草木堂書店 HOMEPAGE - 泥花
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 表紙全リスト


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◆以下は「泥花」の後続として企画された自家目録。3冊でついえた。「海量」と「BOOKMAN」
以後の通販媒体はインターネットに全面移行となった。


◆19号の残部なくなりました。18号〜23号までには、「泥花」をお送りし続けた、鈴木克彦様制作の
【旺文社文庫総目録】全10回を掲載させて頂いておりまして、この組合わせでご入用、という場合は
旺文社文庫目録の掲載頁を(少し見にくいのですが)コピーして同封させて頂きます。

【各号現有在庫数】( )内数字が残部
◆創刊号(0)◆11号(3)◆21号(33)◆31号(24)◆増刊号-赤蜻蛉表紙(0)
◆2号(1)◆12号(2)◆22号(14)◆32号(16)◆増刊2号-椿蕾(9)
◆3号(2)◆13号(4)◆23号(13)◆33号(16)◆別冊号(6)
◆4号(0)◆14号(15)◆24号(8)◆34号(50)◆特装版(美術特輯)-和紙仕立て蔵書票添付-(0)
◆5号(0)◆15号(7)◆25号(6)◆「泥花」回顧号(上)(59)
◆6号(0)◆16号(18)◆26号(28)◆「泥花」回顧号号(下)(37)
◆7号(2)◆17号(2)◆27号(12)
◆8号(8)◆18号(2)◆28号(0)
◆9号(2)◆19号(0)◆29号(12)
◆10号(16)◆20号(4)◆30号(36)

◆「海量」創刊(0)◆BOOKMAN-1(12)◆BOOKMAN-2(0)
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 私は昭和61年から1998年(平成10年)まで「泥花」という自家目録を出していた。35歳の時、風来坊のような暮らしにケリをつけ一念発起、古本屋を始めたものの、店はさっぱり。ダイエーの古本催事で糊口をしのいではいたが、加盟した古書組合の中央線支部は「目録」の盛んなところ。諸先輩の「目録だしてなきゃ一廉の古本屋じゃない」という風潮に大いに触発され、芳雅堂の出久根さんが出されていた「書宴」を真似て、自家目録を発行し始めた。そのうち古本屋稼業の中で、この自家目録が一番楽しい仕事と思えてきた。「好きこそものの上手」で12年余り続いた、と言える。
 「泥花」を中心に、西部古書展覧会、サンプラザ古本祭、小田急デパート展と獅子奮迅の営業で、何とか本屋として格好が付きだし「これから勝負」と意気込んでいた矢先、病を得て、胃を全摘。体重は39Kgにまで減少し、その後は数年、ろくろく食事が摂れず、体がままならない時期が続いた。丁度その頃、高嶺の花だったパソコンが幾分手の届く価格になった。1996年にMacのパフォーマーという機種を購入して、自家目録もワープロからPCに切り替えて製作し始めた。更に数年後1999にはヤフオクが開始され、目録製作から全面的にインターネットへと舵を切ったのである。
 これなら、椅子に座ったままで、仕事ができ、疲れたら横になれる。現在まで、何とか糊口をしのいできた。ただ、自家目録と違い、在庫は、データベースに分断されて登録され、自店の個性を出す事が出来なくなった。個別のデータにピンポイントで注文が入る、古本屋の顔は見えなくなった。お客様のご贔屓を賜り、励まされて楽しんで製作を続けられた「泥花」。本と対価のやり取りだけではない、心と心が繋がっていた夢のような時代だった。
 そんな「泥花」再開の思いは強かったが、売上からして、紙の目録の製作は到底採算が合わなくなっており、断念せざるを得なかった。インターネットの普及が激流のように業界と読書人を巻き込んでいったのである。時代が変わり始めたのであった。
 そんな鬱屈した気分を晴らそうとホームページ上で、全く損得抜きのコラムを書いたり、下手なSFやミステリー、野草写真などを掲載してきた。その一角に「泥花」のコラムを再録しようと考えたが、日々の仕事にかまけてできずじまい。ご期待に沿えず情けない限りである。
 「泥花」は、表紙の版画からはじまり、お客様を飽きさせない編輯で、今見返しても、当時の意気込みに我ながら感心する。HP上に全体の再録は到底無理だから、倉庫に積み上げた目録関係のダンボール函に残っていた「泥花」の現物を見つけたので、お頒けして直接読んで頂こう、と考えた。梱包資材が80円余りするので、荷造り発送の手間賃を加えさせて頂いて、一部200円程頂戴できれば...と厚かましくも考えた次第。厚さ3cmまではクリックポスト(追跡番号付)で185円でお届け出来るので、多数お申し越し頂けましたら有り難い。一部残部僅かな号もあり、ご注文の数を上回った場合は、恐縮でございますが、多数ご注文の方の優先とさせて頂きます。各号残部は「表紙一覧」の下に表示致しました。
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余韻
杜甫 五言絶句
遅日江山麗 おそき日に江山こうざん麗しくうるわ
春風花草香 春の風に花草かそうんばし
泥融飛燕子 泥は融けて燕子つばくろの飛び
沙暖睡鴛鴦 すなは暖かにして鴛鴦えんおうねむ
人間は不完全だというのに、山川草木は常に秩序と調和に満ちている。
まあ、そんな人間もまた自然の一部にすぎないのではある。
そんな思いの詩人の魂が窺える名詩であるが、期せずして、
この中に、「泥」と「花」の二語が含まれていて改めて驚いた。
この歌の名筆を見つけて、それを誌名のロゴにすれば良かった。
自家目録「泥花」の題字。
下手な店主の手遊てすさびで済ましてしまった。
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