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4-4. 彼女の過去編

初公開:2020/11/08



幼少期より791は病弱だった。
彼女の身体を蝕んでいる病名こそ判明していたものの、体力と精神力を奪う病は風土病とされ、当時の公国の医療技術ではまともな治療の手立てもなかった。

唯一の対処法は身体に過度な負担をかけないこと。
そのため、幼少期の頃は外に出ることさえ許されなかった。長く走ることも運動をすることもままならない。
匙を投げた医師たちの対処法は、幼少期の人間の真髄と尊厳を著しく欠いた対処法だった。

当然、友達などできる筈もなく彼女は一日の殆どを寝て過ごした。
日夜、枕を涙で濡らしながら彼女は、両親とたまに診察に来るだけの医師、それに枕元にある人形たちを友だちと見立て喋るしかなかった。

魔法学校の中等部に進む頃には病気も幾ばくか収まり、まともな歩行では問題ない程度に回復していた。
幼年期の成長史がすっぽり抜けてしまっている彼女にとって、初めての学校は孤独で不安一杯の始まりとなった。
既に幼年部で友達を作り終えていた大半は個別のグループでまとまり、孤立の中に独り残された彼女は周りから酷く浮いていたことだろう。

本人に多少の図々しさがあれば何人かの人間は彼女を認めたのかもしれないが、いきなり野に解き放たれた生まれたての小動物が獰猛な肉食獣たちを相手に大立ち回りをしろとは酷な話である。
グループから溢れた者たちもプライドだけは異様に高く、病気上がりの791と親しくすることは周りの目だけではなく本人自身も許せないことだった。

結局、791の学校生活は概ね順風満帆とはいえず、常に孤独に過ごすこととなった。



生来の魔法力の高さで学校では高成績を収めていた一方で、ここでも彼女は身体的な問題から周りから手放しに喜ばれはしなかった。
どんなに良い成績を取っても大人たちは口々にこう言った。

“素晴らしいが、惜しい”。“これで万全の身体だったら”。

二言目にはまるで彼女の評価を飾る修飾語のように薄弱さを惜しみ、その評価は勝手に最高ランクから一段引き下げられてしまうのだった。

何と歪んだ評価だろうか。
“あいつは外に出ずに本の虫だから、成績がいいのは当たり前だ”といわれのない妬みを受けたりもした。

791はあらゆる話から耳を塞ごうとした。
道端で何人かたむろしている集団を目にすれば、たとえ遠回りをしてでも誰にも会わないように怯えながら帰った。

学校でも授業以外は重い身体を引きずりながら教室の外に出て他者との関わりを極力絶った。
ただ、幾ら噂話を遮断しようとしても限界はあり、ひょんなことから漏れ出た話が彼女に伝わり、そして人一倍傷つけられた。

他人を気にするあまり、心がより繊細になっていることに、当時の彼女は気づいていなかったのだ。
思えば、いつもこの時は泣いてばかりだった気がする。

益々他者と触れ合うことをしなくなった791は、唯一の心の支えである魔法の研究に没頭した。
休み時間は図書室に籠もり、終わったら自室で覚えたての魔法を使う。
薄弱な彼女の心を支えていたのは他者よりも優れていた魔法一点だけだった。

それが今の“魔術師”を形成したのはやや皮肉な話ではあるが。






代わり映えのしない生活を791は辛抱強く、何年も続けた。
この頃になると成人に近づいていた彼女は自らの身の振り方に悩んでいた。

主席で卒業する彼女は、本来であれば大魔法学校へ進み、卒業後は宮廷付きの官僚となるエリートコースが確約されている。
しかし、ここでも彼女の薄弱さが邪魔をした。
大人たちや周りの級友たちは決して口にはしないまでも、彼女を見る目のどれもが一様に同じ心の内を語っていた。

“早く宮廷付きの夢を諦めてくれないか”、と。

身体的にリスクの高い彼女では、たとえ宮廷付きの道に進めたとしても激務の公国宮廷で働くことなどきっと叶わないだろう。
ならば、さっさとその儚い夢を砕き後塵にその道を譲ってくれないか。

