中世・近世ヨーロッパ史(だいたい西暦1155〜1857)の歴史の研究および考証(意見・情報交換、議論など)をする研究会のwikiです。歴史の情報共有の場として、あるいは、単なる情報交換の場として。歴史好きの方、お待ちしております。認証されれば誰でも編集可能です。

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ギベリンとゲルフ(グエルフ)とよく称されるこれは、いわゆるゲルフ(教皇)とギベリン(神聖ローマ皇帝)側の対立構造のことを指しています。ドイツ諸方の小邦領からなる連邦国家である神聖ローマ帝国は、その名前の由来通り選帝侯による選挙(事実上は談合)によって選ばれた皇帝がローマ教皇に戴冠(つまり承認されること)してもらうことによって認められる、という中世ヨーロッパのドイツからイタリア地方にかけての一種の基本構造だったわけです。政治的にどうだったか、という詳細の部分についてはここではそんなに関係ないので省かせていただくとして、権威だけの、ローマ教皇庁側に戴冠してもらう「だけ」の神聖ローマ帝国側、あるいは皇帝側としては基本的には個々の領邦などの意見も取り入れつつやりたいので戴冠と引き換えに干渉をするローマ教皇庁側はあまりよく思っていなかったはずです。教皇庁側のカードとしては破門する、あるいは十字軍に急き立てて他の事をやらせなくする、というのがありますし神聖ローマ皇帝側としてはドイツからイタリアにかかる広大な領地(=パワー)を背景に教皇と折衝して、中部ヨーロッパのバランスを保つ、という大きな役割があります。もちろん、権威を維持したい教皇庁側と干渉はされたくないが領地は保証してほしい神聖ローマ(以下部分HRE)皇帝側とで、いろいろ折衝の余地はあるわけですが、どちらが支配されるともするともつかない妙な構造関係は、中世ヨーロッパを通じて一通り続いてきたわけです。16世紀、17世紀にかけてヨーロッパ諸国家の力が植民地進出と海外支配によって増すようになると、より神聖ローマ帝国側とそれの支配を維持したい教皇庁側で対立は先鋭化していく、わけです。戴冠だけする「任命」式や、海外進出で獲得した、植民地の支配を「許可」する形の干渉などローマ教皇庁式の「干渉」は中世ヨーロッパを通じて枚挙に暇がないくらいですが、ともかくお互いに牽制しあって巨大権力が、つまり「パワー」と「パワー」が引き合う対立構造式の象徴が、ギベリン「皇帝側」とゲルフ「教皇側」そのものなのです、ちなみに、ギベリンとゲルフという言葉はドイツからイタリアにかけての広大な神聖ローマ帝国領内の皇帝派か、教皇派か、という用法でよく使われるようですが、実質「皇帝」対「教皇」のようなものです。まぁ、ここで言いたいのは細かい政治的事由や歴史的事実のことではありませんから、巨大権力同士のパワーとパワーの引き合いに集中してもらうとして、要は、これも一種のゲーム構造、のようなもの、なのです。世の中のほぼすべての事象がゲームと呼べるもの、なのですが政治や経済のことになるほど「ゲーム」という言葉が存在感を増してくるものはありません。つまり、それらはある意味ゲームの象徴のようなものでもあるわけなのですが、対立構造は同じ環境で一定条件下ではいつまで経っても変わらない。つまり、対立構造をいつか解決しようとするには、そのときにその構造、つまりゲームそのものを変えてしまう必要があるのです。これをゲーム外(的思考)とも呼ぶのですがゲームを解決したいときには大抵この方法で解決できます。つまりゲーム、既存の構造の外の方法ならば、その問題、つまりゲーム構造そのものを解決できる仕組みがある、ということなのです。まぁ、至って数学的解決方法、でもありますが論理的に物事を解決するにはゲームの場合はそのゲームの「外」に出れば解決できる、というわけなのです。逆に、外に出ないままではいつまで経ってもそのゲーム自体は解決できないもの、なのですが(あるいはそうする必要のない場合も多々あるのかもしれませんが)とにかく、論理的に考えればそのもの、そのゲームの答えは、必ずゲームの外にあるもの、なのです。なので、といってはなんですが、支配される側とする側の対立構造でも、結局はそのゲーム自体を変えてしまうまでは、根本的に対立が続くことになり、逆にいえば歴史が大きく動くときには、だいたい一つのゲームが始まって一つのゲームが終わる、つまりゲームそのものが入れ替わっている場合が非常に多いのです。逆に、ゲームが変わらなければ多少動いただけでその時代の基本構造は変わりませんから、逆にそれを取って返していえばゲームさえ変われば歴史の基本構造をも変え得る、ということもいえるわけなのです。つまり、ゲームが変われば、「歴史が動く」ということなのです。

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