朝鮮半島の地形と遺跡の位置

【朝鮮半島の地形】

三韓時代や三国時代の地形を見ていて、違和感を感じる。
というのも、日本人だと日本の地形は中央に高い山があり人口が少なく、沿岸に人が多いのは大体だが分かっているが、他国の地形が分からないからだと思う。
特に変に見えるのが『新羅』であり、かなり大きく描かれているように感じる。
そこで、具体的な等高図を基にして、考えてみるといいとは思う。

【山脈位置を考慮した具体的な領域】

朝鮮半島の地形は、下図のようになっています。

かなり北東側に高い山が続く地形をしており、南西に広い場所がある地系。また、北朝鮮は北東部は殆どが高地だと判る。

【居住標高】

実は、朝鮮半島では日本の様に標高1000m以上の場所に定住したり、またその痕跡である遺跡が見つかったりはしてていません（日本では標高1000m以上でも縄文時代の遺跡が見つかっていますし、現代でも標高1000m以上の場所に村などもあります）。
調べてみると、韓国で最も高い位置になる駅でも標高855m（周囲に人は住んでいない）。「山深い所にある趣のある寺がある」なども聞くので調べますが、意外に低い。

日本だと、日本一高い駅は駒ヶ岳ロープウェイの千畳敷駅で標高は約2612mですが、これは人が定住している場所ではないですね。
人が住んでいるのだとJR線の中では野辺山駅が最も高く標高は1345.67mで、2902人住む村にあります。長野県川上村だと標高1185mの役場がありますね。登山小屋などではなく、ファミリーレジャー使いなら、乗鞍高原で標高約1600mの休暇村なんかもあります。お寺だと山上ヶ岳（1719.2m）の山頂近くに本堂がある大峯山寺でしょうか。神社だともっと高くて、久須志神社（3715m）ですが。
日本は朝鮮半島よりも大きく、しかし東西南北に細長くある土地で、昔から標高の高い場所も利用しています。
縄文時代でも中期（4500～5000年前）の遺跡で、標高1300メートルの台地にあり縄文時代中期の環状集落としては最高所に位置しています。日本では昔から沿岸から山地まで、幅広く利用しています。

【朝鮮半島の非居住領域】

最大で考えても、標高900mを越えません。ですので、標高900m以上の部分を黒塗りにすると、こうなります。

標高300m以上になる斜面にもあまり居住しておらず、ある程度以上高い所を灰色にすると、さらにこうなります。

この地形で考えないといけないですね。
よく韓国人は「朝鮮半島は平地が狭い」と言いますが、それは中国と比べての話。日本に比べれば平地はかなり広いです。

【地形と遺跡】

朝鮮半島最古の水田跡の時代（自称は紀元前11世紀だが、数粒の炭化米の分析から言われているだけで、地層や土器、遺構から、紀元前6～8世紀の遺跡であるというのが一般的な学説です。また、水田跡ではなく陸稲作跡ではないかとも言われている）から10世紀程度は過ぎた時代でも、倭の領域にある遺跡なのである。他にも土器などもあるが、沿岸や山の麓あたりまでの分布になっています。

代表的な遺跡をプロットすると、このようになります。先にも言ったように、平地や山の麓に遺跡があり、高地にないのが判ります。
これを年代ごとに並べると、

【40000～15000年前】

実はこの時代は氷河期で、今よりも水面が低くなっており、黄海は広い平地（東東亜平野）です。

朝鮮半島でも僅かですが、旧石器時代の遺物は見つかっています。
これは、たまたま黄海大平原（東東亜平野）から山の裾野で暫く定住した形跡です。
平原があるのに、わざわざ山を歩くような事はしないでしょうから、重要な遺構や遺物は黄海の海底に眠っていると思っています。
日本では3万年前の石器も日本全国で幅広く見つかっていますが。また、この時代でも対馬と大陸は、今よりは狭いですが海峡になって海の水が流れてています。

これが、氷河期が終わる12000年前から始まり、6500年前をピークにするまで海水面が上昇します。
氷河期で南東方向に移動していた民族がいるのですが、それが途中で止まり山裾で定住した遺跡が朝鮮半島の遺跡です。この民族は、早いうちだと暖かさを求めて南東方向に移動したでしょうし、氷河期が終わる頃まで定住していたら、少しずつ海水が黄海大平原を侵食してくるので、北西方向に逃げたでしょう。
こうして、人類の痕跡が朝鮮半島から消えます。

【15000～10000年前】

この時代は、半島ではほぼ遺跡がなく、それどころか中国大陸でも長江流域の上流の方ではないと遺物がなかなか見つからない時代です。

日本ではこの時代の遺物や以降は全国的に沢山見つかりますが。

【10000～7000年前】

中国大陸でも様々に文化が興亡史、ぼちぼち各地に遺跡が見つかってくる時代です。朝鮮半島だと、主に南海岸近くで見つかりますね。

遼寧地方にあるのが遼河文明で、約8200年前ぐらいからなのですが、日本の翡翠が発掘されており、既に日本はこの遼寧地方と交易をしていた事が判っています。また、黄河文明にしろ、朝鮮半島の今の北朝鮮で見つかっているものも、その海路沿いにあります。

このルート、今で考えると大変そうに見えますが、当時はまだ海水面が今よりも低いので、大変に広い遠浅の海を渡っているようなものです。

【7000～3000年前】

この時代の遺跡は、時系列で並べると実は面白くて、朝鮮半島では南海岸を西から東と広がっていっている様子が伺えますね。

7500年前ぐらいだと、遼河地域に文化はありますが、遼東半島まではほとんど人が南下しません。これは理由が簡単で、「急な斜面」「川幅が広い水の流れ」「山が海岸に迫っていて狭い平地」などが理由です。

平壌辺りまではBC1世紀ぐらいに国境関が作られ定住者も増えてきているようです（大同江の北側には中国式の墓があり、同時代に南側には倭式（朝鮮南部式）の墓があります）。衛氏朝鮮が漢に滅ぼされた際に逃げ、馬韓に入って来た辰韓人（朝鮮の従属国で、衛氏朝鮮の時に入って来た濊系部族を主体とした民族）は馬韓で問題になったのか、山を越えて朝鮮東海岸の方に送られます。朝鮮東海岸（今の北朝鮮の東海岸）に定住したのが『辰韓』になりますが、南の僅かな道を通って倭人が定住していた場所に入っていった辰韓人もおり、辰韓人と倭人が雑居していた場所が『弁辰』と中国で呼ばれています。
しかしBC10世紀（3000年前）となると、遼東半島の南岸を東に向かった民族は鴨緑江の左側あたりまでしか来ていません。また、それより前、BC15世紀頃だとまだ遼東半島南岸の中央あたり、大洋河あたりまでしか来ていません。

これは、6500年前の海水面上昇を検討して判るのだが、遼東半島は今よりかなり細く、河川の川幅も広くなっており、何年に一度は氾濫したり海水が土地に広がっており、植生が育ちにくい土壌になっていたと共に、湿地のようになっていた場所も少なくなかったと予想できます。

基本的に広い土地に定住している文化であり、遼東・遼西地域の広い場所で文化発生や文化衝突しており、舟の製造や動かす技術があまりないというのと、遼東半島は農耕に適した土地ではなかったからですね。

朝鮮半島でも、やはり見つかるのは約7500年前の丸太舟ですが、時代から考えるとやはり縄文系民族の船であり、これは日本でも同じ年代の船が見つかっていますし、日本では35000年前には舟を使って黒曜石の採掘や交易をしており、遥か昔から船を利用している事が判っています（舟を利用していた証拠としては世界最古級）……というか、日本では水を利用しないと交易が難しい地形です。基本的に船が必要なのは、それが必要な場所に住んでいる人達ですので、日本や東南アジアなどは舟利用がかなり古いです。

大陸で船が発展していなかった理由は簡単で、「広い平地」「陸とでの交易」が出来る環境で、舟はあまり用がないから遅くなります。山東半島と遼東半島の海路利用は早くても3500年前からほどで、確実といえばBC1世紀ぐらいからで西暦に入ってからかもしれません（あまり水が動かない渤海だとBC3世紀頃でも船は使われているようです）。遼東半島を通って朝鮮半島に来る中国系民族がほぼ居ないのも判りやすく、氷河期までは山よりも平原のある黄海部分の方が狩りがしやすく住みやすく、そして氷河期後は高い山に阻まれる上に年々水位が上がり海岸線が迫り、6500年前（BC4500年頃）にはピークになる。

その時代だと遼東半島から朝鮮半島に向かうには通れる平地は狭い上に、今より川幅が広い河川に何度も阻まれる地形であり、その後も度々氾濫する川（鴨緑江や漢江などは記録も多い）であり、遼東半島はBC45～20世紀頃は人が定住するのも移動するのも難しい場所だったからである。

そもそも、あまり海洋資源をあまり利用していなかった部族の南下なので舟技術が発展していなかったのである。
実際、船の利用は中国古代では河川であるぐらいで、中国における本格的な海洋利用は紀元前1世紀ぐらいからになる（渤海あたりが少し早いのは、海流の流れ自体は外洋と違いかなり緩やかであるためです）。
更に、この時代の海水面は今より高い位置にあります。現在では平野部も広いですが、しかし6500年前にはかなり水に浸食された地形でした。12000年前は海水面は今より低かったのですが、6500年前は逆に今より海水面は高かったのです。

そのため、今のソウル周辺はかなり水が浸水している地形であり、平壌辺りも湿地のような地形でした。

遼東半島自体も沿岸の平地は殆ど無く、山の斜面が海岸まであるような地形が延々と続くうえに、朝鮮半島に入ろうと沿岸を進んでも今よりも広い川幅（凡そですが、川幅は10km程度以上はある事になる）の大きな河に何度も阻まれるので、通る事が難しい地形だったのです。これが、海水面が下がり今と同じ程度の地形になるのが4000～3000年前（BC20～10世紀）ほどであり、この頃になってやっと遼河文明の人達（青銅器文化を持つ民族）が朝鮮半島にと入ってこれるようになります。

遼寧省のあたりや朝鮮半島の北部・中部の西側はかなり水が浸食していたのが判ります（南海岸や東海岸はそこまでの影響はありません）。今の地図で見ると興隆窪文化や新楽文化が随分と内陸側にありますが、これは元からそうだったのではなく、現在は陸地になっている部分が海に沈んでいただけで、当時だと海岸にはほど近い位置での文化圏です。
『魏志（三国志）』に「建安中，公孫康分屯有縣以南荒地爲帶方郡」とあり、帯方郡のあった地域は3世紀頃は荒地だった事も書かれていますが、このような地理であったので3500～3000年前より以前では、北方の集団（遼河流域文化系譜の民族）は朝鮮半島までは南下してこなかったのです。

ちなみに、半島の東沿岸では古く、中央辺りには朝鮮半島最古の結合式釣針（鰲山里遺跡・6800年前）が遺物として見つかっていますが、その近辺で見つかった人骨は、やはり縄文系遺伝子を持っていました。

