『黒妖犬』『ヘルハウンド』『バーゲスト』『モーサ・ドゥーグ』『ブラック・シャック』世界各地に数多ある伝承、すなわち不吉を告げる黒犬。それら全てが集合したモノ。そして、その殻を被った名も無いただの野良犬こそがこの黒犬の正体である。
幻霊の集合体にして疑似サーヴァント。
魔窟と化した新宿において生き残れる筈も無かった小さな命。傷つき、彷徨いながら、手を差し伸べられる事もなく、目を逸らされ、背けられた弱者。その在り方は、確かに不吉の象徴と似ていた。
魔獣と化しながら、その本質はただの野良犬から変わっていない。ただ生きる為に生き、救いを求めて彷徨い歩いている。