ひしひしとそのような無言の圧を感じていた。


今ほど意志の強くなかった791は自らの夢である宮廷付きの道を邁進するべきか否か。
唯一の楽しみである魔法までも自分から奪うつもりなのか、と夜な夜なむせび泣いた。
陰湿な大人たちを、自分の身体を、そして世界を憎んだ。

しかしただ恨んでも事態が好転していないことも、聡い彼女は同時に自覚していた。






そんな彼女の人生に転機が訪れたのは、高等部の卒業を来年に控えた頃だった。

珍しく外の空気を吸うために中庭で本を読んでいた時、彼女の近くを通りかかったグループの話していたある噂話が彼女の耳に届いた。

―― 『聡明な【魔術師】が放浪の旅を終え此の地に戻ったらしい』

今思い返すと不思議なことだがその日の夕方、791は興味本位でその魔術師の家を訪れていた。
普段の彼女からは考えられない行動力だが、この頃は色々なことに悩み少しでも支えが欲しかったのかもしれない。
加えて、身近に憧れの【魔術師】が来たというのだ。興奮するなというのが無理な話だろう。

夕方、791は通常の三倍もの時間をかけて目的地に到着した。
噂されていた魔術師の家の前に立ち、その都度勘違いだろうとその家の周りを何周かしたが、周りには家屋もなく空き地や草むらが広がるだけで、
目の前のみすぼらしい母屋が目的地であることを間違いないと考えを改めるのに時間がかかったのだ。


魔術師という肩書きからは反し家のペンキは剥がれ、屋根が何枚か抜けていた。通常であれば廃屋だと素通りしてしまうところだろう。

てっきり華々しい豪邸を想像していただけに衝撃的だった。
ただ、柵を超えた中にあるこぢんまりとした庭園だけは芝が刈り取られており、きちんと手入れされていたのが印象的だった。

壊れかけの庭扉を開け、家の扉の前に立ち暫く観察と呼吸を整えるために立ち止まった。
横にある窓を覗こうとしてもくすんだ色のカーテンで覆われ家の中を覗き見ることはできなかった。

本当にこの家が、世間から手放しで評価され全魔法使いが憧れとする【魔術師】の住まいなのだろうか。
近づけば近づくほどにその疑念は大きくなっていた。

―― 違うに決まっている。ここは帰って真偽を再度確かめてから出直すべきではないか。

しかし、791はそのような甘い考えをすぐに振り払った。

逃げても意味などないし、何も生まれない。
もし違う人物だったとしても、その時は謝りその場を去ればいい。
今の自分にとって一番の悪手は何も“選ばない”ということだ。何が自分にとって最優先かを考えろ。


遂に意を決し791は家の戸を叩いた。

5秒。10秒。30秒。
耳を澄ませてみたが家内から何の音もしない。再度扉を叩いてみたものの反応は同じ。
やはりこの家ではなかったのだ。そもそも、【魔術師】などこの町には戻ってなどないのかもしれない。

791が諦め家を飛び出そうとしたちょうどその時。
不意にカチャリと扉が開け放たれた。

扉の前に立っていたのは、ボロボロのローブを着込んでいた老人だった。
フードで隠れた顔は伺いしれなかったが、老人だと分かったのはピンとした背中が首元でほんの少し丸まっていたことと、扉を手にした手の甲が皺だらけだったからだ。

みすぼらしい母屋にふさわしい貧相な身なりの人物だが、彼女にはこの人物こそが件の【魔術師】だと一目で分かった。
他の人間からは感じたことのない独特の“気”、そして皺の多さから相当な年齢のはずなのに凛とした佇まいは、魔道士の矜持を保ち続けようとする気高さを感じた。
思わず気圧され言葉を失っていた彼女に、フード越しに暫くその様子をじっと見つめていた彼は、ポツリと一言だけ発した。

