もる族

　mol tribe
もる族
mol-ancolino

ステータス

別名：宇宙ナマコ、硝子紙魚、隕石ダニ、餅
界：珪素動物界
門：動石門
綱：六脚肢綱
上目：有揚肢上目
目：頭上肢虫目
科：molplzk(もる科)
学名：mol-ancolino
正式名称：宙遊性岩石食型珪素生命体 mol-ancolino
生物的種別：地球外生命体・準知覚生命体・岩石種族・珪素生物
平均体長：50cm(稀に変異肥大個体が確認され、確認された最大のものは体長6m)
平均体重：5kg
生息環境：小惑星、他生物が存在しない衛星の表面、路地裏
性別：なし(雌雄同体)
性格：平和主義、健気
容姿：乳白色の肌を持つ餅のような姿。顔文字をそのまま貼り付けたかの如き顔面。運動器官の構造や配置は蟹、解剖学的にはナマコに近い構造
一人称：ぬー
能力：限定的なテレパシー、どこでも寝られること、生体ロケット噴射
有利相性：温度操作、ケイ素生命体、かわいいもの好き(持ち前の見た目で戦意喪失させる)
不利相性：ケイ素生命体、暴力的な生命体、詐欺師
弱点：弱過ぎること。無駄に感受性が高いこと
好きなもの：ガラス(特にリビアンガラスが好み)、温かいもの、もこもこしたもの、狭い場所、温泉、色鮮やかなもの
苦手なもの：筋肉、仲間の死、アルコール(劇毒として作用する)
好きなこと：伸びること、ｺﾃﾞｨﾝﾏﾘすること、転がること
武器：威嚇、生体ロケット噴射

概要

　オールトの雲で発見されたムカつく顔面のあんちくしょう。こう見えて銀河系の外に起源を持つエイリアンである。かつては地球外生命体の証明、並びに珪素生命体や集合精神生命体などと云った仮説上の生物的概念の実在の証拠として世界を震撼させ従来の宗教概念を悉く破壊したが、現在はペット及び家畜として人類の産業に取り込まれている。その可愛らしい姿と無重力空間への高い適応力(原生環境が無重力空間であるため当たり前)からペットとして人気である一方、小惑星内の資源を食い荒らしたり大気圏内では死骸が発火することから野生・野良の個体が問題となっている。研究が進んだ今でも不可解な特性が幾つも確認されている他、近縁種の痕跡らしきものが開拓惑星で発見されているため地球外生命体の標本としての価値は健在である。

もる族部位解説

　その見た目は一種の節足動物のようであり、アイザック・アシモフ氏の小説『もの言う石』の珪素生命体にどことなく似ているように見える。

もる族の裏側

眼

　最低限の視力を持つ眼球(カメラ眼ではない。視力は0.7程度)。口の真横に付いており、口との間隔は自分である程度調整が可能。瞼があるため瞬きすることが出来る。ここだけ有機生命体のより頑丈。涙を流すが、宇宙空間でわざわざそのような機能を持つ必要があるのか不明である。しかし涙の組成は地球上の炭素生命体のものとは異なりある種の不凍液と化している。

口

　全身の約7割の筋肉が集中する。強化ガラスを当たり前のように噛み砕く顎力があるがそれを攻撃に活かそうという発想には至らなかった。顎骨はないが発達した筋肉と歯で食物を破砕する。舌はないが口内全体で味を感知することが出来る。酸素と珪素を分離する役割を持つ唾液を出すことが出来る(これを用いて岩盤層に穴を開けたり石を食べることができる)。唇に見える部位は元々大顎だったものが退化して今の形になったとされるものである。

声帯

　「もるもる」と発声することができる。小動物らしく声が高い。声帯や口内の構造上、人語を話すのは困難である。“せ”を除いたサ行と“ぱ”と“ぴ”を除いたハ行を発音することができない。真空で暮らす彼らが言葉を用いるのはテレパシーでは自他の区別ができないという欠陥によるものであり、それを防ぐ手立てとして発声能力を有しているようである。

