最終更新: voice_text 2018年04月21日(土) 21:27:59履歴
概要 | |||
友人四人で集まり百物語をする。 | |||
公開日 | カテゴリ | 字数 | |
2018/02/03 | 声劇 | 2879字 4000字未満 | |
人数 | 場所 | ||
男性4 | 悟のアパート | ||
演者役柄 | |||
・悟(さとる) 今回話のメインとなる百物語語り手。 ・圭吾(けいご) 百物語をやろうと言い出した。 ・正之(まさゆき) 主にツッコミ担当。 ・直(なお) 主にボケ担当。 |
正之
「……で調べてみたら……そこ、前にも同じような事故何度か起こしてて、今は立ち入り禁止になってるんだって……」
悟
「うっわ〜、やばい」
直
「あーっ鳥肌たった!
正之、見てこれ。
ほらほらっ」
正之
「うるさい。今、深夜だから」
悟
「みんな持ってくるネタ、レベル高いなぁ。
圭吾と正之の、ほんとやばい」
圭吾
「まあ一応、主催だしな。そこは頑張った」
直
「俺は? 俺は?」
悟
「はは……(苦笑)」
圭吾
「おい、早く蝋燭消せよ」
正之
「ふぅーっ(蝋燭を吹き消す)」
直
「99本目〜! あと一本!」
圭吾
「誰だー、蝋燭買った奴。
すんげー余ってんじゃん」
悟
「あ、僕」
正之
「やっぱり」
直
「悟、買いすぎ〜」
正之
「あと一人で100話?」
悟
「多分」
圭吾
「まあ、よくもったよなぁ。
四人で怪談100話って」
正之
「言い出しっぺがそれ言っちゃうか」
悟
「あ〜……
一人あたり25話?」
直
「すげー頑張った! 俺!」
悟
「ノルマきつかったぁ」
直
「俺、先輩や彼女にまで聞きまくったもん。
百物語やるからなんかネタちょうだいって」
悟
「なんかあった?」
直
「バカみたいって言われた。
子供じゃないんだから〜とか」
正之
「それ、ほんとに付き合ってんの……?」
圭吾
「直の彼女ってあれだろ。エア彼女」
直
「エアじゃないし!」
正之
「次、誰?」
直
「正之?」
正之
「なんでだよ、さっき終わったばっかだろ」
直
「あー……んじゃ、圭吾?」
圭吾
「終わった。悟じゃね?」
悟
「うん、僕」
直
「ネタ切れだったりしないよね?」
圭吾
「頼むぞ〜、お前で締めだからな。
ちゃんと怖い話にしてくれよ」
悟
「怖いかどうかは分かんないけど」
直
「はい、お約束のハードル下げ来た〜」
正之
「直はしばらく黙ろうか」
直
「はい……」
SE 蝋燭に火を灯す(炎が揺らぐ音、芯が焦げる音等。お好みで)
悟
「あー……知ってると思うけど、独り暮らし長くてさ。
家事やら手続きやら、大抵の事は一人でできる方なんだよ。
でもさ、なんていうかなぁ……大雑把なんかなぁ?
よく買い忘れたり、買いすぎたりしちゃうんだ」
正之
「知ってる」
圭吾
「悟に買い出し任せた奴が悪い」
直
「すいません……」
悟
「だからまあ、足りてるつもりで足りてないとか。
余分に買いすぎて余ったり〜ってのは、前からあったんだ。
でもいつからだったか……ちょっとおかしいなって気付いて」
圭吾
「おかしい?」
悟
「うん」
直
「何がー?」
悟
「買ってきたものが消えたり」
圭吾
「買い忘れじゃなく?」
悟
「それも考えた。
でもレシートには載ってんだよ」
正之
「うーん」
悟
「あと、買いそびれた卵が補充されてた」
直
「なんだ、妖精さんの話かぁ」
正之
「ちっちゃいオジサン妖精な」
圭吾
「妖精じゃなくて幽霊の話頼む」
直
「怪談奉行、圭吾」
悟
「そんな日がちょいちょいあったんだけど、僕も疲れてたからさ。あんま気にしてなかったんだ」
正之
「そこで気にしないってのが凄いよ、悟は。ほんと……」
悟
「そしたらある日、帰り道で急にどしゃ降りになって。
傘買うのも勿体無いし、走って帰ったよ。
走ったら喉乾いて、冷蔵庫から牛乳パック直飲みして、はぁーって一息ついて……」
圭吾
「……で?」
悟
「寝た」
直
「はあぁ!?」
悟
「だからぁ、疲れてたんだって。その頃。走ったのも久々だったし。
まあとにかく、急に物凄い眠気に襲われて、そのまま寝ちゃったんだ。
でも牛乳だろ? 早く冷蔵庫に戻さなきゃ、早く起きろ起きろ〜ってずっと考えてた。
眠りが浅かったのかな。
どれくらい経ったか分かんないけど、途中で目が覚めたよ。
体はダルイわ、頭は重いわ、とにかく眠くってさ……
目だけ動かして牛乳探したんだ。
そしたら、なんか、足っぽいのが見えて……」
直
「うわうわうわ……きたーっ。
あ、あ、足だけ?
