焼肉 - 韓国おもしろ話

【焼肉】

『焼肉』というのは、日本で作られた料理ですが。
これに勘違いしている人も多そうなので。

【焼肉】
- 【焼肉とは？】
【焼肉のルーツ】

【焼肉とは？】

『焼肉』といえば、下処理をした肉を網や鉄板で焼く料理として人気のある料理です。
この料理、実は結構、日本での歴史があります。
そもそもが「日本人は明治に入るまで肉を食べてなかった」という俗説自体が嘘なのである。

【延喜式】

書籍の記録にあるものとして、古くはいつから探していくと、ここになるのではないでしょうか。
10世紀の『延喜式』に「獣肉の醤油漬け」は記載されています。
塩漬けの保存食としての肉はそれより古くから考古学的に確認されていますが、「下味を付けた肉を焼く料理」と明確に分かる記載は、これを見つけました。

【江戸時代の焼肉（幽庵焼きなど）】

具体的に料理法まで記録にある料理であれば、江戸時代の茶人で食通でもあった北村祐庵（1648～1719年）が作った「幽安焼き」があります。「幽安焼き」は「魚の切り身や鶏肉などを、醤油、酒、味醂を1:1:1であわせ、ユズの輪切りを加えてつくった漬けダレである幽庵地に数日間漬けこみ、汁気を切った後に焼き上げる」という料理です。
今でも料理で出されるものですね。
江戸時代の別の資料だと「鶏の酒漬け焼き」というものもあり、これは「鶏肉を酒・醤油・生姜などに漬け込み、焼いて食す料理」と記述されています（『生姜焼き』のルーツに西洋料理の『ポークソテー』を挙げる人もいますが、生姜は日本に古くからあり、既に肉の漬け込みに利用されている）。

他にも『江戸時代における獣鶏肉類および卵類の食文化』という論文の中の表6「江戸時代の焼き物の種類」というのがあり、様々な焼肉料理が載っています。この中に「炒り焼」などはタレに付けた肉を焼く料理ですし、鶏の焼き物の中にも醤油焼なども存在します（詳しくはここの焼き物を見ていく必要があります。焼いた後に煮ていく、すき焼きの様な作り方もありますし、焼いた後にタレを付ける料理もありますので）。
1801年の料理書『料理早指南（料理談合集）』の中には鋤焼なども載っており、ここにも醤油漬けした肉を焼く料理が掲載されている。

日本料理の焼き物として『焼き物関連の料理用語集』なども参考になるが、例えば「雉焼き」は「ぶり、さば、かつお等の魚の切り身や鶏肉、獣肉などをみりん醤油に浸して焼き上げた料理のことで、美味とされる雉の肉に似せて作られたことからこの名がある」とあります。鉄板で焼くなら『鋤焼』などが出てくるだろうが、一般的と言えば『焙烙焼き』と浅い土鍋を用いるのが多いようである。ようは、七輪文化で今でいう一人鍋のような形状だが、浅い鍋で、蓋を閉めずに焼けば天日焼き（つまり現代で言う焼肉）に、蓋を閉めて焼けば蒸し焼きに、焼いた後に調味液を入れたら一人鍋になる便利な調理道具なのである。

【明治の焼肉】

1875年（明治8年）の「飲食養生新書」にも「焼肉」は記載があるが、これも「焼いた肉」で『焼肉』料理ではないと思われますが、鋤焼については載っている。また、それ以前の書物でも「生姜焼肉（生姜焼き）」は古い書籍からたびたび見かけます。この生姜焼きについては、1913年（大正2年）発刊の『田中式豚肉調理二百種』には「生姜炒（しょうがいり）」の名で生姜焼きのルーツになるレシピが掲載されているらしい（こちらは国会図書館でネット公開されていないので確認していません）。

肉の醤油漬け・味噌漬けなら、1893年（明治26年）発刊の『家政学上』に載っている。
『肉を醤油漬けや味噌漬けにして、それ焼いて食べる料理』という「焼肉」は、傷みやすい肉という食材を家庭で保存し腐らせない為にというのでも一般的な手法でもあったのだ。そう考えれば、現在の『焼肉』という料理のルーツとして下味を付けて食べる肉料理というのも、それほど珍しいわけではない（世界的に見れば肉の保存は「塩漬け」の方が一般的であり、日本でも肉の保存として一般的なのは確かだが、そこに「醤油」「味噌」という日本の調味料や、その以前からの醤や未醤があるので、『肉を調味料に漬けて味を染み込ませる』料理は当然のように出てきたのでしょう。
この「醤油漬け」「味噌漬け」ですが、魚や野菜、卵などにも使われており、ようは傷みやすい食べ物を保存する役割もあったのです。

1905年（明治38年）発刊の『月刊食道楽』の第1巻第1号には「渋沢氏の焼肉」というのを目次から確認でき。

明治時代でも1909年（明治42年）の『新食道楽』では豚の焼肉があり、こちらは味噌漬けした豚肉を焼いて食べると美味しいと書いてあり、この当時に『焼肉』は既に食べられている。同じ1909年で『四季毎日三食料理法冬の部』では「牛肉味噌漬け焼」の『焼肉』が書かれており、肉に下味を付けて焼く料理は一般的である事が分かる（肉の味噌漬けは江戸時代から存在する）。同年の『四季毎日三食料理法秋の部』には、「牛肉山椒醤油焼」「豚肉山椒醤油焼」と、『焼肉』を書かれているが、こちらは「焼いた肉」料理で『焼肉』料理ではないと思われる（ここら辺の料理は、1907年「日本料理法」に調理の仕方が載っていた）。

1916年（大正5年）発刊の「田中式豚肉調理法」にも、醤油漬けや味噌漬けした豚肉を網で焼く料理が記載されている。

このように『焼肉』という料理も、それが出来るまでの歴史が日本にあります。

【朝鮮半島の『焼肉』】

それに対して、朝鮮で『焼肉』という単語が使われたのは、20世紀に入ってからだ。
文献上では1922年4月1日付の「開闢」に初めて登場する。以来、1920年代に焼肉は酒のつまみによく登場し、1930年代には「平壌の名物」として位置付けられる。「ノビアニ」と「焼肉」という言葉は、20世紀半ばまで混ざって使われている。
「ノビアニが焼肉のルーツだ」という俗説は、1958年『高等料理実習』と、韓国になってからのナショナリズム的な俗説から来ており、ここには「ノビアニの俗称の焼肉は下品な呼びかけである」と記しているが、朝鮮半島の「肉を焼く文化」は串焼きの「炙（ジョク）」の事なので、この俗説自体が出鱈目であり、これは料理としての『焼肉』のルーツにはならない。また「ノビアニ」自体は「広い肉の部位」という意味であり、ようはなんでもかんでも肉を炙ったものでしかなく、本来を言うと料理の名前でもないのである。1950年発刊された「大辞典」には、『ノビアニ』は「醤油で味付けして焼いた牛肉」、『焼肉』は「炭の隣で直接焼きながら食べる獣の肉」と記載されているように、別の料理としてきちんとあったのだ（実際を言えば、本来のノビアニは味付けは塩で、串に刺して炙り焼きしてそれを皿に盛る料理の事を言う。それとは別に「醤油に漬けて串に刺して炙る牛肉」で「醤散炙」や「薬散炙」などというのがあり、ノビアニとは違うので、1950年発刊された「大辞典」も間違っている）。
というように、朝鮮半島で「焼肉」という言葉が出てきたのは日本に比べるとかなり遅く、そして日本統治時代に出て来た語彙である。

【味噌漬けの焼肉】

味噌漬けも歴史があり、江戸時代でも食べられていたものである。
最近の焼肉だと、味噌ダレ漬けのものもあるが、肉の味噌漬けは江戸時代でも薩摩藩や彦根藩の名産品で、将軍も愛したものである。