鼻

　そんなものはない。皮膚呼吸して口から匂いを感じ取っている。呼吸の必要は無いものの、申し訳程度に窒素で代謝している。これは祖先の名残りだと思われる。

耳

　そんなものはない。しかし人間に匹敵する聴力を有する。ところが聴覚器官が存在せず、音を知覚するメカニズムが不明である。故にもる族最大の謎となっている。

外皮

　ゴムボールのような質感だが老齢個体は張りが無くなる。ぷにぷにしてる割に人間のより若干頑丈。筋肉は皆無だが少しだけ硬くすることが出来る。人肌程度には暖かいがこれは代謝による副産物であり実際は体温の維持を必要としない。絶対零度から300℃までに耐えられる(明確に火傷を起こすのは397℃以上)。殴ると哺乳類同様にタンコブができる。珪素を主成分とするため半導体の素材として使える。もる族には精神病以外の地球の炭素生命体が発症する病気に対しての免疫(そもそも珪素生命体が地球上の病気に罹るわけがないが)を有しているが、唯一黒カビによる皮膚病だけは起こす模様である。

毛

　体内で消化した鉱物が繊維状に伸びたもの。石綿の一種であるが毒性は限り無く低い。ふわふわしている。長毛種はこれに雪を付着させて周囲の風景に擬態する。小惑星に住むもる族がこういった環境変化を起こすのは、ある種の先祖返りだと思われており、先祖はきっと高温の惑星で暮らしていた生き物なのだろう。

触角

　オコとも呼ばれる一対の器官。形はナミアゲハの幼虫が持つ臭角に似ている。威嚇時に頭頂部付近から伸ばす。感覚器としても防衛手段としても機能が無く、ただ身体を僅かばかり大きく見せるためだけに存在する。

総排泄腔

　消化しきれなかった炭素を正八面体の炭素結晶として排出する。また、生体ロケットの噴射口を兼ねている。普段は見えない。生体ロケットは火災の原因になるため飼育下では気を付ける必要がある。

生殖器・卵巣

　総排泄腔の上にある申し訳程度の穴。ここも普段は見えない。互いにここで押し合うことで交尾を行う。交尾は2秒程度で完了するため性的興奮というものはもる族には存在しない。雌雄同体であるためどの個体も卵巣を有しており、一度の交尾で両方とも卵を産むことがある。卵巣では卵子が2つしかないため生涯に2度しか卵を産むことができない。卵は鶏卵サイズで殻は不透明の珪酸カルシウムで出来ている。彼らには性欲という概念が無く、性的刺激も存在しない。1/500000000で単体で増える個体が出てくるが、結果的には種の繁栄に貢献してない。

骨格

　ホウケイ酸ガラスの骨格。ナマコのように無数の骨片が皮膚層と筋肉層の中間にある。そのため無重力空間でのもる族は球形に近くなる。1Gの環境では重さに耐えられず若干潰れる。鋏脚は内骨格構造であり、歩脚は外骨格構造。この部分は別のケイ素化合物で構成されており明らかに強度が高い。また、孵化直後のノープリウス期のみ全身が外骨格で覆われている。これは珪酸カルシウムの卵の殻を破るための形態であり、役目を終えると直ぐに脱皮して成体と同じ姿になる。

鋏脚

　一対の蟹挟のような脚。鶏卵を握り潰せず、ペットボトルすら開けられない程度の握力しかない。何も、誰も傷付けない安全基準仕様。下記の歩脚すら折ることができない。ただし秒間10発の強烈な殴打が可能である。

歩脚

　二対ある脚。ザトウムシの脚部のようにか細い。小惑星にしがみつくための爪を有する。この器官のみ外骨格構造であり再生能力が異常に高く、引きちぎられても3日で元に戻る(痛覚はある)。また、筋肉ではなく窒素ガスによるガス圧で動作する。意外にも耐荷重量は15kg。鋏脚共々身体の下側に格納することができる。動きは非常に緩慢(150～500m/h程度)。

脳

　クルミ大サイズの儚い大きさと質量であり、記憶容量が大きいが処理能力は低い。ただし、群生相におけるもるの王は通常個体の1.75倍の大きさであり、脳の処理能力も増大している。また、複数個体で集合意識を形成し、それを用いて各個体の脳の処理能力を並列化することで知能の底上げを行うことも出来る。他人を傷つけるという発想がなく、殆どの個体が穏やかで健気な性格。どういう訳か同族にテレパシーを送ったり他の生物の思考を読んだり出来る。メンタルが酷く弱い。

消化器系

　ケイ素を代謝することができる消化器官を持つ。原種は炭素の代謝が不可能だったがこちらは外皮の維持のために炭素を消化することができる。人間とは違いヒ素やテトロドトキシンの影響を受けない。しかし、アルコールが致命的な毒として作用する模様。また、解剖学的にはナマコに近い体内の構造をしている。不安定な珪素化合物で構成されているため死亡すると熱崩壊する。そのため死骸は速やかに適切な処理を行わなければ火事等の事故の原因になる。糞便は薬品臭を放つ不純物が混じった炭素化合物の結晶として排出され、有機物の摂取量にもよるが一般的に6日に一度のペースで排泄をする。