この当時に既に縄文人が半島南部に広く存在していた事は、考古学発掘からも判っている。
加徳島の獐項遺跡（約6300年前）から出土した男性人骨「獐項8号人骨（Changhang 8）」のDNAを解析した結果、Y染色体はハプログループD1a2a1（D-116.1, CTS10441）であった。D1a2は日本で独自に変異した遺伝子系統（約4万年前）であり、D1a2a1は17900年前に分岐した系統である。獐項遺跡からは日本産翡翠の装身具をはじめ、48体の人骨が出土した。その中で科学分析が可能であったのは17体だが、縄文人だった事が判っている。

【3000年前から】

この時代もプロットしていくと、朝鮮半島では南から北にと文化技術が伝播していっている様子が伺えますね。

この頃になると、やっと北から川を越えて南下する中国系の部族などが出てきます。
北から朝鮮半島に入ってくるのは、下図のように年代ごとでゆっくりとやってきています（完全に、ではなく。少数の部族は無理矢理に河を越えたというのもあるようです）。

ちなみに、2500～1500年前は小氷河期と呼ばれまた気温が下がっているので、海水面が今より低くなっています。
1800年前ぐらいがそのピークであり、渤海などは冬季に凍結します。これは、気温もありますが、渤海は海水があまり流れ場所だからです。歴史の中で、この凍結した海水面を渡って奇襲するなんて記録もあります。下図は2013年の時の水面凍結の時の記録です。

「海を渡って逃げた」という記録も、季節によっては船とは限りません。

【注意として】

技術文化は、一方通行ではありません。
ですが確かに、半島南部では日本➨朝鮮半島という文化伝達経路は顕著にあります（磨製石器や土器からそうです）。
しかし、同じ技術を基にしていても場所が違えば変化も違う。文化や技術が伝播していった地域でのローカライズがされ、それが戻ってくる事があります。
以下の記載している文化などは、考古学によって刷新されており、昔は「朝鮮半島からやって来た」と言われてきたがどうもそうではないらしいという文化の一部です。

【縄文人と渡来人】

そもそもが、文化の伝達や発祥が間違えています。

よく、韓国では（日本でも）「渡来人の朝鮮人が大量にやってきて文化を伝え、血が混ざって弥生人が出来た」「渡来人が縄文人を駆逐した」などとのたまうが、多くが嘘です。
そもそも、現代日本人の遺伝子は基本的に弥生時代（紀元前10世紀あるいは紀元前9-8世紀から紀元後3世紀中頃の間）でほぼ成立しています。西暦に入ってからは、多少の変動はあるものの誤差程度です。
「渡来人」の多くが南方ルートや朝鮮半島に渡り中国系民族と交流し交わって帰って来ているもので、南方ルートは中国の江南地方（水田稲作文化を持つ地域当たり）から、朝鮮半島からの出戻りは南部域～中央西部域から来ています。この弥生時代の時期に遺伝子が大きく変化したのは、縄文人の人口減少があります。そして西暦以降は誤差になるのも、人口増加があるからです。

朝鮮半島の中央西部で倭人と中国系民族が陸路で交流するようになるのが、この弥生時代の紀元前10世紀の少し前あたりからで、それまで中国系民族は遼東半島地域から東南方向にはほとんど入ってきません（これは地理的な話があり、ドングリ食にも描いてありますが、7000～5000年前は現在より海水面が高いため、今より平地部分はかなり狭い上に河川の川幅も広く、遼東半島の南側～朝鮮半島北部西岸域は陸路による民族移動が難しい土地だったのです）。
また、確かに朝鮮半島から来た渡来人が皆無とは言いませんが、誤差の範囲であり、現在朝鮮人（韓国人）と日本人には同族性はあまりありません。
この時、韓国人の直接の祖先である朝鮮人（新羅人・辰韓人）はまだ南下しておらず、動き出すのはBC1世紀初期からですが、東沿岸を南下してくるのは紀元元年頃で、弥生時代が終わる西暦3世紀の前半までは半島南海岸は倭の領域です（また、この当時の辰韓人は造船・操船技術が未熟であった事も別の史料で書かれていますね）。
つまり、中国系民族の影響は受けているが、朝鮮人（韓国人の直接の祖先である新羅人や辰韓人）の影響はほぼ受けていないという事です。

日本人が弥生時代でほぼ成立し、中国人は地域ごとに今でも遺伝子がかなり違う為に成立時期は一概に語れません。しかし、朝鮮人は比較的よく分かっていて、10世紀（13世紀には成立）頃です。
今はもう少し分かっていますが、下図のように人類は動いています。

詳しくは『縄文人と渡来人』を見てください。

朝鮮半島での、「倭系民族」と「中国系民族」の移動は、このようになります。

ちなみに、無理矢理に伝達ルートを作ろうと「山東半島から朝鮮半島南にやってきたのだ」という説を挙げる人もいますが、無理です。
朝鮮は平野が広いだけに船技術の発達は遅く、紀元前では海洋を渡れるようなものは作れておらず、流れの緩い河川での利用がせいぜいです。三国志の時代、つまり魏の時代なのでAD3世紀であっても中国の中で船が発展していたのも呉であり、魏・蜀といった北方では船は簡単な船しかなく、船製造技術に力を入れたとも記録があります。
東南アジア諸島での丸木舟に帆を漬けて帆船が活躍する時代は、大体2500年前、つまりBC5世紀頃の事です。ですが、中国でもまだ帆船はなく、中国でまず河で使われた帆船が出てきたのが1世紀～2世紀ぐらいで、同じBC5世紀だと帆のない小舟程度しかありません。
山東半島から遼東半島でもやっとで、詳しくはこちらを読んでください。

これを示すのはなにも遺構や遺物だけでもなく、実は川の名前にも影響しています。
朝鮮半島の川は全て『江』と表記されるということです。中国大陸では、遼河と黄河は『河』で、揚子江すなわち長江は『江』です。つまり、南部の川は『江』で、北部は『河』と表す。ということは、中国大陸の北と南では言葉が違っていたということであり、朝鮮半島に最初に入った漢字を使う人々は、海を経由して南から入った可能性が高いと考えられるのである。調べていけば、最北で鴨緑江になる。
しかし、北方から最初に南下してきているのは遼河文化の北方系である。また、北魏の時代まで中国北東部の主体は鮮卑族（北方系）なのである。
それに対して日本は、遣唐使を派遣し日本語漢音の元、すなわち隋唐音を学ぶまで日本語漢字読みは呉音であり、中国南方系の発音をしていたのである。鴨緑江までは、倭人（縄文人）あるいは日本を経由してきた縄文人と中国南部人の混雑民が北上して来ており、BC3世紀頃には北方中国系民族が鴨緑江を越えて清川江にまで南下するまで、倭人の場所だったという事も推察できるのである。

【石包丁】

例えば「石包丁」があります。
昔は、「石包丁が水田稲作と共に伝わった」とされてきましたが、これはもうそうではなく別個だろうと言われています（水田稲作≠石包丁）。簡単な話ですが、稲作以外にも粟・黍・稗などもあり、灌漑を用いた水田稲作だけでなく、天水田の稲作や、陸作も勿論あります。石包丁が利用されるのは稲だけではありません。

石器でも磨製石器に関しては、日本は圧倒的に古く、中国や朝鮮半島がまだ打製石器だった時代、4万年ほど前から磨製石器を使い始めている。石鏃なども出ており（前に「石鏃は朝鮮半島が世界最古だ」というのを論じていた韓国人を見掛けたが、現在の所、世界最古の磨製石器も、磨製石鏃も、釣針も日本が最古級です）。
『石器』を見ると、下図のようになる。

中国にも磨製石器が古いものもあり、中国南部には長江流域上流で24000年前の磨製石器があり、これが現在の所は中国最古です。
また他の地域で見れば、中国北部では小河西遺跡で9300年前の遼河文明域で最古の磨製石器が発見されています（遼河流域ではないですが、遼河文明に影響を与えた文化です）。
ただ、これら中国の南部や北東部で見つかったは、石包丁に繋がる作り方ではありません（作り方が違う。つまり文化としての連続性が見えない。長江中流域で途中の形態がこれから見つかれば話が変わってくるでしょうが）。

石包丁に繋がるのは、黄河下流にある石器で磁山文化の8000年前ほど前の遺物が中国の黄河流域の最古になりますが、ここから黄河を上流へと辿り、黄河中域の仰韶文化（7000～4700年前）が石包丁の起源となります（朝鮮半島ではない）。その黄河流域最古の磁山文化の石器が日本の縄文時代の石器の作り方に大変似ており、また、遼河文明の興隆窪文化と8000年より前から日本は交易していた事が日本産の翡翠から分かり、磁山文化は日本と遼河文明の交易海路の途中にある事から、縄文時代の文化の影響を受けたのではないかと考えられます。

この仰韶文化の石包丁が遼河文化と北東に行き、そこから南に下ったのが今の北朝鮮にある3500年前の石包丁になる……かというと、そういうことはなく。当時だとまだ遼河流域文明圏の民族は遼東半島に南下をし始めたばかりです。遼東半島の大連にある大嘴子遺跡（BC15～12世紀）で中国北東部唯一となる稲籾が見つかっているのですが、稲作が出来ていた形跡はありません。対岸になる山東半島の根本あたりで興った後李文化（BC65～55世紀）は黄河流域最古の陸稲栽培なのですが、栽培には適していなかったらしく、栽培不良の稲が見つかっています。では、この北朝鮮にある3500年前の石包丁は何処から来たかというと、日本からですね。
ドングリ食の形跡から分かるのですが、当時、縄文人は平壌を越えて北進しています。

黄河流域の仰韶文化の石包丁が流域を下流に伝え、それが海岸を南下して長江下流域の水田稲作文化と共に日本に来たのが日本の水田稲作の石包丁ではないかとなるのでは。日本からすると、遥か昔に伝えた事が創意工夫されて進化して帰って来た、という感じですね。
この仰韶文化の石包丁にも元があるだろう……というのが、日本の旧石器時代（約38000～16000年前）～縄文時代創草期（約16000～11500年前)の鎌形剥片石器です。

ちなみに半島南側の松菊里遺跡の水田跡で2500年前になります。現在のところ考古学で比定できている時代で言えば、半島南側では実は「弥生時代前期より前」からある日本の方が古い石包丁があるわけです。

【櫛目文土器】

これも、今までの通説がひっくり返ってきている遺物です。
今までは朝鮮半島の櫛目文土器に影響されて、九州の曽畑式土器が生まれたというのが学会の通説とされてきていましたが。
対馬の夫婦岩遺跡では、10層・11層から櫛目文土器が現れ、さらに深い（さらに古い）13層から曽畑式土器が見つかっており、朝鮮半島➨日本と思われていたものが、そうではなく日本➨朝鮮半島の可能性の方が高くなっています。

韓国での説明では未だおかしく、櫛目紋土器は韓国では南部中央辺り（東三洞遺跡）で4000年前が見つかっているもので、更に古い物はソウルの近くの岩寺先史遺跡で約6000年前のものがあります。
ですが、日本では約7000年前の曽畑式土器が見つかってきています。
にもかかわらず、「朝鮮の櫛目紋土器は（日本で7000年前からある）曽畑式土器に影響を与えた」としている説明が多く確認できる。
これは「6000年前の土器が7000年前の土器に影響を与えている」というタイムパラドックスになっており、明らかにおかしい事が判る。どう考えても「日本の曽畑式土器が、朝鮮の櫛目紋土器に影響を与えた」ではないと説明がつきません。