【朝鮮風の味付けの焼肉】

古くから「肉に下味をつけて焼く料理」は戦前どころか、それよりも前の江戸時代、さらに古くは平安時代には既にある肉の下処理や料理の手法であり、ジンギスカンでもその影響を伺えます。この様な料理文化の歴史の中で、『焼肉のルーツ』としてよく言われる俗説で「戦後の大阪の屋台で在日朝鮮人が出したホルモン焼き」というのは下味が朝鮮風味付け、つまりニンニクを効かせた胡麻醤油ダレに漬け込んだホルモン焼きというだけです（また「ホルモン焼き」自体が戦前には食事屋のメニューに既に存在しているので、「日本では元々は内臓肉は食べず、内臓肉は戦後の食糧難で在日朝鮮人が食べだした」というのも俗説で史実とは異なり、それより古くから内臓肉を日本では食べています。それより古い時代では「もつ焼き」と言う名称で存在しています）。

しかし、その「朝鮮風の味付け」も戦前には既に日本には一般的にあり、ニンニクを効かせた胡麻醤油ダレに漬け込んだ肉を鉄板や網の上で焼く「朝鮮風の焼肉」という料理名は、1961年発刊の雑誌『栄養と料理』でも記載（ここでは、最近は家でも電気プレートで出来るという事が書かれている）が確認出来ます。現代で家庭で食べる焼肉とほぼ一緒ですね。
わざわざ「朝鮮風」と名付けてある通り、それより前に今の『焼肉』の調理法をする料理自体は存在しているわけですね。
ちなみに「西洋料理の焼肉」という名称も明治初期の書籍からよく出てくるのですが、「焼肉」という言葉は、元々は特定の料理名ではなく「肉を焼いた料理」全般を指して言う言葉です（ただ、「肉を焼く」という一般的な調理法を指す「焼肉」と『焼肉』という料理を分けられていない人は時々見かけますね）。
ですので、ステーキもハンバーグもローストビーフもラムチョップもポークソテーも七面鳥の丸焼きでも「焼肉」と説明が入っています。1961年の料理も「朝鮮風味付けの焼肉」であって、「朝鮮料理の焼肉」とは書かれていない、あくまで「～～風（like）」であるーーつまり、「ニンニク臭い味付けをした肉を焼く料理」ということです。ハンバーグでもディアボロ風などがあるのと一緒です。
ーーと思ったのですが、『実用飲食物辞典（1911）』を見ると「朝鮮風」というのは「胡麻醤油を使った料理」というので使われているみたいですね。胡麻油自体も日本では歴史が古く、縄文時代あるいは奈良時代から使われています。奈良時代から調味料として使われている事は文献から分かりますが、それよりも古くから使われていた可能性も指摘されていものですね。その胡麻油を沢山使い利かせた醤油ベースのものを「朝鮮風」と名付けているのです（実際を言うと、胡麻の栽培も日本統治時代で格段に増やした作物の1つで、朝鮮半島ではそれまでは大変に貴重な油だったので王族や裕福な両班が贅沢品として使う程度です。それを栽培量を格段に増やし庶民でも使える油になったので、"贅沢の味"としてたっぷりと使う朝鮮人が増えたという事ですね）。

1940年には、『婦人倶楽部』に牛肉を韓国式に焼く「プルケギ」という料理が紹介されていますが、これも「醤油に胡麻油」という「胡麻醤油を使った料理」ですね。あと、元は牛肉ではなく犬肉（ケコギ）だとは思う。

【焼肉のルーツ】

よく言われるのが「戦後、大阪の屋台で在日朝鮮人が売ったホルモン焼きが焼肉のルーツ」というのがありますが、これは俗説で嘘です。
明治時代から戦前までの資料を確認すると、それ以前から内臓肉の料理があるし、古くは奈良時代の文献でもあり、江戸時代ではある階級の人々が食べていた記録があります（漫画『カムイ伝』にも描写があるのですが、その描写が正しかったという事ですね）。
また、朝鮮風の胡麻油とニンニクを利かせた漬けダレに肉を漬けるのも戦前に紹介されています。
つまり、この説は俗説であり違うと言う事です。

強いて言えば、10世紀『延喜式』の「獣肉の醤油漬け」から、幽庵焼きと発展し、さらに漬けダレの形が変わっていき、醤油がベースとなる漬けダレで肉に下味を付ける料理の中で「生姜を利かしたタレに付けて焼く肉料理である焼肉（生姜焼肉）」は今は『生姜焼き』と呼ばれるようになり、「ニンニクを利かしたタレに付けて焼く肉料理である焼肉（大蒜焼肉）」は今は『焼肉』と呼ばれるようになった、と考えるとしっくりくるだろう。
味噌に漬けるのは、江戸時代なら彦根藩の牛肉の味噌漬けや薩摩藩の豚肉の味噌漬け、或いは古都京都の西京焼きとして、別の名前としてそれぞれの料理が出来ていくわけだ。
その中で「焼肉（肉を焼く料理の総称）」の中の1つとして今の『焼肉』と言えるう料理は既に存在はしていたが、『焼肉』という料理ジャンルとして独立して出来たのが戦後すぐ、ということなのだろう（その代わり、他の「焼肉（肉を焼く料理の総称）」に含まれていた料理は『焼肉』という名称が使えなくなり、「焼肉」は肉を焼く料理の総称として使われなくなっていく。

敢えて他国の影響を……となると、どうもヨーロッパ料理でしょう。
肉料理については豊富にあり、明治初期から西洋料理の調理法を書いている書籍はたくさん見つかりますし、20世紀に入る頃になると中国の料理を書いている書籍も見つかります。
それに対して、朝鮮料理を書いている書籍は大変に少なく（というか見つけられてない）、まだモンゴル料理の方が羊肉料理のもので見つかります（あまり参考にならないとも記載がありましたが）。

ちなみに、朝鮮半島では内臓を料理に使うのは大変に少ない。
大邱でのギアラの由来もそれほど古くならなかった。 1970年代初めギアラでチゲを作ったが、チゲに入れたギアラが味もしみこまないでそのままで、おつまみとして合わなかった。ギアラを捨てることもできなくてして悩みの末に煉炭火に焼いて,酒のつまみにしたのが思いのほかお客さんらがしこしこした味がおつまみに最高といううわさが相次いだ。

ギアラはその時期だけでも牛肉副産物と共にスープを煮ることにだけ使われたのでギアラを焼いて、味噌ソースというものにつけて食べるということはコロンブスの新大陸発見ぐらい大発見だったものであり、半世紀をやっと経ったぐらいの新しい食材なのである。

【韓国から来た料理ではない】

「平壌焼肉が日本の焼肉に近い形態で、朝鮮から来た可能性が高い」という説もあるのだが、そもそも平壌の焼肉は日本式の焼肉で1920年代後半から1930年代に出来た料理であるし、日本の歴史食文化を確認すればやはりそれも俗説でしかない事を示している。「焼肉」は、10世紀『延喜式』の「獣肉の醤油漬け」や、日本の江戸時代初期から中期にはあった「幽安焼」、明治初期には書籍に出てきている「生姜焼肉（生姜焼き）」などの系譜となる料理なのだろう。
他にも肉の塩漬け・味噌漬けなどがあり、それを焼いた料理は江戸時代でも幾つも記録が残っている。味噌漬けだと有名なのは『薩摩の豚肉』や『彦根の牛肉』はよく知られている。塩漬けは日本は周囲全体が海だけあり、もっと遥か昔から存在する保存食でもある。

