メタルギアソリッド5 グラウンドゼロズ (MGS5:GZ)攻略wiki - 発売前情報

KOJIMAステーション爆誕!
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小島秀夫監督『MGS V: GZ』インタビュー ― 「ゲーム本来の面白さを見つめなおす」3/6
http://www.gamespark.jp/article/2014/03/06/46816.h...

先日レポートをお送りした『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES(メタルギア ソリッド V グラウンド・ゼロズ)』(以下MGS V: GZ)メディア向け体験会から翌日、都内のKONAMI本社ビルにて、株式会社コナミデジタルエンタテインメントの小島秀夫監督の国内メディア向けインタビューが行われました。

このインタビューでは、これまで語られてきた作品のコンセプトに加えて、FOXエンジンについてや、『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER(メタルギア・ソリッド・ピースウォーカー)』(以下MGS: PW)からの手法の変化、本篇となる『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN(メタルギア ソリッド V ファントムペイン)』(以下MGS V: TPP)についても触れられており、今後シリーズがどこに向かっているかも見渡せるものとなっています。

なお、シリーズ過去作や『MGS V: GZ』に関する多少のネタバレが含まれているので、ご注意ください。

――『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』の序章としてリリースされる本作で、表現したかったことはなんですか?


FOXエンジンを開発する際、従来では表現するのが難しかった部分を、テスト的に制作していたのが本作です。広大というほど大きいマップではありませんが、一本道ではなく、その空間に広がりがあり、自分が自由に戦略を組み立てられます。その戦略によって毎回展開が変化するといった、「何度でも遊べる、本来ゲームが持っている、インタラクティブ(相互に影響し合う)的な面白さを、『MGS』でもう一度見つめなおそう」というのと、ビジュアル的には発展途上ですが、光の演出など、そろそろやろうと思っていた事をやりました。

本篇『MGS V: TPP』は沢山の拠点があり、マップもかなり広大で、もたもたしてると時間が経過し、太陽の昇り沈みがあります。なので、いきなりそこに放り込まれると、どうしていいかとまどうプレイヤーもいると思いますから、『MGS V: GZ』は時間の変化もなく、天候も変わらず、簡単なミッションをやっていただき、仕組みを理解するという形で本作があります。サブタイトルが『GROUND ZEROES』という複数形なのは『MGSV:GZ』で彼ら彼女たちに起きたことに起因にして、その後それぞれの報復讐劇が始まります。

――今回コントローラーの操作レイアウトが若干変化したのは何故ですか?


コントローラーの形に沿って、トリガーボタンを使用しやすい操作系にしました。『MGS』の操作系は独特であったので、従来作をプレイしてきたユーザーは、今まで通り受け入れられて来たのですが、『MGS4』ぐらいから他のゲームの操作に慣れたユーザーにとって操作しやすくする要求が目立ち始めたので、他のFPSやTPSをプレイしてきたユーザーがスグ受け入れられるように変更したためです。操作系の○ボタンXボタンのアクションなど様々な議論がありますが、最終的には本作の形になりました。但し、複数の操作タイプを用意していますので、自分にあったタイプを選んでいただければよいと思います。


――本作の舞台設定が『MGS: PW』の後なのはどうしてですか?


自分の中ではソリッド・スネークの物語は『MGS4』で終わりというのもあり、ネイキッド・スネーク(ビッグボス)の初代『METAL GEAR』へ至る過程を描いてなかったからです。『MGS3』開発の時、舞台設定が1964年なので、なんとなく10年刻みで制作しようと思ったからのもあります。『MGS: PW』が1974年、プロローグである『MGS V: GZ』は1975年。本当にやりたかったのは1984年、ジョージ・オーウェルの「1984年」だったので、本篇に当たる『MGS V: TPP』はそれに向け1984年にしました。

――2011年にFOXエンジンが発表されてから、このエンジンはどのように発展しましたか?


