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1-8:大会戦、そして編

初公開:2020/05/23


【オレオ王国 王都周辺 ルヴァン平野】

大会戦はその後すぐに始まった。
大軍を率いて予想地点から行軍をしてきた公国軍は何の躊躇もなく魔法の光弾をこちらに放ち、戦いの火蓋が切って落とされた。
光弾は次々に大地に刺さり炸裂した。しかし、事前に塹壕に隠れていた王国軍はほとんどの被害を出さず、公国軍の詠唱のタイミングで地上へ現れ怒号とともに突撃を始めた。
あまりの剣幕に余裕綽々でいた公国軍はたじろぎ、そのために序盤の戦局は王国軍が有利に進めた。

斑虎「『活破壊火閃』ッ!おらおら、次の敵はどこにいるッ!」

斑虎は戦いの中心にいた。両脇から抜いた二刀の剣で敵兵を斬り伏せた。

雑用係「おお、いいねェ“白き虎豹<こひょう>”さん!」

近くにいた雑用係はサブマシンガンでチョコ弾を発射し目の前の敵を掃討した。見る見る白ローブで身を包んだ敵兵は数を減らしていく。

斑虎「しかし、これは予想外だな…これ程までに公国軍の武器が充実しているとはな」

公国軍の攻撃手段は実に豊富だった。

魔法戦士の遠距離攻撃だけではなく、詠唱段階に入るとその間に速射砲や連射砲など間髪入れない砲撃を繰り返し敢行した。
接近戦に持ち込んでも彼らは魔法に頼らず、サブマシンガンや銃剣など多彩な手段で王国軍と対峙していた。

『公国軍は魔法に頼り過ぎで、武器は前時代のものばかりだよ』

いつか、会議所で791が語っていた言葉だ。
その言葉を鵜呑みにするには早計ではあったが、接近戦に持ち込めば【大戦】経験者が多いこちらにある程度の勝機を引き寄せられると踏んでいたため、想定外の接戦だ。

歴史上、カキシード公国は【大戦】に参加する兵士が多くはおらず、戦いの熟練度でいえば実は王国軍よりも高いとは言えない。
ただ、それを上回る銃火器で王国軍は押されつつある。
前線にいながらも、斑虎にはその実感があった。


先頭にいた公国兵が槍を突き出すも、斑虎は華麗に体捌きで避けた。
敵兵の背後からはローブの魔法兵がネギの形をした小型弾を発射してきた。

斑虎は、よろけて前のめりになっている槍兵の肩に片足を載せると華麗に宙に跳んだ。
そして空中でネギ弾を剣で真っ二つに斬り、さらには落下地点にいた魔法兵ももう片手の剣で斬り伏せた。
正に虎のような獰猛さと豹のような素早い身のこなしで、斑虎はその名の通り、獅子奮迅の活躍をしていた。

ビギナー「いまの魔法はもしや…」

斑虎「ああ。恐らく、791さんの言っていた“魔法学校”出身の兵士だろう。あのネギ魔法は791さんが使っていたものそっくりだ。威力も速さもてんで足りないがな」

その場でうつ伏せに斃れた魔法兵を一瞥し、斑虎は一瞬公国に捕われているだろう791と親友のsomeoneの顔を頭の中に浮かべた。

―― 彼らは今何処で何をしているのだろう。無事でいるのだろうか。



彼の意識を瞬時に現実に戻したのは、予想外の爆音だった。
地を揺るがすほどの爆音とともに、前方の公国軍側に数十m規模の火柱が上がり、次いで背後の王都側でも同様の爆音が鳴り響いた。

斑虎「何事だッ!」

公国軍は一斉に進撃を停止した。その反応から公国からの攻撃でないことはすぐに察知できた。

「わかりませんッ!敵軍前方で謎の火柱を確認ッ!我軍の攻撃ではありませんッ!ですが、同時に王都の方にも火柱が上がっていますッ!」

斑虎は下唇を噛んだ。王都に攻め込まれないように斑虎たちのいる主力軍をカバーするように、敵軍の背後に周る別働隊がいたはずだ。
もし王都が襲われるとしたら別働隊を突破されたということになる。
非常にまずい状況だ。

斑虎「この場は任せるッ!私は王都に戻り状況を確認するッ!」

「護衛の兵をつけますッ!」

斑虎「大丈夫だッ!今は一人でも多く目の前の戦いに兵を投入して目の前の勝利をもぎ取れッ!」

斑虎は馬に跨り黒煙の上がる王都へ急ぎ向かった。



【オレオ王国 王都】

王都は数刻前にみた景色とはうってかわり、各地で黒煙と爆炎が上がり、王都全体が赤黒く染まっていた。
逸る気持ちを抑えながら馬を降り、斑虎は倒れていた王都守備兵に駆け寄った。

斑虎「おいッ!無事かッ!いったい何があったッ!?」

「ば、化け物が…一瞬で王都を…粉々に…」

倒れていた兵士は苦しみながらも、先刻の恐怖を思い出したのかガタガタと震えだした。

「別働隊が…突破され…あいつらが…王都に…王都に…」

斑虎「わかった。ありがとう、休んでいてくれ」

斑虎は兵士を横たえ、すぐ隣に位置していた、城下町への大門だった“はず”の場所を見た。
石でできた大門は跡形もなくぐしゃぐしゃに崩れ去り、なにか得体のしれぬ“災厄”が通り過ぎたことを予感させた。
不幸なことに、王都は激しい火災に見舞われ、少し先の状況も見通せぬ視界の悪さだった。

斑虎「ナビス国王のことも心配だッ!すぐに王宮に向かわなくてはッ!」

一歩町に足を踏み入れた斑虎は、自らの予感を遥かに超えた最悪の事態に思わず顔をしかめた。
大通りは轟々と燃え盛る黒煙で行く手を封じられ、住宅街は家ごと他の家にもたれかかるように積み重なりぺしゃんこになっている。

まるで子どもが積み木で遊びその後にそのまま放置したかのように、建造物は連なり崩れている。明らかに人外の力が王都を襲っているとしか考えられない。
数多くの疑問を抱えながら斑虎は疾走った。先程聞いた爆音こそ今は耳に届かなかったが、それが却って斑虎を不安にさせた。


王宮に辿り着こうとした丁度その時、斑虎の眼前に信じられない光景が飛び込んできた。

斑虎「なんだこれは…ありえない」

【きのこたけのこ大戦】でも経験したことのない事態に、一瞬斑虎は言葉を失った。
王宮前にいた“敵”は斑虎を視界の端に捕えると、すぐさま攻撃体勢に入った。

斑虎「お前はなんだ…なんなんだッ!!」

敵の殺意に気がついた斑虎はすぐ構えようとするが、瞬間の反応が遅れた。
両手に持つ剣で防ぐにはあまりに“敵”の攻撃は強大だったのだ。



「斑虎さん、あぶないッ!!」



見知った人間の声が横から聞こえた気がした。


しかし、斑虎の視界と意識は目の前の“敵”を捉えたまま外すことができず――






その直後、爆音が王都に鳴り響いた。









                            To be continued...




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