「肉に下味をつけて焼く料理」は戦前どころか、それよりも前の江戸時代、さらに古くは平安時代には既にある肉の下処理や料理の手法であり、ジンギスカンでもその影響を伺える。この様な料理文化の歴史があるのだが、ただ、基本的に言えば戦前までは『肉を焼いた料理』の総称を指して「焼肉」と言っており（これは朝鮮語の「ブルコギ」と一緒）、今の『焼肉』という料理を明確に指して言っているわけではないのだろう。
つまり、味付けも在日朝鮮人が作った訳でもなく、既にそのような味付けの漬けダレは日本には出来ており、その上、牛肉や豚肉、鶏肉、羊肉など様々な肉をその漬けダレに漬けてから網や鉄板の上に置いて焼く料理手法――つまり今の『焼肉』そのものといえる料理――が戦前には既に存在しているのだ。

【韓国の焼肉】

『焼肉』という料理が韓国に来たのは1960年頃からで、日本からの豚肉の輸入と当時に日本で豚焼肉が流行っていたからである。
だから、韓国の焼肉はメインが豚肉なのである。
1970年に焼き肉の紹介記事なども出始めており、1980年代に日本の焼肉チェーン店が韓国に出店して韓国で『焼肉』料理が流行り出す。今のサンチェにコチュジャンを塗り、焼いた肉や総菜を置いて巻いて食べると言う食べ方もこの頃に勘案されたものである（食べ方自体は朝鮮時代からある食べ方）。
だが、漢字と読み方で、この『焼肉』という料理と、たんに「焼いた肉」という料理の区別がついていない者が多い。
サムギョプサルは名前も日本から（日本での豚バラの別名が「三枚肉」で、これを朝鮮語読みをしただけ）で、1960年代に日本の豚焼肉の真似をしてできた料理である。
この韓国における「豚肉」食の拡大は理由もきちんとあるし、日本統治前や日本統治中の朝鮮半島の肉料理はどのようなものだったかは、ある程度記録に残っている。

1934年の安倍能成の随筆『或る日の晩餐』に、当時の朝鮮の「焼肉（焼いた肉）」と言うのが出てくるが、これは串にさして炙るというもので、これは朝鮮では一般的な食べ方であったようだ。

【ある人の記録】

在日コリアンの深沢潮さんの記録に

「1985年、韓国人の学生と在米コリアンの学生を日本で焼肉屋に連れて行った。韓国人の学生も在米コリアンの学生も、日本の焼肉店のような店は韓国や米国にはないので珍しがっていた。」

というエッセイもある。この頃まで、韓国では焼肉屋というのは珍しいレベルだったのだ。
また、

「父は祖母の臨終の際に訪韓して以来、ひとりで、あるいは家族をともなって、旧正月や秋夕、祭祀、夏休みや春休みなど頻繁に故郷の三千浦に行くようになるが、民主化以前は、相当の緊張感と覚悟をもって渡韓していたのだろう。その後父は、民主化以降に、やっと、なにも憂いなく、たびたびひとりで韓国に行くようになり、それは、つい4年前、80代後半になるまで続いた。」

とある（父親は韓国の民主化活動を日本で行っており、当時の韓国の軍事政権に監視をされていたらしい――韓国の民主化でも、日本は大きな役割をしているのだ）が、

「サムギョプサルも焼肉とするならば、案外、在日コリアンは、ことにオールドカマーと呼ばれるひとたちにとって、豚の三枚肉を焼くサムギョプサルは、最近まで馴染みのないものだった。私もサムギョプサルは、ママ友に連れられて行った新大久保で、2000年代の終わり頃に初めて食べた。1世の父や2世の母にいたっては、これまで食べたことすらない。」

とあるように、1960年代に出来たサムギョプサルも韓国ではそれほど食べられるものではなく、実は、日本の焼肉屋が1980年代に韓国で出店して、焼肉屋がメニューの中にサムギョプサルも入れ、それで認知度があがった料理なのである。

【韓国wiki】

韓国wikiの「焼肉」の項目には
「19世紀には焼き網が導入され、グリルを利用した炭火焼が誕生した。 19世紀の風俗を記録した『東國歲時記』にはソウル地域の「煖爐會」という風習が挙げられるが、この時描かれる食べ物が現代の焼肉と似ている」と書いてあるが、これは荒唐無稽で、かなり無理矢理こじつけているし、焼肉に似てもいない。韓国wikiの説明では、

都俗熾炭於爐中置煎鐵炙牛肉調油醬鷄卵葱蒜番椒屑圍爐㗖之稱煖爐會
自是月爲禦寒之時食卽古之
ソウルの風俗に火炉に炭火をつけてグリルをのせた後、牛肉を油、醤油、卵、ネギ、ニンニク、胡椒などで味付けして焼きながら花廊に囲んで食べるが、これを「煖爐會」という。炭火焼は寒さを防ぐ時節食品で今月[10月]から見ることができ、暖炉会はすぐに昔の「難暖会」のようなものだ。

とあるが、訳し方が間違っている（そもそも食品でもない）し、焼き網でもない。正確には、

都俗熾炭於爐中置煎鐵炙牛肉調油醬鷄卵葱蒜番椒屑圍爐㗖之稱煖爐會
自是月爲禦寒之時食卽古之
京城の風習で、炭を入れた炉に鉄板を置き周りに集まり、牛肉の油焼、ソース、鶏の卵、玉ねぎ、にんにく、唐辛子を食べる習慣がある。寒い時期に調理済みのものを冷めずに食べる風習ですね。

と書いているだけでである（ようは、保温しながら食べているだけ）。
日本でも古来より囲炉裏を囲んでの食事がありますが、それに似たようなものなります。
朝鮮では従来は調理用の炉は屋外に固定された調理場を持つ構造であり、炉が部屋の中にある構造ではありません。この『難暖会』の食べ方は、『圍爐』と呼ばれる「炉を囲んで食事をする」という風習から来ているものです。
それぞれを読めば、

・都俗（京城の風習）
・熾炭於爐中置煎鐵（炭を炉に入れ鉄板を置き）
・炙牛肉（炙った牛肉）
・調油（油）
・醬（ソース）
・鷄卵（鶏の卵）
・葱（玉ねぎ）
・蒜（大蒜）
・番椒屑（唐辛子）
・圍爐㗖之稱（この炉辺で食べる風習を）
・煖爐會（暖炉会という）

と書いてある。最初に「都俗（京城の風習）」と書いてあるのに、これを料理だと勘違いしている韓国人がいるのです。
どんな食べ物かは、グリルの上で肉を広く焼くもので、煮たり煮込んで食べるもので、画像を見ても分かるが、『焼肉』とはまったくの別物である（これを韓国では『焼肉だ』と言っているのであるが、単なる肉を入れて濃い味付けで作った炒め煮ですね）。

ちなみに、『東國歲時記』とは1849年発刊された書物で、歴史的な部分には、中国の史料の引用が多い。
これは、朝鮮には資料がほとんど残っていない為である。また、内容的には『京都雜志』から内容をパクっていたりする。朝鮮時代後期については比較的しっかり記載があるが、中期以前の内容には信頼性があまりないという書物である。そのパクられ元の『京都雜志』は、朝鮮時代後期、正祖の時代（1776～1800年）に書かれたと考えられる風俗記録。一般庶民の生活様式の記録、第2巻には当時の記述しつつ、多くの文献を引用して考証し、起源と由来まで明らかにしようと努力しており、多くのルーツが中国にある事を明らかにしている（ただし、韓国では「民俗のルーツを過度に中国に結びつけようとする傾向があり、その内容の分析には慎重な判断が必要である」などとしている……いや、どう見ても中国ルーツのものがほとんどなのだが）。
先にも書いてますが、この風習文化の元は中国の『圍爐/ûi-lô͘/ウイロオ』と呼ばれる「炉を囲んで食事をする」風習で、本来は年越しに行っていたものです。
そもそもが『焼肉』は「客が自分で肉を焼くという朝鮮半島にはない習慣」という基本的に『おひとり様文化（集団で食べていても、個々の「おひとり様」が集まって食べているだけ）』ですからね。ピビンバもそうだが、「客が調理する料理」は日本独特な文化から来ているのである。

