『新羅』の歴史

辰韓の『新盧国』は、凡その歴史は、

BC1世紀頃	馬韓から移動した朝鮮東海岸にある「辰韓」で「不斯國」が成立馬韓の属国
AD342年	濊貊に残った高句麗人が『新盧国』を建国
AD360年頃	百済（前燕の慕輿根派）がやって来て360年代に占領
AD399年	高句麗の南下により西（現在の平壌地域）が高句麗になり、「濊貊に残った高句麗人」が高句麗に故国奪還を請願
AD400年	高句麗兵5万騎が派遣され高句麗に編入（属国化）される
AD480年頃	滅亡

という歴史になる。

慶州北道の「弁辰」にあった『斯盧國』は縄文時代からある国（縄文人系国）

となるので、これも混ぜているようである。
また、

『百済』が朝鮮半島に現れるのは（国号は違ったとしても）342年以降

なので、それ以前に『百済』が出てくるのはまずおかしい（後世の創作や歪曲）。

【歴史】

古代の日本や、日本の影響を受けた百済は1年で2年（春と秋で年を取る）を採用していたが、辰韓は高句麗や馬韓の影響が強いので1年は1年である。それが分からずに『三国史記』で利用したのだろうが、その為に年代に齟齬がある。

『三国史記』の新羅本紀は「辰韓の斯蘆国」の時代から含めて一貫した新羅の歴史としているが、実際、史実性があるのは4世紀の第17代奈勿王以後であり、ようは『日本書紀』で見られるようになってからで、それ以前の個々の記事は伝説的なものであって史実性は低いとされる（ただし、その時代でも王の名は創作名と思われる）。

【史実性が疑われる時代】

【BD1世紀】


BC57年	赫居世即位（元倭人の瓠公が臣下として活躍）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	秦の労苦から逃げた民族が馬韓内に居住しており、開拓として東に送られたのがBC1～2世紀。そしてその辺りは少ないが倭人（縄文人）系統民族が既に定住していた場所。 L字形竈の遺構から、馬韓が今の平安南道あたりまで進出したのがちょうどその頃で、辰韓が馬韓から東の開拓に送られたのはBC1世紀ぐらいだと考えられ、符合する。それに対して慶州『斯盧國』は縄文時代からあるので、遥か昔からある地域である。「辰韓は元は馬韓」というのも間違いではなく、東に送られる前までは遼東半島内に、つまり馬韓内にいた民族たちである。その前は満州地域ぐらいにおり、苦役に逃げて南下し、馬韓の領域内に入ったのだが騒ぎを色々と起こしたのか東に送られて『辰韓』に行くのである。また、赫居世や瓠公という人物は疑わしい。

BC54年	日食	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これらの記載は漢書などから持ってきたものだと思われる。ただ、日本では部分日食でしか見れないはずの年代も書いてあるので、中国史料のモノをそのまま使ったようである。

BC50年	倭人が侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	元々、倭人やツングース系民族が点在して定住していた場所に辰韓が入って来た場所である。場所的にも『濊人が侵入』の可能性が高い。

BC39年	弁韓が服属	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	弁韓は辰韓に対して柵を作るなどをしており、ありえない。魏志にある辰韓の国名で「弁辰古資彌凍國」「弁辰古淳是國」など、弁辰に似ているとしている国があるので、先住民的に辰韓地域にいた民族を辰韓に併呑した事を指すのだと思われる。ちなみに、馬韓側からも柵を建て東に戻れないようにしているので、この事実を基に創作したものと思われる。

BC37年	王都金城を築く（慶州付近）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	辰韓の『不斯國』あたりなので、北朝鮮の咸鏡北道にある「古城里」の南、北朝鮮咸鏡南道の端川市あたりにあったのではないかと推測される。

BC34年	日食	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

BC30年	楽浪軍侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	元々、倭人やツングース系民族が点在して定住していた場所に辰韓が入って来た場所である。場所的にも『濊人が侵入』の可能性が高い。

BC20年	馬韓東方と辰韓に雑居する中国系避難民の扱いで馬韓王と衝突	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	朝鮮民主主義人民共和国咸鏡南道のあたりのトラブルでしょうね。幾らでも東に送ってくる馬韓と、先に来てそこで定住し始めた人たちとの間でのトラブルでしょう。

BC18年	百済の始祖温祚即位	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	そもそもが、『百済』はまだ存在しない。また、百済は前燕と北燕から出てくるので、創作でしょうね。

BC15年	日食	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

BC5年	東沃沮の使者到来	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	元々、倭人やツングース系民族が点在して定住していた場所に辰韓が入って来た場所である。既に何度も来ている東沃沮だろうが、ようは濊のさらに北から、という事なのでしょう。

【AD1世紀】


AD2年	日食	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD4年	南解王即位（赫居世長男、巫者、尊称は次次雄）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD6年	日食	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD8年	脱解と南解王の娘が婚姻	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD10年	脱解を大輔に任命し軍事国勢を委任	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD14年	倭人が兵船百余隻で略奪楽浪が侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	楽浪郡は離れているので侵入はできない。また、「倭」ではなく楽浪郡の属国である「濊」だと思われる。

AD24年	儒理王即位（南解王の子、尊称は尼師今で以降16代同じ）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	脱解が即位を固辞したために即位と伝承。この「尊称」がついているのは辰韓『不斯國』の話と思うと大体は合う。

AD36年	楽浪が侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	濊貊は一時的に楽浪郡に従属していた時があるので、濊貊の事だと思われる。

AD57年	倭国の多婆那国から来た昔脱解が王に	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	慶州『斯盧國』の可能性もあるが、『日本書紀』に記載がなければ、辰韓『不斯國』の事だろう。

AD59年	倭国と国交樹立	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	AD30年ぐらいからは、中国は遼東地方の周辺国を直接統治から冊封体制に移行し、扶余・高句麗・東沃沮などを諸王とし属国とする。そして高句麗がAD56年に東沃沮を支配下に置いている関連であり、倭とではない。年代も合うので「高句麗（東沃沮）と国交樹立」だろう。

AD61年	馬韓将軍が投降する	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これは、国としての「馬韓」ではなく、人の名前ではないだろうか？

AD63年	百済王が使者	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	まだ『百済』はない。そのため、濊貊の使者ではないだろうか？

AD64年	百済が侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これも「濊貊が侵入」だろう。

AD65年	脱解が子の閼智を得る	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	金姓、実子ではないとみえる伝承がある。また、閼智を新羅王室の祖とする論ある。「その地の名をもって国号を鶏林とする」という話もある。創作だろうか？というか、脱解はいつまで生きるのだろう？なにか、脱解だけは日本的な年（1年を2年で数える）になっていないか？

