『おい、少しオレにも喋らせろ』
基本情報
【元ネタ】日本神話
【CLASS】アサシン
【マスター】更宵芹華
【真名】石長毘売尊
【異名・別名・表記揺れ】
【性別】女性(精神)
【地域】日本
【年代】神話時代
【属性】混沌・中庸
【天地人属性】天
【その他属性】人型・神性・死霊
※更宵芹華の肉体を依り代に顕現している。芹華の肉体は生存しているが、実質的な擬似サーヴァントである。
【ステータス】
筋力:C 耐久:A 敏捷:E 魔力:A+ 幸運:E 宝具: EX
気配遮断:B
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。
「サーヴァントとしての」気配を断つのみであるため、更宵芹華という人間の気配は消すことができない。これゆえ、ランクの高さの割にはあまり役に立たない。
ただし、ただの人間のはずの存在がいきなりサーヴァント並の戦闘能力を発揮する、という意味での不意打ちは可能。
女神の神核:EX
生まれながらに完成した女神であることを現す固有スキル。神性スキルを含む複合スキル。あらゆる精神系の干渉を弾く。
アサシンのその在り方ゆえに、肉体の絶対性は失われている。
無辜の怪物:EX→-
生前の行いから生じたイメージにより過去の在り方をねじ曲げられ、能力・姿が変容してしまうスキル。このスキルは外せない。
日本神話に残る逸話により、非常に醜い姿でしか召喚され得ない。
「このスキルは外せない」とあるようにその効果が無効化されているわけではないが、召喚形式によりサーヴァントの容姿が表出しない状態となっているため、実質的にこのスキルの効果は表れていない。
雲見の呪い:B
美しいもの全てに対する羨望と呪いの念。
敵全体の幸運値を減少させる。
相対する相手の容姿が美しいほど、またその者の自己評価が高いほど、その効果はより高まる。
忘却補正:B
本来はアヴェンジャーのクラススキル。
人は多くを忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。忘却の彼方より襲い来るアサシンの攻撃はクリティカル効果を強化させる。
アサシンの存在が忘れられていればいるほどその効果は高まる。
こちらの側面が強化された場合、アヴェンジャークラスにも適合しうる。
戦闘続行:EX
戦闘を続行する能力。決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負っても戦闘が可能。
寿命を自由に制御する能力を持つアサシンは、たとえの肉体が生身のものであろうと、その半分以上が消し飛ぼうと、アサシン本人の意識が保たれている間は絶対に死亡することはない。
それどころか、物理的な欠損に由来するもの以外の一切のバッドステータスが発生しない。
ただし、アサシンの意識が途切れてしまった場合、このスキルは無効化される。
『巌よ、刹那に細石と化せ』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
アサシンとの婚約を邇邇芸命が断ったことにより、天孫の家系は神の子であったにも関わらず定命の存在となった逸話に由来する宝具。
芹華の「終わらせる力」の正体。
基本的にその効果は上述の通りであるが、この宝具の本質は「寿命の操作」。
あらゆる概念における「誕生から終焉までの時間」を寿命と定義し、その長さを自在に制御し、書き換える力である。
この力により、ものごとや生命に対して「終焉が来るのは次の瞬間である」と再定義する事によって終了へと導くのである。
本来の神霊としての権能としては目視したあらゆる概念の寿命を0から無限にまで自由自在に書き換えることが可能であるが、擬似サーヴァントとして存在している今はあくまでも『落葉』・『散弁』で接触している存在の寿命を現在よりも短くすることまでが限度となっている。
なお、厳密にはアサシンの持つ「能力」として常時発動している宝具であるため、能力使用に真名解放は必要ない。
『落葉』・『散弁』
芹華が携帯している扇。
魔力塊を放射するための媒介にする他、魔力を注ぎ込み硬質化させて近接武器としても使用する。
その他、当然ながら芹華が使用可能な魔術は全て使用可能。
そしてこれもまた当選ながら、アサシンが使用可能な魔術は全て芹華も使用可能である。
人格の主導権が芹華主体である時も特に力のセーブなどはしていないため、アサシンが表に出ているときと能力的な差違は存在しない。
【解説】
イワナガヒメノミコト。木花知流比売尊とも。
日本神話に登場する女神の一柱であり、天皇家の祖先とされる瓊瓊杵尊の妻である木花之佐久夜毘売尊の姉。父に大山津見神尊を持つ。
縁結び・縁切り、安産、延命長寿、家内安全などを守護する役割を持つが、この女神の最も有名な側面はニニギノミコトの一族に対する呪いの逸話であろう。
かつてニニギノミコトがコノハナノサクヤヒメノミコトと婚姻を結ぼうとした際のこと。
この婚約に大層喜んだ彼女の父・オオヤマツミノミコトは、妹のコノハナノサクヤヒメノミコトのみならずその姉であるイワナガヒメノミコトをもまたニニギノミコトの妻として嫁入りさせようとした。
ところが、ニニギノミコトはコノハナノサクヤヒメノミコトのみと結婚し、イワナガヒメノミコトをにべもなく突き返したのである。