【ブルコギは焼肉のルーツではない】

最近、「ブルコギが焼肉のルーツだ」という人を見掛けますが、これは勘違いです。
そもそもが、「ブルコギ」という言葉と、『ブルコギ』という料理は違います。

【現在のブルコギ】

朝鮮での昔のブルコギの語彙は単に「火（ブル）」「肉（コギ）」という意味なだけで、今の醤油ベースのタレに漬け込んで焼くスタイルの『ブルコギ』という料理とはまったく異なる。その後にできるスタイルも焼いた肉を盛り付けてから食べるような高級料理だった。
韓国農水産食品流通公社によると『今のブルコギ』という料理の正確な始まりは「朝鮮戦争で家を失った庶民が屋外でコンロを囲んで食事をするようになり、醤油ベースで味付けをしたあとに鉄板で焼いて食べたことから」とあるように、出来たのは朝鮮戦争より後の事です。この事からも、「ブルコギが焼肉の元になった」「ブルコギがすき焼きの元になった」というのは俗説であり（『ブルコギ』という料理ができるより約100年前には日本には『すき焼き』も「いまの『焼肉』とそっくりの料理」も既にある）、事実ではない事は確実です。

【『ブルコギ』という料理の名前】

なぜ今のブルコギを『ブルコギ』と言う料理名かというと、カルビと同じで日本から来たせいが半分ある。
1961年発刊の雑誌『栄養と料理』で「朝鮮風の焼肉」のレシピ紹介をしており、この料理を朝鮮語名では「ブルコギ」という名称で紹介したのが確認出来るが、ニンニクを利かせ唐辛子粉を加えた胡麻醤油ダレに牛肉を漬け込んで焼く料理で、この「胡麻醤油」の味付けが『朝鮮風』で、それにニンニクと唐辛子を利かせるてガツンとくる下町の味なわけだが（具体的には、みじんねぎ・潰し胡麻・胡麻油・砂糖・醤油・ニンニク・唐辛子粉・胡椒を混ぜたタレである）。この「焼肉」を拙く朝鮮語訳読みで「ブルコギ（『焼いた肉』を朝鮮語風に伝えようとした意訳）」としているのだが、この日本語から拙い朝鮮語訳読みをしたものを見て、「ブルコギが起源だ」という勘違いが生まれているのだ
もう半分は朝鮮のせいで、入ってきた時に独自の名前を呼ばなかったからである。これは他の食べ物でも同じだが、独自性のある名前を付けるのでもなく、過去の単語の読みをそのまま持ってきており、それで過去の単語の語彙を失わせているので、歴史資料を読む上での混乱に繋がっている。基本的に朝鮮独自の語彙が少ないので、独自の名前を名付けられていないわけだ。

本当に『焼肉』が韓国から来ているというなら、『불（ブル：火）고기（コギ：肉）』ではなく『구운（グン：焼き）고기（コギ：肉）』や『번육（beon-yug：炙り肉）』という名称を付けているでしょう――不思議ですよね。『불（ブル：火）』『고기（コギ：肉）』なのに、『불고기（ブルコギ）』になると「焼肉」となっているのは。ハングルは中国漢字の中国語読み（主に漢音）の当て字をした朝鮮読みであり、中国漢字は基本1文字1音だからハングルも1漢字1音なはずなのですが、『불（ブル：火）』は「焼き」の漢字にはならないのに、なぜか『焼肉』は『불고기（ブルコギ）』と訳すという、ハングルなのに『焼』という漢字に対して読みが安定していないというおかしなことになっています。

ちなみに、『焼肉』を中国語で書けば『烤肉（カオロウ）』になります。例えば機械翻訳させれば、

日本	焼肉	焼き肉	炙り肉	煎り肉	バーベキュー	焼き鳥	焼き豚
中国	烤肉 (カオロウ)	烤肉 (カオロウ)	烤肉 (カオロウ)	烤肉 (カオロウ)	燒烤 (シャオカオ)	烤串 (カオチュアン)	烤豬肉 (カオジュウロウ）
韓国	불고기 (ブルコギ)	볶은 고기 (ボックンゴキ)	볶은 고기 (ボックンゴキ)	볶은 고기 (ボックンゴキ)	바베큐 (バベキュ)	야키토리 (ヤキトリ)	구운 돼지 (グンドゥェジ)

と、『焼肉』『ヤキトリ』の朝鮮語はなんかおかしいですね？特に『焼肉』と『焼き肉』が同じ意味なのにまったく発音が違うのはおかしいですね。
これは『焼肉』の朝鮮語読みが、日本由来の和製朝鮮語（なんちゃって朝鮮語）だからです。
バベキュはアメリカ由来ですね。

実際に言うと、朝鮮では「焼いた肉」の語彙をきちんと持っている（持っていた）。
肉を焼く料理として『炙肉』という語彙で『번육（beon-yug）』という言葉や、朝鮮の祭祀で積む炙り肉を韓国ではルーツだと言うが、この言葉は『肉炙』という語彙で『육젹（yugjyeog）』という言葉、他にも炙りたる肉や魚という語彙で『구이（gu-i）』が存在するが、『ブルコギ』とまったくが違いますね。つまり、ルーツでもなにでもないのです。

基本的に、朝鮮では肉を焼く場合は『炙る』を当てます。焼き方で多いのは、肉を串に刺して炙って肉を焼きます（もし「焼肉」が朝鮮から来たものなら、『焼肉』という漢字ではなく『炙肉』という漢字の名称になっていたでしょうね）。これは、朝鮮では木炭があまり使われてなかった事にも関係してきます。すなわち。火が立ち上がる様な中で行う料理が一般的であり、じっくりと調理に熱を長時間加えるような料理は一般的ではなかったのです。
『焼き（불）』『肉（고기）』という言葉自体が、単純に日本語の「焼肉」から来ています。

朝鮮半島の人々は一般には木炭を使用する習慣がなく，朝鮮半島で木炭を使用する人は主に同地に在留する日本人であった。
また，これらの朝鮮に在住する日本人が同地で生産されたものを使用したこともあった（作られていなかったわけではないのだが、木の根まで使う森林破壊的な林業であり、「禿山だらけだった」と揶揄される朝鮮時代後期の風景は、このような朝鮮人の森林破壊によって作られたものである。『植林』なの言葉なども知らず、木々など自然に生えてくるものと只管に自然を消費していたのだ。また木炭を使うにしても地位の高い両班など極限られた範囲であり、一般には草木や藁、薪などである。その後、日本統治の森林保護のために違法伐採が禁じられて、朝鮮炭の生産量はかなり少なくなるが、植林などの事業により植生が復帰し始めると木炭製造も再稼働し始める）。
朝鮮の従来の木炭製造技術は拙いもので無駄が多く、日本統治下になり日本式の木炭製造法が伝わり品質が上がります。また、朝鮮の切り株の根まで掘り起こして作る独自の『根炭』は土壌を荒廃させるため、日本統治下では無暗に行わないように厳しく監視・管理をします。特に、植生回復の植林事業を開始した最初の10年は厳しく制限をしており、灌漑や土壌保水のためにも森林回復を優先させます。そこから回復してくるのは1920年ぐらいで、そこから林業が再開され始め、1930年ぐらいから輸出産業として確立していけるようになります。
日本人が木炭を生活の中で使うのを真似して、ソウルなどでは木炭を使うのが一般的になってくるのだが、そこからやっと『炙る』料理ではなく『焼く』料理が朝鮮半島でも出てくるのですが、まぁ、一般的に『日本の料理の模倣』料理が出てくるわけですね。