FOXエンジンは描画だけではなく、ツールやライティング、物理演算も含めた総合的な物です。2011年当時発表したジャングルのシーンは、あの時点で出来ていたグラフィックでした。『MGS V: GZ』や、『MGS V: TPP』のフィードバックからツールをブラッシュアップを繰り返しているので、使い勝手が良くなり更に発展していく予定です。一本完成してからでないと、分からない使い手の意見もあるので、コミュニケーションをやり取りしながら改良し、処理など軽くなっていくと思います。

他の会社のエンジンは思うようには使わせてもらえなく、結局ブラックボックスでしか貰えなくて、中身がわかりません。中身を一緒に作っている会社のタイトルは、自分達の要求をエンジンの開発チームに伝えるので、クオリティが高くて当たり前なんです。僕らがそれを買っても、僕らの欲しいツールを作ってもらえないので「積み木を渡されて、積むだけ」という形になってしまいます。仕方がないので、自力で創るしかなかったのです。

――これまで反戦・反核がこれまでの軸でしたけど、今回は報復讐劇が一つのテーマなんですが、小島監督の考えられる報復讐劇というのはどのようなものですか?


自分が伝えたいテーマとして反戦・反核で二十数年ずっとやってきましたが、世の中はあまり変わらず、テーマを理解してもらうためには映像表現だけでは、あまり得策ではないので『MGS: PW』から手法を変えました。『MGS: PW』は自分達で国を作るようなもので、基地を拡張していきます。最終的に自分達が襲われる危険性があるので、そのために軍備を増強していき、その究極の形が核を持つことです。『MGS: PW』は最終的にスネーク達が核を持ったことで終わります。



今まで核兵器がいけないと繰り返して来ましたが、それだけでは伝わらないので、自分達でゲームをプレイした上で間違った考えではありますが、「銃ってこういう世界で必要なんだ、核ってそういうことなんだ」というのを考えてもらおうと思いました。しかし、その先は恨みや、「やられたからやりかえす」という報復の連鎖が繰り返し、戦争に発展する、という基本の部分をユーザーに体験してもらいます。基地が崩壊し、スネークといった登場人物たちが悲惨な目に会うという状況を体験してもらい、憎悪を感じて「その先どういうプレイをするか」というのを実際に、プレイヤーがミッションをこなしながら感じてもらうという形となっています。

「誰が悪いのか」あの時点では、なんとなくしかわかりませんが、相手はともかく、あそこまでされると世界に対して復讐をしたいというところで、プレイヤーはノーキル・ノーアラートが出来るように成長しているため、そこからどうするかユーザーが決めていくという感じです。

――本作で、スネークの目的は“チコ”と“パス”の救出なんですが、例えば「鍵が掛かったドアを、専用の鍵で開ける」といったゲーム的な遠回りが、本当にないのはなぜですか?


鍵を開けてるスネークはプロなので、「鍵を見つけてきて開ける」ことはありません。解錠してる時間は、ゾンビ映画であるような、鍵が掛かったドアをこじ開ける緊張感を出したかったのもあります。開かない扉があるのは、メモリの関係によりますが、「カードキーを見つけてくる」というのは「お使いにすぎない」というのもあります。



“チコ”と“パス”に関して、海外の人に良く聞かれますけど、海外ではPSPの『MGS: PW』をやってる人があまり多くありませんでしたので、「誰なのか」というのをよく質問されました。僕は『MGS V:GZ』から入ったひとは、それでいいと思います。情報量が前から『MGS』をやってる人と、『MGS: PW』をやってきた人で全然違うので、それこそ『MGS: PW』を何百時間をやってた人は『MGS V:GZ』のエンディングシーンで泣く人もいると思います。そこは「経験」なので、プレイしていなくて、そこで何とも思わない人がいてもいいと思います。



メインミッションは“チコ”という男の子、“パス”という女の子、その両者を助けるだけなので、キャラの背景を知らなくても別にいいと思います。囚われた姫君を助けるゲームに、その姫の背景を説明する描写は一切ないからです。女の子と、男の子を助けに行く。ただそれだけなのですが、その途中で色々な会話を聴き、テープを聴いていくと、知らない人もそのキャラの背景がわかってくるので感情移入が出来る、というのを狙っています。特に『MGS: PW』をやってた人は“チコ”や“パス”というだけで、その情景が思いだされると思います。