ちなみに、『櫛目紋土器』自体については、別に大陸で朝鮮半島が最古でもなく、実際は遼河文明の興隆窪文化（BC6200～5400年）の土器が現在は最も古いです。
この櫛目紋土器が興隆窪文化から日本に来たのか、日本から興隆窪文化に行ったのかは分からないが、今のところは年代測定からは遼河文明の興隆窪文化から日本の縄文文化に来た可能性の方が高い（遼寧地方から陸路で南下し半島を経由して伝わった可能性よりも、興隆窪文化では日本産の翡翠が発掘されており既に8000年前には日本と交流をしていた可能性が高く、当時だと人が殆どいな朝鮮半島を西海岸沿いを陸路で移動するのはなく、海路で南北を行き来していた方が高いとは思う。なにより、土器と言うのは割れやすいので、陸路での伝播は人の定住の移動と共にと限られるのだが、朝鮮半島では南部で見つかっても北部では発掘されていない。また、7500～6000年前ぐらいでは中国系民族でも、まだほとんど南下しておらず遼東半島ぐらいまでぐらいで、そこで定住しています）。
土器自体は現在は、どこか1か所から発生した物ではなく、多発的に幾つかの場所から生まれたと考えられているが、その1つが日本なのである。

この興隆窪文化には日本産の翡翠が出土しており、日本と交流していた事は確かなのである。可能性が高いのだと、農耕系な民族である興隆窪文化へ、海洋利用文化の日本が半島伝いで交易、遠いのでその中間地に中継地として半島中央にも住み始めた、というのではないかとも思う。
また、韓国は度々、多民族文化である高句麗も民族の歴史にいれている。この高句麗が北方に領土を拡大した際に含まれている領域に遼寧地域の興隆窪文化がある。これを「朝鮮の文化だ」として唱えているのだろうが、これが半島南部の東三洞遺跡やの岩寺先史遺跡で発掘されている櫛目紋土器と混同しているのだろう。しかしこれは、まったく別の民族の遺跡である。

ちなみに、文化は一方向から来るものではないので、多くの土器の原型は日本から朝鮮半島に流れているが、朝鮮半島でローカライズされた土器が日本に入ってくる事もある。
例えば、今の北九州市あたりだと、朝鮮半島から来たらしきものが発掘されており、この位置は、対馬まで辿り着いた朝鮮からの物が、半島側より緩やかな対馬海流に東に押されながら辿り着くというのでもおかしくない地域になる。櫛目紋土器もその1つで、対馬でも見つかっている。ただし、その櫛目紋土器が発掘された地層よりも古い地層で、曽畑式土器が発掘されているのも事実なのである。

逆に韓国では「半島の南海岸に縄文式の遺物が見つかる。これは、朝鮮から日本に文化が伝わった証拠だ」などと言っている自称学者もいるが、これは間違い。
海流と風の動きで、朝鮮半島の南西部で投棄された物が日本に辿り着く事はよくある（対馬での韓国ゴミ漂着問題などが顕著な例）ですが、日本から朝鮮半島には投棄しても基本的に日本海沖に流されるので、漂着をしない。

例えば、土器に関しても、日本の縄文文化から中国の裴李崗文化（BC7000～5000年）に伝わった可能性は高い。
だが、裴李崗文化から黄河下流になる山東半島の北辛文化（BC5300～4100年）大汶口文化（BC4100年～BC2600年）にその土器技術は伝わり、特徴的な三本足の鼎土器（古代中国で酒杯などに使われていたような形）が作られている。この三本足の鼎土器が日本で発掘され、また逆に大汶口文化でも翡翠が見つかっており、当時の中国の黄河文明下流域文化と日本縄文文化は交流＝海路交易をしていた事が判っている。

そもそもが、朝鮮半島には3000年前までの時代には縄文系民族以外は殆ど居ない。
理由は難しくなく、6500～3500年前の間では陸路での南下はほぼ行われていなかった（というより出来なかった）からである。

この大汶口文化では粟作もしており、石臼と石棒があり、これは朝鮮半島では朝鮮時代でも使っていた形態である（石の板のような石臼で、今の様な石臼は日本統治時代に伝わったもの）。
さらに北辛文化や大汶口文化の場所は、それよりも古い後李文化（BC6500～BC5500年）があり、ここは粟作もしていたが、黄河流域最古の稲作（陸稲作）をしていた場所であり、それより古くから日本には陸稲作がある。陸稲作は日本の方が古く、日本から伝わった可能性もある。逆に粟作は黄河文明や遼河文明から日本に持ってきた可能性がある。
粟作自体は興隆窪文化でもしており、この粟作文化が南下して遼東半島の新楽文化（BC5500～4800年）になると言う文化の流れである（新楽文化は女真族系文化であり、稲作はないので陸路で南下してきた文化伝達）。
と、黄海の周辺というのは、縄文文化が伝播し、そしてローカライズして戻ってくるという文化ドミノが続いていた場所でもある。

ここら辺の土器の考古学研究は色々と行われている。
例えば、『韓国の無文土器文化の範囲』という論文もあり、土器の変遷を考察している。

凡そ、正しいと思う内容であるが、幾つか漏れているものがある。例えば、土器の伝播の年代である。
論文では現在の地図を使っており、遼東地域など随分とな内陸で発掘されているので、陸路で伝達したように書かれている。しかし、6500年前～4000年前ぐらいの間は今よりも海水面が高いという時代も考察しないといけない。6500年前の地形予想で位置を考えると下図になる。

すると興隆窪文化は確かに迫って来る海から逃れ内陸部で定住し花開いた文化だが、新楽文化になると、実は今よりも広い渤海の沿岸で花開いた文化という事が判る。それと同時にここの土器様式文化が伝達している頃というのは、遼東半島は海岸沿いを陸路で通れるような場所で無かった事も判る。遼東半島の西部（大連などがある地域）に文化がやって来るのは、上昇した海面が下がってきた時代になってからで、BC20世紀ぐらいからである。土器の年代を見ると、面白い事に朝鮮半島では南から北に伝わってくるくる流れ（主にBC20～15世紀より古い時代）と、遼東半島経由で北から南に伝わってくる流れ（BC15～12世紀より新しい時代）が凡そで見られる。
これの答えは、8000年前には既に始まっている倭（日本）と遼東地域との海路交易であり、これは興隆窪文化で日本（糸魚川域）産の翡翠が伝わっている事からも判る。

論文では陸路で伝播し、そして移住による伝播もと考察されているが、これは間違い。主にBC20～15世紀より古い時代に「倭（日本）と遼東地域との海路交易」で伝播しているのである。
陸路での移動は海水面が上昇が収まり、そこから緩やかに低下し現在と同じ程度になって来るBC20世紀頃から遼東地域から遼東半島の北東の海岸線沿いに南下し、西に辿り着くのがBC20世紀頃である（厳密に言えば、海岸ではなく山間を通って沙泡子に住んだ部族もいるようだが、それでもBC29～25世紀がある）。しかし、無文土器文化はそれより古い時代（BC60世紀頃）で朝鮮半島に移動しているので、この遼東半島に人が移動して、それが陸路で移動したというものは当てはまらない。
そこから東に動き、BC12世紀頃には鴨緑河の西側にまでやってきます。そこから徐々に南下をして、BC1世紀頃にやっと大同江の北側（今の北朝鮮の平壌）にやってきます。一部の民族がさらに南下し、倭系民族が定住していた地域に入って来ると言う流れもあるでしょうが、陸路での伝達は海路での伝達よりかなり遅れている事が明らかです。

「朝鮮半島への中国土器文化の伝達」というのも、「倭の歴史」なのです。
そして、BC15世紀頃から始まる、朝鮮半島での倭と中国系民族との交流になります（朝鮮半島ではなく遼東地域となら、BC6000世紀には既に行われている）。

粟作のついでで、農作物。
調べていくと、正直、朝鮮半島を経由してきた作物はほとんどなく、日本から朝鮮半島に伝わった農作物は色々とかなり沢山ある。

【松菊里式住居】

これも、「朝鮮半島から日本に伝わった」というのが通説だったが、昨今の日本の考古学的な発見により、どうやら「日本から朝鮮半島に伝わった」というものですね。
この『松菊里式住居』とは竪穴式住居なのですが、発見されたのが『松菊里遺跡』だった（実際はそれより前に別の場所で発見されている）のでそう呼ばれています（『曽畑式土器』も最初に発掘された遺跡の名前から）。

半島で科学的に確認され確実視されている水田跡で、最古となるのが松菊里遺跡（オクキョン遺跡は時代に疑問視されており、また水田稲作も疑問視されており陸稲作の可能性もある遺跡です）で、昔はこの松菊里遺跡の文化が日本に来たと言われていました。「松菊里式住居」などは四国などで僅かに発見されており、松菊里式土器（土器の首が括れた土器）などが日本に伝わった云々など。これは今もしつこいほど言われていますね。

ですが、2000年の2月26・27日に開催された第10回九州縄文研究会九州の縄文住居で，これまで松菊里型住居と呼んできたような住居跡がたくさん報告されているそうです。それも，従来言われていたよりも古い、半島の松菊里遺跡より古い時代のものが。
つまり、松菊里遺跡の文化の代表的とされ、日本に伝わっていたとされていたものが、実は日本の方が古かったーー松菊里遺跡の文化自体が日本から半島に伝わったものである可能性の方が高い、という事です。松菊里型竪穴式住居の分布図を見ればそれも明確で、

見て分かるが、日本の九州を中心に広がっており、また朝鮮半島では南部だけにある様式なのである。

朝鮮半島の松菊里型竪穴式住居はBC5世紀からのものである。
それに対して、日本では松菊里型竪穴式住居は弥生時代早期からあり、つまりBC10～8世紀からなのである（弥生時代早期のはじまりが紀元前1000年頃から、前期のはじまりが紀元前800年頃から、中期のはじまりが紀元前400年頃から、後期のはじまりが紀元50年頃からとなる）。
タイムトラベルでもしない限り、朝鮮半島から日本にというルートは不可能である。

そもそもが、環濠集落は日本で多く見られ、朝鮮半島では南部にしか見られない形式です。

北から来ているものなら、朝鮮半島の北部や遼東半島なので見られないとおかしいのだが、環濠集落のような遺跡は見つかっていない。
この形態で朝鮮半島南側も含めた現在の最古は、日本の江辻遺跡の紀元前10世紀（3000年前）の頃の環濠集落であり、そうかもしれないと言うのだと紀元前20世紀（約4000年前）の北海道苫小牧市にある静川遺跡から環濠集落が見つかっています。環濠集落自体は、元を辿ると興隆窪文化で約8000年前の環濠集落がある。やはり、遼河文明と縄文文化の海路交流で入ってきたものだろう（北海道で初めに見られるのは、北方から多民族が入ってくるためでしょうか）。

