概要
友人四人で集まり百物語をする。
公開日カテゴリ字数
2018/02/03声劇2879字 4000字未満
人数場所
男性4悟のアパート
演者役柄
・悟(さとる)
今回話のメインとなる百物語語り手。
・圭吾(けいご)
百物語をやろうと言い出した。
・正之(まさゆき)
主にツッコミ担当。
・直(なお)
主にボケ担当。


正之
「……で調べてみたら……そこ、前にも同じような事故何度か起こしてて、今は立ち入り禁止になってるんだって……」


「うっわ〜、やばい」


「あーっ鳥肌たった!
正之、見てこれ。
ほらほらっ」

正之
「うるさい。今、深夜だから」


「みんな持ってくるネタ、レベル高いなぁ。
圭吾と正之の、ほんとやばい」

圭吾
「まあ一応、主催だしな。そこは頑張った」


「俺は? 俺は?」


「はは……(苦笑)」

圭吾
「おい、早く蝋燭消せよ」

正之
「ふぅーっ(蝋燭を吹き消す)」


「99本目〜! あと一本!」

圭吾
「誰だー、蝋燭買った奴。
すんげー余ってんじゃん」


「あ、僕」

正之
「やっぱり」


「悟、買いすぎ〜」

正之
「あと一人で100話?」


「多分」

圭吾
「まあ、よくもったよなぁ。
四人で怪談100話って」

正之
「言い出しっぺがそれ言っちゃうか」


「あ〜……
一人あたり25話?」


「すげー頑張った! 俺!」


「ノルマきつかったぁ」


「俺、先輩や彼女にまで聞きまくったもん。
百物語やるからなんかネタちょうだいって」


「なんかあった?」


「バカみたいって言われた。
子供じゃないんだから〜とか」

正之
「それ、ほんとに付き合ってんの……?」

圭吾
「直の彼女ってあれだろ。エア彼女」


「エアじゃないし!」

正之
「次、誰?」


「正之?」

正之
「なんでだよ、さっき終わったばっかだろ」


「あー……んじゃ、圭吾?」

圭吾
「終わった。悟じゃね?」


「うん、僕」


「ネタ切れだったりしないよね?」

圭吾
「頼むぞ〜、お前で締めだからな。
ちゃんと怖い話にしてくれよ」


「怖いかどうかは分かんないけど」


「はい、お約束のハードル下げ来た〜」

正之
「直はしばらく黙ろうか」


「はい……」


SE 蝋燭に火を灯す(炎が揺らぐ音、芯が焦げる音等。お好みで)



「あー……知ってると思うけど、独り暮らし長くてさ。
家事やら手続きやら、大抵の事は一人でできる方なんだよ。
でもさ、なんていうかなぁ……大雑把なんかなぁ?
よく買い忘れたり、買いすぎたりしちゃうんだ」

正之
「知ってる」

圭吾
「悟に買い出し任せた奴が悪い」


「すいません……」


「だからまあ、足りてるつもりで足りてないとか。
余分に買いすぎて余ったり〜ってのは、前からあったんだ。
でもいつからだったか……ちょっとおかしいなって気付いて」

圭吾
「おかしい?」


「うん」


「何がー?」


「買ってきたものが消えたり」

圭吾
「買い忘れじゃなく?」


「それも考えた。
でもレシートには載ってんだよ」

正之
「うーん」


「あと、買いそびれた卵が補充されてた」


「なんだ、妖精さんの話かぁ」

正之
「ちっちゃいオジサン妖精な」

圭吾
「妖精じゃなくて幽霊の話頼む」


「怪談奉行、圭吾」


「そんな日がちょいちょいあったんだけど、僕も疲れてたからさ。あんま気にしてなかったんだ」

正之
「そこで気にしないってのが凄いよ、悟は。ほんと……」


「そしたらある日、帰り道で急にどしゃ降りになって。
傘買うのも勿体無いし、走って帰ったよ。
走ったら喉乾いて、冷蔵庫から牛乳パック直飲みして、はぁーって一息ついて……」