血液

　いちごジャムのような色。不味い上に毒性がある。毒の成分はサポニンに似ているが地球上の生物ではまず生成されない成分がいくつか含まれている。そのためか通常のサポニンと比べて桁違いに毒性が高い。

循環器系

　地球上の多くの動物のように血管を持つ。動脈と静脈に相当する血管を有するがそれらは完全に繋がっておらず、互いにリンパ管のような形で補助を行っていると思われる。地球上の生物とは異なり血管そのものが脈動することで体液の循環を行っている。また、静脈の体液は非ニュートン流体としての性質を持ち、衝撃に対して硬化する。これによりもる族はナマコのような骨格構造をしておきながら衝撃に対して内臓を守ることが出来る。

生体燃焼器官

　もる族の最大の特徴となる臓器。体内で2種類の可燃物質を作りこれを混ぜ合わせることで爆発的な化学反応を起こし、総排出腔から噴射する生体燃焼機関。未知のプロセスで化合前の燃料を生成する油抽膜が2つと、燃焼室へ燃料を送り込み化合させる過供椎帯、ロケットで言う燃焼室の役割を持つ燃放袋の4パーツで構成されている。これによってもる族は見た目に反した直線加速力を発揮する。もる族の体内に昆虫の成虫原基に相当する器官の名残りが発見されたことからもる族の先祖となる種族は、現在のもる族のような姿の幼虫から飛行能力に特化した形質の成虫に完全変態を行う生き物であったことが解明された。
　数千度の炎を噴射するこの器官は武器となる筈だが、彼らはこのロケット噴射を攻撃に活かそうという発想には至らなかった……。

遺伝子

　二重螺旋構造の遺伝子を持つ地球の生命体と異なり三重螺旋構造の遺伝子を有しており、人間と比較して遺伝子情報の総量は12倍に達する。彼らの遺伝子は地球上の生物が持つ核酸とは別のケイ素化合物で構成されている。ちなみに2275年にゲノム解析が完了しており、遺伝子編集技術によって先祖の姿を明らかにするためのプロジェクトが進められている。

追記

　ゲノム編集技術の結果、もる族の先祖はアリのような生態を持つ完全な集合精神生命体(ハイヴマインド)であることが解明された。もる族はこの祖先の中から発生した幼形成熟するグループから進化したものであるとされており、祖先はもる族よりも遥かに巨大な成虫としての姿を持つことが示唆されている。

その他内臓

　脊椎動物の肺や浮き袋の名残りと考察される臓器や、磁力線を放出する用途不明の器官など地球上の生物とはかけ離れた構造をしている。

もる族の生態・文化

起源

　不明。学者の間では銀河系の外から定着した外来生物という説が有力。もる族による侵略は既に始まっているのである。

礼儀

　挨拶がほぼ唯一の礼儀。「のぱみおん。ぬー、○○。おぬち？（こんにちは。私は○○です。貴方の名前は何ですか）」という定型文で成り立つ(知り合いであれば「のぱみおん」で済む)。挨拶をされたら必ず返すのが敵意のない証明であり友好の証である。また、挨拶をする時は相手の顔をよく見て挨拶するのも礼儀。故に返さないと怪訝な顔で訝しまれる。逆に挨拶を返せればマッチョマンじゃ無い限りは群れに受け入れられる。

ハグ

　人間の比じゃないくらいに多用される。もる族は温もりに飢える種族であるため少し仲が良くなるだけでハグをする。ハグは同情や共感、仲間意識を示す行動として扱われている。

キス

　人間の比じゃないくらいに多用される。もる族と口キスをすると人間のでは物足りなくなるらしい。人間のものと異なり友情の証として扱われる。また、二度と帰ることの無い、永遠の別れにも送られる。

恋愛

　人間とは違い、性欲や性的興奮、性的刺激の概念を持たないため、友情と恋愛に大差は無い。交尾は数秒で完了するためパートナーと仲間の違いを見分けることは産卵後を除いて判別がつかない。また、上記の理由もあり浮気は起きない(そもそも生殖能力に限界があるため産卵回数に制限がある)。

