「こっちが知ってるのはこれで終わりだ。そっちは?」
「俺もだな。まあ、一応確認できてよかった。短刀持ってるってのは初耳だったからな……」
「基本的に、手出しせずにさっさと通り過ぎれば脅威にはならない。目を合わせないのを大前提にすれば、まあ大丈夫だろう」
「かーっ。しかし、別嬪さんねえ。一回くらい顔を見てみたい気もするが」
「止めろ止めろ! そういうのは口に出すと本当に出てくるぞ!」
泉の広場には気をつけろ。赤い服の女とは目を合わせるな。
基本情報
【出典】都市伝説
【CLASS】モンスター
【マスター】なし(「梅田」の土地が依り代となっている)
【真名】赤い服の女
【異名・別名・表記揺れ】アキちゃん
【性別】女性?
【身長・体重】158cm?・51kg?
【肌色】異様に色白なモンゴロイド系 【髪色】黒 【瞳色】眼球全体が黒
【スリーサイズ】枯れ枝のように痩せ細っている。
【外見・容姿】真っ赤なドレス、真っ赤な口紅、光のない真っ黒な——。
【地域】日本・大阪(梅田)
【年代】近現代
【属性】混沌・狂
【天地人属性】人
【その他属性】人型
【ステータス】筋力:- 耐久: 敏捷:- 魔力:- 幸運:- 宝具:E
不滅:A
不死ではなく不滅。新世代の口伝、都市伝説として語り継がれる、正体不明の怪物。
誰かが正体不明の存在としてのモンスターを知る限り、肉体を滅ぼされようとも、何度でもこの世に現れる効果を持つ。
魔眼:-
怨嗟の邪視。魔眼を有していることを示すもの。『魔眼』スキルとされてはいるが、実質的にはスキルではなく単なる体質、それも極めて微弱なものである。
彼女の眼を少しでも見てしまったものは、精神的な金縛りを受け、その場から動けなくなる。
しかし、眼を見ていない別の誰かに無理やり視線を外してもらうか、恐怖を含む強い感情に突き動かされることで効果は無力化できる。
無辜の怪物:E
「狂ってしまった身売りの女」、あるいは「赤い服の女」。 生前の行いからのイメージによって、後に過去や在り方を捻じ曲げられ能力・姿が変貌してしまった怪物。
本人の意思に関係なく、風評によって真相を捻じ曲げられたものの深度を指す。このスキルを外すことは出来ない。
発祥の地である「梅田」に根付いた亡霊の都市伝説が、彼女の霊基の根拠となっている。
しかし、それは実像とは無関係に構築された、空間に焼きつく悪性情報。
大きな根本的要素は共有すれども、尾鰭がついて変質を繰り返した結果、彼女の姿や振る舞いは、決して一定せずに変化し続ける。
陣地作成(呪):E
土地に刻まれた伝説として、周囲を侵蝕し『泉の広場』へと変化させる。
一定以上移動すると侵蝕はリセットされるものの、時間と共に効果範囲は拡大していき、最大で「梅田」迷宮を覆い尽くす大きさとなる。
泉の広場に踏み入ったものは、呪詛耐性を徐々に下げられていく。
対抗するには、アミュレットなどを用いて呪詛避けを張るか、一定以上の呪詛耐性が必要となる。
『恨み深きは浮世の非情』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1〜10 最大捕捉:50人
実像を持たぬ曖昧な悲嘆、そして怨恨を集約するレンズである「赤い服の女」の存在そのもの。
モンスターは、そこにいるだけで、指向性を持たない呪いの“場”を周辺一帯に展開する。
結界とすら言えないこの微弱な場は、その領域内において、「嘘をつく・人を騙す」、「意に添わぬことを相手に強制する」行為に反応し、非常に小さな呪いを付与する。
この呪いは、それだけでは、非常に小さな不幸を招き寄せる、嫌がらせじみた効果しか発揮しない。しかし、対象者が『陣地作成(呪)』スキルの範囲内にいるのであれば、話が変わってくる。
