2-7:K.N.C102次大戦への時間跳躍編

初公開:2014/11/11

   ―― 夢を見ている ――
   ―― 自分の意識がふわふわと。まるで宙を舞うような感覚。これは夢なんだ ――


「長かった。長年…ついにやっとここまでこれた……」

―― 誰かの囁くような声を聞いて。ゆっくりと、夢の中で瞼を開ける ――

「…のオーラが結集して……貴様を、この場で俺様が…掌握ッ…完全に会議所を掌握するッ」

―― 意識が定まらない、うすぼんやりとした感覚が身体を支配する ――

「貴様を消し去ること…会議所の希望…全て断ちきる」

―― どこか見覚えのある光景、覚醒しない脳を働かせようとする ――

「貴様はッここで………消える…」

―― 思い出すのは、暗い室内 ――

「…わるく思うな…これも全て俺様…ため…会議所の歴史を……ため」

―― 思い出すのは、異様なまでに冷えた部屋の空気 ――

「覚悟しろ、…逃げること……………なッ!…自ら…そんな馬鹿なッ…」

―― 思い出すのは、ふわふわ浮いているような不思議な心地良い感触と ――

「なぜだッ!!!なぜ!!!!なぜだーーーーーーーーッ!!」


          ―― 頭を鈍器で殴られたような酷く重たい感触 ――

━━━━━━━━
━━━━
━━

【K.N.C 180⇒??年 時限の境界】
参謀「ア…ム、起きろ…起き…んや!!」

途切れ途切れに参謀の声が聞こえてきたのは、アイムは意識を取り戻した。
少し寒気がするが、指先に血が巡っていくのがわかり、感覚はだいぶはっきりとしてきた。

アイム「痛え…」

体の各所が痛む中、起き上がる。アイム以外のメンバーも同じように体を起こして辺りを見回している。

アイム「扉に吸い寄せられて…その後どうなったんだ?」

頭痛が酷い中、必死に自身の記憶を手繰り寄せる。しかし思い出せない。

参謀「どうやら外に放り出されたみたいやな。さっきの入り口とは違う場所みたいやが」

外にいる、という表現は半分正しく半分は誤りだった。上空からは日が差しているが、参謀たちの左右には背の高い石壁が位置して、参謀たちを囲っている。
目の前には、朱塗りの鳥居が数本立ち並び小さな神社がぽつんと建っている。
神殿前の賽銭箱が置かれているだろう場所にはぽっかりと大きな穴が空いている。

アイム「タイムワープしたってわけじゃないのか?とりあえず中の状況はどうなって―」

アイムたちの背に位置する、放り出された扉のドアノブを掴み回そうとする。びくともしない。アイムたちはまたも閉じ込められた。

¢「また閉じ込められた…か」

スリッパ「もし私の予想通りだとすると最悪の展開になりそうだが…外れることを祈ろう。
あの穴に入ってみるしかないよ」

全員は底の見えない穴に飛び込んだ。


【K.N.C??年 大戦場】
荒涼とした砂地の塹壕に投げ出されたアイムたちは、そこが兵士たちにとって第二の故郷でもある大戦場だとすぐに気がついた。

アイム「イテテ…乱暴に放り出されたが、どうして大戦場なんかに。てかいま大戦なんかやっている余裕なんてあったか?」

激しい爆音。断続的に響く銃撃音。きのことたけのこが焦げたような臭い。間違いなく大戦場、それも大戦の真っ最中である。
アイムたちが飛び込んだ穴は、大戦場のとある塹壕内に繋がっていた。穴から出たアイムが様子を窺おうと塹壕から顔を出そうとした瞬間。