―― 『何を望む?』

老いた【魔術師】は確かにそう訊いた。
その声はしゃがれているがしっかりとした口調だった。

いきなりそのような質問を訊かれると思っておらず、彼女は慌てた。
取り繕う暇もなく、気がつけば自らの思いを口走っていた。

―― 『魔法をッ。魔術を知りたいんですッ』

今にして思えば何と稚拙な回答だっただろう。
いま思い出しても恥ずかしい。

しかし、目の前の【魔術師】は笑うことなどせず彼女の答えをしっかりと受け止めたようだった。
暫し腕を組み考え込んだ後に、小さく一度だけ頷いた。
こうして【魔法使い】791は、老いた【魔術師】の弟子となった。





元々、魔法力に高い素養のあった791は見る見る内に力を伸ばしていった。
魔術師の家にはたくさんの書物が溜め込まれていたから学校が終われば足繁く家に通い、休日は朝から晩までずっと入り浸った。

老いた【魔術師】は毎日のように訪れる彼女に対し、邪険に扱うでも特に挨拶をするでもなく接した。
特段無視されていたわけでもないので、いうなれば熟年夫婦のような阿吽の呼吸感で互いに過ごしていたのかもしれない。

ただ、791が散らかった部屋を掃除する時だけ、いつもはほとんどの出来事に反応しない彼はその身を縮こまらせ、部屋の端に椅子を引きじっと掃除が終わるのを待っていた。
邪魔にならないようにしていたのか、さもなくばここまで汚くしたことに対しての多少なりとも罪悪感を覚えていたのか。
今となっては分からないが、彼女も小言をいうような性格の人間でもなかったため二人の関係は非常に良好だった。

掃除が終わり居間に並べてある大量の書物棚から本を何冊か抜き取り日暮れまで読み込む。
同じテーブルに【魔術師】がいれば話しかけ、彼が自室で研究をしている時は一人で没頭した。それだけで十分な勉強になった。


無口な【魔術師】は多くを語ろうとはしなかった。
弟子を取ってもその癖は変わらず、791の質問に対しては最低限の内容で答える素っ気ないものだった。
老人特有の無愛嬌か、はたまた生来のものかは分からない。
だが、無愛想ながら言葉の節々に感じる彼なりの思いやりに、彼女は師の性格を段々と理解してきていた。

気がつけば何時からか彼女はその日、学校で起きた出来事をポツリポツリと語るようになった。

対面に座る師はただ黙って話を聞いていた。
頷くでも意見をするわけでもない。

彼女も返事が欲しいわけではなくただその場に居てもらい、話を聞いてほしいだけだった。
今思い返せば、恐らく話の大半は拙い内容だっただろう。
喋り方も話しぶりもわからず内容も、図書室で読んだ魔法書の内容や、帰り道にある商店のおじさんからオマケをしてもらったことなど特にオチも無いものばかり。
始めのうちは彼も聞いていて苦痛だったに違いない。

だが、頭に浮かんだものを自身の頭の中で変換して言語化するという行為は魔術にも通じるところがある。
今にして思えば、途中から“いかに相手に理解してもらえるか”という部分に着眼を置き頭の中で散らかった話を方程式のように整理し理路整然と話せるようになったのは、
彼女の対人スキルだけでなく今後の魔術師の能力の向上に一役買っていたに違いない。

第三者の目には、居間の椅子に腰掛けている人型の石造に一人の少女が身振り手振りを交え懸命に話をしようとしている、そのような滑稽な姿に映ったに違いない。
フードで隠れた師の表情は最後まで読み取ることこそできなかったが、いつからか彼は仕事場を居間に移し階上に上がることはなくなった。

嬉しかった。
人生の大半を自室で過ごしてきた彼女にとって、まともに話のできる相手など殆どいなかったのだ。
初めて話し相手を見つけ彼女は一人微笑んだ。


とはいえ、師はとにかく語るということをしなかった。
最初の問いかけ以降、二回目に彼の肉声を聞いたのは出会って一週間程度経ってからだ。

それも、彼女の魔法に関する問いかけに対し『違う』とだけ言うものだから、当時は嫌われているのではないかと酷く葛藤した。
しかし、彼女の落胆した様子を見かねたのか、次の日に訪れた時にテーブルの上に熱い茶が置かれているのを見て、ほんの少しの温もりを感じたのだ。