成長

　もる族は全身を外骨格で覆ったノープリウス幼生(地球の甲殻類に倣ってこの名で呼ばれる)として孵化し、その数時間後に脱皮をし外骨格を持たない稚もるとなる。稚もるは食事と排泄以外の時間を親の上で過ごす。この幼体はテレパシーを介して親や周囲の個体からもる語を学び社会性を身につけていく。幼体の体重が親の70%に到達した時点で頭から降り、歩脚を伸ばすことで成体となる。

子育て

　孵化してから2年で成体となり繁殖を行う。雌雄同体であるため交尾を行うと両方が卵を産む。親もる族はつがいで卵の見張りをする。幼体が孵化した後は一部の節足動物で見られるように幼体を頭上に乗せて移動する。

寿命

　野生の個体は平均で7年、飼育下で9年の寿命となる。ただし稀に寿命のリミッターが外れて何十年も生きる個体が出てくるケースもある。もる公国のもる族は20年程度生きる。

食性

　主に砂、岩石、ガラスを食べる。外皮や脚部骨格の維持のために有機物も食す。また、ヒ素を栄養素のひとつとして取り込む性質も持つ。ただ、移動を殆ど行わない生態上消耗エネルギーが少なく、故に少食である。

睡眠

　小惑星を原生環境とする彼らには昼夜の概念が存在しないため好きな時間に起きて好きな時間に寝ている。睡眠時間の平均は11時間。

思考

　彼らは個体ごとの自我を持っており、それに準じた性格や仕草を持つ。だが、群生相の個体群は群れ全体で「共有記憶領域」と呼ばれる集合精神を形成して各個体ごとの記憶などを共有し、個体の並列化が発生するため王を除いた個体差が孤独相の個体群に比べて希薄になる。多くの場合、野生の個体は群生相に、飼育下の個体は孤独相になる。基本的に精神年齢は幼稚園児程度で、他人を傷つけるという発想がなく、殆どの個体が穏やかで健気な性格。理由は不明だがマッチョを極端に嫌う。

喜怒哀楽

　概ね人間と同じ。しかし他者を殺すということを極端に忌避するもる族は他人に対して殺意を持つということはほぼ無い。メンタルは人間のものに比べて明らかに弱いため人間社会に投げ込むと3日間でうつ病になり、労働させると2週間で(ホワイト企業であっても)過労死する。他者の痛みや死に関してとても敏感であり、特に群生相でおにおんが死ぬと数千匹の群れ全体がお通夜状態になる。

嗜好

　祖先の記憶によるものか、暖かいものを好む。時折肉食獣の尻尾に寄生している事があるが、これは栄養の摂取ではなく暖かくてふわふわした物に集まる習性によるもの。また、開けた場所よりも狭い場所を好むようである。

知能

　おにおん等の例外を除いては犬以下で猫と同程度の知能を有する。具体的には「思考すること」が苦手であり、記憶能力においては人間のそれを凌ぐ。また、生息環境や進化の都合上、信じ難い程に騙されやすく警戒心が皆無である。そのためファーストコンタクト時ですら手を伸ばした調査員の手に勝手に乗ってきた程。

記憶力

　先述の通り記憶力は極めて高く、記憶速度は地球上のあらゆる生命体のものを上回り、記憶容量も人間の5倍以上ある。これを利用してペットのもる族に文字の執筆を覚えさせてコミュニケーション方法を確立する人もいる。地域によってはもる族を記憶媒体として用いる事もあるようだ。

動体視力

　恐ろしく低い。

攻撃性

　生体ロケット噴射や恐るべき咬合力を持つがそれを攻撃手段に用いることはなく、ほぼ全ての攻撃を鋏脚による殴打に頼っている。これは居住環境が小惑星の中という限られた環境であり、いつ個体数が減るか分からない状況でそれぞれで互いを殺し合う状況になれば群れがあっという間に全滅することからそれを避けるために進化した結果だと言われている。故に彼らは他者を傷付けるのを極端に忌避している。そのことから生物学者からは「性善論の生き物」と揶揄されている。

移動

　餅のような姿を活かして飛び跳ねる他、這って移動したり歩脚を伸ばして歩行することがある(歩脚と鋏脚を伸ばした姿はさながら巨大なダニである)。歩脚での移動速度は500m/h程度。飛び跳ねる移動法は歩脚を用いた移動よりは速いもののエネルギー消費が激しい。また、体内で合成した液体燃料により600m程度の距離を700km/hで飛行することができる(本来は宇宙空間での小惑星間の移動に用いるものであり有重力下での使用は想定していない)。宇宙空間では歩脚で壁を蹴って移動する他、生体ロケット噴射を断続的に吹かして移動する。