環濠集落自体は水田稲作よりも古いものなのだが、広まったのは紀元前10世紀～西暦2世紀辺りの文化（朝鮮半島だと紀元前5世紀～西暦2世紀辺りの文化）であり、これは水田稲作が関係はしていると思われる。これはたぶん、長江文化から来た稲作文化の影響により見直されて利用されたものだとは思うが、中国側ではなく日本側での文化（もっと言えば、BC12世紀頃から朝鮮半島で北方から多民族と陸路で文化交流する事になった縄文人の文化）だろう。
日本では環濠住宅を持ち込んだ民族の影響を受けた部族が作り始めたが、そこまで広がらない。広がるきっかけとしては、半島に伝播した際には他民族（半島西側の中部から以北の韓濊＝倭寇）による略奪を防ぐ意味から使われ始め、それが逆輸入的に（半島での血の混じりや他民族の影響を受けた渡来系縄文人やそれに同行してきた随行者たちが争いを持ち込み）日本の東側にと広がったのではないかと思います（この「半島の影響を受けた日本人とその随行者たちが犯罪を持ち込む」という事例は、戦前の日本統治時代で在日朝鮮人が急に増えた1927年以降や違法滞在を続ける戦後の日本でも見られます）。
この作られる時期の例として、左が紀元前2世紀あたりの『山海経』の時代の情勢、そして右が西暦2世紀あたりの『後漢書』の時代の情勢と併せると、環濠集落がある位置を示すとこうなります。倭が南下して倭の領域に入ってくる民族を警戒して作り始めたものと考えると、位置などが一致する。

もちろん、すべてがそうではないでしょうし、ローカライズもしているでしょう。ですが、要素となる松菊里遺跡で見つかる文化の多くは日本から来ているのです（というより、その時代はそこら一帯は倭の領域である）。
土器の形式についても研究が進んでおり、「（日本の）中国地方の突帯文土器と韓国南部の突帯文土器との関係は、ほぼ同時か日本の方が古くなってしまう」とあるように、土器自体も日本の方が古い物と判ってきている（これはもっと比定数を増やしていかないといけないのだが）。

松菊里式住居（竪穴式住居）は、朝鮮半島より日本の方が古い。
突帯文土器も、朝鮮半島より日本の方が古い。
水田跡の遺構も、朝鮮半島より日本の方が古い。

と、今まで「稲作は朝鮮半島から日本に渡った証拠」とされる遺物の多くが、日本の方が古い物と解明されてきているのである。

この時の住居はどのようなものかも記録にあり、『魏略』に

其國作屋，橫累木爲之，有似牢獄也。

この国の家は木を水平に積み重ねて作られており、まるで牢のようだ。

と書かれている。
たぶん、これは高床式倉庫の事を書いたものだろう。

ちなみに、朝鮮半島では高床式建物は、やはり南部にしかない。

ちなみに、環濠ではない竪穴住居自体は、定住をし始めた日本は大阪でBC220世紀となる古いものが見つかっており、日本全国に広がっている。

竪穴住居は移動生活から定住した証拠となるが、日本では古くからあり、BC200世紀（約22000年前）には既にある。他にも分かっており、鹿児島でBC96世紀（約10600年前）の竪穴住居は見つかっている。これは南方式の竪穴住居であり、定住生活をした他の部族も作り始めたという多点的に発生している文化なのだと判る。ただ、南方式は地域に合わなかったのか、それ以上はほとんど広がらずに、日本式の北方式竪穴住居が広がっており、これが黄河流域の文化と繋がっている。
「定住して採取する生活」というもの事態を日本が教えたのかもしれませんね。

では、日本よりも随分と新しく定住し始めている北方から来た民族（中国系民族）はどのような住居だったかは、『後漢書』や『魏志』に書かれています。

邑落雜居，亦無城郭。作土室，形如冢，开户在上。

雑居しており、環濠を持たない。墓のような家を作り、そこで住む。

『後漢書』ではこう書かれてあり、また『魏志』では

居處作草屋土室，形如塚，其戶在上，舉家共在中，無長幼男女之別

墓のような形をした茅葺きの土小屋に住んでおり、その小屋は上部に戸があり、その中に老若男女の区別なく家族全員が住んでます

と書かれており、彼らは竪穴住居では無かった事が判っています。
この形式は、朝鮮時代になっても形としては残っており、

たぶんだが、朝鮮時代でも一般的であった民間家屋の形態をもう少し原始的にした家（伏屋式と呼ばれ、壁がなく、屋根が直接地面に触れている形状）のようなものだったのでしょうね（オンドルはまだこの時点ではなく、オンドルというのは高麗時代からのものです）。

ちなみにこれらの写真は「田舎だから」ではなく、1880年代の京城（現在のソウル）の南大門通り（中心通り）でも普通にあった家の形式です。
合わせると、こんな感じの住居を使っていた感じですね。

この形式は、日本でも縄文時代から普通にあり、古くまで残った文化だと北方の擦文文化などにあったもので、N1系統が持っていた文化なのか、それとも逆にボイスマン文化にも入っている縄文系民族が北方ルートで持ってきた文化なのだと思われる。

【竈】

料理を煮炊きする竈（かまど）も、通説と違ってきています。

『魏志韓伝』の『弁辰伝』では、こう書かれています。

弁辰與辰韓雑居　亦有城郭　衣服居處與辰韓同　言語法俗相似　祠祭鬼神有異　施竈皆在戸西

弁辰は辰韓と雑居する。城郭（環濠集落）がある。衣服や住居は辰韓と同じで、言語や法俗（法律や習慣）は似ている。祖霊崇拝や宗教に違いがあり、竈（かまど）はみな家の西側に作る。

これは、倭系民族である大伽耶が、南下してきた濊系民族を受け入れた、と考えると整合が取れます。
取り扱う時代はより古い『後漢書（成立は後漢書の方が1世紀半遅いが、扱う時代は後漢書の方が古い時代を扱っている）』では、

弁辰在辰韓之南（弁辰は辰韓の南）

言語風俗有異（言語と風俗に違いがある）

と書かれており、時代によって違う事が判る。

日本では、福岡県の西新町遺跡から3世紀～4世紀の竈の遺構が見つかっています。
既に朝鮮半島の南側より古い遺構が確認されており、従来は「『竈』は朝鮮半島から日本に伝わった」と言われていましたが、そうではない可能性が高くなってきています。魏志伝は西晋の陳寿により3世紀末（280年（呉の滅亡）～297年（陳寿の没年）の間）に書かれたものですから、それより前の状況を書かれたものでしょう。この時にはまだ馬韓地域や辰韓地域でも見られないが、弁辰地域では竈がある事が書かれており、その前には日本に竈が既にある事は考古学発掘から分かっている、という時系列になります。

つまり、馬韓や辰韓の民族が持っていた文化ではありません。

魏志伝に書かれている『竈』ですが、遺構としての発掘だと、以下の図のようになります（『石組みの煙道を持つカマド』）。

現在、「竈」は"日本独自説"と"朝鮮半島伝来説"と"中国伝来説"があります。これは、朝鮮半島には無い独自の竈（移動式竈など）があるからです。しきりに言われる"朝鮮半島伝来説（三国や三韓が日本に伝えたという説）"はほぼ否定できるのですが、朝鮮半島を南下してきた雑多な民族の中の技術が伝来したや、"中国伝来説"は考えられるので、さらなる考古学調査による発見が期待されます。中国からの伝来は、8000年前には既に交易をしており、魏志伝（3世紀）の時代や、それ以前でも中国に使者を倭は派遣していたので、そういう所で『竈』という技術を手に入れたのかもしれません。

もう少し歴史的に説明をしていくと、朝鮮半島から伝わってきている竈も存在しており、それが「オンドル」の原型となる『L字形竈』です。
ただし、「朝鮮半島で」というのであって、それはBC4世紀なので縄文系民族である倭人が定住していた領域で出来たのが『L字形竈』です。それを発展させ「炕（カン）」という竈にしたのは中国北東地域や黒流江地域であり、その「炕」という技術を高麗時代から取り入れて出てきたのが「オンドル（温床）」という名称です。名称自体が中国語で隋唐音で「温床」を「0uəndʒʰǐɑŋ」と発音しますが、それが訛ったものです。

あまり知られていませんが、オンドルになるまでは、倭人が定住していた朝鮮半島の地で『竈』から暖房も兼ねる『Ｌ字形竈』に変化し、その後に朝鮮半島内では倭人が緩やかに南下（人口減少による定住領域の縮小）し、それに伴い朝鮮半島内に南下し定住域を広げた中国系民族がその技術を得ます。そして中国系民族の中で技術が広がりより寒い北にとゆっくりと伝播していき、中国北東地域や黒流江地域といったより寒さが厳しい環境の中でより効率的に暖を得る為の構造として様々に変化していき、その1つが『炕』です。
その技術が高麗時代に南（朝鮮半島）に伝播してきたという経路を辿っており、高麗が独自に作ったとも言えません。『炕』が出来た地域を考えると、「オンドル（温床）」は「遼」や「金」といった朝鮮半島北部を支配した国（中国だと宋代の頃）から伝わったものでしょうね。
日本でその『L字形竈』の遺構が見つかるのが3～4世紀であり、朝鮮半島内でL字形竈が広がる（5～6世紀以降）より前に入ってきています。これは、朝鮮半島内に定住していた倭人が規模を縮小した時期とも符合します。朝鮮半島に入って来た中国系民族が日本に入って来るのは主に、4世紀末以降。百済が4世紀末から5世紀から、新羅・高麗（高句麗）は6世紀末頃なので、どれも時代が合いませんね。

この「L字形竈」は明確といっていいほど、高句麗の朝鮮半島進出に合わせて広がっています。
その高句麗ですが、この技術に出会ったのは今見つかっている遺構からAD340年以降のようで（つまり、日本のL字形竈より遅い）、そこから急速に取り入れた事が判ります。この高句麗の支配地域で広く利用される事により、中国北東部や黒流江地域に広がったわけですね。高句麗滅亡と共に他の民族がその地域を支配し、L字形竈の技術を得て、それが発展し『炕』になり、それが高麗時代に朝鮮半島に伝播してきて『オンドル（温床）』と呼ばれた、という技術になります。もう少し歴史的に説明をしていくと、朝鮮半島から伝わってきている竈も存在しており、それが「オンドル」の原型となる『L字形竈』です。

判り難いので、「日本の竈」よりも古いものだけを取り上げ、BC3世紀頃の情勢予想図と重ね合わせると、以下になります。

この「L字形竈」が、南か北か、どちらか来たかはもう少し検討しないと判りません。
問題となるのは、BC4世紀頃に「馬韓などの中国系民族集団が鴨緑江までしか進出してないか、それとも大同江の北側まで進出しているか」です。これがBC1世紀なら、大同江の北側まで来ている事が判るのですが、それより前の時代になると確証がありません。ドングリ遺体を考慮すると倭が鴨緑江の南側まで来ていた可能性が高く、その倭の範囲で「L字形竈」は存在しています。中国から見ると「東夷」と呼ばれた雑多な民族のどれかの文化技術で、様々な民族が混ざっている中に「L字形竈」文化を持つ民族がいたようだ、である。
中には、さらに南下しても見られます。西屯洞遺跡ですが、同じBC4世紀の遺構です。この頃というと、北方から女真系など遼河文明系統の民族が既に南下して文化交流をしているのも確かなのですが、しかし、主体tしてはやはり倭系民族の領域です。

実際、この場所というのは、遼寧式銅剣などの出土もあり、倭の領域内で北から南下してきた中国系部族などと交流している地域だろうことは確かだと思いますので、その部族から倭に技術が伝わった可能性はあります（これは、今の西暦3世紀の竈よりもっと古い竈が九州などで見つかれば分かってくるでしょう）が、しかし、倭系民族が独自に作り上げた可能性もあります。

