX

 リスト・デア・フェアヌンフト。理性の詭計、或いは狡知とも。『第四の壁』スキルを含む固有スキル。
 ヒューマン█は特定の時空に存在を固定する際、霊基を留める楔として、マスターの全存在と合一する必要がある。
 マスターを“世界にとっての主人公”と見なし、自身の霊基を融合させることで生きる擬似サーヴァントと同等の状態を作り出し、以てヒューマン█は活動を開始する。
 また、融合したマスターという“主人公”に対し、“プレイヤー”としてメタフィクショナルな視点からの情報を提供することが可能だが、それを処理しきれるかはマスター次第となる。

 主人公かいらいを通して世界を認識し、世界に干渉し改変する。その在り方は、万物を創造デザインした“知性インテリジェンス”にも似る。
 “操られる”ものである主人公という概念に、“造物主”に纏わる学説であるID仮説が付与された結果、ヒューマン█は、主人公を創造し操る外宇宙の存在プレイヤーとしての機能をも獲得した。
 また、無意識に影響されて上位者の意思を世界に実現するという在り方は、哲学者ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルの提唱する“英雄”の在り方そのものでもある。

望み望まれた旅路:A

 同ランクの『遍在』、『単独行動』、『戦闘続行』スキルなど複数種のスキルを複合した固有スキル。「ポジ・エピック」の本質。
 ヒューマン█は任意の時間軸・空間軸・次元軸座標に存在し、また其処に存在する物語の存在証明を行い続ける。
 存在証明が為されている物語への干渉は、ヒューマン█、或いはヒューマン█を主人公とする物語の要請により、世界の干渉を以て防がれることになる。
 それは時として、「歴史の修正力」──「人理定礎」という名で語られることもある。

 望まれたが故に在り、望んだが故に在る。自己と他者による二重の存在要請は、ヒューマン█をこの世に留め続け、ひいてはヒューマン█の存在する世界を証明し続ける。
 主人公がいる限り、その世界は死ぬことがない。人間がいることこそが人間を許容する宇宙の存在証明であるとする“人間原理”の仮説が、この概念を補強する。

事象選択樹:★

 召喚された世界の“主人公”として物語を紡ぎ続けることへの「祝福」。
 世界の行末を決定し、世界の意思を体現する「主人公」という概念が、無数の個人によって紡ぎ出される世界を否定し、人類史の可能性を狭める。
 又の名を、七天の聖杯「セブンスヘブン・アートグラフ」。本来個人ではなく総体としての人類しか持ち得ない事象剪定の権限を、例外として保持している。
 ヒューマン█が存在する世界の存続を保障する代わりに、存在しない世界、或いは存在する可能性が将来的にない世界を否定する。
 否定された世界は即座に消去を受け、其処に含まれる情報を魔力としてヒューマン█に供給するが、ヒューマン█が消滅することでこれらの効果は破棄される。
 ──あらゆる時空へ至ることができるヒューマン█を討伐することができるのであれば、の話だが。

 “主人公”にとって、物語は一つである。
 それが劇であれ小説であれ漫画であれアニメであれゲームであれ映画であれ歴史であれ逸話であれ発明であれ偉業であれ革命であれ、「物語」となった時点でそれまでの情報は固定化される。
 “もしこうだったら”、を描き出す作品があったとしても、それは“同一人物ではあるが同一存在ではない”誰かによる新しい物語でしかない。
 主人公にとって物語は一つ。それ以外の物語は存在し得ない。付与された全ての概念が、その事実をより強固なものとして確立する。
 きっと覚えはあるはずだ。記録された一つ一つの“筋書きセーブデータ”は、それぞれに独立した平行世界。それぞれにいる主人公は、決して同一の存在ではあり得ないと。