言語

　もる語と呼ばれる独特な言語を話す。傍から見れば「もるもる」としか発音していないように見えるが音波以外の未知の方法(重力波ともヒッグス場への干渉とも言われている)で会話をしており、事実として宇宙空間でももる語による会話をしているのが見られる。また、部分的に日本語に近い意味合いの単語が見受けられるが一種の「言語の収斂進化」によるものだと思われる。また、もる語には無い概念に関しては人間の言葉から流用する傾向にある。

現在確認されている単語一覧

名前

　群れによってはもる族自身が名前を名乗る事がある。人間とは異なり姓となる氏族名は名乗らない。基本的に「○○もち」という命名則に沿っている。この傾向はもち氏族に属する30～200匹程度からなる中小規模の“もるの国”で多い。

文明

　群生相個体群は一定以上の規模となると氏族ごとにもるの国というコミュニティを作り始める。おにおんのための雛壇状構造物を小惑星の一部を削って作ったり、栄養価の高い鉱石を保管するための容器を作ったりする程度。科学者の見立てによれば数百万年前から進展は無いとのこと。人類が遭遇した最大規模の群れはプロキシマ・ケンタウリ近辺の遊星にて確認された推定1000万匹からなる巨大な「もるの国」である。

宗教

　宗派の違いがあれど全てのもる族が「もるの化身」という単一の神格を信仰している。一説によると「びよにずむ！」はもるの化身に対する礼拝であるという。それは飼育下の個体においても同じであり、解明のために研究が進められている。

氏族　

　近年の研究において彼らが氏族という概念を持つ事が発見された。氏族に準じた群れを形成し、他の氏族との縄張り争いをする事が確認されている。現状確認されている氏族は以下の5種類である。

もち氏族

　もる族の中で最大の一族。確認されている全もる族の3割がこの氏族に属する。太陽系外縁天体にいるもる族の7割を占める。

のち氏族

　武闘派(もる比)な一族。もち氏族と仲が悪い。また、彼等の間で「北の魔王」なる存在が語り継がれているのが確認されている。

めち氏族

　小マゼラン雲にて繁殖する一族。けりゅ族と共生していることが多い。

おち氏族

　一番最初に銀河系に流入してきた一族。他の氏族とは異なり、どの個体も最初から人間という存在を認識しているような素振りを見せる。

てち氏族

　銀河系コアワールド付近で勢力を広げる一族。生息域の大部分がせいちょ族の群生地と被っている。

もる公国

　小マゼラン雲に存在する約5000億匹のもる族で構成される超巨大な群れ。中世の貴族国家に似た体制からもる公国と呼ばれる。もる族でありながらUICに匹敵する技術力を保有しつつ、ワープドライブ技術においては人類のそれを凌駕するテクノロジーを使用している。大半の物事を機械に任せつつももる族が人間のような生活を送っている歪な光景が広がっている。もる公国の運用する機械の大半にもる族の顔を模した装飾が取り付けられている。

おにおん

　人間社会で言う「王」に相当する存在。野生の群生相個体群にて見られる。いつも小惑星内部の大広間でふんぞり返っている。おにおんは代々受け継ぐ名前であり、決まって王は「○○(氏族名)・おにおん」という名前になる。彼らは他の個体よりも優れた頭脳を持っており、小学生高学年相当の知能を持っている。一見すると傍若無人で傲慢な性格に見えるが、これは元々メンタルが弱いもる族達を勇気付けるためであり、本来の性格は他の個体と変わりない。実際、他の群れの個体からは個人崇拝が如く崇められており、おにおんが死ぬと群れ全体が一斉に鬱状態になることからおにおんの影響力の高さが伺える。彼らおにおんの役割は群れの緊急時に打開策を練り、群れを統率することでありそれ以外の状況ではふんぞり返って傍若無人に振舞っている。ちなみに被っている王冠の出処は不明である。また、もる公国の個体はぐらんどおにおんと呼ばれるようである。

王冠

　おにおんの頭上にある被り物。人類側のものと同じような意匠である。金メッキが施されたプラスチックで出来ており、とても安っぽく軽い。また、規模の大きいもるの国では意匠がより豪華になっていく。この王冠、次代おにおんが決まるとおにおんの頭上に忽然と現れるという不可解な特性があり、もる族最大の謎となっている。ちなみに最も安っぽい王冠の裏には「MADE IN BRAZIL」と書いてある。ナンデ？