情報量が違うという前提として、キャラではなく自分自身(=スネーク)としてプレイしていきます、その過程でスネークが背負ってる物がわかってくるという形になってます。

――本作の攻略方法のひとつで、鍵を開けて入る施設へ行くというのがありますが


プレイヤーが戦略的に行う人もいますが、「たまたま開けて行ったらあって」という僥倖(ぎょうこう)的な発見の喜びがあります。あれをレールゲームにすると、必ずどこかでカットシーンが入って、情報を集めながら絶対に通過しなければいけません。それはそれで面白いと思いますが、攻略法は自分で発見して欲しいですね。

――今回、様々なバリエーションのサブミッションがありますが、どういう狙いがありますか?


本作は小さいオープンフィールドというのを意図的にしています。『MGSV:GZ』では時間も天気もリアルタイムに変わりませんが、ただ同じエリアでも、天気が変わるとどれだけ違うというのを、それぞれのサブミッションで知って欲しかったんです。本篇の『MGS V: TPP』では時間がリアルタイムに変化しますから、のんびりしていると太陽が昇り、朝方とか夕方とか視界の違いが体験できます。夜は視界がどちらも悪いため、敵に発見される距離は短くなりますが、昼間はとても良く見えるので変わります。そういうのを体験して欲しいです。


――今までは超人的なボスみたいなものが出てきましたが、そういうのは『MGS V: TPP』で登場するんですか?


確かにボスは存在しますが、広大なマップなので会わない事もありえますし、もちろん従来のような閉鎖空間でのイベントのようなボス戦もあります。今回のボスは“凄い”のが出てきます。ボスは『MGS』では特殊部隊、『MGS2』ではソリダスといったアメコミ的なキャラクターで、次の『MGS3』では怪人、『MGS4』ではビューティー&ビースト(美女と野獣)、『MGS: PW』ではAIと続きましたが…、ここから先はネタバレになってしまうので、まだ言えないです。

――ありがとうございました

●ニューヨークで小島監督に訊く!
http://www.famitsu.com/news/201311/15043171.html

 日本でも各ハードでの発売が決定した、『メタルギア ソリッド V グラウンド・ゼロズ』(⇒記事はこちら)。本編となる『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』のプロローグとして、本作にはどんな思想が詰め込まれ、どんな潜入が体験できるのか? 北米でのプレイステーション4のローンチに合わせて渡米中の、コナミデジタルエンタテインメントの小島秀夫監督にインタビューを行った。

STORY(プレスリリースより抜粋)

冷戦の緊張緩和が進み、ベトナム戦争も終結を迎えようとしていた1975年。
カリブ海沖に拠点を隠す、どの国家にも帰属しない軍隊があった。
その軍の指揮官、通称"スネーク"は、世界各国から公にできない任務を請け負いつつ兵力を増強し、ついには核を所有するに至る。
どこからその情報が漏れたのか、IAEA(国際原子力機関)は彼らに対し、核査察を申し入れた。
NPT(核拡散防止条約)に加盟していないどころか国家ですらない彼らは、IAEAの意図を訝しむ。

時を同じくして、スネークにある知らせがもたらされた。
かつてスネークと戦い、生死不明となっていた女性工作員『パス』が生きており、キューバ南端に設けられた米軍基地内で尋問を受けているという。
基地のある租借地内ではキューバと米国、どちらの法も通用しない。彼女の受けている尋問は過酷を極めていると思われた。
スネークの部隊に身を寄せていた、パスに想いを寄せる少年チコは、パスの窮地を知り、無謀にも単独で彼女の救出に向かってしまう。

まもなく、捕らわれたチコからスネークに助けを求める無線が入った。
核査察を迎え入れようとしているマザーベースを背に、スネークはパスとチコを救出するためキューバへと向かう。
だがそれは、後のスネークの運命を決定づける惨禍の発端だった――。