【「ブルコギ」の意味】

今のブルコギは1960年代に、日本のジンギスカンの模倣料理と韓国の料理本にも載っている。
『今のブルコギ』というのも、昔の「ブルコギ」とは別物だからである。元々の意味は、意訳した上で『火で焼いた肉』という意味でしかなく、言ってはなんだが、本来の意味は味付けをするしないなど関係なく、肉を、焚き火で炙ろうが、鉄板で焼こうが、炭火で焼こうが、「ブルコギ」であり、言ってしまえば料理名ではないからだ。日本の料理だと、アジフライだろうが唐揚げだろうがフライドポテトだろうがコロッケだろうがトンカツだろうが『揚げ物』というようなもので、「油で揚げた料理」としての意味なのだと同じだ。ステーキもケバブも焼き鳥もBBQもラムチョップも「ブルコギ（火で焼いた肉）」なのである。
余談だが、火で焼いた肉というだけなら日本ではその痕跡が土器時代より前、石器時代での痕跡があり、朝鮮半島よりもよっぽど古い。『肉を焼く料理』は世界各地にあり、朝鮮半島では人類がほぼいなかった7000年前～12000年前でも考古学的遺物として肉を焼いた痕跡は様々な国で見つかっている。

朝鮮戦争後に現れた「ブルコギ」とは、日本の焼肉とジンギスカンを融合させたものが「今の『ブルコギ』」である。
順番に言えば
・朝鮮半島を占領し支配下に置いたモンゴルの影響を受けて新たに始まった朝鮮の「肉を焼く」文化
・統治時代に日本の「醤油ベースにニンニクを利かせた日本的下味の焼肉」が影響を与え、平壌の料理として定着し
・戦後に日本の「元のベースに胡麻油も加えた日本的朝鮮風下味の焼肉」が影響を与え、「プルコギ」という和製朝鮮語が生まれ
・そこにさらに朝鮮戦争後は日本の「ジンギスカンの食べ方」が影響を与え、韓国の『プルコギ』という料理が出来た
という、日本からの影響をバリバリに受けたキメラ料理が『プルコギ』になる。
またブルコギパン（1962年）という中央が盛り上がった独特な鍋も韓国では使うが、これはそのままジンギスカン鍋のそのままパクリである。日本では古くは1936年には、その独特の形状をした鍋をお店で利用したとの記録がある。

「プルコギと言っても、汁が多いプルコギもある」という人もいましたが、それさえも日本のジンギスカンの模倣です。
1930年創業した日本橋の老舗店が出しているもので、海軍コックが戦後に考案した「ジンギスカン」がそのような「煮るジンギスカン」です。

【醤油の漬け込み】

今の韓国で食べる焼肉やブルコギにおける肉の漬け込みは醸造醤油ベースが多いが、しかし、タレに使うような醸造醤油はアミノ酸などを加えて作られたものであり、この製法は日本で作られたもので、統治時代にその製法が朝鮮に来たものだ（今の韓国で一般的に使われる醤油はこの方式）。それ以前の朝鮮では汁物に使う塩分濃度は高いが薄いものしかなく、これは本来は醤油ではなく”醤”という中国由来のものなのだが韓国では分けられていない（韓国餃子が日本の餃子と中国の点心が分けられていないのと似たようなもの）。以前にトランプ大統領が訪韓した際に「350年の歴史がある醤油」と紹介しているが、韓国の”醤油”はまだ100年も経っておらず、それ以上前のものは”醤”なので紹介自体が間違いである（ただ、韓国では”醤油”と”醤”の違いが分かっていない者も多い）。逆に醤については350年よりもっと歴史がある。
そして今の醤油は、韓国では独自には日本のような味わいある醸造醤油が作れず、韓国で「醤油の名人」と言われるセムピョ食品のオ・ギョンファンが1986年に日本の有名醤油製造メーカー「ヤマサ」の麹室を見学した時の秘話を話している。当時、日本の醤油メーカーの製造技術は「韓国をはるかに上回っていた」ため、見学中にできるだけ大きく空気を吸い込んで鼻の中に菌の“種”である胞子を集め、麹室から出るとすぐにティッシュで鼻をかんだ。それを帰国後に分析してできたのが、今、韓国で一般的に使われている醤油だ。

余談だが、日本では実際に370年を超える醤油企業は現存している。上のオ・ギョンファンが菌を盗んだヤマサ醤油は1645年創業なので379年経っている。
日本だと、醤油も味噌も、それが出来てくる過程や商業活動などがある程度わかり、ここで日本独自になったのだな、と分かる事が多いのだが。

【雪夜覓と貊炙】

朝鮮では高麗時代には厳しく肉食を禁じられていたが、これがモンゴルに占領され支配され、モンゴル人の欲求から肉食が復活する。
この中で、高麗後期に出てくる「雪夜覓」が焼肉のルーツだと俗説があるが、これはモンゴルでは冬に赤い物を食べる文化の模倣であり、別に『焼肉』料理のルーツとは関係がない。この「雪夜覓」という料理は「焼いて、水で洗い、また味付けをしてを何度も繰り返す肉を焼く料理」とあるのだが、この当時のモンゴル肉料理というと味付けは塩（岩塩）なので、何度も塩を付けて焼くと言う、つまり塩辛い干し肉に近い味わいの料理だと推測される。
似たような料理がモンゴルにはあるが、これはまた馬乳酒とよく合う。
1910年代頃のモンゴル料理で、羊肉を煮て塩を掛けて、それを焼いてという羊肉料理があるので、高麗時代の文献にある「雪夜覓」もこの系統の料理と考えられる。

また、『貊炙』という料理は『三国史記』に出てくるが、「高句麗人が肉を焼いて食べる料理」と記述であり、具体的な肉の種類や調理法不明である。
「貊」とあり、この文字は古代中国東北部から朝鮮半島北東部にかけて居住していた民族を示す言葉であり、この民族は古代朝鮮・中国東北地方で活動したツングース系の人びとで高句麗を建国した人々であり、２～３世紀の中国文献では貊は鴨緑江流域の高句麗部族を指すようになる。これから、まぁ、「高句麗の炙り肉」という感じで説明しているものではと思いますね。
近いであろう料理は、モンゴルの「ショルラッグ（羊肉の串焼き）」に近い料理なのでしょう（味付けはほぼ塩のみの炙り肉料理）。
実際、韓国の料理研究でも「韓国の伝統的な肉焼きは、貊炙(貊炙)に由来する。貊は中国の東北地方を指す言葉で、高句麗を指す言葉である。貊炙は肉を串に刺して直火で焼く料理」とある。

どちらにしろ、『焼肉』料理とはかなり違うものである。

また、確かに「雪夜覓」や「貊炙」は朝鮮半島の歴史にある料理ではある。が、別に韓国の系譜の料理でもない。
日本で例えるなら、『餃子』と言う料理を日本発祥だと言っているようなものである。
（色々な国で、他の国から影響を受けてそれを自国の料理に昇華していくものだが。韓国はそれを認めず自国発祥と言いますね）

高句麗建国はツングース系でも扶余族系になり、高麗もその系統になる、この扶余族は衛氏朝鮮での支配階級側の民族の１つである。
韓国は民族宗教であるアミニズムから、扶余族系ではなく、濊族系民族になる。これは衛氏朝鮮では被支配階級の民族であり、衛氏朝鮮が漢に滅ぼされる際に南に逃げ、倭族の助けで辰国、そして新羅を建国した民族になる。
馬韓が中国系民族集団で、弁韓が倭系民族集団。伽耶が倭系民族の国家で、百済は中国系民族と倭系民族の混ざった国家であるので、韓国人の系譜民族とは異なる。
これは、建国を助けた国であるのに伽耶を滅ぼし、百済や高句麗を裏切り唐に従属し漁夫の利的に半島を統一（北部には中国の監督府が置かれており、半島の大同江以南）し、他国（高句麗や百済）の遺産文化を強奪した経緯と同じになる。
また、新羅は仏教国家だが、その仏教伝来は「日本に、日本の仏教伝来より以前に、日本の僧が新羅に色々と教えた」事が新羅伝にある。
統一新羅と同時代に、半島の北方には渤海があって、新羅の支配は大同江（平壌付近）までに留まり、旧高句麗の治めた鴨緑江流域と現在の中国東北地方には及ばなかった。
また、韓国では「新羅は朝鮮半島支配を狙った唐軍を６７６年に撃退』などと習うが、新羅は別に唐と戦っていないし、高句麗との戦いも唐と高句麗貴族の戦いの長期化で疲弊し唐が撤退しており、それを漁夫の利的に疲弊した高句麗を奇襲し滅ぼしたというものである（wikiを確認しましたが、情報の汚染が激しいようですね）。