AD70年	百済侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これも「濊貊が侵入」だろう（『百済』が出てくるのは前燕の時代、4世紀になってから）。 4世紀ぐらいまでの「倭」「百済」は、大体、濊脈に置き換えると合う。

AD76年	百済を攻撃	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	「濊貊を攻撃」だろう。

AD80年	婆娑王即位（儒理王の2男）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD82年	食糧不足深刻となる	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これは間違い。世界的に冷害で不作になるのはAD182年なので、1世紀ずらしている。たぶんだが、AD193年の「倭人が飢饉で、避難民が新羅へ」というのを作る為にずらしたか、日本書紀の記述を真似、新羅の方が古いと捏造したものと思われる。

AD84年	豊作となる	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	日本書紀の記述を真似、新羅の方が古いと捏造したものと思われる（『日本書紀』にはAD182年に不作であった事、そしてAD184年は豊作で危機を脱した事が書かれている）。

AD85年	百済侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	「濊貊が侵入」だろう。

AD87年	西の百済、南の伽耶の侵入に備えて城壁建設	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	百済はまだ存在しない。また、伽耶という自体が3世紀から6世紀頃に朝鮮半島南部に存在した小国群の総称で、慶州『斯盧國』も伽耶地方に入るのでおかしい。どちらもおかしいので、創作と考えられる。

AD94年	伽耶軍を撃退	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	伽耶という自体が3世紀から6世紀頃に朝鮮半島南部に存在した小国群の総称で、慶州『斯盧國』も伽耶地方に入るのでおかしい。どちらもおかしいので、創作と考えられる。

AD96年	伽耶軍侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	伽耶という自体が3世紀から6世紀頃に朝鮮半島南部に存在した小国群の総称で、慶州『斯盧國』も伽耶地方に入るのでおかしい。どちらもおかしいので、創作と考えられる。

AD98年	干ばつ	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

どうも1世紀の記載は、史実性が無い事ばかりですね。
「伽耶」というのが出てくるのは最古でAD5世紀初めからで、高句麗の碑石。それ以前の中国史料でも一貫して「倭」であり、金官国も魏史（3世紀書物）では名前が違うので、4世紀以前に「伽耶」と出てくるのは創作の可能性が高い。また、「百済」という名称も4世紀後半に入ってからなので、それ以前で使われている場合は創作の可能性が高い。

【AD2世紀】


AD102年	近隣2国の土地争いを金官国の首露王に仲裁させる。	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	可能性はあるが、この時期は魏志の前なので呼び方は「金官国」とは呼ばないのでおかしい。創作内容の可能性が高い。

AD105年	百済が和睦を求める	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	百済はまだ存在しないので、おかしい。辰韓『不斯國』での事か、創作内容の可能性が高い。

AD106年	伽耶を攻撃	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	伽耶小国家群の成立は3～4世紀かつ、そこには新羅も入るのでおかしい。辰韓『不斯國』での事か、創作内容の可能性が高い。

AD112年	祗摩王即位（婆娑王長男）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD115年	伽耶が侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	伽耶小国家群の成立は3～4世紀かつ、そこには新羅も入るのでおかしい。辰韓『不斯國』での事か、創作内容の可能性が高い。

AD116年	伽耶を攻撃	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	伽耶小国家群の成立は3～4世紀かつ、そこには新羅も入るのでおかしい。辰韓『不斯國』での事か、創作内容の可能性が高い。

AD121年	倭人が東の海岸地域に侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	倭から慶州『斯盧國』なら陸路で西からになる。また慶州は内陸部である。「濊が東の海岸地域に侵入」だろう。辰韓『不斯國』での事か、創作内容の可能性が高い。

AD123年	倭国と講和	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	AD121年の続きで、高句麗の仲介で「濊と講和」と考えられる。だから、あったとしても「濊貊と講和」だろう。

AD125年	靺鞨が北部へ侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	靺鞨は白頭山の北から東に沿岸部にかけて居た、ツングース系農耕漁労民族であり、南下はしていない。つまり、新羅が沿海州に接する『不斯國』を含む部分にあった事を示している。ただ、この時代では「靺鞨」ではなく、その前の「勿吉」よりさらに古い、「挹婁」や「扶余」でなくてはならない。創作内容の可能性が高い。

AD127年	日食	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD134年	逸聖王即位（儒理王の長男）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD137年	靺鞨侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	靺鞨の事だから、慶州『斯盧國』。

AD140年	柵を作って靺鞨侵入を防ぐ	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	靺鞨の事だから、慶州『斯盧國』。

AD141年	日食	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD144年	治水と開墾を指示　民間の金銀玉の使用を禁止	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	開墾はあるだろうが、治水は本当にしているか不明。

AD145年	飢饉となり南部が飢える	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	小氷河期の時代なのでありえる、が。北の方が厳しいはず。

AD146年	反乱発生	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	食料が足りないだろうからあり得る。

AD154年	阿達羅王即位（逸聖王長男）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD158年	倭人が訪問	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	慶州『斯盧國』なら『斯盧國』も倭人が主体の国家なので、このような書き方はされない。創作か、濊貊の事だと思われる。

AD166年	日食	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	部分日食しかみれないはずの年なので、中国の文献を書き写しただけだろう。

AD165年	反乱者が百済へ逃走	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	百済はまだ存在していない。創作か、濊貊に逃げたものと思われる。

AD167年	百済侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	百済はまだ存在していない。創作か、濊貊の事だと思われる。

AD173年	倭の女王卑弥呼が使者を送った	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	AD173年だと卑弥呼はまだ3歳なので確実に違う。「AD239年に卑弥呼が帯方郡に使者を送った」という故事から『三国史記』で創作したものと考えられる。ただし、『斯盧國』は伽耶にある倭の小国なので、別の人がなんらかの使者が派遣されている可能性はある。

AD184年	伐休王即位（脱解王の孫）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD186年	日食	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD188年	百済侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	百済はまだ存在していない。創作だろうが、これに関連する事は『魏志（三国志）』に書かれており、「靈帝末韓濊并盛郡縣不能制百姓苦亂多流亡入韓者」とある。つまり、楽浪郡の南側（帯方郡になる地域）に勝手に侵入を繰り返し狼藉を働いていたので、漢が帯方郡を作り征伐される。その混乱で逃げて来た民の事だとは思う。

