最終更新: voice_text 2018年07月29日(日) 21:50:58履歴
概要 | |||
※死ネタ注意 | |||
公開日 | カテゴリ | 字数 | |
2017/06/11 | 全年齢女性向け | 2718字 4000字未満 | |
演者役柄 | 視聴者役柄 | 関係 | 場所 |
店員 | 客 | 店員と客 | 店内 |
音声作品 | |||
ECHOES せいた様 https://youtu.be/chpiwdlGL-8 |
おはようございます。
良い朝ですね。
すみません、突然声かけて。
いつも店の前、通って行きますよね。
店の中には入らないけど、うちの花を見てくれてる。
はは。
気付いてました。
早く店に来てくれないかなー
今日は珍しいの入ってるんだけどなー
って。
考えながら待ってました。
今日はもう待ちきれなくて、声かけちゃいました。
お急ぎですか?
そうですか。
良かったら今度、店の中も見ていって下さい。
可愛いやつ、綺麗なやつ、丈夫なやつ、か弱いやつ、色んなのがいます。
あ、すごい臭いやつも。
ふふ。
大丈夫。
花は逃げません。
俺はいつでも、ここで待ってますから。
あ、また来てくれたんですね。
こんにちは。
今日の服、可愛いですね。
おでかけですか?
これからどちらへ?
ああ、慌てないで。
今お茶をいれます。
あ、カフェみたいな可愛いカップやテーブルとか、期待しないで下さい。
俺と従業員の休憩用に使っているものですから。
俺のカップでいいですか?
ちゃんと洗ってるから大丈夫。
ふふ。
さあ、どうぞ。
まだ熱いですから、ゆっくり。
焦らずに。
時間はいくらでもあります。
ふう。
俺も一緒に休憩しようかな。
いいんです。
たまには。
どこへ行こうとしていたか、忘れてしまったんですね。
そう。
まあ、そんな時もあります。
はは。
おかげで俺は今、大好きな花に囲まれて、大好きな君と一緒にお茶を飲んでる。
俺へのボランティアだと思えばいいんです。
あれ?
言ってませんでしたっけ?
そうでなきゃ声なんてかけませんよ。
君が毎日うちの花を見ながら通りすぎていくのを、俺も毎日見ていました。
誰にでもこんなに優しくしてる訳ないでしょ。
だからね、いつまでもここに居てくれていいんです。
俺が嬉しいから。
こんばんは。
お待ちしていました。
今日も貴方好みの花、たくさんご用意しています。
朝、昼、晩、同じ花でも環境によって違う顔を見せてくれますよ。
さあ、入って。
今、お茶いれます。
夜は冷えるから、温かいのを。
今日はどんな一日でしたか?
楽しい事はありましたか?
疲れるような事があったなら、俺に当たってもいいですよ。
花には当たっちゃダメです。
あいつら、打たれ弱いから。
自分を責めてもダメ。
俺なら平気です。
君の事なら、泣いてる顔も、怒った顔も、笑った顔も、全部知りたいから。
君の話なら、何でも聞きたい。
少しお疲れのようですね。
はい、お茶どうぞ。
ゆっくり深呼吸して。
花の香りを吸い込んで。
熱いですよ。
少し冷ましてから飲んで下さい。
どうですか。
思い出せそうですか?
……そうですか。
…………ずっと見ていました。貴方を。
言いましたよね。
俺には通じませんよ。
そんな嘘。
本当はもう思い出してる。
俺の事。
君の事。
今までの事。
これからの事。
(回想開始)
いらっしゃいませー。
あっ……
いえ、何でもありません。
何かお探しですか?
贈り物ですか?
は?
お、俺……ですか?
(回想終了)
君は、一方的に俺に片想いしてたと思ってる。
あれが初対面だと思ってる。
違うんだ。
俺もずっと、君を見ていた。
(回想開始)
ごめん。
明日、行けなくなった。
本当にごめん。
急に大口の仕事が入ってさ……
(従業員に向かって)
あ、違うってそれは!
