『皆心を一にして奉るべし。これ最期の詞なり(すべては鎌倉のために)』
ランク:E〜A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人
承久の乱の際に行われた、日本史上空前絶後の名演説。
女性の身でありながら、荒くれ者揃いの坂東武者をこの演説によってまとめ上げ、
戦の趨勢を決定づけた。
「キャスターのマスターに"恩"を感じている人物」にステータスのボーナス・ペナルティを与えることができ、
一定以上の"大恩"を感じている人物には、キャスターが一方的に命令することも可能となる宝具。
キャスターのマスターの味方として行動する場合、筋力・耐久・敏捷のステータスを"恩"に応じて上昇。
逆に反発・敵対すればペナルティとして同様にステータスが低下。
キャスターのマスターに多くの"恩"を感じている者ほどこの宝具の効果は高くなり、ステータスボーナス・ペナルティも上昇する。
スキル尼将軍とのシナジーにより、サーヴァントにも影響を及ぼし、ボーナス・ペナルティが与えられる。
特に秩序を重んじるサーヴァントには効果が高く発揮され、追加でボーナス・ペナルティが付与。
サーヴァントに対しては、秩序属性を持つもののみ対魔力がD未満であれば"恩"に応じてキャスターの命令を承諾させる事が可能となる。
キャスター自身にも効果が及ぶが、自身の対魔力がそこそこ高いのと素のステータスが低いのもあり、
目に見える効果を出すためにはキャスターとの絆を深めて多くの"恩"を感じさせる必要がある (最大で筋力:C 耐久:C 敏捷:Bまで上昇)。
反骨の相、狂化、精神汚染を有するサーヴァント、恩を感じない動物のサーヴァントには効果が一切無い。
演説内容
〜〜承久の乱に際しての演説〜〜
皆、心を一にして奉るべし。
これ最期の詞なり。
故・右大将軍、朝敵を征罰し、関東を草創してより、
このかた、官位と云ひ俸禄(ほうろく)と云ひ、
その恩すでに山岳よりも高く、溟渤(めいぼつ)よりも深し。
報謝の志これ浅からんや。
しかるに今 逆臣の讒によって、非義の綸旨を下さる。
名を惜しむの族は、早く秀康、胤義らを討ち取り
三代将軍の遺跡を全うすべし。
ただし、院中に参ぜんと欲する者は、只今申し切るべし。
「吾妻鏡」より
【意訳】
みんな、心を一つにして聞いてください。
これはわたくしの一生に一度のお願いです。
源頼朝殿が、平家一門の朝敵を滅ぼして、ここ関東にわたくし達の幕府を作りました。
それ以来、犬以下の扱いだった皆の官位も収入も凄く良くなりましたね?
すべては頼朝殿のお陰です。そう、全部ね。
幕府を作ったあの方への御恩は山の頂きよりも高く、海の底よりも深いのです。
(ちなみにわたくしの頼朝殿への愛もそれくらい高くて深いです)
しかし今、その大恩を忘れて、天皇や上皇をたぶらかして幕府討伐などという、とんでもない命令を出させる輩が現れました。
今日この鎌倉に集まったあなた達は、下衆な裏切り者として歴史に名前を残したくないでしょう?
ならば、朝廷側についた藤原秀康・三浦胤義ら下衆共を早々に討ち取って、源氏三代将軍の恩に報いましょう!
仮に、もしこの中に朝廷側につこうと言う者がいるのならそれも良いでしょう……、今すぐ名乗り出なさい!
効果対象
秩序を持つ相手には特に有効
以下のサーヴァントには無効
『夢買い(ゆめうつつ)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
キャスターが生前から有している異能。
他人の夢の中の話を買い取って、自分の未来に影響させる。
吉兆を示す夢だけを買い取る事で、良い将来を引き寄せられる。
逆に不吉な夢を買い取ることで、相手の凶兆を肩代わりする事も出来る。
キャスターの『夢買い』の影響は絶対的で、世界の因果律にまで影響を及ぼすほど強力。
ただし夢を見るかどうか、吉兆の夢であるかどうか、すべて他人任せなので、狙って効果的に運用するのは難しい。
この宝具をある程度安全に使いこなすためには、
他人のぼんやりとした夢の内容を占って吉兆か凶兆かどうかを見分ける『夢解き』スキルも必要となる。
不安定で諸刃の剣としての性質を持つこの宝具を、キャスターは生前の経験からできるだけ使わない様にしている。
夢買いの逸話
〜〜『夢買い』について〜〜
キャスターは生前3度、自身の運命に大きく関わる『夢買い』を行った。
1度目は、妹の夢を買った時。頼朝との恋が成就した。
2度目は、富士川の戦いに頼朝が自ら赴いた時、勝利への願掛けを行った。効果は抜群で、幸運に恵まれた頼朝は大勝利を収める。
3度目は、鎌倉幕府が発足した日。幕府が長く続くことを願い、その結果鎌倉幕府は150年という長きに渡って存続した。
しかしその願いを叶えるために源氏は滅んだのかもしれないと、キャスターは終生悩み続け、その後『夢買い』を使うことは無かった。
現代に逸話として残っているのは、妹の夢を買った話。
妹の夢の内容は、「高い山に登って着物の袂に月と日を入れ、3つの橘の実のついた枝を頭の上に置いている」というもの。
月と太陽という強大な存在を自らの内に収め、豊かさを象徴する橘の実までも手に入れるという、途方もない幸運と宿命を示す夢。
大きすぎる幸運は逆に身を滅ぼす災難を示すと『夢解き』をしたキャスターは、妹の身代わりとなるため『夢買い』を行う。
しかし――
それは大きな才能を秘めていたキャスターにとっては受け止めきれる幸運と宿命であり、彼女の宿命を決定づける。
かくしてキャスターは源頼朝と出会い、妻となり、尼将軍となって月と太陽にも匹敵する強大な権力を手に入れる事となった。
――だが、権力を得る過程で彼女は最愛の夫や息子、娘など多くの大切なものを失う事にもなっている。
やはり、過酷な宿命には違いなかったという事か。