AD193年	倭人が飢饉で、避難民が新羅へ	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	AD182年に世界的な冷害不作で飢饉が発生するが、倭はAD184年に豊作で乗り越えた事が記録にあるので違う。そもそもだが、慶州北道より慶州南道の方が穀倉地帯で発展しており、周囲を山で囲まれた狭い地域の慶州北道の慶州に避難民が来る事はほぼありえない。これは、『魏志（三国志）』に書かれている「百姓苦亂多流亡入韓者」の事で、馬韓から東へと行き北上した韓濊の事だと思われるので「馬韓の韓濊の百姓が戦乱により避難民となり辰韓『不斯國』へ」となる。

AD196年	奈解王即位（伐休王の孫）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD198年	百済侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	百済はまだ存在していない。創作か、これも『魏志（三国志）』に書かれている「百姓苦亂多流亡入韓者」の事で、馬韓から東へと行き北上した韓濊の事だと思われる。

AD2世紀だが、その多くは創作物と考えられる。

【AD3世紀】


AD200年	日食	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD201年	伽耶が講和を求める	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	伽耶という自体が3世紀から6世紀頃に朝鮮半島南部に存在した小国群の総称で、慶州『斯盧國』も伽耶地方に入るのでおかしい。辰韓『不斯國』の方だろうが、濊貊など北諸国にやられっぱなしなので、あるとしたら「濊貊に講和を求める」となるだろう。

AD203年	靺鞨侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	AD201年にも続く話だが、ようは講和ができなかったという事だろう。

AD208年	倭人が侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	慶州『斯盧國』は倭系民族国家なので、倭人が侵入はおかしい。辰韓『不斯國』での事か、創作内容の可能性が高い。

AD209年	浦上八国が加羅を侵略、加羅王子の救援要請で援軍を送る	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	三品彰英『日本書紀朝鮮関係記事考證』によれば、新羅が浦上八国を破ったという記事は真興王（在位:540～576年）時代のことであり、記録から見ても名前が違うので、後年の創作の可能性が高い。

AD212年	伽耶から人質が送られる	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	国の名前が違うので、やはり創作と思われる。

AD214年	百済侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	まだ百済は存在していないので、創作か、濊族の話。

AD224年		辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	まだ百済がないのに破るなどはない。創作。

AD230年	助賁王即位（伐休王の孫）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD232年	倭人が侵入し金城を包囲	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	AD233年の「倭人が東海岸に侵入、于老が船を焼き払って撃退」に繋がる内容で、3世紀の昔于老の功績として記されているが、三品彰英『日本書紀朝鮮関係記事考證』によれば、新羅が浦上八国を破ったという記事は真興王（在位:540～576年）時代のことであるという。また、新羅と百済との伽耶諸国を巡る交戦は6世紀になってから始まることであり、沙梁伐国が新羅に服属するのは法興王時代に沙伐州の置かれた525年。それを考えると「辰韓」の『新盧国』の事を書いているもので、『濊貊が侵入し首都の金城を包囲』という話か、まるっきりの創作になります。『神功紀別注』にも載っている話なのだが、4世紀末の話で時代が異なる（これは、日本の年代の数え方の違いで発生している）ので、『三国史記』が『日本書紀』を参考に書かれていた証拠になる。

AD232年	倭人が侵入し首都の金城を包囲、王の助賁尼師今が自ら出陣し撃退	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	AD233年の「倭人が東海岸に侵入、于老が船を焼き払って撃退」に繋がる内容で、3世紀の昔で于老の功績として記されているが、三品彰英『日本書紀朝鮮関係記事考證』によれば、新羅が浦上八国を破ったという記事は真興王（在位:540～576年）時代のことであるという。また、新羅と百済との伽耶諸国を巡る交戦は6世紀になってから始まることであり、沙梁伐国が新羅に服属するのは法興王時代に沙伐州の置かれた525年。それを考えると「辰韓」の『新盧国』の事を書いているもので、『濊貊が侵入し首都の金城を包囲、王の助賁尼師今が自ら出陣し撃退』という話か、まるっきりの創作になります。『神功紀別注』にも載っている話なのだが、4世紀末の話で時代が異なる（これは、日本の年代の数え方の違いで発生している）であり、『三国史記』が『日本書紀』を参考に書かれていた証拠になる。しかし、実際は鎧袖一触されているので、この故事自体は話のモデルさえも創作になる。

AD233年	倭人が東海岸に侵入、于老が船を焼き払って撃退	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	3世紀の昔于老の功績として記されているが、三品彰英『日本書紀朝鮮関係記事考證』によれば、新羅が浦上八国を破ったという記事は真興王（在位:540～576年）時代のことであるという。また、新羅と百済との伽耶諸国を巡る交戦は6世紀になってから始まることであり、沙梁伐国が新羅に服属するのは法興王時代に沙伐州の置かれた525年。それを考えると『濊人が東海岸に侵入、于老が船を焼き払って撃退』という話か、まるっきりの創作になります。それに近い年代に「辰韓」の『新盧国』で濊が侵入してきた事があり、それを合わせてしまったのではないだろうか？

AD240年	百済侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	まだ百済がないのに破るなどはない。創作。

AD245年	高句麗が北部へ侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	この時代は辰韓の北部は漢の支配になっているので、創作になる。

AD245年	沾解王即位（助賁王の弟）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD248年	高句麗に使者を送る	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	この時代だと、高句麗に送っても無理。遼東地域は混乱しており、何処に送っても無理、創作。この元はたぶんだが、AD399年の話なので、150年ぐらい違う。

AD249年	倭人が于老を殺害	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	「倭国の使者葛那古を接待したときに、戯れに「汝の王を塩奴（潮汲み人夫）にして、王妃を炊事婦にしよう」と言ってしまったために、倭王は大いに怒り、将軍の于道朱君（武内宿禰？）を派遣して新羅に攻めてきた。于老は倭軍の陣に赴いて失言をわびたが、倭人は許さず、于老は捕らえられて焼き殺されてしまった」という話だが、新羅が浦上八国を破ったという記事は真興王（在位:540～576年）時代。また、新羅と百済との伽耶諸国を巡る交戦は6世紀になってから始まることであり、沙梁伐国が新羅に服属するのは法興王時代に沙伐州の置かれた525年のことなので、やはりこれも「創作」とみられる。あるとすればやはり、倭ではなく濊の事だろう。『神功紀別注』にも載っている話なのだが、4世紀末の話で時代が異なる（これは、日本の年代の数え方の違いで発生している）ので、『三国史記』が『日本書紀』を参考に書かれていた証拠になる。また、鎧袖一触された新羅（当時は慶州『斯盧國』）であり　新羅の王、宇流助富利智干、参迎へて跪きて、王船を取へて即ち叩頭みて曰さく、「臣、今より以後、日本国に所居します神の御子に、内官家として、絶ゆることなく朝貢らむ」とまうすとあり、于老は新羅王の宇流助富利智干になる。だが、それだと合わなくなるので于老を臣としたのだろう。同時にそれは、最低でもこの代までの新羅王は創作人物だということである。