きのこ軍95黒 神官兵卍≪治療≫「おい君ッ!こんなところで何をしているッ!所属部隊はどこだッ!!」

突然の怒号とともに、塹壕に入り込んできた兵士にアイムは目をパチクリとさせた。

アイム「は?え、えーと…その」

¢「びええええん。穴に勢い良く入ったら尻が痛いんよ」

と、アイムの隣で尻餅をついていた¢を見るや、95黒神官兵は目を丸くした。

きのこ軍95黒 卍神官兵「あれ、¢さんじゃないですか。どうしてこんなところに?さっき前線部隊率いて敵陣に突入していったんじゃなかったんですか」

¢「ん?」

ジン「えーと、いったいどうしたんですか?…」

穴から顔をひょっこり出し、ジンは騒がしい外に気をかける。

95黒 神官兵卍≪治療≫「なッ!お前はたけのこ軍ッ!どうやって我軍の陣地内に侵入したんだッ!」

たけのこ軍服を纏うジンを見るや否や、95黒は烈火の如く怒り出した。

ジン「え、え?」

参謀「なんやなんやどうしたんや」

つかえていた穴から続々と討伐隊メンバーが顔を出す。

95黒 神官兵卍≪治療≫「参謀までどうしてここに…?いまは本部で指揮を取っていたはずじゃ?」

スリッパ「なにかおかしいな…おい、今次大戦は第何次戦役だったか覚えているか?」

95黒 神官兵卍≪治療≫「なッ!お前もたけのこ軍兵士。しかし、あなた。どこかで見た顔だな…」

参謀「頼む、95黒さん。答えてくれや」

真剣な口調の参謀に気圧されるように、95黒は困惑気に答える。

95黒 神官兵卍≪治療≫「はぁ…いまは『第102次大戦』ですが」

全員に衝撃が走った。95黒の言葉を信じるならば、いまアイムたちはK.N.C102年にいる。

参謀「…ご苦労。ちなみにこの二人は、たけのこ軍服を着てはいるが隠密部隊や。今からたけのこ軍陣地に潜入してもらう手筈となっているんや」

咄嗟の参謀の演技に、ジンとスリッパは急いで同調した。

95黒 神官兵卍≪治療≫「ははぁ、そうだったんですか。敵の攻撃はいまが一番激しいから、まさに起死回生の策ですね――」

95黒の言葉が終わらないうちに、アイムたちの近くですさまじい爆音と火柱が上がった。

95黒「なんだッ!!どうしたッ!!」

無線『スクリプトです!!スクリプトが大戦場に襲来しましたッ!すさまじい勢いで我軍に攻めかかってきていますッ!』

95黒「くそッまたか!!すぐ応援に向かうッ!」

95黒はこちらを振り返りもせずに走って行ってしまった。

参謀「どうやらここは本当に過去の世界みたいやな…」

スリッパ「私が既に引退済の兵士で、ジンがこの時代に参戦していない新規兵士でよかったな。もし向こうに顔が割れていたらめんどうなことになっていた」

¢「過去の時代に来たはいいが、いったいどうやったら俺たちは元の時代に戻れるんだ」

アイム「わからねえよ。だが、さっきあの兵士の無線で言っていた言葉――」

――スクリプトが大戦場に襲来しました

アイム「参謀や¢さんは第102次大戦にも参加していたんだろう。この大戦を覚えているのか?」

参謀「第102次…第2回クリスマス聖戦が終わってすぐの大戦だったか。確かにスクリプトに襲われた覚えはあるが…」

¢「ぼくは覚えているんよ。最初はたけのこ軍が怒涛の攻めを見せていたけど、
スクリプトの襲来でそれどころじゃなくて大戦は中止になったんよ。結局スクリプトに太刀打ちできなかったんよ」

自信満々に語る¢。その口ぶりは、編纂室で以前おなじ質問をされた時に答えていた時と変わらない。
しかし、アイムは同時に、編纂室で聞いた集計班の語りを思い出していた。

