69: 忍法帖【Lv=29,xxxPT】(1+0:8):2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN ID:5cyMVlnS >>51じゃないけどss書いたから投下 ここの嗜好にはちーと合わないかもしれないけど 鎮守府の朝は早い。 そもそもが、常時緊迫した状況が続いていると言ってもいい現状である。 何時如何なる時にでも、突発的な非常事態に備えて眠らずの港と化しているだけあって、 日が照っていようが月が昇ろうが構わず人々は激しく鎮守府のそこかしこを動き回っているのだが、 あえて時間を区切るのであれば大多数の朝は空も未だ仄暗い明け方五時から始まった。 しんと寝静まり、静かな空気が微かな潮の匂いと共に立ち込める廊下に備え付けられた幾つものスピーカーの向こう側から、微かに響き始めるホワイトノイズ。 ともすれば室内で耳にする雨の音のようにも、清流のせせらぎのようにも聞こえるそんな音が、静まり返った空気を微かに揺らしていった。 それらに少し遅れて、堅牢な、それでいて多少なりとも装飾の施された広い廊下と、 その壁面に幾つも作られたそれぞれの空間を隔てる扉の向こう側に、幾つもの気配が生まれ始める。 初めは、のろのろと気怠げな雰囲気が少しずつ。 それらは次第に大きなざわめきや、パタパタとした物音へと変わっていった。 瞬く間に先程までの静寂は取り払われ、生活音が廊下のそこかしこで反響して暫く。 ノイズを垂れ流していたスピーカーから、胸を震わせるようなラッパの甲高い音が大きく響き渡った。 長く長く残響していくそれらにタイミングを合わせたように、扉が次々と開かれていく。 その向こう側から現れるのは、思い思いの服装に身を包んだ見目麗しい女性達である。 あるものは少女趣味に満ち溢れたる、可愛らしいフリルがふんだんにあしらわれた薄桃色のパジャマ、 あるものはその魅力的な四肢のプロポーションを目一杯強調するような下着同然の姿で。 若干の寝崩れが見られる淡い色の浴衣や、薄いシャツとショートパンツの組み合わせ等、 立ち並ぶそれらの服装にはまるで統一感というものが見られなかった。 ぱっちりと目を見開いて元気よく歩を進める者もいれば、半ば以上閉じられた瞳でふらふらと危なっかしく歩く者もいて、 そんな姿に互いに和気あいあいと声を掛け合いながら彼女等は全員が早足で一所に向かっていく。 その足の向かう場所、幾つかの廊下が合流した先に広がっているのは、円形の大きな天井を備えた談話室である。 彼女らとよく似た雰囲気を身に纏うラフな格好の女性達が、同じようにそれぞれの廊下の先から姿を現していった。 その数、控えめに見ても優に数十は下らぬであろう。 全員が一所に歪な整列を組んで集まる。 朝の挨拶を交わし合う彼女等の前に、既に常の勤務服に着替え終えた一人の女性が屹然とした表情を浮かべて立った。 「では、一号廊下から五号廊下、点呼始め」 朝の目覚めに相応しい、きりりと澄んだ声である。 その言葉に促されるようにそれぞれの列の先頭に立っていた女性達も大きな声で己の番号を口にする。 次いでその後ろに立ち並ぶ者達も順々に声を上げていき、それは素早く最後尾にまで。 そこで立ったまま眠りこけていた少女を隣列の少女が手厳しい一撃で叩き起こすと言う、 毎度何処かで同じように繰り広げられているイベントがあったものの、それ以外は極めてスムーズに全員の点呼は終了した。 「全員、異常はない?」 確認するかのように、皆の前に立った彼女が問いかける。 復唱するように、異常無し、という言葉が続々と飛び交う中で、一人の少女が手を上げて答えた。 「赤城さん、モガミンが居ませんわ」 70: 忍法帖【Lv=29,xxxPT】(2+0:8):2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN ID:5cyMVlnS 「あら」 言われた赤城がその少女が今週の班長を務めている集団をよくよく見てみれば、確かに何時もであれば常にそこに居るはずの彼女の姿が見当たらない。 