AD255年	百済侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	百済はまだないので、創作。あるいは濊貊とのこと。

AD256年	日食	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD261年	百済が講和を申し込むも応じず	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	百済はないし、AD232年からの戦いは時代が合わないので、創作。あるいは濊貊殿話だが、「講和する」ならともかく「講和される」はまずありえない。多分、創作した新羅王を大きく見せたかったのだろう。

AD262年	味鄒王即位（沾解王に子なく閼智の六世孫）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD264年	東部へ行幸し海を見る	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	慶州『斯盧國』では「東部へ行幸し海を見る」は地理的に不可能。

AD266年	百済侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	やはり、百済はまだ存在しないので、創作か濊貊の侵入。

AD278年	百済侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	やはり、百済はまだ存在しないので、創作か濊貊の侵入。

AD283年	百済侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	やはり、百済はまだ存在しないので、創作か濊貊の侵入。

AD284年	儒礼王即位（助賁王長男）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD286年	百済が講和を求める	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	やはり、百済はまだ存在しないので創作か、それとも濊貊で、辰韓『不斯國』が講和を求める側。

AD287年	倭人が侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	浦上八国の話なので、時代が違うので創作。あるとすればやはり、倭ではなく濊の事だろう。

AD287年	倭人が一礼部に侵入し、千人を捕虜にして立ち去る	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これも浦上八国の話なので、時代が違うので創作。あるとすればやはり、倭ではなく濊の事だろう。

AD292年	倭人が侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これも浦上八国の話なので、時代が違うので創作。あるとすればやはり、倭ではなく濊の事だろう。

AD292年	倭人が沙道城を攻めるが、部下の大谷に救援させた	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これも浦上八国の話なので、創作。あるとすればやはり、倭ではなく濊の事だろう。

AD294年	倭人が侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これも浦上八国の話なので、創作。あるとすればやはり、倭ではなく濊の事だろう。

AD294年	倭人が長峯城を攻めた	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これも浦上八国の話なので、創作。あるとすればやはり、倭ではなく濊の事だろう。

AD295年	「百済と共に倭国を討ちたい」と王が言うと臣下が「新羅は海戦が下手だし百済は信用できない」と反対され断念。	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これは少し違い、「百済」ではなく「前燕」。「百済」はまだ朝鮮半島に来ていないし、「百済」という名称も使われていないし、そもそも前燕もまだの「西晋」時代なので創作だと思う。西晋はこの時期は乱れて堕落していた時代であり、遼東には興味を向けていない。あるとしたら『「濊貊と共に倭国を討ちたい」と王が言うと臣下が「新羅は海戦が下手だし濊貊は信用できない」と反対され断念』ぐらいになるのだが、この当時、南に向ける力もないので可能性は低い。

AD297年	北方の伊西国が侵入したが神兵が現れて撃退	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	伊西国（慶尚北道清道郡）は慶州『斯盧國』の西南西なので違う。あるとしたら、辰韓『不斯國』の北方の濊貊だろうが、創作だろう。そもそも伊西国というのは周囲を山にかこまれており、伊西国から慶州『斯盧國』に直接行く事は出来ない。行くには慶尚南道密陽郡に南下し、更に南下して釜山に入ってから北上し南から入るしかない場所である。

AD298年	基臨王即位（助賁王の孫）	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

『三国史記』の3世紀の内容は、『日本書紀』をモデルに作っているものも多いのだが、『日本書紀』の年代の数え方（1年で2年、春と秋でそれぞれ1年となる）の為にズレていて、『三国史記』の内容が創作物だと判る。どうも編纂者は全50巻をたった2年で作っており、実際にその場所を訪れた事も地形も確認した事もないようで、地理と言う物理的に不可能に書いている所が多々ある。

【AD4世紀】

下の年表には一部、日本書紀の記載で「史実性がある」事（新羅征伐）も書いています。


AD300年	倭国と使者を送りあう	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これはありえるかもしれない（ただし慶州『斯盧國』は倭の一国であり、「倭」となっているのはヤマト政権の事になる）。だが、辰韓『不斯國』が濊貊（高句麗）に使者を送ったとしても合う。

AD307年	国号を新羅に戻す	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	AD503年にも国号決定記述があり疑問点とされる。思うに、AD381年に「使者を秦国に派遣して国号の変更を釈明する」とあるが、決めた国号は『高句麗（高麗）』に対するように『新麗（新しい高麗）』とでも名付けたのではないだろうか？

AD310年	訖解王即位	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
奈解王の孫

AD312年	倭国王が王女の通婚を要求に、王女ではないが、阿飡（6等官）の急利の娘を嫁として送った	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	似た事はあるが、AD382年で70年ほど違う。また、またAD312年というと、天皇の父を偲んで諸国に白鳥を献じることを命じた年であり、死者を偲んでいる時期なので、娘を求めるような事はないし、さらに313年には神功皇后を立后した年でもある。その年は福井や淡路におり、そこで熊襲の再叛を聞いている。319年に新羅遠征ではなく熊襲（九州南部）征伐をしているので、朝鮮半島（新羅）に征伐に行っていない。これらから倭が娘を求めるような状況に無く、「濊拍が新羅王の娘を求めたが、部下の娘を偽って送った」だと思われる。熊襲征伐をモデルにした上で、脚色して『三国史記』で書いた可能性もある。

AD320年	新羅征伐	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	皇后がお腹に子供（のちの応神天皇）を妊娠したまま海を渡って朝鮮半島に出兵して新羅の国を攻めた。新羅は戦わずして降服して朝貢を誓った。この際に、人質として倭国に渡った微叱旱岐がいる。