殆どが西暦になってからの遺構の中で、古い遺構となると下図になります。

その後、馬韓の中で広がっているようでありBC1世紀頃に使われています。この頃はまだ高句麗では見当たりませんので扶余系でもなく、また遼東地域でも見当たりませんので漢族系でもありません。濊貊にも辰韓にも「L字形竈」は見つかっておらず、「L字形竈」は辰韓人の文化ではありません。可能性があるとすると、清川江あたりまで北上していた倭人が熱を効果的に利用するために発明（改良）したのか、それとも清川江まで南下している部族が作ったのか、どちらかぐらいなのでしょうか（「必要から発明される」を考えると、より寒い場所で生活をしていた者より、より暖かい場所で生活していた者が作り出したという方が理屈には合いますし、同時期には朝鮮半島中部の明らかに倭人の定住領域にもあるので、倭人が作り使い始めたという方が合致します）。

高句麗がこの技術を手に入れるのは、どうも前燕の内紛により、遼東半島に居た者達が朝鮮半島側に逃げた事による空白状態の場所に高句麗が進出したAD340年頃以降からの事のようです。

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その技術を高句麗が利用しはじめ、高句麗の拡大に伴い「L字形竈」は朝鮮半島でよく用いられるようになります。

「日本の竈」よりも新しいもののうち、百済地域の扶蘇山城を除くと、とても分かりやすく。AD5世紀頃に高句麗が持ってきた文化という事が明らかです。この「高句麗が南下して持ってきた竈文化」が「朝鮮から日本に竈文化を持ち込んだ」にはなりません。簡単な話、この時には既に日本には竈が存在するからです。

その他にも新羅地域や伽耶地域では5世紀頃の竈の遺構が出土しており、朝鮮半島南部では5世紀頃には竈が普及していたと考えられます。
その当時の朝鮮半島南部は倭の文化の領域であり、それよりも古い時代のL字形竈が九州で発見されているように、朝鮮半島南部の竈は日本から来たものと考えられます。

扶蘇山城はAD6～7世紀です。
これは、百済（前燕の遼東半島地域の人々）が朝鮮半島に逃げ、そして高句麗に圧迫されて南下してきている時期より後です。

⇒

『百済』の民が朝鮮半島に逃げてきたのは4世紀中頃であり、その時代の竈が百済の地域で見当たりませんので、これも倭からの文化の影響でしょうね。

ちなみに、縄文時代だと炉（囲炉裏の原型）を中央に置き、これも残っていきます。

【支石墓】

これは、かなり判り難いです。
この『支石墓』は、北から来たもの（北方式支石墓）と、南から北もの（南方式支石墓）があります。
韓国では「支石墓は朝鮮半島に源流がある」などと書かれているものもあるが、これは嘘で、『支石墓』文化の源流は中国の遼河文明や長江文明の下流域にあります（これが、伝播した物か、それぞれ別に出来た物かはよく分からなかった）。

半島南側には紀元前7世紀に急激に広まり、紀元前1世紀ぐらいには消えていった墓の形態である（韓国の記事を見ると紀元前1200年前や紀元前1000年前だ、などと書かれているが、それは半島北側や遼寧省地域やその周辺地域のことで半島南側はそこまで古くないようである）。
「青銅器文化と同じに～」と説明しているものもあるが、青銅器文化の方が古い。水田稲作とは関係してそうだと言われているのだが、これは日本では支石墓から石包丁が見つかっているからであるが、しかし、今は水田稲作の方が古いと判っているので、水田稲作に伴って来たというのも当てはまらない（さらに言えば「弥生式土器片（須玖式）・石庖丁未完成品破片と共に須恵器・青磁残片」もあるが，「後世の堆積土であることが明らか」という事である）。

支石墓は2種類あり、北朝鮮の世界遺産にもなっている支石墓は卓子式支石墓と呼ばれ地表で作る支石墓であり、これは中国北東部（遼東地方～遼東半島）からの文化から来ている。韓国では江華の支石墓がこれにあたり、中心は遼東半島西～鴨緑江までであり、その後は分布は少ないがソウルの北当たりの緯度までこの文化は来ている。これは、遺物から見た倭系と中国系の交流地域としても合致がいく。
今の中国の遼寧省や吉林省、あるいは遼東半島の大洋河江以西の大体半島の西半分の地域で見られる形式が古く、これが「BC12世紀頃のもの」である。それが人の移動と共に拡大し、大洋河江を越え、鴨緑江を越えて今の北朝鮮に入って来る。
その後、北方式支石墓はBC9世紀前後になると僅かだが今の北朝鮮南半分に降りてくる。さらに遅れて今の韓国になる朝鮮半島北側に出てくるがこれは数が少なく、BC7世紀頃からで僅かにあるだけである。この北方形式は遼河文明の青銅器文明があるので、埋葬品に遼寧式の銅剣などが出土する。南に行くほど数も少なく、今の韓国の地域まで行った者は少なかった事を示している（というより年代的に、別に興っている南方式支石墓文化が南端から北上していくに際し、北方式支石墓に触れ、それを真似したという方が合ってるのではないかとは思う）。

この北方式支石墓は、漢江（現在のソウル）以南では極端に見る事が難しくなる。
それに対して日本や朝鮮半島南部は埋めた形の支石墓で南方式支石墓とも呼ばれる蓋石式支石墓であり、これは中国南部海岸部の浙江省沿海地区の支石墓群の文化あたりが源流となっており、遼東地域や遼東半島から朝鮮半島北側に伝わっている北方式支石墓とは文化が異なる墓なのである（済州島ではこれの亜種で囲石式支石墓がある）。

現在の所で言えば朝鮮半島南側の南方式支石墓はBC5～6世紀からであり、日本は縄文時代晩期でBC4世紀となっている（ところが、縄文と弥生の考古学区分が今は動いており、弥生時代はBC10世紀頃からとなっている）。以前であれば朝鮮半島側の方が古いから「朝鮮半島側から伝達してきた」と言われているのだが、今の考古学の年代の見直しを考えると日本から朝鮮半島へという事も考えられる年代になっている。日本にある支石墓はその周囲や上に「弥生式時代文化前期の土器の破片」あるいは「弥生式土器片（須玖式）・石庖丁未完成品破片と共に須恵器・青磁残片」などがあり、この遺物をもって年代を推測されている。しかし、書かれているが日本で現在発見されている中で最古と思われる支石墓は、弥生時代の遺物は墓の上にあったのである。中ではなく上にあったとという事は「弥生時代前期より前」つまり「縄文時代後期から末期や弥生時代早期から」と紀元前10世紀頃の支石墓の可能性もある、という事になる。
さらに、朝鮮半島➨日本の交流だと海流の関係から対馬が重要な位置になる（朝鮮半島の南西部から南中央部からだと、日本に支石墓が多い五島列島や長崎・佐賀地域は辿り着く事が難しく、対馬に辿り着きやすい。また、朝鮮半島南東部から対馬は遥かに困難である）のだが、その対馬に支石墓は未だ見つかっておらず、朝鮮半島➨日本へと文化伝播したとは考えられない。同時に、これが九州の北より東にはなく、これは既に別の墓文化が存在しており受け入れられなかったからだと考えられている。

この南方式支石墓は朝鮮半島南西部に最も集中しているが、そこから北にも広がっており、海岸沿いや山麓だけでなく、漢江や大同江などの河川の所に多く見られ、また北朝鮮でもも見られる墓である。北方式との大きな違いがあり、それは「島」で見られる、つまり南方式支石墓は海洋文化を持つ國の文化という事である。この支石墓の造られていた時代と言うと中国側には海洋文化は育っていない時代である事からも、「別の文化から来たもの」という事である。
また、北から支石墓文化が来ているが、その文化は同時に青銅器文化を伴うので、日本の支石墓の埋葬品には初期から青銅器が入ってなくてはおかしいが、埋葬品は土器や石器である事から見ても、北から来た文化ではないという事である。

この時期と言うと日本に中国の呉地域の民族が入って来た時代の後になるので、その民族が朝鮮半島に入って来たのではないかと考える。
つまり、離散した呉地域の民族のうち日本に辿り着いた呉地域の民族がさらに分派し、朝鮮半島に渡っていったという文化の流れではないかと思う。その為、支石墓も似たような形式ながら日本では内部構造が半島側では少し変わってくる（独自の発展、つまりローカライズしていった）のではないだろうか。
縄文式の遺物が出土する遺構とも合致しますし、倭系民族の半島での広がり予測とも合い、北方式支石墓と南方式支石墓が今のソウルの北側辺りで分かれるのにも合致します。この南方式支石墓の伝達ルートは青銅器文化の動きとは逆なので、日本や朝鮮半島南側の支石墓について青銅器文化とは関係がないのは確かです。

南方式の支石墓文化は「支石墓が福岡平野に見られないのは，支石墓集団が玄海灘周辺に進出した際には，福岡平野には一定の社会勢力が存在したため，進出できなかったとの見解もあるようで，在地勢力との関係はあると思います」という古門雅高氏の言葉があるのだが、杭州から海路で九州に来た呉地域の民族が定住しようとしたが、多くが既にいる縄文人との軋轢を避け、周囲の縄文人から話しを聞いて更に船に乗り朝鮮半島南側、そしてあまり倭人が進出していなかった南西部に定住したのではないでしょうか？
また、この時期と言うと気象変動があり少し寒冷化し、海水面がまた少し下がっていた時代であり、植生にも変化が起き採取も栽培もあまりよくなく食料不足だったのではないかと考えられ、縄文系民族の全体数が減っていた時期（下図は左が日本列島、右が朝鮮半島の人口予想曲線図）にもなります。そのため、予想よりも多い移住者の受け入れが難しく、朝鮮半島へとさらに移動したのかもしれません。

朝鮮半島南部には南方式支石墓が多いのはそのためではないかと考える。
日本より少し遅れて紀元前1500年頃から始まった朝鮮半島の人口の爆発的な増加は、紀元前1000年を少し過ぎたところでピークを迎え、急激な減少に転じます。

紀元前で朝鮮半島の南西部に倭人があまり住んでいなかったのにも理由があり、

縄文人が進出している6500年前は海水面が上昇している時代であり、南西部は現在とかなり違い、海岸沿いの陸路を南西端部に行くのは難しい地形です。

左図が6500年前の半東部の地形で、右図が現在の地形です。
南海岸からは内陸部に進み、それから分岐して西部域に入るルートを辿っているわけです。

3000年前の頃だと今と同じような地形にはなっていますが、そのような歴史的経緯のため、南西端部は比較的移住していない土地でしたので、呉地域の民族も入りやすく根をおろしやすかったのでしょう。

余談ですが、これが日本に音読み、すなわち「呉音」が入って来た時代だと思います。ただ、中国の歴史で見ると「呉の国の時代の前に居た先住民」になります（『呉地域の民族』ではあるが、国としての『呉』ではなく、海資源利用や入れ墨文化などを持つ「呉地域」に住んでいた民族となんらかの交流がそれ以前からあったのは確かでしょう）。