ここまで無口なのは、恐らく魔術の研究を極めれば話すことをせずとも相手の思考を理解できてしまうから、
極めた者にとって会話など煩わしさの産物になるのではないかと、791は最初勝手に想像していた。

しかし、彼女が幾ら本棚に本を綺麗に戻せと言っても、飲みかけのお茶を流しに捨てるように言っても、魔術論文を再度学会に出すように勧めても。頑として師は行動に移さなかった。
彼女の考えはどうやら彼に読まれてなどいないようだった。
もしくは思考が読まれていても、敢えて見ないふりをされている。なんて意地悪な魔術師だろうか。

通常の人間であれば一連の行動は“怠惰な人間”だ、と烙印を押されるだろう。
だが、目の前の師には、何か一言で怠惰とは言い表せない独特の“気”を放っていた。
若き791には、最初その正体が分からなかった。


その無口な師にも、口癖のように791に唯一語っていた言葉があった。






―― 『魔術は、受け継がれなければいけない』







魔術とは、魔術師の遺す痕跡である。

魔法と魔術の線引きは非常に難しくいつも専門家の間で議論が交わされるが、要するに魔道士が唱える魔法を根源的に読み解いたものが魔術であり、即ち原理である。
全ての魔法には読み解けば魔術の原理があり、それらの魔術は古くから【魔術師】が発明してきたのである。

魔術には各々の魔術師の痕跡が刻まれる。
言うなれば、全てのケーキ職人が作ったショートケーキには全く等しいものなどなく少しずつ違う味、形のものができる。それと同じことである。
スポンジの厚みやクリームの質、イチゴの大きさなどで味や見た目に少しずつ差が出る。

同じように、各々の魔術師が生み出した魔術には差があり、“秘伝のレシピ”は受け継がれなければ後世には一切残らない。
師の語る“魔術”とは自身の血の滲むような努力の結晶の塊であり、全ての魔術師は自らの魔術の流れをくんだ魔法が後世で誰しも気兼ねなく使っている姿をいつも夢見る。

師の言葉に、791は彼の奥底にある魔術師としての熱い思いを垣間見ることができた。
ならば、なおさら彼から教えを乞わなければいけない。

彼女は躍起になり研究を進めた。了解を得て、彼の魔術の研究までも読み解き始めた。
いつもは夕方で帰っていた彼女も、次第にその帰りは遅くなっていった。
難解な内容を読み解くために彼女はいつも魔法辞書を横に開き、細かな内容まで自分でわかるようにメモを取り、日夜文書を読み進めていった。
師はそんな彼女の姿を遠くから静かに見つめていた。

魔術の研究を進めていくに際し、791は彼が公国を離れなぜ世界放浪を始めたのか気になった。
過去の論文を含めた断片的な情報を紡いでいくと、どうやらきのこたけのこ会議所自治区域にいたこともあるらしい。

当然のことながら、無口な師は自らの出自や旅の目的について語ったことはなかった。
だがある時、いつものように二人で昼食のスープを啜っている時に、一度だけ自身の旅について語ったことがあった。


―― 『昔、ある森に移り住んで研究をしていた時。村の若者たちが私の家を襲ったことがあった』

突然の彼の独白に、791は手を止め師の顔を伺った。
窓際のカーテンからこぼれた日差しは弱く、フードの中の彼の顔は浮かび上がらなかったが、テーブルに置いていた手の甲の皺の陰影を濃くした。
なぜだか、視界に映る師の姿が途端に小さくなったように感じられた。

―― 『そのような仕打ちには慣れていた。とりわけ子供ともあればかわいいものだ』

師の語りは続く。

―― 『しかし、その頃の私は新しい魔術に魅了されていた。
そして、あろうことか家に侵入してきた一人の子供に、その魔術を放ってしまった』

曰く、その魔術は未完成だった。
完成すればその魔術は『再生』を顕したものだったと、師は語った。

たとえば魔法陣を動植物に描くと、彼らと魔術を介し人語で会話できるようになる。
相手の知られざる声を聞くだけでなく、自らの根底に眠っている意志や考えを伝え植え付けることも可能となる。
たとえば、枯れかけている植物に対し“甦れ”という意志を送り、その意志を受け取った植物に自生の能力が残っていれば、再活する。