【宝具】

英雄現象・無我傀儡オーバーマン・マリオネーション

ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人
 『理性の術策』として漏れ出ている、常時発動型宝具。
 その真の効果とは、「『英雄』の創造」。召喚者に自身の霊基情報をインストールすることで、対象を強制的に『英雄』に仕立て上げる。
 ただし、此処で言う英雄とは、超人的な人間を指す言葉ではない。無論、大いなる業績を遺した偉人でもない。そもそも、英霊として登録されるような存在ではない。
 それは、ヘーゲルの述べた『英雄』の形。星の理性、完成を志向する無形の集合意識。あるべき形へと世界を導く、絶対の法。
 「世界精神」──魔術世界では「霊長の抑止力」と呼ばれるそれの後押しを受けうるものの代名詞である。
 事態が本当に抑止力の介入を必要とするかどうかは関係がない。事実として抑止力の後押しを受け、ヒューマン█は『英雄』として、望まれる世界の形を実現する。
 彼の一挙手一投足が、想定不可能なまでのバタフライ・エフェクトを発生させ、世界という混沌系を一つの形へと導く。

 ……だが、この宝具の真に悪辣な点は、霊基に内包されるID仮説の幻霊を利用することで、「ヒューマン█の意志≒世界精神」という等式を成立させている点にこそある。
 『理性の術策』が既にしてそうであるように、ヒューマン█の依代となったマスターは、その意志とは無関係にただ操られるMarionated木偶の坊となる。
 世界精神偉大な知性であるヒューマン█の命令を忠実に実行し続ける傀儡。歪められた『英雄』の解釈を孕んだヒューマン█が、世界の代行者を生み出し、思うままに世界を変える。










──“あなた だけの ものがたりが はじまるおわる よかんが する 。”

【Weapon】

『不要』

 その権能を振るうだけで、全てはヒューマン█の意図通りになる。故に、彼に武器は不要である。

【解説】

 主人公。物語の中核として、世界を牽引していくべき存在。
 それは本来、創作の領域における用語であって、現実世界に主人公は存在し得ない。
 強いて言えば、各個人の人生の主人公は、その個人であろう。が、これも飽くまで比喩表現の域を出ることはない。
 「その存在なくしては物語が成立しない、決定的な因子」。そんなものは存在しないはずだったのだ。

 しかし、それは実現した。何処かの世界で、霊基として確立された。
 無論、既に述べた通り、主人公とは創作世界における概念であり、それをそのまま現実に持ち出すことは出来ない。
 故に、それは複数の幻霊を合体させ、類似の概念を束ねることで実現された。

 一つ。ドイツの哲学者、ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルが提唱した概念、“英雄”。
 「より良き未来を志向する世界の無意識=世界精神によって、人間の歴史は、誰にもそれと悟らせず世界を一つの方向に導く」。
 「それを実行する主体として存在するのが、その時代に存在する“英雄”と呼ばれるもの、人類史全体をある方向へ導く個人である」。
 非魔術世界の人間でありながら、霊長の抑止力の後押しの存在を予見したかのような理論を打ち立てたヘーゲルは、抑止力の後押しを受ける個人の存在をも仮定した。
 現実世界における主人公に最も近い存在とは、“抑止力に後押しされる存在である”。その仮説を元に、中核となる幻霊としてこの“英雄”が選ばれた。

 二つ。同じくドイツの哲学者、フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェが提唱した概念、“超人”。
 「世界は永劫の回帰を繰り返す。その事実を受け入れ、無意味の虚無に立ち向かう強さを持つものを、超人と呼ぶ」。
 主人公の存在が重要である創作の一つに、ゲームがある。その中では、主人公は何度ゲームシステム的な死を迎えようとも、再び蘇る。
 “その主人公が死んだ”としても、プレイヤーがプレイの意志を持つ限り、何度でも新たな主人公が発生し、次の世界へと向かう。
 電子遊戯という、究極的には無意味であるものに対し、その虚無に塗り潰されることなく立ち向かう。この観念は、一種の超人と見なすことができる。
 あまりにも荒唐無稽ながらも、しかし成立してしまった見立てを元に、“主人公”という概念を補強する為にこの幻霊も組み込まれた。