起源

　こぐま座矮小銀河の褐色矮星からなる星系においてハビタブルゾーンギリギリに位置する火星より若干小さい惑星を起源とする。もる族の原種達はアリのような真社会性生命体であり、昆虫のような完全変態をする生き物だった。この頃からもる語を話し、彼らはケイ素の植物が生い茂る惑星で支配種族としてのんびりと暮らしていた。しかしある時、この惑星に月サイズの遊星が衝突し惑星は爆発四散。彼らの多くは死滅したが、一部は生き残りそれぞれ別の進化をした。今生き残っている子孫は2種類。小惑星に寄生し幼虫と成虫の機能を一本化する方向に進化したグループである「もる族」、そして比較的早期に天敵のいない惑星に落下し適応した「けりゅ族」の2種類である(WarRock？そんなのいたっけ)。そんな彼らをmolplzk(もる科)珪素昆虫としてグループ化する。

原種

　molplzkに所属する2種の祖先となる生き物。絶滅種。この頃から既にもる語を話している。知能は後発の2種に比べ若干劣る。幼虫はもる族に似ており、身体が頭胸部と第二肢体節、第三肢体節、尾部の計4つの体節に分割されている。三対の歩脚を持ち、鋏脚は持たない。もる族に比べてやや硬い。縦横比が昆虫の幼虫に近く、体節部分が柔軟に可動するため他2種と異なり文字通りの「座る」ポーズが行える。無重力空間でも形は変わらない。終齢幼虫になると幼虫の外観のまま内部で蛹化し幼虫の外殻が硬化(ハエの蛹化に似る)、そして2週間後に羽化する。成虫は3つの単眼を持つ合計6本の細長い脚部と長大な腕部を生やしたカマキリに似た姿となる。もる族やけりゅ族と異なりこの成虫はある程度の戦闘力を有する。成虫は最大で10mの大きさまで成長する。幼虫時点で生体燃料の生成は行えず、ロケット噴射するのは成体のみ。かつて灼熱の惑星で真社会性昆虫のような群れで生活していた。

けりゅ族

　銀河系外縁天体で発見されたもる族の近縁種。地球サイズの惑星に落ちた原種が高重力に耐えるように進化したもの。もる語を話すが種族特有の訛りが強い。幼体はもる族に似るが、もる族に比べて細長く、歩脚が一対多い。また、もる族に比べて外皮の形状保持力が高いため柔軟性に欠ける。歩脚のひとつが発達して鋏脚となったもる族とは異なり、彼らの鋏脚は原種幼虫の牙が変化したものである。幼虫の時点で成虫原基の発達が進むため、蛹の過程を経ずに脱皮して成虫となる。原種と異なり成虫となっても成長せず、幼虫と体長は大差ない。成虫は蛾の成虫(特にカイコガに似る)ような姿であり、戦闘機のようにロケット推進で推力を得て翼で揚力を稼ぐ事で飛行する。筋肉は翼の固定に特化しているため羽ばたいて飛ぶことは不可能。幼虫時点で生体燃料の生成は行えず、ロケット噴射するのは成体のみ。原種のような真社会性構造も、もる族のような国家制度も持たないただの群れる生き物となっている。

その他

　ウラン鉱石を食べた個体は成長のリミッターが外れることがあるらしい。宇宙船乗りの間で都市伝説として囁かれる「惑星級の超巨大個体 (冥王星に設置された天体望遠鏡から“何か”が惑星を捕食する光景が目撃された事、とある宇宙船がAWDの故障で未知領域に突入した際に火星サイズのもる族と遭遇した事)」の噂や、オールトの雲において確認された虹色に発光する個体の噂(こちらは目撃証言がかなり多い)など未解明の事例が幾つか確認されている。
　オカルト絡みの話では廃墟探索中にもる族の霊と遭遇したという証言が稀に報告される(地球上で野生のもる族が確認された場合、そのもる族が何らかの理由で絶命した際に火事の原因となるため大抵警察沙汰になる)。

もちょりうむ

　もる族の体表より放出される謎の物質。同種間ではフェロモンのような役割を果たし、健康状態が良い程放出量が増加する。放射線のように物体を透過する特性を持つ。曝露した生命体は闘争心が弱まり、副交感神経が刺激されてストレスが解れリラックスした状態になる。また、強い多幸感を齎す。ただし、一定量以上(致死量の1/600程度)を浴びると自らをもる族だと思い込むような重度の幻覚に陥る。また、この幻覚が起きない程度であっても高濃度のもちょりうむはある種の麻薬的な効果を発揮する。高濃度のもちょりうむは電子機器をショートさせることも可能。致死量のもちょりうむを浴びた場合は狂的な快感によって脳細胞の壊死が発生して知能の急激な低下と共に脳死状態となりやがて死に至る。半減期が非常に短くもる族からの放出量も微量であるために先述のような麻薬としての運用は困難であるが、稀にもちょりうむへの耐性が皆無な人間がもる族から発せられる程度のもので中毒症状を起こすことがある。