とは言えそれが脱柵などという非常事態に結びつくような事は決して無く、ある一つの確信を持って赤城は少女に問いかけた。 「最上さんは、今週の担当だったわよね?」 「はい、提督係です」 その通りです、と垂れ目がちな瞳をほんわりと細めた彼女は答える。 やはりか、と言った風情で赤城は頷いて、それから羨ましさ半分だらけ半分といった雰囲気で早くも弛緩し始めてきたその場の空気を引き締めるかのように、 パンパンと軽く手を打った。 「はい。彼女の事は特に問題ないとして、私が確認しておきます。今日もとりたてて急を要するような事項はありません。 みなさんは普段のお務めを頑張りましょう。本日から遠征予定の方は朝食の後で特別に甘味が提供される事になっているので、 欲しい方は忘れずに間宮さんの所に行って受け取ること。以上です。解散!」 『了解!』 全員が勢い良く斉唱し、次いでてんでバラバラな方向へと散らばり始める。 大抵は足並み揃えて洗面場へと向かうようだったが、一部では早速朝の自由時間を満喫しようと訓練用の服装に着替え終えている者も居れば、 もう一度寝直すといった風情であくびを覆い隠しながら私室へと向かう者もいた。 その場で眠り始めて同室の者に引き摺られながら廊下の奥へと消えて行く少女を見送って、彼女は軽く息を吐いて髪を掻き上げた。 「さぁて、と」 先程皆の前で声を上げていた時とは大分異なる柔らかな声を漏らして、赤城は一号廊下の一番奥に作られた提督室を目指して歩き始める。 その務めにあたってるものが起床の点呼に現れない場合は、大抵そこに居るものだ。 道中、朝靄の中に昇り始めた太陽を眩しそうにガラスを通して眺めながら、着任して以来何度向きあったのか分からないその大きな扉の前へと辿り着き、控えめにノック。 「提督、失礼致します」 扉越しに声を掛けて、そのノブを静かに捻った。 重厚な木の擦れ合う乾いた音を立てて扉がゆっくりと開いていき、彼女の視界にもはや見慣れたその室内の光景が飛び込んでくる。 一言で言えば、ピンクだった。 ショッキング、という程では無く、毎年港に咲き誇るソメイヨシノの花びらをもう少しだけ濃くしたような淡い桃色。 そんな可愛らしい色が交互に組み合わされた起毛素材のカーペットと、それに合わせたように同色でまとめられたドットの壁紙。 そして可愛らしく装飾された少女趣味に溢れる執務机と、その上にうずたかく積まれた机のつくりにはそぐわない、大量の書類の山が彼女を迎えていた。 電灯は灯されておらず、ようやく顔を出した光だけがカーテンの向こう側から差し込んでいる。 ほのかに青く染まる薄暗い部屋の中、その端の方に引かれた布団の上にやはり彼女の探していた人物は居た。 「あはは、赤城さん、すみません。点呼、出れませんでした」 俯いていた顔を彼女の方へと向け、にへら、と柔らかく顔を綻ばせたまま、寝起きにはとても思えないはっきりとした口調でその少女は申しなさげな顔で声を潜めて言う。 71: 忍法帖【Lv=29,xxxPT】(3+0:8):2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN ID:5cyMVlnS 短く切りそろえられたボーイッシュな短髪に、それでも女性であることを主張する整った顔立ちとやわらかな身体のライン。 洋風な内装とは若干のミスマッチにも見えるその布団の上に座り込んでいる寝間着姿の最上に、 赤城は何処かホッとしたような吐息を吐いてこちらもにこりと笑い、ささやき声で答える。 「別に良いのよ。出ようにも出られなかったのでしょう? 起こしてしまうのは、忍びないものね」 「ええ、まぁ」 苦笑しながらそう答える最上は、彼女の視線を誘導するかのようにそっと己の膝の上に頭を載せているもう一人の人物に目をやった。 ショートパンツから覗く健康的な太ももの上には、彼女達よりも随分と若々しく見えてしまう少女が、 小柄な身体で最上の下半身を抱きかかえるように丸くなり、それを枕としてぐっすりと眠り込んでいる。 下半身は掛け布団に包まれたままで、その細い指先は最上の服の裾を強く握りしめて。 まるで今にも彼女が何処かへと行ってしまおうとするのを阻止しているかのように。 