 三つ。かのスティーブン・ホーキング博士も限定的ながらその可能性を認めた、宇宙の構造の原因を説明する仮説、“人間原理”。
 「宇宙が人間に観測可能な構造を持ち、人間を生み出す条件を満たすように存在しているのは、宇宙の成立に人間という要素が必要だからだ」。
 立場によって人間の重要性は多少変わるものの、おおよそこのような主張に基づき、宇宙と人間に強い相関性を見出す仮説が人間原理である。
 宇宙の有無すらも、人間に依拠する。自然科学の領域で厳然たる根拠を以て主張できるようなものではないが、しかし、その通念は、「創造論」として人類の間にも広く膾炙している。
 この一定の強度を持った「人間」という概念を、“主人公”と等号で結びつけることで、「世界が存在するならば主人公も存在しなければならない」という逆説を成立させることを狙った。

 四つ。上記の人間原理からの派生でもある、「人間、ひいては宇宙全てが存在する理由」について近代以降提唱されるようになった仮説、“ID仮説”。
 IDとはインテリジェント・デザインの略称であり、その意義は、「これほど精妙に世界が構築されているのは、知性ある何かインテリジェンスが世界を設計デザインしたからだ」、というもの。
 根本的には創造論と同様の発想に基づくものであるが、世界の創造者を神とは断定せず、飽くまでも“偉大な知性”として定義し、宇宙全体の人工性や恣意性を認めようとする仮説である。
 本来は形を変えた宗教教育に利用する為に形成された概念ではあるものの、しかし、それを“神”と断定しなかったことで、それは解釈の余地を残す新しい概念として独立していた。
 この場合は、“偉大な知性”をやはり“主人公”と───より厳密には、“主人公”を含む世界の形を決定するもの=世界精神と同一視することで、間接的に“主人公”の概念の補強を行った。

 ───これらの幻霊の複合は、上手く行った。否、上手く行き過ぎた。
 “主人公”という表層を支える概念が互いに互いを補強し、あらゆる意味での“主人公”という概念を召喚に際し同時に飲み込み、肥大した。
 全ての幻霊に共通する「人間という存在に強い価値を見出す」という概念が、次第に「人間らしさを肯定し、それ以外を否定する」という形に変質した。
 それは、人間のみを至上とする、何処までも人間らしい価値観。人間以外を徹底的に否定する、傲岸の兆し。
 尽くが「理性によって語られた仮説・概念」であるがゆえに生じた、獣性に対する否定衝動。それに、“主人公”という概念は汚染された。

 以上の所業を以って、それのクラスは決定された。
 世界の主など偽りの名。
 其は人間が強制した、人類史を最も矯正した基底質。
 多様な意志から生まれる未来を否定し、世界全てをたったひとつの存在に背負わせた善。祝福の█。
 その名をヒューマン█。人理を喰らう抑止の獣に抗すべく、人類自身の無意識が生み出した、『漸進』の理を持つ人である。

【人物・性格】

 表面的には、依代とするマスターと全く同じ態度で他者に接するものの、その根底には、“世界を特定の形へと導く”という目的意識しか存在しない。
 故に、その方針に反するようであれば、マスターと同じ態度を取ることなど容易にかなぐり捨て、如何に不自然であろうとも「理想に最も近づく」選択肢を取る。
 個体の持つ人格の連続性など歯牙にもかけない。そんなものなどどうでもよい。己の討ち果たすべき獣さえ消えればそれで良い。
 目的の為に、本来持つ形質とは全く無縁な行為を重ねるその様は、まさしく「何かに取り憑かれた」ようであろう。
 例えば───まだ見ていない未知のシーンを見る為、本来は有り得ない行為を繰り返しプレイヤーに強制される、ゲームの主人公のように。

イメージカラー:心臓の赤
特技:-
好きなもの:-
嫌いなもの:-
天敵:獣
願い:世界を理想のままに導く。

【一人称】“あなた”と同じ。 【二人称】“あなた”と同じ。 【三人称】“あなた”と同じ。

【因縁キャラ】

“あなた”と同じ。

【コメント】

主人公なき物語は不要である。