●『MGSV グラウンド・ゼロズ』と『ファントムペイン』の関係


――『メタルギア ソリッド V グラウンド・ゼロズ』(以下、『グラウンド・ゼロズ』)が日本でも来年春に発売されるということが決まりました。リリースなどですでに『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』(以下、『ファントムペイン』)に向けて、ゲームプレイ面と、ストーリー面双方でブリッジ(架け橋)になる作品だということが明かされていますが、改めて、ひとつのソフトとして発売されることになった理由をお聞かせください。

小島秀夫監督(以下、小島) プロローグである『グラウンド・ゼロズ』は、ハリウッド映画で言うと最初の10分〜15分、ツカミの部分なんですよ。最初にすごいことが起こって、タイトルがバーンと出て、それから9年後、大変なところから始まる。
 それが物語としての繋がりで、ゲームとしては、『ファントムペイン』は広大なマップのオープンワールドなのに対して、『グラウンド・ゼロズ』はもう少し小さめのオープンワールドです。本当はいっしょに出せたほうがいいのですが……プレイステーション4が普及するぐらいには出せると思いますけど、ちょっと待ってもらわないといけないんですよ。

――オープンワールドゲームは、どうしても開発に時間がかかりますからね。

小島 (『MGSV』の発表に)先行して去年、FOX ENGINEの実験映像を出しましたよね。そしてFOX ENGINEのプレゼンテーション映像としてGDCでも講演をやらせていただいた(⇒記事はこちら)。それで今週、プレイステーション4が北米で出るわけですが、定期的に情報を出したことで、『MGSV』が皆さんにもう出来ていると思われていて、早く遊ばせてほしいと。
 ただ、本編はものすごいボリュームで、どうしてもまだ時間がかかってしまうので、「そういうことであれば」とマーケティングチームなどと相談しまして、いろいろ悩みましたが、プロローグだけでも先行で遊んでいただこうかと
 なるべく安く提供したいので、本当はダウンロード版だけにしようかと思いましたが(※)、世界中の人のことを考えると、ネット環境が悪いところもあるそうなので、パッケージ版も用意しています。

※編注:ダウンロード専売であればパッケージの製造・流通費などがかからない。


▲滑らかな、ライトのフレアと濡れた地面の照り返し。FOX ENGINEによるフォトリアルなグラフィックも注目だ。

――ストーリー、ゲーム面以外での繋がりはいかがでしょう。セーブデータがあると『ファントムペイン』でいいことがあるとか……。

小島 はい、ありますよ。『ファントムペイン』は、『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』(以下、『ピースウォーカー』)のもっとリアルなものなんです。ということは、ミッションをやっているあいだに兵士を連れ帰ったりしていると、自分の基地が育っていく、というゲームなんですね。
 『グラウンド・ゼロズ』に出てくるグアンタナモ風(※)の基地には、元科学者など、捕まっている人がいっぱいいる。でも『グラウンド・ゼロズ』では、本来『ピースウォーカー』みたいに兵士を連れていけるはずが、“基地から支援ができない”状況なんです。だから、あまり連れて帰れないし、フルトン回収もできない。彼らを助ける必要もないんですけれども、それでも(脱出時に)ヘリなどで助けていれば、当然本編ではいいことがあります。

※編注:キューバにある米軍のグアンタナモ湾収容キャンプのことを指している。アフガニスタン紛争・イラク戦争時に逮捕されたテロリスト被疑者を収容し、法の網目をくぐって過酷な尋問を行っていたことが問題となった。『グラウンド・ゼロズ』は、キューバ南端の米軍基地内で尋問されているパスと、彼女を救おうとして捕らわれたチコをスネークが救出しに向かうのが発端。