九州でも呉地域の民族は混ざっていますが、多くが混ざったのが半島南西端部に移住した呉地域の民族と領域を広げた縄文人であり、南に渡り済州島に行った呉地域の民族たちはそこで長く独自文化を築く事になる。この南方式支石墓文化を伴った呉地域の民族と縄文人が混血した人たちが再び日本に戻ってくるのはBC2世紀前かその前後あたりで、南方式支石墓文化が下火になってからなので、そのため、対馬には支石墓が無いのでしょうね。

ちなみに、対馬⇔釜山の交流は海流の関係から人力舟の時代ではほぼ不可能ではあり、実証実験でも成功した事がないルートである。長江下流（杭州）⇔五島列島・北九州の交流は海流を使うと可能で実証試験でも成功しているルートであり、対馬⇔釜山ルートでの交流より実現的な交流ルートである。
もちろん、その前にも後もやって来てはおり、後の時代（三国時代など）にやって来た漢字や原始仏教が入って来た時代なのではないかとも思う。

この南方式の支石墓が日本から来ていたであろうというのは、他からも判るものがある。
それは金官国（金官伽耶）の墓で、発掘調査の結果、1世紀から5世紀にかけての支配階級の墓所として、支石墓・木槨墓などさまざまなタイプの墓が発見されている。丘陵周辺の平野部には1世紀から3世紀の古墳が存在する。丘陵の頂上には4世紀から5世紀の古墳が集中してある。土器、鉄器、木器、中国製の銅鏡などの遺物が出土している。また、遺構は伽倻古墳の形態の変遷過程を示しており、倭が中国との交易交流もしていた事が判る。

2022年、韓国ゲノミクスセンターと蔚山国立化学技術研究所などの協力を得て、オーストリアのウィーン大学が行った研究"Northeastern Asian and Jomon-related genetic structure in the Three Kingdoms period of Gimhae, Korea（『韓国金海の三王国時代における東北アジアと縄文人に関連する遺伝子解析』）"で、朝鮮半島南部金海市に位置する大成洞古墳の伽耶王の王陵から出土した被葬者の人骨を検査したところ、墓主が縄文系のY染色体ハプログループであるD-M116.1（D1a2a1）に属している事が判明している。
このD1a2というのは日本で独自に変異したD系遺伝子であり、縄文系の民族だった事が判る（そして、韓国人の2割にも入っている）。

【どんぐり】

どんぐり食も、縄文人の半島の拡大の形跡として分かる。
日本では縄文時代早期（10000年以上前）からどんぐり遺体が見つかっており、食利用していた形跡が見られる。朝鮮半島で見つかっている数は少なく、その上で、最古とされるドングリ遺体が見つかる遺跡の近くにある遺骨は縄文人遺伝子のものだったので、当時、縄文人がここまで来ているのが判っている。

これを、年代ごとに分けると、縄文人の朝鮮半島の拡大状況が分かる。

日本に比べると、朝鮮半島の新石器時代は開始が遅く、BC8000年前ぐらいからとなる。
新石器時代にドングリ遺体が見つかっており、これが結合織釣り針や縄文人遺骨が見つかるあたりである。

つまり、朝鮮半島の新石器時代早期の当時、縄文人は朝鮮半島の東沿岸も中頃まで進出しており、漁や採取をしていたのです。
遼河文明が興り、日本と海路交易を既にしていた時代です。

これが、BC6000年と新石器時代前期になると、こうなります。

この頃になると、女真系民族が新楽文化が遼河流域に興していますが、南下はしていません（というか、できません）。この当時は水面が現在より高く、遼東半島は渡れるような平地は少なく、河川の川幅も今よりさらに広く、今の平壌あたりは湿地であり、ソウル当たりは半分水に浸かっているような地域です（赤い部分が現在の地形）。

そのため、遼河流域から遼東半島に南下するのはBC15世紀頃から、そして遼東半島から朝鮮半島にと東進するのはBC12世紀頃から（北方式支石墓から推測）になります。

BC3500年頃と新石器時代中期になると、少しだけ遼河流域に居た民族が南進し遼東半島に入ってきますが、まだ朝鮮半島に入ってきません。

さらにBC2000年頃と新石器時代後期になり、遼東半島に入ってくるようになり、BC1500年頃には遼東半島の西端に定住していたようです。

大河を渡河し、BC1500年頃から新石器時代になります。北方式支石墓からからBC1200年頃になり、平壌あたりまで進出してきた中国系民族は陸路で倭人（縄文人）と接触する事になり、倭人文化も吸収していきます。主に平地やその近辺で生活していたものが、採取文化により山の中にも生活圏を広げるようです。

このように、ドングリ食文化の拡大で縄文人の拡大を見る事が出来ます。
同時に、縄文人も異民族と出会う事により、朝鮮半島内で拡大ではなく縮小していく事になります。

これと関連するのが、BC10世紀前らの寒冷化で、縄文系の民族は食料が上手く作れず取れず、人口減少が始まります。その為、これ以上北上をせずに南下していきます。
BC22世紀辺りだと日本国内で26万人ほどいた縄文人が、BC10世紀頃には8万人と減少します。

これは朝鮮半島でも同様で、人数が減り、北上をやめて南下するのですが、その空いた平壌あたりのスペースに中国系民族が南下してきます。

BC12世紀あたりでは、鴨緑江あたりまで進出してきた中国系民族と接触し交流や交易をします。

【翡翠】

翡翠も、縄文人がどう交流していたかが分かります。

この翡翠の交易は、遺伝子的の拡散にも整合性がとれます。

【日本の鉄製品】

「鉄は朝鮮半島から伝わった」と言われているが、これも嘘である。

日本での鉄製品の生産は、実は古い。
福岡県春日市赤井手遺跡で、BC10世紀（BC940年頃）に作られた鉄器の遺物が見つかっています。この遺跡は鉄錬を行った遺跡ではなく、鉄素材を加工して鉄器を製作した鍛冶遺跡であった。

朝鮮半島では、BC700年頃には青銅器、BC300年頃には鉄器が遼東地域から南下して伝わっており、西北朝鮮から東北北朝鮮に伝わってきています（これは、漢→馬韓→辰韓に伝わっているという事です）。
また、中国では殷代（BC16世紀～BC1046年）の遺跡において既に鉄器が発見されているものの、これはシュメールなどと同じくそれほど利用されていたわけではなく、主に使用されていたのはあくまでも青銅器であるし、錬鉄（人工的な鉄）ではなく、隕鉄を付け加えたものであった。本格的に製鉄が開始されたのは春秋時代中期にあたるBC600年ごろからであり、戦国時代になって鉄製の武器も使われるようになったというものである。
日本では、殷に次ぐ時代には既に鉄器が生活の中で使用されていたという事であるが、これは海人族の海洋交易の範囲を考えるとおかしい話でもない。沿海州では紀元前1000年頃に鉄器時代を迎えているが、これは日本と同時期になり、日本ではさらに古くから鉄器利用の可能性があるため、どちらから伝わったかはまだ分からない。
時系列で並べてみると、分かる部分がある。

	アジアの鉄	日本の鉄	朝鮮半島
BC2000年頃	ヒッタイトの都ボアズキョイ遺跡からは、製錬された鉄が発見 (錬鉄) ヒッタイトの金柄鉄剣
BC12世紀頃	ヒッタイトが滅亡すると東アジアから四方への製鉄技術の伝播 (錬鉄)
BC10世紀	インドへ伝播 (錬鉄)	BC940年（BC10c）の製鉄品大量の杭を尖らすのに多くの鉄斧が使われている
BC9世紀	インドから紀元前9世紀に中国に伝播 (錬鉄)
西周後期 BC9世紀	河南省三門峡市墳墓より出土した玉柄(銅心)鉄剣 (錬鉄)
西周後期～春秋時代 BC9世紀～BC6世紀	甘粛省・陝西省など中国西部に偏在して金柄や青銅柄に装着された鉄剣(ヒッタイトの金柄鉄剣・コーカサスの銅柄鉄剣など西・西北からの伝播)
春秋末から戦国早期 BC475年頃からBC386年頃まで	江蘇省程橋鎭1号墓から白銑鉄の鉄塊、2号墓から海綿鉄鍛造の鉄棒出土、(BC6～4世紀) 銑鉄と錬鉄両着が存在。ただし、この時代の鉄器は，大半が鋳造製。錬鉄の硬化技術が，まだ十分に開発されておらず、鍛造製のものはごわずか。鋳造製の硬いが脆いという弱点は，刃部を脱炭することによって克服され、実用農工具に鉄器が使われてゆく。	曲り田遺跡 BC4世紀頃には鉄器が本格的に普及
戦国晩期 BC3～2世紀	河北省燕下都44号墓出土の鉄戟・鉄矛・鉄剣など鉄製武器類が急増	淡路や佐伯など、西日本から九州にかけて幅広く製鉄（錬鉄）遺構が見つかっている	戦国時代晩期に燕の領域から、鉄器(鋳造・鍛造)が西北朝鮮→東北朝鮮へと広まる
秦 BC3世紀	秦始皇帝が中国全土に鉄官配置
前漢 BC119年	武帝の時代には鉄官が49ケ所に及ぶ
前漢 BC2世紀	満城1号墓で劉勝の佩剣や書刀も海綿鉄鍛造 (錬鉄)
前漢中期以降	銑鉄を脱炭して鋼とする技術の開発が鉄製武器のうち長剣は大刀に交替
BC1世紀以降	河南省鉄生溝の製鉄遺跡では，海綿鉄を生産した炉と銑鉄を生産した炉のほかに銑鉄を脱炭して鋼とした製鋼炉や炒鋼炉と呼ばれるものが出土
後漢	大量量産が可能な溶融銑鉄法による銑鉄生産が中心になるとともに、鍛錬技術も発達		1世紀以降青銅製の武器が、鉄製の武器に交替

考古学的な発見を時系列に並べると、日本は中国よりも古くに製鉄品が出てきます。それも、まだ中国にはまだ伝わっていないので存在せず、インドにも同時期なので存在したかどうかが判らない製鉄品が日本からは出てきているのである。
紀元前10世紀の「ヒッタイトからインドへ伝播」と同じ時期には日本に鉄が来ているという事であり、これを見るに、「紀元前12世紀頃：ヒッタイトが滅亡すると東アジアから四方への製鉄技術の伝播」だが、これが中国や朝鮮半島ではなく南西諸島ルートでヒッタイトから鉄技術がほぼ直接に日本に来ているという事になる。
また、このBC10世紀頃だとシルクロードもまだなく（シルクロードはBC114年以降）、中国とインドは直接の交易をしていない。つまり、東南アジア経由で伝達式に順番に伝わってくるルートになる。
もう1つだが、他の国での多くでは最初は隕鉄の利用から始まる。しかし、日本では隕鉄の利用ではなく、最初から錬鉄の鉄文化の最初に来るのだ。

年代からして「朝鮮半島から伝わった」というのはタイムパラドックスになるので「ありえない」と断じられるのだが、「中国から伝わった」というのも同様なのである。
可能性とすると、