そんな状態で力尽きた彼女の顔にかかる黒髪を、最上はこの上なく優しげな表情を浮かべて軽く指で梳いている。 全くもって、羨ましい限りだ。 その光景を目にする赤城の心中は、そんな思いがもやもやと湧き立ち始める。 内心を悟られぬように冷静な面持ちを心がけるものの、赤城はしかしながら己が既に若干羨ましげな表情を浮かべていることに気が付いていない。 「あら、随分しっかりと引き止められてしまっているのね」 「はい。僕はラッパの前にはもう起きていたんですけど」 「ふふ、眠っている時の提督は歳相応で可愛らしいわ。いつもこうだったら、私達としても少しは安心できるのだけれど」 口に手を当ててクスクスと小さな笑い声を零しながら、彼女は緩やかな空気が流れる室内を物音を立てぬよう静かに移動し、窓を遮っているカーテンを静かに開いていった。 その向こう側に覗く青黒い海に、眩しく反射した太陽の光が白く輝いていた。 そして、鈍く輝く鋼鉄の艦の数々。 「そうですね。そう言ってもこの子は間違いなく首を縦には振ってくれないと思いますけど」 できる限り身体を動かさないようにして、相変わらず髪を梳き続けている最上はそれまでより微かに声色を落として深い溜息を吐いた。 唐突に増えた光量に意識が刺激されたのか、その膝の上の幼い顔が微かに身じろいだ。 服に回された指先に、さらに力が篭っていく。 それに気が付いた最上の片方の手が伸び、己のそれよりも小さな掌ををそっと包み込んでいく。 「昨日も、随分と上の方達とやりあっていましたよ。どうしてこう上層部っていうのは、誰に対しても容赦が無いのかなぁ」 「あの人達はあの人達で、ここの混沌とした状況を統率するのに大変なのよ。最も、それが十五に満たない女の子をイジメても良いって理由にはならないけどね」 「それでも能力があるのだから使わざるを得ない、と。嫌いだな、僕はやっぱりそういうの」 「でも、彼女がそれを望んでいるのだもの。私たちに出来るのは、支えてあげる事だけよ。一番近い場所に居ることが出来る存在として」 「はい。……それは、十分に理解してます」 少女の、安らぎに満ちた寝顔を。 朝の港の、慌ただしい風景を。 それぞれの視界に収めながら、目を合わせること無く二人はもう幾度と無く交わした内容の会話を繰り返す。 72: 忍法帖【Lv=29,xxxPT】(4+0:8):2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN ID:5cyMVlnS それは、この二人の間だけではなく、この眠り姫直轄の艦隊に所属する殆どの女性達が事あるごとに頻繁に繰り返し、確認しあう会話だった。 この年端もいかぬ幼い少女が、退役した先任の後釜として彼女等の上へと据え置かれたのは、大凡半年ほど前の事である。 その初対面の挨拶は、散々なものだったと後になって皆は語る。 なにせ、駆逐艦を担当する者達よりもさらに幼いようにも見えるその姿だ。 一部の者達は酷い失望を覚え、また、上層部に対しての怒りを露わにするものも多かった。 しかしそれうした第一印象も、彼女がその小さな体躯に秘めた力を周囲に知らしめるに連れて徐々に数を減らしていく事となる。 慢性的な資源不足の中で散らばりがちだった艦隊を瞬く間に再編し、効率的な運用法の整備を始め、 それぞれに適した職務をあてがいながら、それでいて強権を振りかざすこと無く締めるべき所は締め、緩めるべき所は緩める。 時に激務となる遠征組にせめてものねぎらいとして甘味といった嗜好品が提供されることになったのも、彼女の鶴の一声によって決まった事だ。 実年齢が二十歳にも満たない少女が行うにしては、その発想にしろ内容にしろ、急な体勢変更により必然的に起こる問題に対する対処も、 まるで全てが常識を逸するほどの手際であり、そしてその能力は事務的なものだけに留まるものではなかった。 その見事な艦隊指揮能力は、歴戦の勇と言っても良い、一部の戦艦、空母担当の者達も舌を巻くほどである。 それが初めて表に現れた時、指揮下にあった少女達はあまりの事実に、信じられずに互いの頬を抓りあったという。 