――『MGSV』本編が発売される際に、『グラウンド・ゼロズ』を購入した人への何かしらのメリットはありますでしょうか。

小島 それも何かしら用意したいと思います。マーケティングチームとも相談しなければいけませんが、買っていたほうが得だと思います(笑)。

●リニアからリアルへ向かう、新世代の“潜入”



▲どこから、いかに潜入するか。目的地に到着したら、後はプレイヤーの判断に任される新たな潜入が、『グラウンド・ゼロズ』で体験できる。

――いよいよ新世代のゲーム機が出てくるわけですが、『グラウンド・ゼロズ』と『ファントムペイン』も、オープンワールドでの潜入という“新世代の潜入”への挑戦をしています。オープンワールドのゲームには、大きな世界で生活するもの、探検するものなどいろいろありますが、『MGSV』の場合はいかがでしょう。

小島 考えかたが全然違っていて、たとえば『グランド・セフト・オート』では、ひとつの世界の箱庭で日常を暮らしていくものじゃないですか。そうではなく、僕らのゲームはミッションがベースなので、目的地が大きかろうが小さかろうが、何かの方法で潜入して、目的を達成して今度は帰る。一般の人がいない、自分だけが異物の世界なんです。
 そこで見つかったら当然大変なことになりますので、見つからないようにしなければいけない。まぁ、写真を撮ったりしていてもいいんですけど、ミッションの中にはタイムリミットを持ったものもありますし、そういった部分が全然違いますね。

――これまで公開されてきたデモなどを見ていると、思わぬところから見つかったりするようになっていますね。

小島 それは、基地ですからね。本当に誰もいないところだったらいいんですけど、『グラウンド・ゼロズ』の舞台は基地で、人がたくさんいるので、ちょっとでも気を抜くと見つかります。そこはぜひ体験してみてほしいですね。

――それもまた新しいところですね。いままでなら、進んでしまいさえすれば、あまり後ろを気にしなくてよかった。

小島 そうなんです。ゲームって大体リニア(直線的)なので、前に行くゲームなんですよね。でも、これは自分で潜入ポイントを決めるので、どこからでも行ける。そのぶん、後ろも気にしなくてはいけないんです。

――思わぬところから見つかるかもしれない代わりに、自分も思わぬところから入っていけるかもしれない。

小島 はい。基本的に、レールがあって、コイツが後ろを向いているから倒して、つぎに行って……というゲームではありません。ですから、ある人が偶然ミッション中にまったく見つからず、奇跡的に呼んだヘリもたまたま場所がよくて見つからないということもありえるんです。毎回プレイは変わりますし、何回でもできます。
 いま、リニアなゲームが流行っていますよね。FPSなどで、何回やっても同じ場所で爆発して、落ちかけて、うわーっと手を伸ばす。それは僕らの時代で言うと『グラディウス』なんです。強制スクロール。作り手側が時間を支配しているので、ザコ敵、中ボス、大ボス……と展開が決まっていて、ドラマチックな流れが作れます。
 そのころ、ウィル・ライトの『バンゲリング・ベイ』というゲーム(※)がありましたよね。僕らは考えかたとしてはあっちです。リニアなゲームが流行している中で、リニアじゃない潜入ゲームを提供しようとしている。

※編注:日本でもファミコン版などが発売された80年代のシューティングゲーム。プレイヤーの操作で広大なマップを任意に全方位スクロールできる、一種のオープンワールドゲームでもある。


▲事前にわかっている兵士をマーキングしておくことで、少しは状況を把握しやすくなる。

――リニアからリアルへ。全方向型のステルスと言えるかもしれません。

小島 はい。リフレックスモード(※)などについて「簡単になりすぎる」と反対されるユーザーさんもいらっしゃるのですが、あれがないと、誰に見つかったかもわからないですから。

※編注:発見されると一定時間ハイスピード(スローモーションのような表現)になり、この時間内に敵を無力化することで危険フェイズに入らずにすむモード。

――ステルスの質が変わる中で、バランスをつけるために入っているわけですね。

小島 そうです。それとマーキング(発見した敵に印をつけておけるシステム)はオン/オフできるのですが、あれもあったほうがいいですね。なくてもプレイできる人は、それでいいのですが、それだけ緊張すると思います。