AD323年	新羅に倭への朝貢を命じる	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』

AD325年	倭へ送っていた新羅の人質の返還要求を認め対馬で返還するが、その際に新羅は謀る	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	人質として倭国に渡った微叱旱岐の妻子が奴婢とされたので返還を求めるとしてきた。神功皇后はこの要求を受け入れ、見張りとして葛城襲津彦を新羅に使わすが、対馬にて新羅王の使者に騙され微叱旱岐に逃げられた。怒った襲津彦は、毛麻利叱智ら三人の使者を焼き殺し、蹈鞴津（釜山南の多大浦）から上陸し、草羅城（慶尚南道梁山）を攻撃して捕虜を連れ帰っている。

AD329年	新羅に倭への朝貢を命じる	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	9月、砥田宿禰と賢遺臣を派遣して詰問すると、新羅は貢納を果たした。

AD337年	百済へ使者を送る	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	百済はまだ朝鮮半島に来ていないので、創作。そもそもまだ『百済』などではなく、あっても政争に負けた慕容仁派の前燕人や雑多な民族が東に移動している最中で、国造りも出来ていない時代。その為、使者を送ったのは慕容仁派前燕人が東に移動した事により生じた遼東半島の空白地帯を占拠している高句麗か、北の高句麗支配下の濊貊に対してとなる。

AD344年	倭国がまた娘を求めたが、「もう嫁にやった」と断った	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	AD312年の「倭国が新羅王の娘を求めたが、部下の娘を偽って送った」に繋がるものなので、これもやはり「濊貊が新羅王の娘を求めたが、部下の娘を偽って送った」になる。

AD345年	倭国が国書を送り、新羅との国交を断絶した	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これだが、AD307年の「国号を新羅に戻す（たぶん、事実は『新麗』）」とAD381年の「使者を秦国に派遣して国号の変更を釈明する」というのを見ると、高句麗が『新麗（新羅）』という国号に怒り国交断絶という国書を送り付けたのではないだろうか？

AD346年	倭人が首都金城を包囲するが、倭人の食料が尽きて退却し、そこを追撃	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これは高句麗がAD246年に魏に負けた際にはこの東沃沮の方まで逃れ、それからAD247年に再出発して故地を取り戻すという事があり、その際に東沃沮に残った者もいて、その者が新羅（南史「三国魏の時代には新盧と称した。宋の時代には新羅あるいは斯羅と称した」とある。慶州北道の弁辰『斯盧國』が『新羅』と名乗るのは504年なので、「三国魏の時代には新盧と称した」は辰韓『不斯國』の事）になる。その「濊貊に残った高句麗人が『新盧国』を建国」したのだが、AD307年に国号を「新麗（新しい高句麗）」と名乗ったので、AD345年に国交を断絶し濊貊（高句麗）に北から攻められたのだと思われる。

AD353年	百済が無礼を働く	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	天皇の命で紀角宿禰が百済に遣わされ、初めて国郡の境を分けて郷土の産物を記録した。その際、百済王同族の酒君に無礼があったので紀角宿禰が叱責すると、百済王はかしこまり、鉄鎖で酒君を縛り葛城襲津彦に従わせて日本に送った。

【史実が混じってくる時代】

この辺りから1世紀分ほどが『三国史記』の中で虚構と事実を繋ぎ合わせるために、混ざった内容になっている。

【AD4世紀】


AD356年	奈忽王即位	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	訖解王に子なく味鄒王の父の孫（閼智の八世孫） ……とされているが、ここで辰韓『不斯國』についての口伝かなにかと、慶州『斯盧國』の歴史の辻褄合わせを始めており、『三国史記』で史実性がある内容も含まれるようになっていると考えられる。ただし、AD480年ぐらいまではやはり辰韓『不斯國』の噂話と慶州『斯盧國』史実が混ざっているので、「史実性がある歴史」となるとAD5世紀後半～末期頃からのものとなる。

AD364年	奇策で倭人を撃退	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これは年代から「濊貊に残った高句麗人が建国した『新盧国』を、前燕から逃げて来た慕輿根派の鮮卑人（第二の『百済』人）が南から攻めてきたが、奇策で撃退した」という話だと思われる。『奇策で百済人を撃退】となる。

AD364年	百済から倭への接触	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	神功44年（364年）に百済王は、卓淳旱岐のもとへ日本へ渡る道を知っているか三人の使者を送っている。

AD365年	新羅征伐	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	新羅が朝貢を怠ったため竹葉瀬・田道を派遣し征伐。率いる兵が少ないため砦へ篭って防戦に努めていたが、新羅軍の虚を突いて壊滅させ、四つの村の民を捕虜として連れ帰る。つまり、前年（BC364年「奇策で倭人を撃退」）には征伐は出されていないので、BC364年の出来事は辰韓『不斯國』の出来事である。

AD366年	倭への百済の朝貢	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	神功皇后46年（366年）3月1日、斯麻宿禰を卓淳国に遣す。卓淳王の末錦旱岐は、百済の久氐、弥州流、莫古らが日本に朝貢したいと斯麻宿禰に伝えた。斯麻宿禰は、爾波移と卓淳人の過古を百済に遣した。百済の肖古王（近肖古王）は喜んだ。王は財宝を贈り、また蔵をみせて、これらを朝貢したいと爾波移に告げ、のち斯麻宿禰らは日本へ帰還した。翌年4月、百済は日本に朝貢した。

AD369年	新羅平定	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	神功皇后49年（369年）3月には神功皇后が、将軍荒田別（あらたわけ）及び鹿我別（かがわけ）を卓淳国へ派遣し、新羅を平定しようとするが、兵の増強が進言され、百済の将軍木羅斤資と沙沙奴跪と沙白・蓋盧らに合流を命じて、新羅を破る。比自㶱、南加羅、㖨国、安羅、多羅、卓淳、加羅の七カ国を平定した。これは、熊襲征伐と同じで「国内の中央反抗勢力の平定」でしかない。また、百済が信用できるかの試金石にもしたようである。さらに西方に軍を進めて、比利、辟中、布弥支、半古の四つの邑は抵抗もなく降伏した。『三国史記』では「倭人大飢、来求食千余人」と書かれているが、『三国史記』の内容が創作と判る1つである。

AD371年	百済は久氐を派遣し、日本に朝貢	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	神功皇后51年（371年）3月、百済は久氐を派遣し、日本に朝貢した。

AD372年	百済と倭国の同盟を記念して神功皇后へ七子鏡と七枝刀を献上	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	神功皇后52年（372年）9月10日、百済王は、百済と倭国の同盟を記念して神功皇后へ七子鏡と七枝刀を献上した。