たかだか十を過ぎたばかりの子供に何が出来るのかと侮っていた別の士官との演習において、圧倒的な彼我戦力差があるのにも関わらずにこれを圧倒したのだ。 驚くべきことにある程度の損耗こそあれど、撃沈判定を食らった艦を一隻も出すことが無く、である。 事ここに至り、鎮守府全ての人間に彼女の存在は強く印象づけられる事となった。 更には多くの提督がその危険性の高さから忌避する実戦の場にも同行し、今まで攻略不能とまで言われた海域を巧みな手腕でもって制圧することにも成功する、 というまさに獅子奮迅の活躍を見せたのである。 今や彼女の名は、内外を問わず強烈にアピールされ、早くも英雄として祭り上げられているといっても過言ではない。 それが、明らかな無理を押し通したものであると知るものは、配下である彼女達しか知らない事実である。 「昨日は、お薬無しで眠れた?」 「はい。少し時間は掛かりましたけど、なんとか」 「ふぅ、あなたが係の時が、一番ぐっすり寝てくれる気がするわ。この子に一番心を開かれているのって、もしかしてあなたじゃないかしら」 「っ、もう、心にも無いことを」 赤城はすぐ隣で見ていた。 喫水下にて炸裂した敵の魚雷によって激しく揺れる船内で、屹然と立ちはだかりながら艦橋の人間達に指示を飛ばすその瞳に、隠し切れない涙が浮かんでいたその時を。 よろけるその身体を支えたその時、はっきりと理解することが出来た、震える身体を。 最上とて知っている。 今まで最低限度の権利しか保証されていなかった自分達の為に、彼女がどれほど上の人間と論戦を繰り広げてきたのかを。 誹謗、中傷、妬み、嫉み、そういった吐き気を催すほどのドロドロとした漆黒の感情を向けられ続けながらも、 それでも決死に食らい付き、それらを一つ一つ認めさせてきたあの姿を。 その側に控えることが出来る者達全てが知っている。 小さな身体の中一杯に溜め込まれた様々な重圧とストレスによって、彼女がどれほど苦しんでいるのかを。 本当の少女を知るものは、彼女達しか居ないのだ。 「僕の、子守唄とか、気に入ってくれるみたいですよ」 「子守唄……?」 73: 忍法帖【Lv=29,xxxPT】(5+0:8):2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN ID:5cyMVlnS 「えぇ、小さな子にするみたいにしてあげると、落ち着いてくれるみたいです。今度、赤城さんも試してみたらどうでしょう」 「そうね、次にトーナメントに勝ち抜ける時が来たら、試してみるわ」 この少女がいかなる理由でこの場に訪れたのか、そしてまたいかなる理由で彼女らの立場を改善しようとしているのか、そういった事は未だ黙して語られる事は無い。 しかしそれでも、その姿の全てが告げているのだ。 艦娘達に対する、絶対的な信頼と愛情を。 そんなミステリアスかつ真摯な姿に彼女達が惹かれてしまうのも、無理はない話だった。 その外見はともかくとして、本質的には人間とは些か階層を隔てた者として存在している彼女等にとっては、対象の性別など大した問題とはならない。 それまでは、関係の深い同型艦と仲睦まじく過ごすことが多い彼女らであったが、唐突に現れた台風の様なその少女は、 そんな関係すらも丸ごとひっくるめて彼女達の心を奪っていった。 一人、また一人と絆されていく娘達。 その勢いは留まるところを知らず、今となってはほぼ全ての娘達が、その想いの深さには若干の違いがあるとしても、 この愛すべき少女の事を自分たちで支えていかなくてはならぬと心に決めているのである。 「あら、もうこんな時間なのね」 会話も無く、そうして静かな空気の中に身を委ねていると、にわか、扉の向こう側が騒がしくなる。 恐らくは、皆が朝食を目当てに食堂へと向かい始めているのだろう。 赤城は視線だけで最上に語りかける。 唯一の安らぎから引きずり上げる事は可哀想ではあるが、そろそろ起きなければ今日も少女自身が何処からともなく引き受けてきた大量の業務が、 それこそ山となって崩れ落ちて来てしまう。 彼女は膝の上で幸せそうに顔を緩めている少女の顔を迷ったように暫しの間眺めてから、 意を決したかのように息を吐いた。 「ッ!?」 