その理由はコノハナノサクヤヒメノミコトのみを愛しているからであるとか、イワナガヒメノミコトが望まぬ結婚をするのを望まなかったからなどとかいうような真っ当なものではなく、もっと俗で、あまりにも仕方のないものだった。
それは、イワナガヒメノミコトの容姿がとても醜かったからだった。
醜女とは関わり合いになりたくないという理由で、ニニギノミコトはイワナガヒメノミコトの拒絶したのである。
大層プライドを傷つけられたイワナガヒメノミコトは、自らの持つ寿命を司る力を用いて、ニニギノミコトとその妻となった妹・コノハナノサクヤヒメノミコトに呪いをかける。
その血脈続かせてなるものか、と。その命に終わりあれ、と。
こうして、本来ならば神の血を引き永遠の命を持つはずであった天皇家の血族にもまた寿命の概念が生まれてしまったのである。
コノハナノサクヤヒメは時が経てば散る「花」を表し、イワナガヒメノミコトは永い時に渡りその形を保ち続ける「石」を表していると言われており、所謂「バナナ型神話」に分類される逸話であるといえよう。
なお、富士山に宿ると言われるコノハナノサクヤヒメに対し、イワナガヒメノミコトは八ヶ岳に宿ると言われている。
それゆえ、八ヶ岳に存在する、イワナガヒメノミコトのみを祭る数少ない神社である雲見浅間神社とその周囲の地域においては、富士山を美しいと思う感覚を抱くだけで不幸になると言われている。
【人物・性格】
口が悪く露悪的でひねくれた性格。
様々なものに対して強いコンプレックスを抱いており、事あるごとに些細なことに対して僻み、どうせ俺なんか……とやさぐれてしまう。
非常に繊細なその一方でプライド自体はやけに高く、慰められるとむしろ更にやさぐれてゆく。
かといって彼女の言動を否定すると何も分かってないと突っぱねる。発作が起きたら放っておこう。
とはいえ、面倒見の良い側面もあり、親の愛を一切受けずに育った芹華が歪んでいながらもそれなりに常識的な人格を得られたのは彼女が共にあったからという側面が強い。
基本的には自分のサーヴァントとしての能力も含め芹華に全ての権限を完全に預けており、彼女の意識が表に出てくることは滅多にない。
しかしながら眠っているわけではなく芹華の言動は全て認識しており、何か興味を抱くことがあったときには稀に表出してくる。
ちなみに普段はやや乱暴な口調で会話するがこれはペルソナであり、本来は非常に芹華と似た口調。
と言うよりはむしろ、芹華の口調が彼女に似ているのである。
肉体が彼女の制御下にある場合には戦闘スタイルが変化し、防御を捨ててとにかく手数で攻めるアグレッシブなスタイルとなる。
イメージカラー:鈍色
特技:羨ましいところ探し
好きなもの:今の依り代
嫌いなもの:全般
天敵:コノハナノサクヤヒメノミコト
【一人称】オレ 【二人称】お前(本来はあなた) 【三人称】アイツ(本来はあの人)
台詞例
『おい、少しいいか芹華』「なんだい喧しい」
『オレも少しコイツと会話がしてぇんだが』「今はセリカが話しているんだ。後にしてくれ」
『話すっつったってどうせ人の傷口抉ってるだけだろセリカは』「それがセリカの趣味だからな。それはお前が一番知っているだろうに」
「いい加減姦しいんだよ醜女風情が」『醜女!? 醜女と言ったかお前!? 今のオレの顔はセリカの顔だろ!? 自分の顔に対してそんな』「だから喧しいと言っているだろうこの駄女神」『ぐぅっ……! もう知らねえ! いざという時頼られても絶対に答えたりしねえからな!』「構わないよ。その方が好都合だ」『ぐぬぬ……』
『まま、気にしないでくれたまえ。選手交代という奴だ。本来この力はオレのものだからね』
【解説】
元来更宵家の一族は、古くから神降ろしの霊媒としての性質を色濃く持った血族であった。
幾人も優秀な祈祷師や口寄せの巫女を排出した一方、「良くないもの」にも憑かれやすい性質を備えていた。
その性質に目を付けたのが芹華の父・更宵喪束であった。
彼は自らの娘の肉体に宿る聖杯に巧妙な細工を施し、また娘の肉体を原型を留めぬほど魔術的に弄くり回し、個人聖杯におけるサーヴァント召喚を、その肉体を依り代とするような召形式に変更することに成功したのである。
こうして生きながらサーヴァントとなった芹華であったが、「生体の擬似サーヴァント化」という実験を成し得た時点で、喪束にとって娘の存在は用済みであった。
もはや家には居場所はなく、されど殺されるわけでもなく、半ば飼い殺し状態のまま、死んだような日々を送っていたある日、唐突に喪束は消滅した。
別棟として用意されていた工房ごと、まるで初めから存在していなかったかのように消え失せてしまったのである。
やがてその捜索も打ち切られ、正式に芹華は父親の遺産を受け継ぐことになりはしたものの、彼女は今更人間社会に溶け込む気はなかった
。幸いなことに父親の遺産は十分すぎるほど残されていたため、芹華はそれらを全て伴って自らも姿を眩ませた。
しばらく様々なモザイク市を転々とした後に、芹華は「御苑」に腰を落ち着けることとした。
このような経歴を持つため、芹華は一切の学術的教育を受けていない。
日本語を話すことが出来るのも、ある程度の日常生活に必要な動作が出来るのも、全てはアサシンがその身に宿ったことにより彼女が聖杯から与えられてきた知識を芹華もまた学習できたからに過ぎないのである。
実年齢も実際に13歳だが、このような経歴ゆえに年齢と言動が一致しない。
ただし、詳細に行動を観察していると基本的には自分の衝動に素直な幼さが根底にあることが分かるだろう。