足から上なかったの?」
悟
「あった。普通に」
圭吾
「金縛りは?」
悟
「多分ない……かな?
分かんない。眠かったし疲れてたから」
直
「どんな奴? どんな奴?」
悟
「普通だよ、多分。
普通のおじさん。マスクしてたからよく知らんけど」
直
「なーんだ、せめて落武者ならなぁ。
もうちょっとインパクトあったのに」
悟
「そうだなぁ。あ、でも、刀はないけどアレはあったよ。
お約束の。包丁」
正之
「……は?」
直
「え、なんで、それマジ?」
悟
「あと鉛筆も持ってた」
正之
「ごめん、意味分かんないんだけど」
悟
「僕も分かんない。片手に包丁、片手に鉛筆持ってた」
圭吾
「何だよ、鉛筆って」
悟
「さあ……?
シャーペンかサインペンかもしんないけど。多分鉛筆っぽかった」
直
「意味分かんない! こえぇー!」
正之
「は? え? 待って待って、悟の実体験だよな?」
悟
「うん。俺も怖かった。
ばっちり目合っちゃったし」
直
「うわああ無理無理無理無理っ」
圭吾
「直、声が近所迷惑」
悟
「泥棒かな〜と思って。寝ぼけたふりするしかないなって」
直
「無理……マジ無理」
悟
「なんでもないですよ〜、気にしてませんよ〜、通報なんて考えてませんよ〜って空気出そうとした」
圭吾
「どうやって」
悟
「話しかけた」
正之
「うわぁ」
圭吾
「なんて言ったん?」
悟
「牛乳しまいに来てくれたの? って」
圭吾
「どんだけ牛乳に固執すんだよ!」
正之
「お前のそういうとこ、もう尊敬の域に達しそう」
悟
「しょうがないじゃん、実際寝起きだったし、頭回ってなかったし」
直
「で? で? どうなった?」
悟
「そう。って言われた」
直
「で、グサーっと……」
悟
「刺されてたら今ここに居ないから」
圭吾
「その前にさ、それほんとに幽霊?」
悟
「ん〜? どうなんだろ?」
正之
「牛乳は? しまってくれた?」
悟
「ううん」
直
「あー、夢オチか。出しっぱなしのままだったと」
悟
「いやぁ、多分捨てられた。
洗った牛乳パック、綺麗にたたまれてた。
起きたらそこの流しにあったよ」
直
「完全に人間じゃん!」
正之
「起きたら……って、結局また寝たのかよ!」
圭吾
「急激な眠気ってのも怪しいな。
前から部屋に出入りしてたんだろ?
何か盛られたんじゃね?」
直
「あ〜……証拠隠滅で捨てたんだ……
うわぁ〜やだやだっ」
悟
「そういやあのおじさん、どしゃ降りだったのに濡れてなかったなぁ。
土足で上がった跡はあったけど。掃除楽だった」
圭吾
「降る前から家の中に居たって事か……」
直
「もー! やめろよー! お化けは平気だけど、そっち系のやつ無理。
一人で帰れない。今日は悟ん家泊まる」
悟
「いいよー、布団一組で良ければ」
圭吾
「ビビリすぎ」
悟
「100話終わったけど、なんも起こんなかったね」
直
「意地悪言うなよ! 圭吾だけ一人で帰らせるかんな!」
圭吾
「子供か」
直
「みんな泊まりたいっしょ? 正之なんか家遠いし」
正之
「待って、その前にこれだけ確認させて」
悟
「ん?」
正之
「お前が入れてくれたカフェオレ。
この牛乳には変な曰くないよな?」
悟
「ははっ、そんな古い牛乳残してる訳ないじゃん。
昨日買ったばっかだよ」
正之
「なぁ……それ、いつの話?」
悟
「だから昨日」
正之
「じゃなくて! さっきの話!」
悟
「あー、えーと……先月? あれ?
二〜三ヶ月前だったかなぁ」
圭吾
「引っ越した?」
悟
「金ないって。
あったらこんなボロアパートに居ないから」
正之
「え……じゃあこの部屋……」
直
「あれー?」
圭吾
「どうした?」
直
「100話目の蝋燭、消したの誰?」
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