圭吾
「……で?」


「寝た」


「はあぁ!?」


「だからぁ、疲れてたんだって。その頃。走ったのも久々だったし。
まあとにかく、急に物凄い眠気に襲われて、そのまま寝ちゃったんだ。
でも牛乳だろ? 早く冷蔵庫に戻さなきゃ、早く起きろ起きろ〜ってずっと考えてた。
眠りが浅かったのかな。
どれくらい経ったか分かんないけど、途中で目が覚めたよ。
体はダルイわ、頭は重いわ、とにかく眠くってさ……
目だけ動かして牛乳探したんだ。
そしたら、なんか、足っぽいのが見えて……」


「うわうわうわ……きたーっ。
あ、あ、足だけ?
足から上なかったの?」


「あった。普通に」

圭吾
「金縛りは?」


「多分ない……かな?
分かんない。眠かったし疲れてたから」


「どんな奴? どんな奴?」


「普通だよ、多分。
普通のおじさん。マスクしてたからよく知らんけど」


「なーんだ、せめて落武者ならなぁ。
もうちょっとインパクトあったのに」


「そうだなぁ。あ、でも、刀はないけどアレはあったよ。
お約束の。包丁」

正之
「……は?」


「え、なんで、それマジ?」


「あと鉛筆も持ってた」

正之
「ごめん、意味分かんないんだけど」


「僕も分かんない。片手に包丁、片手に鉛筆持ってた」

圭吾
「何だよ、鉛筆って」


「さあ……?
シャーペンかサインペンかもしんないけど。多分鉛筆っぽかった」


「意味分かんない! こえぇー!」

正之
「は? え? 待って待って、悟の実体験だよな?」


「うん。俺も怖かった。
ばっちり目合っちゃったし」


「うわああ無理無理無理無理っ」

圭吾
「直、声が近所迷惑」


「泥棒かな〜と思って。寝ぼけたふりするしかないなって」


「無理……マジ無理」


「なんでもないですよ〜、気にしてませんよ〜、通報なんて考えてませんよ〜って空気出そうとした」

圭吾
「どうやって」


「話しかけた」

正之
「うわぁ」

圭吾
「なんて言ったん?」


「牛乳しまいに来てくれたの? って」

圭吾
「どんだけ牛乳に固執すんだよ!」

正之
「お前のそういうとこ、もう尊敬の域に達しそう」


「しょうがないじゃん、実際寝起きだったし、頭回ってなかったし」


「で? で? どうなった?」


「そう。って言われた」


「で、グサーっと……」


「刺されてたら今ここに居ないから」

圭吾
「その前にさ、それほんとに幽霊?」


「ん〜? どうなんだろ?」

正之
「牛乳は? しまってくれた?」


「ううん」


「あー、夢オチか。出しっぱなしのままだったと」


「いやぁ、多分捨てられた。
洗った牛乳パック、綺麗にたたまれてた。
起きたらそこの流しにあったよ」


「完全に人間じゃん!」

正之
「起きたら……って、結局また寝たのかよ!」

圭吾
「急激な眠気ってのも怪しいな。
前から部屋に出入りしてたんだろ?
何か盛られたんじゃね?」


「あ〜……証拠隠滅で捨てたんだ……
うわぁ〜やだやだっ」


「そういやあのおじさん、どしゃ降りだったのに濡れてなかったなぁ。
土足で上がった跡はあったけど。掃除楽だった」

圭吾
「降る前から家の中に居たって事か……」


「もー! やめろよー! お化けは平気だけど、そっち系のやつ無理。
一人で帰れない。今日は悟ん家泊まる」


「いいよー、布団一組で良ければ」

圭吾
「ビビリすぎ」


「100話終わったけど、なんも起こんなかったね」


「意地悪言うなよ! 圭吾だけ一人で帰らせるかんな!」

圭吾
「子供か」


「みんな泊まりたいっしょ? 正之なんか家遠いし」

正之
「待って、その前にこれだけ確認させて」


「ん?」

正之
「お前が入れてくれたカフェオレ。
この牛乳には変な曰くないよな?」


「ははっ、そんな古い牛乳残してる訳ないじゃん。
昨日買ったばっかだよ」

正之
「なぁ……それ、いつの話?」


「だから昨日」

正之
「じゃなくて! さっきの話!」


「あー、えーと……先月? あれ?
二〜三ヶ月前だったかなぁ」

圭吾
「引っ越した?」


「金ないって。
あったらこんなボロアパートに居ないから」

正之
「え……じゃあこの部屋……」


「あれー?」

圭吾
「どうした?」


「100話目の蝋燭、消したの誰?」

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