「BC12世紀頃にヒッタイトが滅亡すると東アジアから四方への製鉄技術の伝播」の際に、インドと共に黒潮交易ルートで伝播した

になるだろうか。土器（焼成技術）が早い段階からあるので、青銅や鉄は自力で辿り着いた可能性もある。人工的な錬鉄は、砂鉄を用いた坩堝（るつぼ）製鉄から始まっているのである。また、赤井手遺跡は鉄器未製品を伴う鍛冶工房で、これら鉄片の中に加熱により一部溶融した形跡のモノもありかなりの高温が得られていたという。弥生時代にガラス制作技術もあり、1400～1500℃の高温度が得られていたのは判っているからだ（青銅の溶解温度は、黄銅（銅65％、亜鉛35％）と呼ばれるものでおよそ900度℃～940℃です。鉄は鉄1538℃で、炭素含有量が多いと1400℃くらいから溶解が始まります）。

和歌山県御坊市堅田遺跡から青銅製槍鉋の鋳型片が出土している。堅田遺跡は弥生時代（BC3世紀）前期に営まれていた環濠集落で、青銅器鋳造工房とみられる掘立柱建物が環濠内に建てられており、土杭をしつらえ土壌改良を施したうえ、地表面以下に作業場を設け、溶解施設と鋳型を据えた鋳込み施設を併置していたようである。
日本の歴史における「鉄」も、考古学発見でまださらに古くなっていく可能性があるのである。
大分県佐伯市の下城台地の西南端では日本で初めて製鉄跡が発見された。製鉄遺跡としては完全形態を保持しており、鉄を延ばす台石、フイゴ、釘、鉄滓などがそっくり残っていた。この遺跡はBC3世紀と紀元前であり、今まで通説とされていた「日本が錬鉄したのはAD6世紀頃から」という説は覆され、900年以上前から既に自力での鉄産業を持っていた事が判る（ちなみに6世紀頃と言うのは、日本独自の錬鉄技術であるたたら製鉄の事である）。
この地域は、先にも述べているがもっと古い時代から人が定住していた地である。もっと古くから製鉄をしていてもなにもおかしくない。

日本では早い段階から戦争の道具としてではなく、生活の道具として中国より先に実用的に使っていたのですが、時代を見ると、インドから黒潮交易経由で直接来たものか、それとも独自発展によるものとしか考えられない（中国より早い時期から鉄を加工しているのだから、タイムマシンでもなければ、中国や、中国から朝鮮半島経由でというのは無理なのである）。
そもそもが、AD3世紀の時点でも中国の南側では主に青銅武具であり、魏は加羅のあった朝鮮半島の南側から鉄を輸入して利用していたという事であり、海人族（縄文系民族）が伝えたと考えても、その遺骨遺伝子の分布状況から考えるとおかしくはないのである。今後、より古い錬鉄が日本で見つかれば、日本から中国に伝わったというルートも考えられる（日本の鉄関連遺跡は古い物も数多くあるが、「半島から伝わった」俗説が定説として幅を利かせており、纏められていない気がします）。例えば、縄文時代晩期の遺物を含む炉のような遺構で鉄滓が発見された長崎県小原下遺跡の例もあります。縄文時代晩期の遺跡として、石崎曲り田遺跡(福岡県糸島市)、小原下遺跡(長崎県島原市)、筏遺跡(長崎県雲仙市)、貝塚一丁目遺跡(北海道釧路市)から鉄鏃片、小鉄片が出土している。

時代から見ると、中国の北方や、その地域から朝鮮半島への伝播もBC3世紀頃。この頃というと、中国系民族が鴨緑江を越えて南下してきたころであり、先住していた縄文系民族との交流交易が大きくなってきた時期であるので、朝鮮半島で縄文系民族が採掘していた鉄が伝わった物とも考えられる（中国では北方に鉄鉱が大変に少なく、漢民族の流れで中国中央から北へという鉄と、朝鮮半島南部からの北への鉄が考えられる）。
日本にある古い鉄器で中国産と比定されているものは、戦国時代（BC475～221年）・秦朝（BC221～206年）・漢朝（BC202～AD220年）などのものであり、朝鮮半島での出土品よりも古いので、黄海を使った海路交易によるものだろう。逆に言えば、この時代から日本は代々の中国の國と交易をしていたのである（たぶんだが、鉄を輸出していたのだろう）。そして、中国秦代に頃には、日本には錬鉄を作る設備を佐伯・淡路島など幾つもの場所で既に出来ており、生活の中で鉄を使っていたのは確実なのである。もちろん、中国にもこの鉄製品を輸出していた可能性が高い。
この関係が金印（漢委奴国王印）なのだろう。金印は諸王並みの扱いを漢がしているという証拠になり制作数は大変に少ないのだが、倭は漢の時代に「委奴國」が、魏の時代には「邪馬台国」が贈られている。他にも銀印・銅印などもある。

殷・周時代中国最古の鉄器としては殷中期の墳墓から

河北省：ニッケルを含有する青銅製の鉞（えつ）の刃部に隕鉄製とみられる鉄の使用された鉄刃銅鉞
北京市劉家河出土：殷代の鉄刃銅鉞
河南省衛輝府出土：周初の鉄援銅戈（か）

が出土しているが、これらは隕鉄を付け加えたものであり、錬鉄（人工的な鉄）ではない。また、場所から分かるように中国中央あたりのものである（金属の製錬技術を持たなかった時代あるいは地域の人々は、隕鉄を貴重な金属として、道具に使っていた。古代の西アジアや中国では、鉄使用の初期の頃、隕鉄を利用したが、量が限られたため、青銅に代わって、鉄器が主流となることはなかった）。

戦国晩期（BC3～2世紀）で鉄製品が急激に増えるが、これは日本からの技術が伝わったとすると整合が取れるようになる。

朝鮮半島では忠清北道石帳里遺跡で形態・構造・規模の異なる製鉄炉2種の製鉄法が試みられていた痕跡と見られるのは、「中国式」と「日本式」だろう。また、ここでは大量の砂鉄が出土しているのは、これが「日本式」だからだろう。中国式の製鉄技術は漢代の製鉄技術というよりも、その前の中国戦国時代の技術の系譜とみられ、漢代の技術は鍛冶技術に厳しく統制されていたと考えられる。

韓国における鉄器の使用開始は紀元前3世紀頃に中国東北部から搬入された鋳造鉄器が初見である（この時代には日本では既に鍛冶工房が色々な所で見つかっている）。鉄器の生産は、紀元前2世紀後半とされる莱城遺跡から鍛冶関連の遺構と遺物が確認されている。しかし、この遺跡では焼土や鉄板などが検出されているものの、鉄滓や羽口などが未検出であることから、鉄板を加熱し鏨切り程度の簡単な作業が行われたと考えられている。本格的な鍛冶遺構が確認できるのは、原三国時代（BC108～AD4世紀中頃＝大同江より南の朝鮮半島は倭人の領域だった時代）で、京畿道馬場里遺跡から羽口様の送風口付き土製品や鉄滓が出土し、慶尚南道茶戸里遺跡から鉄鎚が出土していることから、鍛接や炭素量調整などの鍛冶技術が確立したと見られている（というか、それは日本の技術ですね）。
朝鮮半島の製鉄の開始は、現在のところ3世紀末とされる忠清北道石帳里遺跡がもっとも古い。

2015年だと、下図のように「鉄の時代」を考えられていた。

東アジアだと、中国が古く、そして朝鮮半島の後に、日本に鉄技術が伝わった、という今まで云われていた年代である。
ところが、弥生時代が500年ほども早まる（水田稲作などもより古くなる）中で、水田稲作も科学的分析によりBC10世紀にはあった事が確認されたのと同じく、BC4世紀と思われていた鉄も分析するとBC10世紀の物である事が確認されたのである。

その為、現在は日本は朝鮮半島どころか中国よりも早くから鉄文化があったと判ってきたのである。
ただし、主流ではないというのもあるのだが、その前に銅・青銅の時代が日本にないのが不思議である。古くから中国と交流していた事を考えると、更に古くからあってもおかしくないのだが、今の最古例は三崎山遺跡（山形県飽海郡遊佐町）では大陸との交易によって入手したとみられる約3000年前の青銅刀子が出土している。福岡県の今川遺跡では遼寧式銅剣の鋒と茎を銅鏃と銅鑿に再加工したものが出土しており、紀元前8世紀頃のものとみられる。また三沢北中尾遺跡からは紀元前7世紀頃に遡ると思われる銅斧が発掘されている。ただ、それでも日本の土器文化の古さや鉄成型品からみると新しい。
謎が残るのだけれど、これは今後の日本の考古学に期待したい事です。

上図でも、新石器時代（磨製石器）だと、中国は25000年前から、朝鮮半島は縄文人が入ってきている9800年前からとなるが、日本は35000年前からと飛び抜けて古い。
鉄文化を古代文化の発祥とするなら、中国はBC9世紀、朝鮮半島はBC3世紀に対して、日本はBC10世紀からとなる。
稲作文化を古代文化の発祥とすれば、少し複雑で、陸稲作や天水田とすると中国はBC140世紀、朝鮮半島はBC15世紀からになるが、日本はBC145世紀あるいはBC100世紀あるいはBC60世紀になる（日本の場合は複雑で、プラントオパールで見ればBC145世紀のものが見つかっている。中国や朝鮮半島は同じような発見で年数を言っている。BC100世紀は栽培種らしき稲のプラントオパールである。BC60世紀は栽培種と明らかに分かるプラントオパールになる。中国だと焼畑陸稲でBC120世紀、散播農法でBC75世紀になる。朝鮮半島は散播農法でBC15世紀になる）。人工的な灌漑設備を用いた水田稲作だと、中国はBC50世紀、朝鮮半島だとBC5世紀になるが、日本はBC10世紀（ただし、日本はまだ古くなる可能性がある）。
日本の考古学はまだまだ浪漫に溢れており、どんどんと古くなっています。

ただ、主流にならなかったのは、やはり「錆びる」からでしょうね。
日本は温暖湿潤気候に属し、特に梅雨や夏場は湿度が高く、気温も高いという高温多湿の気候であるため、錆が発生しやすい環境です。また、海に囲まれた日本では、潮風による塩害も錆の原因となります。特に海岸近くの地域では、金属が錆びやすくなります。
日本で使われるようになるには「錆に強い鉄」が必要であり、試行錯誤を続けたのでしょう。
砂鉄原料（チタンを含む）を使い、鍛鉄と、炭素や不純物を叩き出しながら、それでもチタンなどの鉄を錆びにくくする不純物が微量に残り、また『叩いて伸ばして折り曲げて重ねてまた叩く、さらに冷やして熱する』という複雑な工程を繰り返すうちに、不純物の皮膜層が粒子の単位、また、何重にもでき、結果として錆びにくい（黒サビの出る）鉄になる。と、日本独自の製法が作られ出して、使うようになってきたのである。
海外からのものは実用としては日本という風土の中では使うのが難しく、それ故に装飾としての価値がついたのでしょうね。

【文字】

多くの考古学的成果により、漢字は早くから中国大陸の古銭や銅鏡などの物品に伴って日本に伝わっていたことが証明されている。日本の九州長崎の弥生時代後期の遺跡からは「貨泉」の二字が鋳刻された中国古代の貨幣が出土し、その後さらに対馬・佐賀・福岡・熊本・京都・大阪などの地の弥生時代中期の地層から、このような貨幣が続々と発見された。考証によれば、これらの貨幣は後漢王莽の新王朝（AD8～23年）で鋳造・発行された貨幣である。その他、政府ルートでの物品の流入もまた文献の記載に見える。