●天候での潜入の違いや、タブレット/スマートフォンとの連携も体験可能


▲『グラウンド・ゼロズ』のメイン部分は夜間・雨の状況での潜入となる。

――全方向というだけでなくて、今回は天候の概念もありますよね。

小島 『グラウンド・ゼロズ』のメインはチュートリアルでもあるので、夜間で雨の状況です。敵の視覚も聴覚もあまり利かないのですが、こちらも見えにくい。だからマーキングしたほうがいいです。逆にサブミッションは明け方や昼のシーンなどもあります。一方、本編は天候がリアルタイムに変わるので、これは結構大変ですよ。

――その辺の違いなども『グラウンド・ゼロズ』で体験できると。

小島 同じ基地でも天候が違うとこんなに視界が違うのかと。夜の時点では見つからなかったのに、昼だと同じ距離でもすぐ見つかる。リアルに考えてもらえばわかりやすいです。自分の実生活で「そこだったら見つかるんじゃないか」という場所なら、見つかります。
 オープンワールドにしている理由は、リアルなシミュレーションの潜入がしたいという以外にも、たとえばプレイステーション4だとShareボタンがあって、映像を配信できるじゃないですか。そこで、リニアに組んでいないので、魅せプレイが自由に演出できる。あるいは、ここからここまで何秒かかったというのでイベントを立てて、ランキングみたいにして競争する。そういうのも、オープンワールドだからできることですね。100人が100人やってレールの上を行くゲームなら、誰がやってもいっしょなので。

――『グラウンド・ゼロズ』でShareボタンを使って投稿したりできるということでしょうか?

小島 できるようにしたいと思います。するとウチのスタッフがいっぱい投稿すると思うんですよ。一番魅せプレイができるはずですので(笑)。

▲一方で、サブミッションでは違った状況でのプレイが可能。天候が異なれば、潜入も変わる。


▲持続する緊張感に耐え、油断するな!

――今回、グラフィックがフォトリアルになって、潜入も全方向になって、緊張するもの、ある意味“フォトリアルなミッション”と言うこともできると思うんですけども、たとえば映画の『ジェイソン・ボーン』シリーズがゲーム並みに何時間もあったら、ものすごい緊張して休むところがないですよね。ゲームのテンポやリラックスする部分はどう確保されていくのでしょうか?

小島 本編だと、キツくなったら基地に帰ればいいんです。『グラウンド・ゼロズ』の場合は、ミッションをやったら、ちょっと息抜きみたいなものもあります。

――セカンドデバイス(タブレットやスマートフォンとの連携)は『グラウンド・ゼロズ』にどう関わるのでしょうか?

小島 ランキングのようなものもあります。海外の人からは、マップの表示に使いたいという声がありますね。ゲーム自体でもワンアクションで表示できますが、セカンドモニターだとこう(フッと視線を落とす動作をして)非常に便利。ただ、(ジッと見て)こうやっていたら見つかりますよ。(サッと一瞬だけ見て視線を画面に戻す)こうやらないと(笑)。

――地図を見るときも油断はできないと。地図と天気予報は欲しいなと思っています(笑)。

小島 まだ言えないですが、セカンドデバイスだけの楽しみかたもあると思っていてください。


――さまざまなインタビューを読み返していて、「これは『MGS』ではない」と言われるのを危惧されていたかと思うのですが、今回のスタイルで、これは間違いなく『MGS』なんだという、コアの部分はなんですか?

