ランク:EX 種別:特攻宝具 レンジ:??? 最大捕捉:???
紅海渡渉の伝説だけでなく、シナイ山で神の声を聞いてからカナンへと民を導くまでの、モーセの足跡の全てが昇華されたもの。
真名解放によってモーセの身は光と化し、踏み出した足から伸びた光が広がって道になり、やがて周囲は光に包まれていく。
光は本来今の世界に存在しない異物、固有結界やそれに類するものをすべてかき消し、世界をありのままの姿へと浄化する。
この世界の存在でないもの、既に命を終えたものによって書き換えられた世界を戻すという、極めて用途の限定された宝具。
しかしそれ故に、条件を満たすものに絶対的な効果を発揮する。対粛清防御を有するファラオの神殿さえ、この宝具の前には無力となる。
この宝具は「目的の場所へと導く」ものだが、その根幹にある能力は「世界を目的の場所、理想の世界へと変える」ものである。
他の具現化された心象風景を打ち消すのも、固有結界の特性と同じ原理
*3であり、この宝具は本来ならば世界を書き換える側となる。
この宝具がそういった効果を持たないのは、モーセが「世界は今を生きる人々の手によって築くべきもの」だと考えているため。
死者である自分たちに人類の未来を変える権利は無く、できるのは前例として間違いを指摘することだけだという信念に基づいている。
『
神よ、我らをゆるしたまえ』が防御に特化した奇蹟であるのに対する、道を切り拓くというある種の攻撃に特化した奇蹟。
全ての歪みを必ず打ち消すことのできる出力を捻出するため、モーセはこの宝具を発現させる時に自らの霊核を魔力に変換する。
しかし、もしも霊核を燃やすことをしなかったとしても、モーセはこの宝具の発動後に必ず消滅する。
かつてモーセはイスラエルの民を約束の地へ導いたが、一度だけ神の指示を守らなかったモーセは約束の地に入ることができなかった。
モーセの旅路の全てが昇華されたこの宝具にはその結末も含まれており、モーセは英霊となった今も約束の地に入ることができない。
この宝具の後に訪れるありのままの世界はモーセにとっての約束の地となるため、モーセは存在することが許されず、消滅してしまうのである。