AD373年	百済の秀山城主が来降する	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これは、前燕から逃げて来た慕輿根派の鮮卑人（第二の『百済』人）が辰韓内の地域を既に占拠していた事を示す。名前から、現在の北朝鮮と中国の国境である古城里島あたりだろうか？また、時期からすると全く逆で、第二の『百済』が既に辰韓『不斯國』を占領し主が変わっており、元の辰韓『不斯國』周辺国であった秀山城主が来降した、という方が合うと思う。

AD381年	使者を秦国に派遣して国号の変更を釈明する	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	奏は既に無いので、あるとすると西奏なので遠すぎる。これは高句麗がAD246年に魏に負けた際にはこの東沃沮の方まで逃れ、それからAD247年に再出発して故地を取り戻すという事があり、その際に東沃沮に残った者もいて、その者が新羅（南史「三国魏の時代には新盧と称した。宋の時代には新羅あるいは斯羅と称した」とある。更に『隋書』には「その王は百済人で、自ら海に逃れ、新羅に進入し、遂にその国の王となった」というので、第二の『百済』が辰韓『不斯國』を征服し、それを高句麗に対して釈明をし、高句麗に従属を誓ったものと考えると合う。

AD382年	新羅は日本に朝貢しなかったため、日本は襲津彦を派遣し、新羅を討伐	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	AD381年と合わないので、これは慶州『斯盧國』の話。

AD391年	倭国と高句麗の戦いで、また、倭国が百済と新羅を臣民とする	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	吉林省にある好太王碑だけでなく、日本書紀の三韓征伐にも書かれている内容。ただ、好太王碑と少し違うのは、『百済』はAD366年に属国となったが、AD391年に『倭の一国（倭の地方国家）』となった事。また、慶州『斯盧國（新羅）』は古来から倭に属しているが、中央より離れており九州と同じく中央への反発が強い国で、程度が悪いので熊襲と同じように征伐され中央に従属を誓った国という事です。朝鮮半島で倭が本格的に北からの侵入者に対して戦うのは、391年からで、第一の『百済』からの要請によるものです。 320年からの新羅征伐は、国内の地方国に対するものである。ちなみに、『三国史記』でAD249年に「倭人が于老を殺害」とあるが。これの記録は実際はこの391年頃です。浦上八国乱が389年で2年前、金城包囲が390年でこの前年。また、『三国史記』ではAD387年に「387年に倭が侵入した」と書かれているが、討伐はAD382年なのでやはり時代が違い、『三国史記』の内容は創作物である。

AD393年	倭人が首都金城を包囲したが籠城し、倭国が退却しようとしたところを追撃し大敗させた	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	AD391年の新羅従属と話が噛み合わないのは、場所が違う為。「倭人」ではなく、「前燕から逃げて来た慕輿根派の鮮卑人（第二の『百済』人）」が国を征服したので、北方の濊貊や東沃沮が攻めてきているという話。「濊拍が首都金城を包囲したが、濊拍が退却しようとしたところを追撃し大敗させた」となるが、本当かどうか分からない。創作の可能性も高い。慶州『斯盧國（新羅）』はこの2年前にヤマト政権に従属している。

AD392年	高句麗は新羅に使者	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	新羅は高句麗を恐れ、王族の伊飡（2等官）大西知の子の実聖（後の実聖尼師今）を人質として差し出した。 AD381年の「使者を秦国に派遣して国号の変更を釈明する」に繋がる話です。

AD392年	高句麗が百済を攻める	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	高句麗王好太王が4万の兵で百済北の国境を攻め、石峴など10余りの城を落とした。冬10月、高句麗は百済の関彌城を落とした。百済の辰斯王が11月、狗原の行宮にて死去。第一の『百済』の話で、平壌辺りの土地を失う出来事です。これにより第一の『百済』はさらに南下してきます。ちなみに、西海岸中央部の『百済』から東海岸南東部の『新羅』に攻めるのは、地形的にも地勢的にも無理。間に1000m級の山が連なる白太山脈が北から南に連なり、南には倭が広がっているので、通る道がそもそもない。

AD393年	倭軍が侵入し首都金城を包囲	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	「倭軍が侵入し首都金城を包囲されたが、倭軍の退却中に騎兵200を送って退路を塞ぎ、歩兵1千を送って独山付近で挟撃させ、倭軍を大敗させた」とあるが、AD391年に征伐され従属している時期なので、首都包囲をするのはおかしい。これも辰韓『不斯國』の話で、「独山」とは吉林省の和竜市にある独山と思われる。内容は「濊貊が侵入し首都金城を包囲されたが、濊貊の退却中に騎兵200を送って退路を塞ぎ、歩兵1千を送って独山付近で挟撃させ、濊貊を大敗させた」と思われる。

AD395年	靺鞨が北部へ侵入	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	靺鞨は濊貊や東沃沮と接しており交流している、ツングース系農耕漁労民族。漁もしており、たびたび辰韓『不斯國』が「東から侵入」というのは、靺鞨も含んだ濊貊・東沃沮でしょうね。

AD397年	百済の阿莘王は王子腆支を人質として倭に差し出し服属	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	日本書紀にも記載があり、慶州『斯盧國』の話である。

AD399年	倭人が国境にあふれた	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これも「倭人」ではなく、靺鞨も含んだ濊貊・東沃沮の話でしょう（辰韓『不斯國』は「前燕から逃げて来た慕輿根派の鮮卑人（第二の『百済』人）」に主が既に変わっている）。この年、新羅は高句麗の平壌（当時は吉林省南にある）にまで行き、救援を求めている。これは、元が同じ高句麗人だからでしょう。AD381年にはどうやら既に新羅は高句麗に帰属していますし。朝鮮東海岸にある『新盧国』が高句麗に救援を要望する。これがなぜ『高句麗』かというと、北側の高句麗（濊貊）は靺鞨を通していて敵対関係にあったのでしょう。

【AD5世紀】


AD400年	倭人が首都金城を包囲するが、高句麗の援軍が来ると任那伽耶に撤退	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
	これも「倭人」ではなく、「前燕から逃げて来た慕輿根派の鮮卑人（第二の『百済』人）」の話。また、373年ぐらいには辰韓『不斯國』は第二の百済を既に占領し主が変わっている。そのため、「濊貊が首都金城を包囲するが、高句麗の援軍が来ると撤退」となる。高句麗は5万騎を第二の『百済』に派遣する。