完成すればその魔術は“キュンキュア”という魔法名で世に知らしめる予定だったらしい。


しかし、その魔術は強力な“副作用”を孕んでおり、魔術をかけた動植物はその強大な負荷に耐えられず、やがて死に至ってしまうという不完全なもので改良が必要だった。

その日、山中の薬草を摘んだ帰りだった師は、邸宅内に侵入する若者たちの姿を遠くから視界に捉えた。
油断して邸宅の周りに防御結界を貼っていなかったため、誰でも容易に侵入できてしまったのだ。

すぐに戻った師は興味本位で自らの研究を荒らそうとする数名の若者のたちに対し、脅しのつもりで魔術を行使する“フリ”をした。

指先から青白い炎を点す彼を恐れ大半が家から飛び出していった中、一人だけ、背丈の一番低い少年がその場に残った。
彼は恐れを知らない度胸の良さでニヤリと笑い、家主がいるのにも気にせず家の中を物色し始めた。

そして、机に描かれていた“キュンキュア”の魔法陣に少年が手をかけたその時、彼の身体は自らの魔術を奪われると咄嗟に判断し、防衛のために指先が動いてしまった。
自身の指先から発せられる青光の稲妻がほんの幼い子供を包み込むその瞬間を、彼はまるで他人事のようにボウと眺めていたという。


――『その後の事は判らない。私は慌てて飛び出し、そのまま戻らなかった。
そして、暫く魔術とは無縁の生活を送った。
だが、魔術というものは使い方を間違えると恐ろしい』

師はそこで言葉を切り、テーブルの上に置いていたスプーンを再度手に取ると、いつものように音も立てずスープを飲み始めた。
話はそこで終わったようだった。


今にして思い返せば、何故、師がこの話をしたのかは今でも定かではない。
決して気持ちの良い話ではないし、本人にとっても話すメリットは殆どない。

だが、彼なりに弟子の身を案じていたのではないかと思う。
自身を含め、魔法に取り憑かれ自らの身を滅ぼしてきた者を何人も見てきたのだろう。
自分の弟子にはそのような目にはあってほしくないし自らのように当事者であってほしくもない。

遠回しではあるが、きっとそのような願いをこめて話をしたのではないかと思う。
それは彼なりの優しさだった。

ただ、791はそのように考えなかった。
話を聞いて真っ先に感じたことは――








―― 魔術とは。なんて素晴らしいものだ。









感動、だった。




情動を突き動かされた。

幼少期から病床にあり、感動という味を舐めることのない無味乾燥な日々を送っていた彼女は、師の話で初めて心を大きくときめかせた。



“魔術”を使い自らが創った魔法を唱えることで、人を生かすこともできるし殺めることもできる。



自らの判断で杖を振り、眼前の人間の生死を自分で決められるのだ。





   愉悦。

       快楽。

           幸福。



これこそが正に自分の求める“道”だと気がついた。




歪んだ情動だった。




791は物心付いた時から魔法に魅入られていた。

ただ、彼女の深層心理が元々常人とかけ離れていたからかは定かではないが、魔法を極めつつあるこの時点に至っても、彼女は魔法を“自分を楽しませるため”の単なる遊び道具としか見ていなかった。


そして師の話を聞き、点と点が魔術という線で結ばれた。
魔術の奥深さと、自らが強大な力を持ちつつある実感を得た。

幼少期より同年代の人間から感化を受けることなく成長した791は、“自分以外の全て”を遊び道具にすることでしか自らの欲を満たせなかったのだ。
皮肉にも、魔術の危険性を説いた師の話が決め手となり、彼女は内に眠る狂気をはっきりと自覚し魔術師となる決意を固めたのだった。


弟子の屈折した思いを、老いた【魔術師】は最後まで見破ることは出来なかったのだ。


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