吐き出された吐息がその顔にかかる細やかな黒髪を微かに揺らしていき、次いで吐息よりも遥かに静かに舞い降りた彼女の唇が、そっとそのおでこに触れる。 一秒。 二秒。 三秒。 タップリと時間をおいて、微かに音を立て、触れ合っていた二つの頭は再び離れていった。 唐突な感触に驚いたのか、もぞもぞとその膝の上で動き始める頭をそっと撫でながら、最上は驚きと戸惑いと、 ついでに羨ましそうな表情がないまぜになった赤城に、どこか満足気な顔で言う。 「これくらいなら、協定違反にはなりませんよね?」 「ッ、え、えぇ、たぶん、だいじょうぶでしょう」 それ以上に赤城は何も言うことが出来ない。 実際、彼女自身もこっそりと彼女と同じような行為をしていたりするのだから、何も言える訳がなかった。 最上もそれを恐らく実体験から悟っているのだろう。 特に動揺した風もなく、覚醒しつつある、身じろぐ少女を相変わらず穏やかな瞳で眺めていた。 「ん……、んん……」 ようやく、そのふっくらとした幼い唇から形にならない声が漏れ出す。 ゆっくりと閉じられていた瞼を開いた彼女は、ぼんやりとした表情で己を見下ろしている短髪の少女の顔を眺めていた。 74: 忍法帖【Lv=29,xxxPT】(6+0:8):2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN ID:5cyMVlnS その黒真珠のような美しい瞳の中で、己の置かれた状況を理解しようと急速に思考が積み上げられていくさまが、傍から見てもはっきりと理解できる。 無意識に伸ばされた寝間着に包まれた細い指先が、最上の頬をそっと撫でていく。 歳相応な、花の綻ぶような愛らしい表情を浮かべ始めるそんな愛しい少女に向けて、最上もまた、これからの一日の中でもきっと一番となるであろう最高の笑みを浮かべた。 「おはよう、提督。今日も一日、頑張ろうね」 ――――――鎮守府の、いつも通りの、騒がしく、慌ただしく、そして暖かな一日は、こうして始まる。 少女と艦娘達の、未だあやふやな未来を少しずつ、少しずつ、確かなものとしていきながら。 【用語解説】 提督係:何かと無茶しがちな彼女等の提督に手綱を付けるため、という理由で考案された隊内限定の役職。 基本的に7日毎にその担当は交代されるが、まれに続投されることもある。 当初の目的は既に遥か彼方に置き去られ、現在は一日中その側に居ることが出来るというただ一点に於いて非常に競争率の高い役職となった。 そのスタンスはおおまかに3つに区別され、1,徹底的に甘やかす者 2,むしろ一緒になって遊びまわる者 3,割りと真面目に秘書艦として付き従う者 である。 トーナメント:次の週の提督係を選抜するために毎週末行われる模擬戦の事。 隊のほぼ全員が参加し、偶然その様子を目撃してしまった別部隊の者に「彼女達の目は実戦の時よりも恐ろしいものとなっていた」とまで証言されている。 尚、個人では圧倒的に大型艦が有利な為下位艦の者達はチームを作ることが許されており、特にそれは非力な駆逐艦達にとって極めて不可欠なものである。 このトーナメントを勝ち抜く為に考案された様々な戦術はその後全員に還元され、彼女等の地力を高める非常に重要な要素となっているとか、なっていないとか。 協定:提督LOVE(はぁとが一定値を越えてしまった乙女達の間にていつの間にか秘密裏に結ばれていたた協定。 競争相手が意中の提督に対して必要以上のスキンシップに走らないよう互いに防衛戦を張り巡らせるために締結されたものである。 尚、一部の者はその目がいい加減肉食獣のものと化しているとの言により、特に厳しく尊守を約束されているようだ。 因みにそうした者達が提督係になった場合、ぐっすりと眠り込んだ少女に対してのほんの些細な悪戯程度は全員がこっそりとおこなっていることも、 半ば暗黙の内に認められた譲歩の内である。 75:名無しさん@秘密の花園:2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN ID:5cyMVlnS おしまい 主人公愛され系最低系ニコポハーレムです あとうちのもがみんは提督の秘書艦に永久就職しました