402 実聖王即位（閼智の後裔とのみあり、身長７尺五寸とある）

倭国と国交を結び奈忽王の子の未斯欣ミシキンを人質に送る百済が侵入

405 倭兵が侵入
407 倭人が東部と南部へ侵入
408 倭人が対馬に軍備を増強するを知って対抗策を案ずる
412 高句麗へ奈忽王の王子を人質に送る
414 広開土王碑）
415 倭人と戦い勝利

417 訥祗王即位（奈忽王の子、高句麗を介して実聖王と反目し実聖王を殺害して即位）

（この王より尊称が「尼師今」から「麻立干」に変わる）

418 高句麗と倭国への人質が逃げ帰る
424 高句麗に使者を送り国交を開く
4番目の遷都である平壌城＝清岩里城は427年
431 倭兵が侵入
433 百済が使者を送り講和
434 百済が貢ぎ物を送り、返礼の品を送る
440 倭人が南部と東部へ侵入
444 倭兵が金城を包囲し苦戦となるも神助によって救われる
450 高句麗との国境で紛争
454 高句麗が北部に侵入
455 高句麗が百済に侵入し百済へ援軍を送る
458 慈悲王即位（訥祗王の長男　母は実聖王の娘）
459 倭人が船百余艘にて侵入
462 倭人が侵入
463 倭人が歃良城を攻める（現釜山の北約３０kmの梁山郡梁山面付近）
468 高句麗と靺鞨が北部へ侵入


AD474年	高句麗王巨連（長寿王）が百済を攻撃	辰韓『不斯國』	慶州『斯盧國』
新羅伝には「救援しようとするも百済は陥落」と書いてあるが、嘘である。『中原高句麗碑』に「五月中高麗太王相王公□新羅寐錦世世爲願如兄如弟上下相和守天東來之寐錦忌太子共前部大使者多亐桓奴主簿道德□□□安□□去□□到至跪營□太子共□尙□上共看節賜太翟𨛃□食□□賜寐錦之衣服建立處用者賜之隨者節□□奴客人□敎諸位賜上下衣服敎東夷寐錦遝還來節敎賜寐錦土內諸衆人□□□□王國土大位諸位上下衣服兼受敎跪營之十二月廿三日甲寅東夷寐錦上下至于伐城敎來前部大使者多亐桓奴主簿□□□□境□募人三百新羅土內幢主下部拔位使者補奴□□奴□□□□盖盧共□募人新羅土內衆人拜動□□」とあり、新羅は高句麗に言われて兵を300人集め、于伐城（今のソウル近郊）を攻め滅ぼした事が記録されています。「十二月廿三日甲寅」は「474年12月23日」となるので、それ以降に出来た碑である（韓国研究者は「碑文には「永楽7年（397年）定有」と書かれている言っているが、明らかに間違いである）。新羅は積極的に、百済を攻撃している。つまり、『三国史記』の書いている事は史実であっても無いように正確性に欠ける部分があるので、注意が必要である。

476 倭人が東部へ侵入
477 倭人の軍隊が五道を通って侵入

北海道（溟州街道）、塩地通（向唐街道）、北徭道（百済街道）東海通（任那街道）、海南通（難武州街道）とされる

479 炤知王即位（慈悲王の長男）
480 靺鞨が北部へ侵入
ここまでは殆どが北になり、かなり歪曲捏造創作されている。

【史実が多くなってくる時代】

ここから南だけになり、具体的になる。

【AD5世紀】

481 高句麗と靺鞨が侵入　百済、伽耶の援軍により撃退
482 倭人が侵入
484 高句麗が侵入、百済援軍と撃退
486 倭人侵入
489 高句麗が侵入
493 百済に花嫁を送る
495 高句麗が百済を攻撃、援軍を送る
496 伽耶国が白雉を送る
497 倭人が侵入

【AD6世紀】

500 智證王即位（奈忽王の曾孫）
502 殉葬を禁ずる
503 家臣の求めに応じて新羅国王の称号を定める
（旧は斯羅シラ、斯廬シロ、新羅シンラなど）
514 法興王即位（従来の尊称が消え法興王のみ、智證王の長男）
521 南朝の梁に朝貢する
522 伽耶王が花嫁を求める
528 初めて仏法を行う（長い説話が付随する）
532 金官国王が財宝と家族と共に来降し国王の末子が新羅に仕える
536 初めて年号を用いる（建元元年）
540 真興王即位シンコウ（法興王の弟の子）
541 百済が講和を求める
545 国史を編纂させる
548 高句麗が穢ワイと共に百済を攻撃、援軍を送る
549 南朝の梁から使者と仏僧到来
550 百済が高句麗を攻撃
551 伽耶王が１２弦の琴を作る
553 百済の東北部を奪う
554 百済と加良が連合して侵入（加良は伽耶と同意とされる）
562 百済が侵入　伽耶が反乱を起こす
564 北朝の斉に朝貢
565 南朝の陳から仏教教典が送られる
566 陳に特産物を送る
572 北朝の斉に朝貢
574 仏像鋳造
576 有能な人材を捜し美女二人を選んだが仲違いとなり、美貌の男を
選ぶことで有能な人材を得られるようになった。風流あるいは花郎という
随に法を求め仏舎利などを得る
576 真智王即位（舎輪、金輪、真興王の次男）
577 百済が侵入
578 陳に朝貢
百済に城を割譲
579 真平王即位（白浄、真興王の孫）
585 高僧が陳へゆき仏法を求める
589 仏僧が陳へ渡海
594 随が楽浪郡公新羅王任ず
596 仏僧円光が随へ渡海

【AD7世紀】

602 百済が侵入
603 高句麗が侵入
604 随に朝貢
605 百済を攻撃
608 隋に高句麗討伐の願いをだす
高句麗が侵入
611 隋が高句麗討伐を許可
百済が侵入
613 隋の使者を饗応
616 百済が侵入
621 唐に朝貢
623 唐に朝貢
百済が侵入
624 唐の高宗が楽浪郡公新羅王を与える
625 唐に高句麗が朝貢を妨害するを訴える
626 唐に朝貢　高宗は高句麗との和睦をうながす
百済侵入
628 百済侵入
飢饉にて子女を売る
629 高句麗を攻撃
631 反乱起きる
632 善徳王即位（徳曼、真平王の長女、女帝）
唐に朝貢
635 唐が楽浪郡公新羅王を認める
636 百済が侵入
638 高句麗と戦闘
640 唐の国学に若者を学ばせる
642 百済の大軍が攻め込む
唐へ危急を告げる
高句麗に援軍を求めるもならず
643 唐に援軍派遣の使者を送るが案のみで軍は与えられず
(案のひとつに女帝を廃し唐の一族を王とすれば軍を送る、がある）
644 唐の太宗は高句麗に和平を強要するが拒否される
太宗は自ら高句麗を攻め新羅はそれを支援
647 女王に異を唱える反乱が起きる
647 真徳王即位（勝曼、真平王の母方の叔父とされる）
反乱者を誅殺
唐に使者を送り謝意
元号を太和とする
百済が侵入
648 太宗が新羅に臣下なるに唐と異なる元号は如何にの疑義
（ここに太宗の元にいた新羅の春秋なる人物の行動があり高位を得ている）
649 新羅の衣冠が中国式となる
百済の侵入を破る
650 新羅は春秋の子を使者に送り天子のはかりごとの効をほめる詩を献上する
（新羅国人は赫居世から真徳王までを聖骨と呼び以降を真骨と呼ぶとある）
654 太宗武烈王即位（春秋、真智王の孫、新唐書に真徳王の弟とあり誤りとしている）
唐は開府儀同三司新羅王を与える