面白いと言うか、韓国が学校で習う歴史では新羅が戦ったように記載しているが、資料で新羅が戦った記録はほとんどないので、ほぼ創作である（白村江の戦いにおいても日本と新羅との直接的な戦闘がほとんどなかった）。

それに、高麗と李氏朝鮮も、主たる民族が変わっており、王朝に連続性がない（なぜか韓国では、「1500年王朝が続いた」などと習うようだが、王朝は度々変わっており主な民族も変わっており、連続していない）ので、高麗時代の文化も李氏朝鮮時代は「滅ぼし奪った文化」でしかない。

【ちなみにジンギスカンについて】

ちなみに『ジンギスカン』という料理はモンゴルとは関係がなく、1910年頃に、羊毛目的の家畜に羊の余剰部分（肉）の処理として勘案された料理で、羊肉といえばモンゴル、モンゴルといえばジンギス・カーンと、なんともふわりとした理由で1920年頃に名付けられる。中国の料理をモデルにしたとも言われるが、それは本当か分からない（南京料理は「かしわなんばん」みたいだ、とあるので違うだろうし、料理を見ても江戸時代の柚庵焼き料理の方が近いだろうが、当時の羊料理を勘案する時に多く参考にしているのは、どちらかというと資料にはフランス料理が出てくる事が多い）。名前の付け方は、ナポリタンや天津丼や台湾ラーメンやナポリ風ドリアと同じく（全て日本発祥料理）、他にもなんとなくで付けられた料理は日本ではよくある。
1926年発刊の書籍「素人に出来る支那料理」で「ジンギスカン鍋」の名前が出てくるが料理を直接に言っているのではなく、「この中国料理に似て非なる料理」として名前だけが挙げられている。この時の料理は「烤老」という豚肉料理で、生姜・葱の微塵切りを醤油に入れ、豚肉を入れて味が染みた頃に取り出し網の上に置いて焼く、という料理であり、ジンギスカンというのが肉は違うが『焼肉』料理と同じ系統の料理であった事がわかる。

【サムギョプサルも戦後の料理】

「サムギョプサル」も1960年代（正確には1959年）から韓国で出てきた料理で、日本から輸入した豚肉（バラ肉）と、日本で当時に流行っていた豚焼肉の模倣から出来たものである。
本格的に外食になるのは、1970年代末からのこと。
部位は豚バラ肉なのに朝鮮語で『バラ肉（장미 고기）』を指す語は用いられず、なぜ『サムギョプサル』という名称かというと、日本では豚バラ肉を「三枚肉」という名称でも呼ぶためであり、この「三枚肉」を単純に朝鮮語読みをしたのが「サムギョプサル」という名称になっているからである。『サムギョプサル』は韓国料理だが、その来歴は日本の豚焼肉の模倣からのものなのである。これを、きちんと残していないのが、韓国の「語彙」の問題になっているのだ。
「サムギョプサル」という名称自体は、日本統治下で生まれている。ようは、日本の「三枚肉」なだけなのだが、1931年方信榮が書いた「朝鮮料理製法」（第6版）に出てくる「サンギョプサル（ペッパジ）腹につなぐ肉（豚肉の中で一番おいしい肉）」と呼ばれる詩が三枚肉の最も古い記録である。

清州地域でサムギョプサルを大衆的に食べ始めたのは1960年代。
当時、練炭火の上に置いたグリルに塩をかけたサムギョプサルを置いて焼いて食べた。食堂では1960年代末、清州市南門路付近にあった「万収集」と「娘の家」が日本語の「塩焼」と呼ばれた"サムギョプサル焼き"を初めて商売として始め、このレシピが全国に流行したと伝えられる。1970年代初めには塩の代わりに醤油ベースのソースに漬けたサムギョプサルを鋳鉄の仏板の上に置いて焼いて食べる形が清州に登場する。醤油ベースのソースにサムギョプサルを漬けて取り出して焼き上げると、豚肉の臭みが消えて肉質は柔らかくなると評判になり、スタンダードになったものである。

【朝鮮時代の肉料理】

それまで豚肉は朝鮮では統治時代を除き庶民ではほとんど食べられない祭祀の際に使うような高級肉なのだ。

例えば『朝鮮王朝実録』だと、

牛肉: 牛禁に関する記事、祭祀、宴会、褒美、価格、流通などに関する言及が非常に多く見られます。病気の王族への滋養食としても記録があります。
牛禁とは牛肉の屠殺や消費の制限で、これを破ると厳しい刑罰になっていたようです。
豚肉: 琉球との交流に関する記録や、祭祀に関連して言及が見られます。
羊肉: 主に王室の祭祀における供物として言及が見られます。
犬肉: 飢饉などの非常時や、一部の階層の食料として言及されることがあります。

と牛肉がメインなのが判る。

『承政院日記』でもやはり牛肉で、王室の食事や儀礼、あるいは特定の地域（例：済州島の黒牛）に関する記録に関連して言及が見られます。日々の政務記録の中で、食材の調達などに関連して登場すると推測されます。
『山家要録』には鶏肉が出てきますが、具体的な料理法も記述されており、鶏肉が重要な食材であったことがわかります。
『屠門大嚼』では鶏肉・豚肉・牛肉（獣肉として）があり、鳥獣類として様々な肉に言及しており、一般的なものから珍しいものまで含まれます。
また鹿肉, 熊掌, 豹胎なども珍味として具体的な名称が挙げられています。
『閨閤叢書』でも牛肉で、料理法の中で、他の食材（例：蟹醤）と共に使用される例が言及されることがあります。
というように、メインは牛肉である。

豚肉は、祭祀に利用されるというのが主で、李氏朝鮮時代の王室の祭祀に使われている。かなり不思議なのが、朝鮮時代には主要な祭祀において、牛肉・羊肉と共に豚肉が肉類の供物（例えば、三牲、または三湯、積などとして）として用いられる規定があったのは確かである。しかし、祭祀の実行記録（儀軌・実録・日記など）において、祭祀に供された牛肉や羊肉がその後に参列者によって食べられたことを示唆する、あるいは言及する記述が見られることがある。それに対し、祭祀に供された豚肉が、その後、具体的に誰によってどのように食べられたかを明確に記した記述は確認できない。朝鮮王陵近くにカルビ店が多い理由に関する説明として出てきますが、その材料は牛肉と羊肉なのである。豚は人糞で育てられるので、その肉は「穢れている」として食べるのを忌避していたのかもしれません。

『屠門大嚼』に豚肉が出てくるのだが、この本は曰くがあり、成立が1611年説と18世紀後期製作説があります。
・『1611年説の議論』主に文献の内部に含まれる表現や記述、あるいは特定の歴史的背景との関連性が根拠とされています。
・『18世紀説（特に18世紀後半説）の議論』他の李氏朝鮮後期の料理書との比較、内容が反映する社会経済的変化、写本の状況などが根拠とされており、文献に登場する料理の種類や調理法が、18世紀後半から19世紀にかけて発達・普及した李氏朝鮮後期の食文化の特徴とより合致するという見方です。文献に見られる言語表現や記述スタイルが、18世紀頃、特に後半にかけての特徴をより強く示しているという言語学的分析に基づいている。現存する写本の伝来状況や、他の18世紀の文献での引用状況などが、18世紀成立説を支持する根拠とされている。

