<イラストタイトル>
広大な草原を駆け巡るプロングホーンの家族
<動物コメント>
◎外来生物学者 坂本 洋典
プロングホーンは、枝分かれした黒いツノをもち、シカに似た外見をしています。ですが本当は、1科1属1種というとても珍しい生き物なんです。シカのツノは骨が変化したものですが、プロングホーンのツノは骨を芯とした上に角質のさやが被さる、ウシのツノと同じ構造です。このツノは、シカと同じく一年に一度、生え替わりますが、その時には骨の部分だけが小さなツノとして残ります。残念ながら2020年4月現在、日本ではプロングホーンに会える動物園はありませんが、2017年までは横浜市の金沢動物園でブッチくんというオスが、15歳の天寿まで長年愛されていました。
そんなプロングホーンは北米の草原で群れを作って暮らし、時速80km近くで長時間走ることができると言われます。太古の北米大陸にはチーターの仲間のアメリカンチーターが暮らしており、アメリカンチーターから逃げるためにプロングホーンの脚力は進化したという説があります。ちなみに、大昔はプロングホーンの仲間は、ねじれたツノをもつ種や何本も小さなツノを持つ種など、少なくとも7種以上いた反映したグループだったことが化石からわかっています。太古の北米の大草原での追いかけっこを想像するとドキドキしますね。
(2020年5月公開)