―― 確かにスクリプトの襲来は何度か受けましたが、
    荒らしが原因で中止になった大戦はただの一度だけです。

―― K.N.C86年の第86次大戦。中止になった大戦はただ一度だけだと記憶しています。

もし集計班の言葉が正しいとすれば、¢の記憶は歴史年表とともに上書きされていることになる。

アイム「シューさん曰く、スクリプトによって中止に追い込まれた大戦はこの年じゃない。
¢さんのいうように、この年度の大戦が中止に追い込まれているんだったら、それは【歴史改変によって塗り替えられた歴史】だ」

¢「なんだと…」

スリッパ「つまり、本当は大戦中止に追い込まれたわけではないのか?」

アイム「おそらくな。よくわかんねえけど、時限の境界にいたスクリプトがこの時代に来て歴史改変をしているのかもしれないな」

スリッパ「なるほど…」

兵士の叫び声と、スクリプトが発する不快な機械音が戦場にこだまする。
空を見上げると、まるで群れをなす鳥のように大量の小型スクリプトが飛び回っている。

アイム「とりあえずなんだっていいッ!目の前のスクリプトをぶっ壊すぞッ!」

スリッパ「待てッ!」

今にも飛び出さんとはやるアイムを静止するように、スリッパはアイムの腕をつかんだ。

スリッパ「スクリプトを倒すということは、今度は私たちが歴史改変をする立場になってしまう」

とても危険を伴う行為だ。スリッパはそう力説する。

スリッパ「歴史改変は、目の前の出来事を書き換えるだけではない。大戦に関わる多くの兵士の歴史も一緒に書き換えることになる。
今から起こそうとしている歴史改変が、この大戦に参加していた兵士から直接関係ない兵士までの現在や未来に影響を少なからず影響を与えることになるんだ」

ジン「そう聞くと…確かに深刻だ」

アイム「だからといって目の前の歴史改変をただ見ているだけだというのかよッ!!
そもそもオレたちは閉じ込められているんだ。第102次きのこたけのこ大戦という、このでかい檻になッ!!
オレたちが戻らなければ、歴史は書き換えられ続けて、あんたのいう犠牲者が増えるだけだッ!!」

アイムたちは元いた時代に帰ることはおろか時限の境界に戻ることすら叶わない。
牢獄に閉じ込められいると等しい状況なのだ。

参謀「アイムの言うとおりや。スリッパの言うことも一理ある。だが、現代に帰ることができないワイらにできることは、
【書き換えられた歴史を元に戻す】ことや」

¢「こう考えるとどうだろう。正史ではスクリプトの襲来を受けながらも、その脅威を跳ね除けて大戦を続行した。
今の虚構の歴史をその正史に戻すだけだ、と」

三人の言葉にスリッパはしばし沈黙し、渋々と言った呈で納得した。

スリッパ「わかった。だが、時間はない。さっさとスクリプトを破壊しよう」

アイム「よしきた!みんな行こうぜッ!」

スリッパ「いや、待てッ!」

身を乗り出して塹壕の外に出ようとするアイムを、スリッパは首根っこを掴んで静止させた。

アイム「ぐえっ、まだなにかあるのかよ」

スリッパ「最小限の歴史改変に留めるべきだと思う。¢が言ったように、【正しい歴史に戻そう】とした場合、正史にはない余計な歴史改変は混乱を招くだろう」

参謀「なにが言いたいんや」

スリッパ「『タイムパラドックス』。聞いたことはあるだろう?」

タイムパラドックス―― 時間の逆説。
時間旅行者が過去にタイムトラベルした時、歴史改変を行うことで過去と未来の整合が取れなくなる時間の矛盾を指す。

参謀「聞いたことあるな。有名なやつやと『親殺しのパラドックス』とかか?」

スリッパ「そうだ。時間旅行者である私たちが無用な歴史改変を引き起こすと、
現代において多大な混乱を招くことがある。たとえば、過去と未来の二人の同一人物が同じ時間帯でばったり出会ってしまうとかね」

¢「言いたいことは分かった。つまり、僕と参謀はこの時間・この大戦場内で戦っている“過去”の俺たちと、
そして少し前に“タイムトラベルしてきた”俺たち、二人ずついるということなんだな。
この過去の僕たちと僕たち自身が鉢合わせになるのは非常にまずい、と」