小島 あの緊張感だと思います。まぁ、ステルスというゲーム、ビハインド視点、ゲームから画面を切り替えずにメニューを開ける部分など、そういった発明の塊が『MGS』だと思われている部分があって、それでほかのゲームと似ている部分を見て、そう思われるみたいなんですね。
 それはある程度意図的で、なぜなら操作感を一般的なものに近く合わせなければいけないですから。いままで、『MGS』はとんがっていたので、好きな人はいいですけど、ほかのゲームをやっていた人が入ってこれない。そこでフォーカステスト(※)などもやって、ボタン配列やUIなども決めているので、もしかしたらそういった部分が、オリジナリティーが画面にないと思われるのかもしれません。
 ただ、“潜入の奥にあるもの”はちゃんとオリジナリティーがあります。まだ言えないところも多いですが。

※編注:テスターに遊んでもらい、操作に詰まるところがないか、本来迷うべき場所でないところで迷ったりしないかなど、さまざまな項目をチェックする。


●表情や間で語る、新たな物語


――『グラウンド・ゼロズ』は『ファントムペイン』のプロローグでもあるわけですが、仮に『ファントムペイン』からいきなり始めてストーリーがわかるようになっているのでしょうか?

小島 これが、わかるんですよ。シリーズのすごいコアなファンと、以前プレイしていたけど、最近は『MGS』で遊んでいない人、『ピースウォーカー』しかやっていない人、まったく知らない人。この人たちがそれぞれ自分の情報量で遊べるゲームになっています。
 たとえば、5年会っていなかったら、「久しぶりじゃないか、いまは何をやっているんだ」というように、セリフで説明したりしますよね。でも今回はそういう話をしません。そのまま握手するだけ。知っている人は昔のことを思い出すわけです。知らない人は「あぁ、新しいキャラね」と、そこからスタートして、過去の話は遊んでいけばどんどんわかっていきます。

――前提知識を必要とせずに、自分なりに情報を掘っていけるということですね。

小島 『グラウンド・ゼロズ』で、何かものすごいことが起こりました、9年後にスネークが病院で目覚めて、もう片手がない。もちろん、『グラウンド・ゼロズ』をやった人は何があったのか知っていますけど、いきなりそこから始まっても「何かあって片手がないんだ」とわかるようになっているんです。そして進めていくと、スネークというキャラを知っていき、ときどきそのときの話も出て、理解が深まっていく。
 『グラウンド・ゼロズ』でチコやパスを助けに行くのも、『ピースウォーカー』をやっていない人は何者かわからない。でも女の子と男の子を助けに行くんだということはわかる。そういう作りかたをしています。

――表現力が上がって、ゲームとしてもリアルになると、物語とかセリフも変わってくるのではないかと思うのですがいかがでしょうか?

小島 声だけじゃなくて、顔とかライティングとか、動きとか、そういったものでも感情は表現できるじゃないですか。「私は怒っている!」と言ってしまうのが昔のゲームです。いまは、お腹が減っている顔をさせて、「お腹が減っているのかな」と思わせることができるようになりました。
 今回のスネークは、大変なことがあって、もう流暢にジョークを飛ばすオッサンではないんです。内側に閉じこもって、ほとんど喋らない。でもその中にはいろいろなものがあるというキャラクターです。そこもリアルなので、人によってはわかりにくいかもしれません。でも、そこではわからなくとも、いろんな情報がミッションの中に散らばっているので、それをプレイヤーが拾って組み立てていくことで、なぜあのときにそういう行動をしたのかがわかっていきます。深く入り込むには、何度もプレイする。そうすると、奥のほうが見えてくる。

●1975年、“グラウンド・ゼロズ(爆心地)”で何が起こり、ファントムペイン以降に繋がっていくのか


――「口には出していなかったけど、あの間はこういう意味だったのか」というのがだんだん沁みこんでくると。ところでタイトルの“グラウンド・ゼロズ”は、ふつうに考えると“爆心地”ですが、“Cipherやゼロ少佐(※)のグラウンド”とも読めますよね?

小島 いいところを突いてきますね。確かにそうも読めますね。

※編注:どちらも『ピースウォーカー』の登場組織・人物。Cipherとはゼロの意味。

――そしてそもそも、なぜ複数形なのでしょう。

小島 9.11のそれだけでなく、世界中に歴史の転換地、爆心地があるという意味がひとつ。それと、ネイキッド・スネークは最終的にビッグボスとなって世界中の敵になるわけですよ。皆さんネイキッド・スネークが好きですし、英雄なのに、なぜ彼がビッグボスになるかというのが、彼のグラウンドゼロ。彼の仲間もそれぞれのグラウンドゼロを抱えているので、複数形になっています。

――『グラウンド・ゼロズ』で、舞台に1975年を選ばれた意味は?