例えば、『後漢書』には、建武中元二年（AD57年）、倭の奴国が貢物を奉じて朝賀に来た時、光武帝は印綬を下賜したことを記載するが、これが即ち「漢委奴国王」の五つの漢字を刻した金印である。この他、日本の関東・中部・近畿などの地ではまた、中国古代AD3世紀の年号が刻されたいくつかの銅鏡が続々と発見されている。これらの実例はすべて、遅くともAD1～3世紀までに、漢字が既に中国の物品に伴って日本に伝わったことを示す。そして中国の史書に記された、AD239年に魏の明帝が「詔書もて倭の女王に報ず」や、翌年に女王卑弥呼が「使に因りて上表し、恩詔に答謝す」は、邪馬台国が既に漢字の詔書を解読し、漢字を記して文章を表現する能力を備えていたことを示す。

明らかに、弥生時代には既に一定の範囲内で漢字が使用されていた。『宋書』倭国伝に記載された倭王武（在位AD477～479年）が宋の順帝に宛てた上表文に至っては、単に完全に漢文を用いて表現しただけでなく、さらに六朝期の駢儷文の風格を備え、文辞は華麗であり、AD5世紀において、日本の国家の正式な文書には、さらに正確に漢字・漢文を用いることができたことを示す。

つまり、漢字伝来の前に既に日本では漢字は正確に使われていた事を示している。
漢音（隋唐時代の発音）よりも古い時代の呉音もあるのが証拠とも言える。
7～8世紀に漢音（長安付近の音韻）を学び持ち帰る前にすでに日本に定着していた漢字音である。建康（今の南京市）付近の漢字音とも言われ、「中国語の中古音の特徴を伝えている」とあるが、魏晋南北朝音は北方音であり濁音が少ない事を考えると、それより古い上古音（周音や秦音、西漢音つまり紀元前の漢字の読み方）の特徴を持っているという方が正しいと考えられる。仏教に関しても、仏教伝来とされる6世紀よりはるか前、2世紀頃に伝わったのではないのかという説もあるが、日本仏教には呉音読み（つまり古い読み方）をするものが多く残されており、これは隋唐時代に花開く中国仏教では見られない読み方があるからである。

そしてそれよりも遥かに古い時代に、言語が違う中国大陸沿岸部の民族とも交易をしていた形跡があるのである。
漢字以前になんらかの文字があったとしてもおかしくはない。

ちなみに、呉音は南朝の中古音の影響が強いと言われているが、中には上古音の影響の音もあるし、たぶんだが北方の読み方も入っているとは思う。
つまり、「呉音」というのはかなり長い期間を掛けて入ってきているという事です。

実は、この日本の「呉音読み」すなわち南方音と遼東地域の北方音だが、これは朝鮮半島の縄文系民族の動きとしてもよく分かるのは、地名として残っているからである。
朝鮮半島は河川の事を鴨緑江とその南では『江』を使い、遼東半島南側、鴨緑江より西では『河』を使う。すなわち、鴨緑江までは先に南側の縄文系民族が来ていた証拠にもなるのである。中国の三大文明河川、北方は『遼河』『黄河』に対して南方は『長江』なのである。これに対して「中国南方から朝鮮半島側の南部に直接来たからだ」と言う人もいるが、当時（BC12世紀頃）の船舶技術、黄海技術では中国側は海洋航海を出来る船も、操船技術もないので不可能である。可能なのは、1万年前には外洋航海をしており、海を広く利用しており、朝鮮半島における先住民となる縄文系民族なのである。

日本語漢字の「漢音」と「呉音」という用語は時折「混乱」されていることがあります。
「漢音」という用語は、その初出が唐の高祖である李淵（618～626年）の詔に出てくるものであり、そこでは自らを「漢」の正統な後継者であると宣言し、唐の都「長安」の発音を称して「漢音」と言い、「南朝」「陳」の発音を指して「呉音」と言っていることが分かります。これらはいわば「政治的」用語であり、「唐」の立場から言うと自らの王朝を「正統化」し、「南朝」を「侮蔑」するために造られた「概念」であると考えられます。
これが、それまでは呉音読みだった唐との交易において侮られない為に、日本が隋唐音での漢字の読み方を取り入れないといけなくなった理由なのである（遣隋使の時代はちょうど隋唐音が整備される時代であり、南朝発音でも問題とされなかったのだろう）。

4世紀末に百済から紹介された「王仁」によって漢字が伝えられたーーというのは嘘で、王仁によってもたらされたのは『論語』などの儒教やそれらの書物である（『千字文』に関しては、千文字の成立が王仁来訪より後なので、やはり嘘である）。すなわち、当時4世紀末の日本は論語を読めるほど漢字は浸透していたという事になる。応神天皇の事であるからBC5世紀初頭の話で、日本の臣従國となっていた百済が日本に朝貢する際に、日本側から知的好奇心から学者を求めたというものであり、学問に対する受容が日本には既にあったという事でもある。『前燕』の慕容仁に付いていっていた人達によるものと考えられる。336年で内紛で慕容仁が破れ、「慕容幼・慕容稚・冬寿・郭充・翟楷・龐鑒はみな東へ逃走した」というので、その拠点とした平郭の民やその周辺が東（朝鮮半島）にと逃げたのが最初の『百済』でしょう。その中に「王仁」という知識人がいたのだと思います。時期から見ると、5世紀初めに第十五代応神天皇の御代で百済から帰化の願いがあり、それを日本が受け入れた一族（秦氏の祖先になる弓月氏がここに入っている）に関係している人物でしょうね。

ちなみに、朝鮮半島だが、古代では大同江より北は北方音で、それより南は倭人が使った南方音の中国語を理解していたと考えられる。
しかし、新羅が西海岸を得た7世紀初頭に隋唐へ臣従した際に隋唐音一色に塗り替わっている。

そして、気付かない人も多いでしょうが……。
「既に過去となった別の王朝の文化」を取り入れてあるいは略奪した文字や読み方ではなく、受け継いだうえで途切れさせることなく受け継いでいるのが日本です。
例えば「隋唐音」でも、隋を滅ぼして、その滅亡させた隋が作った文化：隋音を取り入れて使ったのが「隋唐音」です。
しかし日本は、漢音を唐を滅ぼして手にしたわけではなく、唐と交易し、そして唐から学んだ上で自分たちで受け入れ、それを自分の物として変化させているのですね。
つまり、「当時はあった王朝の文化」を受容し、そしてそれを今でも生かして使っているという事で。「生きている最古の文字」「生きている最古の読み」と言っても間違いではないのです。

実は、「文字」があった事は別の書物でもあります。
『隋書倭国伝』に

無文字唯刻木結繩敬佛法於百済求得佛經始有文字

（倭国に）に漢字はなく、刻木と結繩があり。
仏法を敬まい百済於り仏経を求め得て始めて漢字がある。

と書かれています。
ここでいう「刻木（こくぼく）」というのは、漢字の始祖とされた中国のの三皇時代の倉頡が考案した「書契」のことで、書契とは「木に文字を刻む」という意味の言葉です。「結繩」は、縄目を結んだ記号のことで、ひらたくいえば「縄文文字」ということになります。
中国の三皇時代というのは、中国神話に登場する三人の神『伏羲』『女媧』『神農：のことで、半獣半神の姿をした神ということになっています。
それに続く五帝が人間の聖人君主で、『史記』では黄帝・顓頊・嚳・堯・舜とあります。中国ではこの三皇五帝の時代がまさに理想国家であったのだと説かれるのですが、『契丹古伝』では、その三皇五帝は「皆、倭種なり」と記しています。つまり、「すべて倭人であった」と記述しています。これが創作か真実かは分かりませんが、実際にそうであってもおかしくないのが、縄文人が行っていた海洋交易ですね。
これをなぜ言っているかと言うと、隋が漢字を整理して隋唐音を整えたからですね。しかし、倭国では仏教伝来以前に「刻木文字、結繩文字」が使われていたと記しています。さらに言えば、仏教も漢字も、百済経由で唐から中国仏教が来る前からあったものですね。
この「刻木文字」は、古いものですと紀元前14世紀（いまから3400年前）の遺跡である河南省安陽市の遺跡「殷墟」から発掘されています。これの別名が「甲骨文字」です。ですが、いまだに甲骨文字の母体（原点）となったはずの部品だけの文字が見つかっていません。
これらは、

実は漢字の源流は日本ではないか？

という説になっている要因です。
8000年前には遼東地域や、それ以降でも中国沿岸などとも交易していた形跡が色々とある倭人ですので、文字の原型として日本の繩目紋が原点というのも、その交流の痕跡からありえなくはないのですよね。土器や磨製石器、幾つかの農業など。遼河文明や黄河文明の初期から、倭人が現れた形跡は黒曜石や翡翠などでも確認できますし。つまり、それより前、中国では文明の発祥時の時には、倭人の存在があるのは否定できません。

【漆】

漆は縄文時代から使われていて、世界最古の漆器は7000年前の中国のものとされ、これが渡来人によってもたらされたとされていた。
ところが、この説が覆った。
日本で北海道函館市で、漆を使った約9000年前の副葬品が発見され、これが世界最古のものとなったのだ。時代は下るが、福井県や青森県八戸市の是川遺跡などからも、漆塗の櫛などが数多く出土している。福井県鳥浜貝塚からは、約12600年前の漆の木片が発見されており、これが世界最古の漆の木とされています。
つまり、「漆」というのは日本から中国に伝わった可能性が高いのです。

【東アジアにおいて日本だけは独特】

日本以外を考えてみた場合、土器・磨製石器・農耕・集落（定住）は、同時期に現れて「農耕文化の発祥の証拠となる」として取り上げられます。
ところが、日本だけは違います。

打製石器：38000年より前
磨製石器：35000年から
釣針：23000年から
土器：16300年から
定住集落：15000年前から
栽培：6000年前にはある
農耕：3000年前ぐらいから

と、文化の発展がよく分かる年代順に現れます。三内丸山遺跡ではドングリの木の植林栽培もされていますが、これが5500年前ですね。そう、この時には既に「木」の栽培まで着手しているのです。それより遥かに植え替え栽培しやすい穀物や野菜などの類はそれより前でもなんらおかしい事ではありません。
長江上流を除けば、

遼河文明	小河西遺跡	10300年前から	遼河域最古の磨製石器
遼河文明	興隆窪文化	8200年前から	日本産翡翠・農耕文化・定住集落
黄河文明	後李文化	8500年前から	黄河流域最古の陸稲栽培・定住集落
黄河文明	磁山文化	8000年前から	黄河域最古級の磨製石器・定住集落・農耕文化

と、ある日突然に「磨製石器」「定住集落」「農耕文化」が生まれます。
単品で見れば、中国で磨製石器は長江上流で23000年前、朝鮮半島は7000年前と、日本に比べると明らかに新しいというのもあります。また、日本の様に大量に同時期の物が見つかっている訳ではないので、混雑した可能性がどうしてもありますね。
これは、かなり違和感がある話なのですね？そしてそれらはすべて、日本の方が古く。小河西遺跡は少し内陸になりますが、他は全て「沿岸部近く」という特徴もあります。

これは、「海洋交易を既にしていた日本から伝わった」という可能性も十分に高いという事です。

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