アイム「なるほど。だとしたら、参謀と¢さんは本人たちに見つからないように姿を隠したほうがいいってことか」

スリッパは頷き、¢と参謀からきのこ軍軍服を借り、ジンとともに着替える。

ジン「きのこ軍陣地内に発生しているスクリプトを中心に叩きのめすしかないだろう」

参謀「急いだほうがいい。大戦が続行不可能に追い込まれたと集計係が判断したら、その時点で歴史改変の余地を失うことになる」

¢「巧遅は拙速に如かず、だな。時間との勝負だ」

アイム「了解。目にも留まらぬ速さで片付けてやるよッ!」

アイムはニヤリと笑い、ジン、スリッパそしてサラとともに塹壕を飛び出した。

【K.N.C102年 大戦場】

『ぶお〜〜〜現在の兵力は…えと、5+3+2で…えーと…現在の兵力は68:27で…あ、計算間違えた。
現在の兵力は68:25できのこ軍が有利です』

アイム「あの声は…シューさんか」

現代での集計公表の落ち着きぶりと比べると、えらい慌てようだ。

スリッパ「今でこそ【集計ツール】で自動集計しているが、昔は全て集計係の目視・手計算で集計していた。
戦況が熾烈になればなるほど戦いの勢いは上がり、集計係は苦しんでいくというわけさ」

アイム「なんだか不憫な役回りだな」

アイムはほんの少しだけ集計班に同情した。

ジン「目の前の上空を見てください。スクリプトの群れが、きのこ軍部隊を襲撃しています!」

アイムは自身の頭巾を紐解き、口と鼻を覆うように巻きつける。スリッパやジンも同じように顔を隠す。

アイム「よっしゃ、行くぞッ!」

アイム「おらおらあ!助けに参上したぜ」

腰に差してある投げナイフを取り出し、上空のスクリプトめがけて勢い良く投擲する。

ジン「『炭酸スプラッシュ』!」

スリッパ「サラ。頼む」

どこから取り出したのか地対空ミサイルを肩に構えたサラは、間髪入れること無くスクリプト群めがけて放射しはじめる。
見事、スクリプトの群れを撃墜した。

??「素晴らしい!どの部隊の所属だ!」

襲撃されていた部隊の隊長と思わしき人物が、アイムたちに近寄ってきた。

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵蹉秧焚就筺屬覆鵑謄オスな面子だ。しかし、おお!スクリプトが一掃されたぞ!」

アイム「あれ¢さん、どうしてここに…って、そうか。これは別人か」

"過去”の¢は優雅な動作で二丁拳銃をホルダーに戻した。今よりも凛々しく、精悍な顔つきをしている。
口調も今のような弱々しいものではなく、自信に満ち溢れた言い方だ。
年月とはここまで人を変えてしまうものなのか、とアイムは目の前の¢と先ほどまで一緒にいた¢を思い浮かべ、心のなかで嘆息した。

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵蹉秧焚就筺峽たちが援軍か、ありがとう礼を言う」

顔を見せない目の前の恩人たちに若干の疑問は抱きつつも、¢は新たな質問をぶつけた。

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵蹉秧焚就筺屬箸海蹐如△前たち。≪作戦コマンド≫はどうした?」

ジン「え、作戦コマンド?なんですかそれは」

¢は自分の胸に付けているバッジのようなものを指さす。
『蹇戮判颪れているそのバッジは、よく見ると¢以外の隊員も『X』『☆』『卍』といった個性的なエンブレムの書かれたバッジをつけていた。

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵蹉秧焚就筺岾戦前に、参謀総指揮から≪作戦コマンド≫を付けろとあれ程注意を受けただろうが」

アイム「あーすまない忘れてた」

ハハハと乾いた笑いのアイムに、¢は思わず顔をしかめる。

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵蹉秧焚就筺屬いおい頼むぜ…俺が考案したルールの中では特に自信があるんだからな」