人間との関わりと産業的な利用価値

　エッジワース・カイパーベルト領域においては貴重な鉱物資源を有する小惑星を食い荒らす事から「隕石ダニ」として害獣のように扱われている。また、稀に通常航行でオールトの雲を通行しようとした際に宇宙船に張り付いてセンサーなどを食害することから太陽系外縁域で活動する宇宙船乗りからは「硝子紙魚」と呼ばれて嫌われている。また、地球外生命体であることから毛嫌いするグループからは「蛆虫」という蔑称を付けられている。
　外皮はケイ素半導体、放出されるもちょりうむは鎮痛剤や鎮静剤、体内のバイオマス燃料は石油の代替資源として使用可能。総合的な飼育難易度が低いためペットとしても価値は高い。地球においては地球外生命体、それも珪素生命体であるため毛嫌いされているが、他惑星においては驚異的な環境適応能力と無重力空間での適応力により犬や猫の次に好まれるペットとなっている。木星圏やヴォストークでは特に人気であり「宇宙ナマコ」の名でよく取引されている。ゲノム解析はイデア社の手によって完了しており品種改良の計画が立ち上がっている。決して建材には向かない。
　一方、冥王星においてはもる投げなる奇祭スポーツに用いられており、日々もる族は放り投げられている。

飼育時の注意

　飼育には専用の餌は必要なく石や珪砂、ビール瓶を一日一回与えるとよい。水は1週間に2回程度コップ一杯分飲む。時折人間のものと同じ食事を与えるとよく懐く。ただしアルコールを与えると消化器官の炎症を引き起こし吐血するため与えてはならない。ストレスにとても弱いため犬と同様に付きっきりで世話をする必要がある(犬とは違って積極的ではなくストレスを溜めやすいため精神状態の把握が難しい)。ストレスをかけ過ぎると自殺してしまうため注意が必要。また、死骸は放置すると熱崩壊を起こし火災の原因となるので適切な方法で直ぐに処理する必要がある。人間に近い感性を持つため躾は容易。犬や猫とは違って一度覚えたことは一生忘れず、ルールを守るためバリケードや檻は必要ない。散歩も必要とせず、最低限の玩具を与えれば部屋の広さすら必要としない。ただし、生体ロケット噴射を行った際に可燃物が近くにあると引火するため先んじて噴射しないように調教する必要がある。また、ガラス製品を勝手に食べることもあるのでここも躾ける必要がある。完璧なコミュニケーションのためにもる語の理解や、もる語翻訳装置の使用が推奨される。糞便はトイレの場所などを覚えさせておくことで処理が簡単になる。

この世界の人間が知らない情報

　この世界の人類がいずれ知ることになる👁もるしんじつ👁についてまとめた項目

近似存在

せいちょ族

　もる族の祖先と同じ惑星にて生息していた多肉珪素植物を祖先とする珪素植物。祖先が草食動物からの捕食を避けるために珪素昆虫に擬態する性質を持っていたためそれが受け継がれており、もる族に擬態する性質を持った。せいちょ族の時点でそれはもる族の表情の模倣、もる語の習得に至っており、生息域が干渉するもる族、けりゅ族からも受け入れられている(生態上共生関係にはならなかったようだ)。また、生息環境を広げるべくヘリウムガスによる浮遊も会得している。その見た目は一見もる族に似ているが体型は完全な饅頭型かつ体表が薄緑色で、頂部に一対の肉厚な葉があり、下部には根が生えている。繁殖期になると頭頂部に色とりどりの花を咲かす。

超巨大個体

　もる族の中には時折寿命と成長のリミッターが外れたバグ個体が発生することがある。場合によっては天体規模にまで膨れ上がり、宇宙の危機となる事がある。しかしそれは極めて稀なケースであり、そこまで成長する前に何らかの理由で死ぬのが普通である。ただしここは宇宙。無限の可能性が彼らを怪物にする