そのため、『屠門大嚼』の成立年に関する学説の主流としては現在のところ18世紀説、特に18世紀後半とする見方が一般的である。これは、文献の言語学的特徴や、内容が反映する食文化が、李氏朝鮮後期、特に18世紀の状況とより整合性が高いと見なされているのである。具体的には、実際に「屠門大嚼」のテキストを調べたところ、

登場する料理の種類や調理法が、18世紀後半から19世紀にかけて李氏朝鮮後期に発達した食文化の特徴とより合致する。
使われている言葉遣いや文法的な特徴が、19世紀頃、特に後半の文献に近い傾向を示す。

といった発見があったため、「この内容は1611年の文書とは考えにくく、より時代の下った18世紀に書かれたと考えるのが妥当だろう」という結論に至っている研究者が多い。
しかし、一般では1611年と言っている人が多い。また、作者は「許筠」とされているのだが、「許筠」と確証されるものがないのも特徴である。実は、「許筠」の書いたものとされる書物は色々とあるのだが直筆がほぼなく、18世紀末頃の写本でしか存在しないのである。

実際の所は、庶民まで含めれば豚肉は犬肉より食べられない、祭祀限定な話な上で、である。
出てくる頻度から朝鮮時代は「牛肉」が主であり、「羊肉」「野鳥肉」は普通であり、「馬肉」「鳥肉」はあまり食べられず、「鹿肉」「豚肉」は珍しく（正確には豚肉を食べられる記述は李氏朝鮮も後期の時代からになる）、「犬肉」は20世紀末の韓国ほど食べられる肉ではなく（すなわち韓国の犬肉文化は伝統文化とはほとんど関係がなく、朝鮮戦争後の貧困で生じたものと言うこと）、「猿肉」「熊掌」「豹胎」は非常に珍しい肉だったわけです。

ただ、これも歴史によって変化していく。
まず、馬を食べられていたのは中頃ぐらいまで、朝鮮半島では馬はあまり農業に使われておらず、馬の役割も無くなっていったのでそのまま頭数が減ったように見える。その後は「馬は食べない」という記録が出てくる。国土の荒廃に比例するようにして、草木を多く食べる動物は出現具合が減っていく。
馬肉・羊肉はほとんどでなくなるかわりに、19世紀から豚肉食が開国後から北部の東海岸側でロシア側の資料で出てくる。
その後、1890年以降から豚肉の代わりに牛肉がよく出てくるようになるが、これもロシアやアメリカなど西洋諸国の影響が考えられる。他にコンスタントに出てくるのが犬肉・野鳥肉である。
日本統治下になり、鶏肉、ついで豚肉が伸びてくるが、牛肉が一番多い（食肉種類別の伸び率で言うと鶏肉・豚肉の方が大きい）。
戦後は畜産業が壊滅し、1960年代以降からまずは日本統治時代に広くそして国を挙げて養鶏を勧め教えていたのもあるだろうが、鶏が出てくる。それから豚肉が日本のODAで畜産施設が整備され、その後から安価で安定して出てくる（といっても韓国国内できちんと生産でき大半輸入ではなく自給をできるようになるのは1970年代ぐらい）。牛肉に関しては近年、それこそ21世紀に入るぐらいでやっと伸びてきたというところである（日本統治時代の畜牛頭数に戻るのが2005年ぐらい）。

【豚肉料理】

韓国の焼肉でも記載しているが、豚肉食は朝鮮時代でも主に末期から出てくる新しいものだ。
朝鮮時代でも無かったとは言えないが、極めて少なかったのは確かである。
朝鮮時代の料理にあるものだと、

骨付きのあばら骨肉を炙ったもの・あるいは串に刺して火で炙ったもの
蒸して薄切りにして、辛子を付けて食べるもの
丸焼き

と、大体、食べ方としてはモンゴル料理の羊肉が豚肉に変わったもの出てくるのみであるし、これが1885年以降になると徐々に牛肉に変わっていく（料理として言えば、最初は他の肉で牛は祭祀などで食べられるもので、これが中期以降は減っていき牛がでてくるのだが、後期になるに従い肉食自体が減っていく。開国で豚が増えてくるが、大韓帝国になると牛がまた出てきて、日本統治で肉食が増え肉料理が増える。しかし、戦後の韓国で畜産業が壊滅的になり、1960年ぐらいから回復していく）。また豚肉・鶏肉も頻繁に食べられるようなものではなく、正月やお盆という特別な日や、客に振る舞う時に食べられるようなものであり、土着宗教で病気の時には祟りがあると屠畜をしていなかったようである。

豚肉が消費肉の中心になるのは、1980年代に豚肉が安価で安定して供給されるようになってからだ、それまでは鶏肉が消費肉の中心になっている。
その鶏肉も、統治時代に、日本が国内で確立した養鶏技術を朝鮮に持ってきた事から始まる。
それまでの朝鮮の養鶏は農家が放し飼いするぐらいのレベルで、廃鶏を食べるぐらいしかなく。また、庶民では結婚の祝いや祭祀の際に食べれるかどうかという大変に希少な肉だったのだ。

【焼肉の「カルビ」は和製外来語】

焼肉で人気のある「カルビ」。
でも、この今の焼肉で使っている「カルビ」は和製朝鮮語です。

【『カルビ』の語源】

「カルビ」だが、語源はモンゴルの言葉で「下腹」を指す。
これが朝鮮に伝わって来るのだが、意味は「肋骨」に変わる。来たのはたぶんだが、仏教国家として肉食を厳しく禁じた高麗時代で、元（モンゴル）に征服された際には肉食が復活しており、この時代からだろう（ただ、これはその前後からの史料を確認しないと分からないが、来歴が分かっているにもかかわらず、韓国では「カルビ」を外来語ではなく、独自の朝鮮語と標榜している）。
朝鮮時代、元々は朝鮮語では「カルビッピョ（アバラ骨）」という言葉で、朝鮮では「カルビ」は「肋骨」を指していたのだが、それを「骨付きのアバラ肉」つまり今でいう「スペアリブ」の事を指す言葉としても使われるようになる。このスペアリブ（当時の「カルビ」）料理を出す店は、統治時代でも北方からの住人が多い半島の北方側に店ができている。ただしこれは、『焼肉』料理の「カルビ」とはまるで違うものだ（味付けが塩を基本としたラムチョプやスペアリブの方が近い）。
この、統治時代で朝鮮料理である『カルビ』はどういうものか、1943年の『国語の教へ方』に記載があるが、「朝鮮料理に牛の肋を切って焼いたものがある。それをカルビといひます」という記載があります。また、1942年の『前進する朝鮮』にも記載があり、「牛の肋骨についた肉を骨ぐるみ適當（てきとう）の大きさに切った焼肉はカルビと呼ばれ」とある。この『焼肉』は当時の意味は料理名ではなく「焼いた肉」を指す意味ですね。
あくまでこの当時の朝鮮での『カルビ』は「骨が付いた肋骨肉」を指す言葉と語彙が定義づけられています。

「豚カルビ」なんて言い方は、和製朝鮮語だからできるのであって、韓国では本来はありえない言葉なのですね。

【日本に『カルビ』が伝わる】

この朝鮮の「カルビ」という言葉が日本に来たのは大正時代末か昭和初期、つまり統治時代中期で、日本ではきちんと外来語辞典に「朝鮮からの外来語」だと記載している（そして日本独自の語彙を持たしている）。
これが1930年代（つまり日本に「カルビ」という言葉が来て早々）に『カルビ』を「肋骨周りのバラ肉」という「肋骨自体は含まない肉の部位」の名称の意味として日本では使いだす（つまり、早々に和製朝鮮語としてしまったのだ。日本では外来語でよくある話）。語源からすると意味の根本であるはずの肋骨がない、朝鮮語からすると「カルビから骨を省いた肉の部位」を日本では『カルビ』という名称で使い、それを使った料理が勘案されたり、カルビ専門店も戦前に出てきている（日本では『カルビ』は和名で『友バラ』とも呼ぶ）。
また、朝鮮では「牛の肋骨」を意味していたように、略して「肋骨とその周りの肉」というのも『カルビ』と呼んでいたが、これは食材としては牛に対してのみであった。日本はそんな事を気にせず、牛でなくとも豚だろうが鶏だろうが羊だろうが、肋骨周りにある肉を『カルビ（豚カルビや鶏カルビ）』と呼んだりもするようになる。