きのこ軍 爆撃兵☆≪運試≫「でも隊長〜。これいちいちバッジ付けて戦うのめんどうくさいっすよ〜」

きのこ軍 工作兵匠稙談晦筺岾里に。しかも自分の戦果確認する際にいちいち計算めんどうなんだよなあ」

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵蹉秧焚就筺屬淵叩そんなことはない!いや確かに、少しだけ面倒くさいかもしれんが、
それを上回る充足感と得難い満足感がだな…」

きのこ軍兵士「ブーブー」

相次いで内部から出る不平不満に反論する¢を尻目に、アイムたちは残りのスクリプトを追ってかけ出す。

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵蹉秧焚就筺屬▲叩△い待てッ!そっちは敵軍陣地だぞッ!部隊長の俺の指示にだな…」

アイム「すまないな隊長さん。俺たちには時間がないんだッ!」

きのこ軍¢部隊長 狙撃兵蹉秧焚就筺屬◆璽ソッ!命令無視は軍法会議ものだぞッ!」


【K.N.C102年 大戦場 たけのこ軍陣地】
『ぶお〜〜〜えと、シューさんが過労で倒れられたので私、抹茶が集計を代行します。
現在の兵力は58:11で依然きのこ軍が有利です。でもすごいスクリプトの数だ…このまま大戦続行してもいいのかな?』

アイム「クソッ、いくら倒しても次から次へとスクリプトが湧いてきやがる」

スリッパ「まるで小蝿のように集っては兵士のやる気を削いでいるな」

スクリプトは束となり、まるで虻のように羽音を震わせながら両軍の軍団に襲いかかっていた。スクリプトの出処は未だ掴めない。

アイム「このままじゃ大戦が中止になっちまうッ!急がなくちゃならねえのにッ!」

己の不甲斐なさに、アイムはその場に剣を投げ捨てる。すると―

スリッパ「なんだ!?地鳴りか!?」

アイム「下から来るぞ 気をつけろッ!!」

アイムたちの足元から砂を巻き上げながら、例の巨大スクリプトが這って姿を現した。甲殻類のように4本足を広げながらアイムたちに近づいていく。

スリッパ「おい!アレを見ろッ!」

巨大スクリプトは足を止め、奇声を発しながら身体を震わせる。と、その腹部付近から大量の小蝿スクリプトが外へ飛び出し、空へ飛び立っていった。

アイム「つまり、こいつがスクリプトの親玉てことだなッ!おもしろい!さっさとかたをつけて参謀たちのところに戻ろうぜッ!」

〜そんなこんなで戦闘シーンは省略されます〜

サラのロケットランチャーが巨大スクリプトに直撃し、スクリプトは機械部品を周りにぶち撒けながら四散した。
と、巨大スクリプトが破壊されたと同時に上空を飛び回っていた小蝿スクリプトも、息絶えたように地面へ墜落し始めた。どうやら巨大スクリプトが小蝿スクリプトの動力源となっていたようだ。

ジン「これでいいんでしょうか?」

スリッパ「¢の言うように【書き換えられた歴史を元に戻す】ことができたはずだ」

『ぶお〜〜〜たけのこ軍が降伏しました。よって第102次きのこたけのこ大戦は、きのこ軍の勝利となりました。
最終兵力は54:0…あっ、集計さん。いまさら復活されても遅いですよ…』