天体級もる族「もるくろん」

　コアワールド付近で惑星を貪り食ってるもる族。名前はアニメ『トランスフォーマー』にて登場する惑星を喰う巨大トランスフォーマー「ユニクロン」を由来とする。その大きさは木星の0.7倍、質量は木星の15倍。未知の方法で超光速航行(それも既存のAWDの10倍以上の速度)が可能であり、目をつけた星系の岩石惑星を全て平らげる化け物である。都市伝説で輸送船が遭遇したとされたもる族の正体である。自らを駆除する文明がないため夥しい量の珪素を吸収し、際限なく成長を続ける。

もる族Q&A

Q：もる族って我々炭素生命体と異なるケイ素生命体ですよね？彼らは我々を生物として認識しているのでしょうか？

A：しています。というより生物と非生物の区別ができていません。彼らは動くもの全てを生き物として認識しているので、例えばロボットを見てもそれを生きているものと勘違いしますし、逆に全く動かなければ自然物として認識します。一応例外がありまして、宇宙船などの大きなものは彼らは小惑星や彗星として認識することがあります。なのでオールトの雲を航行していたら船の表面にもる族がいっぱい……などということがあるようですね。

Q：もる族ってエイリアンじゃないですか。昔のゲームやアニメでも見たように可愛い見た目でこちらを騙して侵略を企ててる邪悪な種族…というわけではないですよね？

A：彼らには侵略という概念はありませんが無害でもありません。彼らが消極的なだけで人間を殺傷しうる手段は幾つも持ち合わせていますし、彼らの行動にある程度気を付けなければ大惨事を引き起こしかねません。記憶に新しいのは地球と月を往復する遊覧船での事故でしょうか。気圧調整弁のゴムパッキンをもる族が食害したことで船内の空気が抜け、3人死亡11人重症の事故が起きたことですね。彼らはケイ素含有物であれば何でも食べようとするのでこういった事故は太陽系外縁部に行けば行く程増えています。かつて野生の犬が家畜を襲っていたように、愛らしい彼らでも決して無害ではないのです。

Q：もる族は記憶力が高い生き物だと言われてますが、どれ程の物事を覚えさせられますか？

A：200匹を対象に知能テストを行った結果、平均して小学校レベルの世界史を覚えさせることに成功しました。1年後に穴埋め問題を解かせたところ、192匹が全問正解しました。驚きですよね？脳の大きさはクルミ程度なんですよ。もる族研究が進めば人間の記憶力を拡張する技術や、より大容量の記憶媒体が作れるかもしれません！

Q：質問です。もる族は集合意識生命体が実在する証拠となったとありますが、彼らは一体どうやって複数個体で単一の意識を共有しているのでしょうか？

A：未だにそこは解明しきれてないのです。彼らの意識ネットワークは大体0.5光年離れていても繋がってることが最近の研究で明らかになりましたが、伝達手段が未だに見つかっていません。かつては電磁波の送受信でこれが繋がってると思われてたのですが、明らかに超光速での知識共有が行われていたので現代科学では理解不能な事案なのです。ただ、通信時にもる族の脳内組織が量子もつれを起こしていたので、そこを深掘り出来れば彼らの通信手段の解明に繋がるかも知れません。もし、この謎が解明されればテレパシーで遠くの人と会話できたり、知らない知識があっても科学者の脳から直接知識を共有できるということが可能になるかもしれませんよ。

Q：もる族に肥満とかの概念ってあるの？

A：あのフォルムを見よ。肥満以外の何がある。

Q：じゃあ痩せる時は……

A：ウニみたいに中身だけが減っていく。

？？？

雨にも負け
風にも負け
夏の暑さにも負け
雪には勝つ
貧弱な体を持ち
欲は無く
決して驕らず(要出典)
いつも静かに笑ってる
一日に300gの砂と
ガラス片と鉱物片を少し食べる
あらゆることを自分を勘定に入れずに
よく見聞きしわからず
だが忘れず
野原の松の林の陰の
小さなかやぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行って怖がらなくてもいいと言い
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろと言い
日照りのときは涙を流し
寒さの夏はオロオロ歩き
みんなにウスノロと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういう生き物が
もる族

このページを編集するこのページを元に新規ページを作成

印刷する

コメント（0）

カテゴリ：
趣味
総合

もる族 - A.D.2300 SpaceWorld Wiki 先頭へ

コメントをかく

名前	ユーザIDを使用しないで書き込む	ユーザーIDを使う	ログインする
画像コード	画像に記載されている文字を下のフォームに入力してください。
備考	「http://」を含む投稿は禁止されています。
本文
利用規約をご確認のうえご記入下さい

A.D.2300 SpaceWorld Wiki