即ち、漸減していく呪詛耐性によって、その些細な呪いの効力がどんどん跳ね上がっていき、最終的に、死に直結するレベルの事故に見舞われることになる。
誰もが当たり前に持つ「運命力」をも蝕む、些細ながらも凶悪な呪詛である。
『短刀』
由来不明の武装。既知の都市伝説には、「赤い服の女」が武器を持っていたというものは存在しない。
呪的な効果は確認されておらず、見た目どおりの短刀である。
【解説】
梅田の地下街にある「泉の広場」には、赤い服を着た奇妙な女が現れる。ある時期を境に、インターネット上でそんな都市伝説が広まった。
真っ赤な服、美しい顔、そして白目のない真っ黒な眼。目を合わせると金縛りのような状態に陥り、此方に迫ってくる。
たまたま近くに居た人に助けてもらえたが、此方を見て「殺す」と言って去っていった……など、それは不気味な存在として語られた。
インターネット上の掲示板にその「体験談」が投稿されて以降、同じような女を見たという無数の投稿が積み重ねられた。
それぞれの投稿で内容に差異はあるが、女が此方を見ていた、という内容はほぼ共通していた。
また、その正体については、幽霊の類だとするものと、生きた人間だとするものがある。
後者の説では、女の正体は「アキちゃん」という水商売の女性で、男に騙された結果、次第に狂気に落ちていったという。
───その真偽は定かではない。しかし、其処に赤い服の女が「いる」のは、少なくともこの世界では事実であった。
モザイク市となった「梅田」、そして迷宮へと変貌した旧地下街。
泉の広場が取り壊されることなく世界改変を迎えたこの世界では、彼女は泉の広場に縛り付けられたまま、其処に留まっている。
サーヴァントとしての霊基を獲得している理由は不明ながら、その存在は、間違いなく悪性のもの。相対することがあれば、迂闊に手を出してはならない。
同じサーヴァントならば討ち果たすことは容易であろうが、決してその存在が滅ぶことはないのだから。
【人物・性格】
全くの不明。
イメージカラー:目に焼き付いて離れない、赤すぎる赤
特技:なし
好きなもの:なし
嫌いなもの:なし
天敵:なし
願い:…………。
【一人称】- 【二人称】- 【三人称】-
【因縁欄】
- 「梅田」:因縁の地
梅田という都市の一部に刻まれた彼女は、逆説的に梅田から離れることができない。
この先、何があろうとも、彼女を覚えるものが何処かにいる限り、彼女は梅田をさまよい続けるだろう。
「どうなってるって俺が知るかよ! こんなの集めた噂にはなかった!」
「くっそ間に合わねえ! おい、ターミナルから港に降りるぞ! 適当な廃棄船ちょろまかして「天王寺」に逃げる!」
「カレンがなんとかするだろ! 短刀振り回してる危険人物だぞ!」
「……はあ。一息ついた。まさか、迷宮から抜け出してくるとはな」
「心臓が潰れるかと思ったわ……。しかし、なんだって俺を追っかけてきたんだろうな」
「さあなあ。俺達二人を認識した瞬間に走ってきたが……」
「って思ったんだけどよォ!? アイツ確かに「梅田」に置き去りにしてきたよなあ!?」
「海路なら分かるはずだし陸路なら俺らより早く来れるはずがないってのに……! ええい、今度は「難波」だ! 念の為に監視頼む!」
「……うっそだろ。もういやがる! さっきまで確かに「天王寺」に居たのに!?」
「つうかカレンはどうした!? 都市情報網に通報はしたはずだぞ!?」
「知るか! それどこじゃねえよ! お前もなんか逃げる方法を───」
「█████████████████████───」
――――本日未明、「難波」近海にて、「梅田」へ不審な通報を行った男女の二人組が意識不明の重体で発見されました。
両市の都市情報網での発表によると、女性は呪的攻撃を原因とする昏睡、男性は短刀での刺傷による出血多量が原因とのこと。「天王寺」警察は――――