スリッパ「よし、これで【第102次大戦がスクリプトの襲来によって中止に追い込まれた】という歴史は書き換えられたはずだ。参謀たちの下に戻ろう」


参謀「みんな無事か!」

アイム「なんとかな。あんたらも他の兵士に見つからなかったか?」

¢「なんとか隠れきることができたんよ!」

アイム「…」

¢「なんなん?そんなに見つめられると恥ずかしんよ」

アイム「…いやなんでもねえよ。年月の経過ってのは残酷だな」

¢「?」

参謀「第102次大戦は終結した。しかし、俺たちはここからどうすればいいんや」

スリッパ「俺の予想が正しければ…みんな付いてきてくれ」

スリッパは全員の返事を聞く前に飛び込んだ穴に戻っていった。

【時限の境界 神社前】

アイム「戻ってきたはいいが、これからどうするんだ?時限の境界フロアに戻ろうとしても扉は開かなかっただろう」

スリッパ「俺たちがこの神社の前に放り出された時は、な。だが今は…」

スリッパが扉のドアノブに手をかける。

スリッパ「開くはずだ」

ガチャリ。
重厚そうな音とともに、閉ざされていた扉はいとも簡単に開かれた。扉の先は眩い光に包まれている。

アイム「なッ!」

スリッパ「さあ戻ろう」

ジン「ちょ、ちょっと待った!いま戻っても、また先ほどと同じように巨大スクリプトと追いかけっこをする羽目になるんじゃ」

¢「慎重になるべきだと思うんよ」

参謀「俺たちはいま第102次大戦の現場にいる。これは紛れもない事実や。K.N.C102年にいるんや」

K.N.C102年。現代のK.N.C180年とはあまりに時間がかけ離れている。

参謀「ここに居続けてもおそらく事態は好転しないやろな。
K.N.C180年まで各時代の俺たちに見つからないようにこうやって隠れ続けて待つちゅう選択肢もあるがな」

アイム「待てば海路の日和ありと言うけど、いつまでも待っていたら¢みたく心までジジイ化しちゃうな」

¢「僕はお爺ちゃんじゃないんよ」

スリッパ「参謀に賛成だな。ここで待っていても良い知らせは降ってこない。
少しでも早く現代に戻りたければ、もう一度スクリプトと対峙してでもフロアに戻るべきだと思うが」

¢「でももし敵に待ち伏せされていたら危険だ。扉を跨いだ瞬間に集中砲火を浴びてお陀仏なんて御免なんよ」

スリッパ「サラを先頭に出そう、戦闘のエキスパートメイドだ。いざとなったら自らを盾に皆を守りぬいてくれる」

後ろに控えていたメイドロボ・サラは静かに頷いた。

アイム「よし、じゃあ戻るってことでいいな。さっさと会議所に戻って、DBとやらを蹴散らす策を立てなくちゃな」

覚悟を決めた一行は、サラを先頭に一斉に扉をくぐった。


【??年 時限の境界】

アイム「ダーーーーッ!かかってきやがれ化け物野郎ッ!」

目の前で待ち構えているだろうスクリプト向けて威勢よく扉を抜けたアイムだが。

アイム「ここは…フロア内じゃない?」

ジン「時限の境界の入り口じゃないですか、ここ」

アイムたちの目の前には巨大なスクリプトたちも、薄暗いフロアも無かった。
広々とした草原と一帯を占める朱、朱、朱の鳥居。扉を抜けると、そこは時限の境界の入口前だった。

参謀「時限の境界から出られたということか」

アイムたちの背後には巨大なくすんだ色の石壁。時限の境界フロアがそびえ立っている。

アイム「つまり、これで会議所に戻れるってわけか!やったぜ」

参謀「第一の目標であるDB討伐はならんかったが、得られた収穫は大きい。帰って報告しようや」

一行は足早に時限の境界を後にした。会議所に戻ることはできたが、果たしてアイムたちは現代に戻って来られたのか。
結局K.N.C102年から抜け出せていないのではないか。時代跳躍の変化の術を知る由もない一行からすれば、その心配はある種当然のものと言えた。

しかし、結果としてその心配は杞憂に終わった。途中で立ち寄った村落で話を聞けば、確かにアイムたちがいる時代はK.N.C180年。
つまり現代に戻っていたのだ。突拍子もない質問に首を傾げる村落の住人を尻目に、DB討伐隊一行は現代帰還の喜びを噛み締めたのだった。


2-8. 制約編へ。
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