冒険者になる前
村
プラータ王国内の地方の村。
村と言っても特に呼び名のない集落のような土地だ。
村は森に囲まれており、外界から人を寄せ付けないが
村人は用があるときは森を出て市街に出ることもあった。
この森には古くから精霊が住んでおり
長らく村人たちとは良い関係を築いていた。
しきたり
この森に住むのは精霊だけではない
獣や妖魔も住んでおり、精霊たちは彼らの絶好の餌だ。
また、それは村人も同じである。
昔、村人と精霊は身を守るために
ある盟約を結んだ。
互いの身と生活を守るため
力を貸し合うという盟約だ。
一人につき一体。
村人は必ず精霊と盟約を結ぶ。
それが村のしきたりとなった。
ケラスス
その村である男児が誕生した。
男児はケラススと名付けられた。
成長したケラススは
快活であり、無礼であり、
真面目であり、見栄っ張りであり、
好気的であり、馬鹿であり…etc
そんなある意味どこにでもいる少年となっていた。
好奇心の強い彼は、森の外に出たがっていた。
村の者が入用で市街へ出るときは必ず彼もついていった。
村にはそれを縛るしきたりはなかったが
彼の家族は正直、複雑な心境だっただろう。
デイジー
ケラススも例に漏れず
ある精霊と盟約を結んでいた。
精霊の名はデイジー。
踊り好きの少女の姿をしたスプリングだ。
デイジーは盟約の元、
ケラススの用意した「小部屋」の中で安全かつ快適な暮らしを満喫している。
その代わり、彼女はケラススに便利な魔法と
森の木々から伝え聞く「知識」を提供している。
しかし、互いに強い信頼で結ばれているわけではない。
用心棒と便利屋が互いに商売しあっているような
ビジネスライクな関係だ。
決断
ケラススは悩んでいた。
ケラススは村を出たかったが
村を出ても生活する手段がなく、
野垂れ死ぬしかない。
別段やりたいことがあるわけではない。
ケラススはデイジーに相談した。
「村を出てーんだけど
考えなしに飛び出しても野垂れ死ぬだけだし、どうしたら良いよ」
デイジーは答えた。
「どうせ村にいたって考えなしだろ。キミ。」
なにやらケラススは複雑な心境だったがは妙に納得した。
そして、その日のうちに村を出たのであった。
まさに考えなし。
学位取得
とある依頼にて、石化病にかかった貴族を助けるため
ドルイド、コルボテスタと出会う。
その一件以降
コルボテスタと親しくなったケラススは
その指導のもと魔法学位1を取得する。
聖域顕現
学位の取得の後、ケラススとデイジーはいくつかの冒険を重ね
聖域を顕現できるまでに成長した。
それに伴ってかデイジーに小さな変化があった。
もともと相性の良い、水の精霊と強い意思疎通を得られるようになったのだ。
以降、ケラススは、水流の呪物とともにデイジーに祈ることで、
水の精霊魔法を扱えるようになった。