外肛門括約筋は体性神経系に神経支配されている。この体性神経系というのは、受容器から脊髄、脳へと走る求心性の経路を含んでいるため、運動だけでなく知覚にも関与している。この神経は触圧覚や温痛覚に伝導に寄与している。肛門周辺の皮膚には体性神経に接続している神経終末が必ず豊富に存在している。それ故に、その部位は非常に敏感になっている。長期的に放置されたままでいると、少し触られただけで過敏に反応してしまう。いかなる神経も長い間刺激を受けなければ過敏化する傾向にある。その点に関して言えば、肛門は眼や耳と全く違わない。例えば、暗室を歩くとして、瞳孔が完全に散大したとしてもしばらくは何も見えない。1分か2分くらいしてようやく暗闇の中に影が見えてくるものである。より長く暗所に居れば居るほど、より目が慣れてくる。いわゆる暗視というものだ。同様に、静まり返った部屋の中に入ってしばらく待つことにより、鼓膜の中を脈打つ拍動音が聞こえるようになってくる。だから、アナル挿入を痛々しいものとして知覚しないようにするには、肛門の神経を過敏にさせないようにして触られても平気にしておく必要がある。
また同様に、体性神経系の神経は脳から外肛門括約筋へとシグナルを伝達する。外肛門括約筋は意識的に制御することが可能になっている。外肛門括約筋は便意を催した際には随意的に絞扼させることができ、便座に腰掛けたときには意志によって解放することができる。もちろん、練習を重ねれば、この筋肉の意識的な制御に関してより上達することができる。