小島 いろいろあるのですが、ひとつには、『ピースウォーカー』からちょっと先ということもありますね。遊んでいたプレイヤーにしてみれば、自分の育てていたマザーベースがどうなっているのかとか気になる。そういう意味もあって、1975年です。

●デジャヴ・ミッションでゲノム兵に再会!?



▲懐かしのロゴ!

――『グラウンド・ゼロズ』のプレイステーションプラットフォームでの独自コンテンツとして、“デジャヴ・ミッション”も発表されました。

小島 これはもう、大笑いしてください。『メタルギア2』の崖から上がってきて、ダクトに潜って潜入するという、あのイメージを3D再現したのが『メタルギア ソリッド』なのですが、15年前に『メタルギア ソリッド』を作って、世界中でブレイクして、『2』、『3』、『4』とプレイステーションのフォーマットとともに高みに上がってきましたと。やっぱりプレイステーションがあったからこそだと思います。

 今回の『グラウンド・ゼロズ』は、そのイメージがあるんです。“『メタルギア2』や『メタルギア ソリッド』を、いまの技術で作ったらどう見えるか”という実験を最初にやって、サーチライトの表現が「いままでできなかったのが、26年経ってようやくできた!」といった感じがあったんですよね。そして、ヘリポートがあって、崖を登ってくるというコンセプトが似ているので、全部ライティングをプレイステーションの色味に変えてみたら、そっくりだった。

 『メタルギア ソリッド』から15年、16年のファンにちょっとサービスをしてお礼を言いたかったのですが、それを使って、スネークが『メタルギア ソリッド』の有名なシーンをクリアーしていく、それがデジャヴ・ミッションです。

 最後は結構難しいですが、完成するとローポリゴンのスネークで、本当の『メタルギア ソリッド』に近いように遊べます。ゲノム兵なども出てきますからね。ローポリゴンなのに解像度が高いから結構イケてるんですよ。デジャヴ感を味わってください。

●ハイエンド機で再び勝負する『MGSV』


▲Amazon.co.jp限定版には、待望の『ピースウォーカー』のノベライズも収録。現在公式サイトでは、ノベライズの一部が期間限定で公開されている。

――『ピースウォーカー』をプレイしているとより楽しく遊べると思うんですけども、プレイする時間がない人はノベライズを読むという手もあると思います。

小島 “より楽しい”ではなく“より悲しい”ですね。GDCで公開した映像で、マザーベースが崩落するところがあるじゃないですか。あのシーンの捉えかたがプレイしたかしていないかでとても違っていて、プレイした人は「自分たちの作った基地が!」とショックを受けたんですね。

――そういった辺りの感情の積み重ねを共有できると。

小島 そうですね。ノベライズを読んだ人も「これを読めば大丈夫」どころじゃなく、とても悲しくなると思います。

――では最後に、こうして『グラウンド・ゼロズ』の発売も決まって、待っているファンも多いと思います。『グラウンド・ゼロズ』に向けての意気込みをお願いします。

小島 2社のハードがほぼ同時に出るなんて、ほとんどないですよね。お祭り騒ぎみたいに盛り上がってほしいです。ローンチタイミングでこそないですが、少し遅れて発売しますので、ぜひ楽しんでいただきたいです。本当は新世代機で遊んでみてほしいのですが、まだ買えない人はプレイステーション3とXbox 360でも遊べます。本編が出るときは、ひとクラス上のハードを買って遊んでいただければ。
 日本はソーシャルとか携帯機が盛り上がっていましたが、ハイスペックの贅沢な遊びというのもたまにはいいと思うので、もう一度遊んでいただきたいと思っています。