泥新宿に突如として現れた"招かれざる存在"が召喚した幻霊を、
カルデアに忍び込ませるべく「英霊としての格」へと満たせさせる為に
無理やり結合させられ生み出された狂気の存在。
その正体は稀代の死体蘇生師ハーバード・ウェスト。
だが彼本人は幻霊であり、英霊として存在するわけではない。
ただ、彼の中心にある幻霊を安定させる"殻"として呼び出されたにすぎない。
──────だがそれで彼は終わらなかった。
彼は生前、死体を掘り起こしては蘇らせる実験を行っていた。
しかし、死体だけでは人は蘇らない。新鮮な、生きた"脳"が必須であった。
悩んでいた彼はある生物と接触した。それは地球の常識の外、ユゴスと呼ばれし惑星よりの降来生物であった。
それ以降、その降来生物を利用して、死体の蘇生を行っていた。
彼は幻霊として呼ばれるその瞬間に、その生物を"引き攣り連れて"来た。
そしてその存在に、生前脳みそを狩らせていたときのように、己の脳を霊基から抽出させた。
彼は己の脳を鉄筒へと収納させて、それを己が己であるための楔にしたのだ。
自分の内側に封じられた、彼の召喚者が望んだ幻霊(きょうき)を、
決して己より外に出さないために。
彼自身は、己のうちに何がいるなんて知ったことじゃないし興味もない。
ただ、「自分が自分でなくなる」こと。それだけが許せないだけである。
そのためだったら、地球外の化物であろうと利用しよう。どれほど理不尽な、狂った状況に置かれても、
彼は自分の道を、進むべき思考を止めないしやめない。それこそが、狂気の中であろうと狂気に飲まれない、
フォーリナーたる所以である。
最後に、彼の内側に封じられた幻霊の話をしよう。
それは幻霊でありながらこの世のものではない。在り得て良い存在ではない。
創作でありながら「外の常識」につながる唯一の存在である。
「ギャハハハハハハハハハハァ!!!ようやく眠りやがったかヤブ医者ァ!!
俺は俺の為に動く!!我が偉大なる父上をこの腐れ切った世界に投影するために!!」
名をウィルバー・ウェイトリー。
正真正銘、外宇宙の神と人の間に生まれた邪神の忌み子である。
彼と言う存在が、殻を破り災害の坩堝たる泥新宿へと顕現するとき、
この世界は狂気へと包まれるであろう。