【新羅の方角】

暫くあるのだが、「史実性がない時代」の『三国史記』の新羅は、

から攻められるとあるが、西からという記載がほとんどない。

ところが、実際の地形を見るとどうだろうか？北や南は判る。西でもまぁ許容できる。
だが、「東」だけはない。

【慶州市の地形】

『新羅の首都となる「金城」』がある慶州市の東は、吐含山などがある自然豊かな土地になっている。船を止める場所もあるようには見えないのだが、ここから山を乗り越えてきたというのだろうか？

南の蔚山港から北北西に、あるいは北の浦項港から南南西にならまだ分かる。だが、どちらにしろ「東に船でやってくる」は普通に考えて無理である。
また陸路でも、南は釜山から北北西にという道の他に、大邱から永川市に入り、そこから南東にという道もある。

陸路だと氷川市の位置からで「北西から」、あるいは氷川市は慶州市より北にあるから「北から」、氷川市から慶州市への入り口は西からなので「西から」、または釜山からで「南から」なら分かる。
また、海路であれば蔚山港からなら「南から」、浦項港からなら「北から」になる。

「金城（慶州）」を攻めてくる方角として「東から」や、東に行き海岸を見に行ける地理ではないので、地形的にまずありえない。

にも関わらず。

AD121年	倭人が東の海岸地域に侵入
AD233年	倭人が東海岸に侵入、于老が船を焼き払って撃退
AD264年	東部へ行幸し海を見る

とあるが、場所が慶州では地形的に無理である。

【端川市の地形】

場所として考えるに、北朝鮮咸鏡南道の「端川市」周辺あたりが可能性が高いと思う。

ここは、資料を読んでいき、魏史の辰韓弁辰の国名が単純に北から並んでるだけでは？と気付き、それでプロットされた「辰韓」の『新盧国』だと思われる場所である。

ここら辺まで縄文系民族は入って先住していた土地である。
この位置ならば、濊貊・東沃沮・靺鞨などが陸路で北や、小舟を使って東海岸にも海沿いで入ってくる。
また、濊貊・東沃沮・靺鞨などは高句麗にも下っており、またその前の郡にも組み込まれていた時期があるので、遼東や楽浪、高句麗と言われてもおかしくない。
南西からは慕輿根派の前燕の郎党（『百済』）が入ってくるし、様々に合致する。

逆に無いのが「北西」で、深い山に阻まれるし人も住んでいない。

【新羅の位置】

やはり「新羅」と呼ばれた場所は、

朝鮮東海岸にある「辰韓」の『新盧国』
慶州北道にある「弁辰」の『斯盧國』

の2つがあるのだと思われる。
ただ、「辰韓」の『新盧国』は5世紀半ばまでにほぼ消えている。また、こちらの記録に関しては創作や歪曲も多い。
そして途中からは「弁辰」の『斯盧國』の歴史になっており、こちらは日本書紀などにも残っており、比較的しっかり判っている。
という話だと思われる。

【史料は何処に消えた？】

辰韓で出来た『新羅』は、元は馬韓、そして高句麗の属国でもあったので、文字自体は早い段階で持っていたと思われる。
高句麗も元は遼東地区にあり、中国の属国どころか直接の管理下に入っていたので、同じだろう。
にもかかわらず、朝鮮半島における高句麗や辰韓で出来た『新羅』の記録は、12世紀の『三国史記』が朝鮮半島における最古の歴史書となる。実に、三国時代、それも4世紀頃までだとすると800年以上も前の事が書かれている朝鮮半島最古の歴史書が、12世紀になるのである。
石の碑文も高句麗のものは中国側には古くからあるが、朝鮮半島側では少なく、さらに、『新羅』に至っては石碑が出てくるのは503年からである。新羅も文字を持っていたのは判っているのだが、残っている物が驚くほど少ない。
それに対して高句麗や百済・新羅の記録は中国や日本の方が古くから記録があるのである。

朝鮮半島に現存する最古の歴史書である『三国史記』は高麗17代仁宗の命を受けて金富軾が撰した、三国時代から統一新羅末期までを対象とする紀伝体の歴史書で、1143年執筆開始し1145年完成し、全50巻ある。2年で創作するには膨大な量で、さらに「撰した」とあり元になった資料はあるはずなのだが、その資料がどういう存在なのかも判っていない。

これは、統一新羅となり高句麗や百済の史料などを手に入れたのだが、朝鮮東海岸にある「辰韓」の『新盧国』はBC1世紀程度からと周辺諸国に比べても歴史がない上に、馬韓・高句麗や濊貊・東沃沮・靺鞨といった周辺国に翻弄されて滅亡しているものの、成立には中国が強く影響している。ただし、統一新羅にはなんにも関係がない（正当性がない）。慶州北道の「弁辰」にあった『斯盧國』は古代から続くが倭の国の1つだったが、『斯盧國』が出てくるのは4世紀頃からとかなり新しいし、こちらは紐解いていくと『倭の歴史』であり、やはり正当性はない。
『新盧国』自体に歴史がないし、民族的にも外来の移民で滅亡した国だが中国の古く深い歴史と関係する。その歴史と、古代から続く倭の国の1つであった『斯盧國』と合わせ辻褄合わせを行い、歪曲捏造や創作した上で、「古くからある国」としたのではなかろうか？。
具体的に言えば、AD4世紀の半ばぐらいが分岐点で、それ以前は『新盧国』の歴史。そしてそれ以後は『斯盧國』としているように思える。

そして、その「元になった史料」を高麗は廃棄したのではないだろうか？