このカルビも朝鮮語では元々は「肋骨」を指し、それを「肋肉」や「骨付きのアバラ肉」指す言葉としても使い始めた（正確に言えば「カルビコギ」とかの名称が、略されて「カルビ」と呼んでたのでしょうね。日本が肉部位の「タン」を「舌肉」と言わず「舌」と言っているようなもので）が、日本では借用語などでも例が沢山ある事で、外来語も日本独自の意味（語彙）へ変える和製外国語は沢山存在している。例えば「ロース」という肉部位も和製英語で、英語の「ロースト（roast）」から作られ、「焼く（ロースト）のに適した部位」である事から名付けられた肉部位である。この”骨を含まない肉”としての「カルビ」という肉部位の語彙扱いが1960年代に韓国に伝わり定着していく事になるのだが、それまでの朝鮮では「カルビ」は「牛の肋骨」あるいは「肋骨付きのバラ肉（スペアリブ）」という語彙で使われていた単語である。

【韓国の焼肉の「カルビ」】

韓国において"骨を含まない肉"の名称として『カルビ』が広く知られる事になるのは、1980年代に日本の焼肉屋がソウルに出店してからで、この時代で韓国で『焼肉』が人気になり、今の韓国の焼肉の食べ方（例えばサンチェにコチュジャンを塗り肉やキムチを置いて巻いて食べる）などが勘案される。
この日本における「カルビ」という語彙は朝鮮とは意味が少し違うので、焼き肉屋だと「カルビ（朝鮮では本来の意味ではない、骨が基本的に付いていない肋骨周りの肉でバラ肉）」と「骨付きカルビ（朝鮮での本来の意味ではこちらの方が単なる「カルビ」になる）」がメニューに存在するのである。当時では「骨が付いてないからこれはカルビじゃない！」などとも韓国人はよく言っていた。
本来の朝鮮語であれば、日本の「カルビ」をそのまま使うのではなく、「갈비뼈 장미 고기（肋骨バラ肉）」と言う名前を付けて取り入れていれば、まだ違ったのだろうが。今は本来の”カルビ”の意味であった「骨付きカルビ」の方を「갈비뼈에 붙은 고기（肋骨の肉）」と、別の名称で呼んだりしている。
実際、

という文字があり、この文字は「牛骨より剥ぎたる肉」という語彙を持つ。

ちなみに、その語彙をしっかりとするならば、名称に外来語を取り入れても別に構わないだろう。日本の『焼肉』にも韓国の『焼肉』にも、互いの肉を呼び方を取り入れて呼んだりはしている（実際を言うと、日本の焼肉は本来の名前を使う所もあるし、韓国の呼び方を使う所もある。だから呼び名が複数ある。韓国の焼肉は、肉の部位名称で半分ぐらいは日本の肉部位名称が使われている）。ただ「本来の言葉の意味」を残しておかなくてはいけないし、あろうことか昔の語彙の意味までを変えようとしては絶対にいけない、というだけだ。ここで言えば「今のカルビの語彙は、肋骨周りの骨を省いた肉を指す。これは1960年代から日本の『焼肉』料理が韓国でも食べられ始め、1980年代に韓国では日本の焼肉が流行し、それで広がったからだ」でいいのだが、「本来のカルビの語彙は、肋骨あるいは肋骨付きの肉を指した」というものもきちんと残しておかないといけないいうだけだ。
だが、そういう歴史的背景を無視し、歪曲や捏造をして俗説は作られて、それを安易に信じる人がいるのが困るところだ。

料理屋での歴史で見れば、「立ってカルビ」として知られているソウルのカルビ焼肉店は庶民的カルビ文化の原型を保っており、ガルビトサルを最近のように広げず、醤油で味付けして練炭の火に焼いて食べる。ドラム缶の前に立って食べるのも1953年の創業当時と同じである。――と、1953年からである。
1948年11月6日、自由新聞に掲載された日本発祥の『食道園』開業の広告だが、ここに牛カルビ1人前が200ウォンとあり、ここら辺から「カルビ」という和製朝鮮語の肉部位名称が定着し始めているわけである。

釜山焼肉で1964年から始まったカルビのダイヤモンドカット、これも日本では古くからあるタレを染み込ませ火を通りやすくする隠し包丁の手法でしかない。中国や日本の料理では、このような食材に隠し包丁を入れる技術はかなり古くからあるものである。

【誤った説】

最近の韓国では『李氏朝鮮史料に「曷非」や「乫飛」とありこれがカルビの語源だ』と言い出している俗説がある。
だがこれは読み方が似ているだけで意味が全く違う。「曷非」は朝鮮語発音の仕方の説明の1つであり、「乫飛」も意味はまるで違う上に、この文字は古中国の史料に出てくる言葉であり、それなら「カルビ」は中国が語源になる。
結局は書かれている史料の中身がきちんと読めないので、こんな俗説が生まれているのだ。

ちなみに丁若鏞の『雅言覚非』に『曷非』の説明があり、その当時の朝鮮語の発音の乱れを著者は憂いており、正しい朝鮮語の説明の為に作られた書物である。『雅言覚非』では『曷非』の説明があり、「凡そ生あるものは、気によって声を発し、口の形によって音が異なる。この音声の違いを区別して記すことを、曷非という。」「清音、濁音、半濁音、および曷非は、朝鮮語の音韻体系を構成する基本的な要素である。」と説明されているように、『曷非』は朝鮮語の発音の仕方に関する単語である。「『雅言覺非』で牛脅（ウヒョブ）を曷非（カルビ）と呼ぶといった」という俗説が韓国ではあるが、これは嘘で、「牛脅（uhyeob）の発音は曷非である」と言っているだけなのだ（最後の「b」の発音の仕方の話なのだ）。19世紀末以後1920年代初期に出てきたハングル料理の本では、この部位肉を「カルビ」といわないで「ガリ」と書いて呼んでいる。
その記載を文字の音だけを取り上げ意味を歪曲し、捏造された説のソースに利用されるとは、亡くなった著者も深く嘆き悲しんでいる事だろう。

この「曷非」については韓国の著名な言語学者である李基文が記している書物『韓國語史』（一志社）内の「中世韓国語の音韻体系」でもあるのだが、「曷非」を「有声破擦音と摩擦音の総称」と定義し、古朝鮮語における音韻体系の中で重要な役割を果たす音素であると説明している。また、鄭鉉『朝鮮語史』の「古朝鮮語の音韻体系」では、「曷非」を「有声子音の一種」と定義し、「雅言覚非」における「曷非」の記述との関連性を論じており、古朝鮮語から中世韓国語への音韻変化においてどのように変化したかについて、詳細な分析を行っている。それにも関わらず、そんな説が堂々と言われているような事が、今の韓国における識字率の根本的な問題になっているのだ。

「乫飛」については、中国で幾つかの研究論文が存在する。
・「乫飛」が地名に用いられた例を多数挙げ、その意味が「高い場所」「鳥が飛び交う場所」などを指す。
・「乫飛」が老荘思想において「精神的な高揚」や「自由」を象徴する言葉として用いられた。
・「乫飛」が漢詩で「速さ」「激しさ」を表す言葉として用いられた。
と、色々と言われているが、動きだしそうな様を表しているのは同じようです。

このページを編集するこのページを元に新規ページを作成

印刷する

カテゴリ：
一般
総合

焼肉 - 韓国おもしろ話先頭へ

韓国おもしろ話

焼肉