そっちじゃない!
あー、もう俺がやるっ。
あ、ごめん。
こっちの話。
もう電話切んなきゃ。
仕事戻る。
この忙しい時に俺だけ彼女と電話してるなんて、従業員に示しがつかない。
悪い。
(回想終了)
あの頃の俺は、自分の店を立ち上げたばっかで、自分と店の事でいっぱいだった。
ろくに説明する時間も作らないで、君なら分かってくれると勝手に思い込んでた。
彼女なんだから、君とはいつでも会えるんだからって、後回しにしてた。
甘えてたんだな。
分かってないのは俺の方だった。
(回想開始)
何でもないって。
相談に乗ってただけだよ。
変な方に考えすぎ。
はあ……(溜息)
じゃあ俺にどうしろっていうんだよ。
従業員と口きかなきゃ満足か?
……ごめん。
言い過ぎた。
最近ちょっと疲れててさ……
ごめんな。
(回想終了)
一時さ、バイトの子が急に辞めて、めちゃくちゃ忙しくなって、ろくに会えない時期あったよな。
ばつが悪くて言えなかったけど、あの後結局、相談に乗ってた子に告白されてさ。
勿論断ったよ。
そしたら次の日から無断欠勤。
音信不通。
はは。
馬鹿だよなぁ。
君の言う事、もっと信じるべきだった。
ここは君が願った未来。
俺が望んだ過去。
あの時ああしていれば良かった。
こう言えば良かった。
どうしてもっと話を聞いてやれなかったんだろう。
仕事が落ち着いたら、こんな風に過ごしたい。
そんな後悔を、二人で一緒にやり直している世界。
ああ、一つだけ。
現実と変わらないとこもあったな。
君にいつも、熱いお茶を出していた事。
冷たいお茶だと、一気飲みされちゃうかもしれないだろ?
だから熱いお茶しか出さなかった。
夏でも冬でも。
ごめん。
気が利かない男だと思われてたかもな。
……少しでも君と、同じ場所に居たかったんだ。
さあ、もう一人でも、全部思い出せるだろ。
(回想開始)
あ、来てたのか。
どうかしたか?
なんか用事?
悪い。
今は手が放せないんだ。
先に言ってくれれば良かったのに。
突然来られても構ってやれな……
……!!
(スピードを緩めず近付いてくる車に気付く)
(可能であれば、息を呑む演技)
おい!!
危ない!!
(お好みで、車の衝突音やブレーキ音等。
入れなくても構いません)
(回想終了)
近くに飲み屋が固まっててさ。
酔った客も結構通るんだよ。
まあさすがに、そのまま運転するのは勘弁してほしいけど。
もっと早く、俺の方から君に声をかければ良かった。
思っている事、ちゃんと全部伝えれば良かった。
君の事、君の話、もっと聞きたかった。
今度会ったら話そう。
時間ができたら話そう。
店が軌道に乗ったらどこか連れてってやりたい。
そうやって、一番大切なものを放っておいた。
バチが当たったんだな。
大丈夫。
君はまた、誰かを好きになれる。
君にはまだ時間があるから。
俺としたかった事。
俺とできなかった事。
そいつと沢山叶えてほしい。
……悔しいよ。
本当は嫌だ。
忘れないでほしい。
ずっと俺の事だけ考えていてほしい。
でもさ……
やっぱり俺は、君が好きなんだ。
君は幸せになれる。
大丈夫。
だって、俺の事こんなに幸せにしてくれたんだから。
次は君の番。
好きだよ。
本当に……本当に好きだった。
自信を持って。
君はまた、誰かに愛される。
それまで、この記憶は返してやらない。
君に受け入れる準備ができるまで、俺の事は思い出しちゃいけないんだ。
……そろそろ行こうか。
もう目を開けて。
自分の足で立って。
君は、君の場所へ帰らなきゃ。
……泣くなよ。
きっとまた会える。
そしたら今度は、俺の方から君に声をかけるからさ。
約束。
だから……その時まで、さよなら。
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