▲『グラウンド・ゼロズ』のメイン部分は夜間・雨の状況での潜入となる。
――全方向というだけでなくて、今回は天候の概念もありますよね。
小島 『グラウンド・ゼロズ』のメインはチュートリアルでもあるので、夜間で雨の状況です。敵の視覚も聴覚もあまり利かないのですが、こちらも見えにくい。だからマーキングしたほうがいいです。逆にサブミッションは明け方や昼のシーンなどもあります。一方、本編は天候がリアルタイムに変わるので、これは結構大変ですよ。
――その辺の違いなども『グラウンド・ゼロズ』で体験できると。
小島 同じ基地でも天候が違うとこんなに視界が違うのかと。夜の時点では見つからなかったのに、昼だと同じ距離でもすぐ見つかる。リアルに考えてもらえばわかりやすいです。自分の実生活で「そこだったら見つかるんじゃないか」という場所なら、見つかります。
オープンワールドにしている理由は、リアルなシミュレーションの潜入がしたいという以外にも、たとえばプレイステーション4だとShareボタンがあって、映像を配信できるじゃないですか。そこで、リニアに組んでいないので、魅せプレイが自由に演出できる。あるいは、ここからここまで何秒かかったというのでイベントを立てて、ランキングみたいにして競争する。そういうのも、オープンワールドだからできることですね。100人が100人やってレールの上を行くゲームなら、誰がやってもいっしょなので。
――『グラウンド・ゼロズ』でShareボタンを使って投稿したりできるということでしょうか?
小島 できるようにしたいと思います。するとウチのスタッフがいっぱい投稿すると思うんですよ。一番魅せプレイができるはずですので(笑)。
▲一方で、サブミッションでは違った状況でのプレイが可能。天候が異なれば、潜入も変わる。
▲持続する緊張感に耐え、油断するな!
――今回、グラフィックがフォトリアルになって、潜入も全方向になって、緊張するもの、ある意味“フォトリアルなミッション”と言うこともできると思うんですけども、たとえば映画の『ジェイソン・ボーン』シリーズがゲーム並みに何時間もあったら、ものすごい緊張して休むところがないですよね。ゲームのテンポやリラックスする部分はどう確保されていくのでしょうか?
小島 本編だと、キツくなったら基地に帰ればいいんです。『グラウンド・ゼロズ』の場合は、ミッションをやったら、ちょっと息抜きみたいなものもあります。
――セカンドデバイス(タブレットやスマートフォンとの連携)は『グラウンド・ゼロズ』にどう関わるのでしょうか?
小島 ランキングのようなものもあります。海外の人からは、マップの表示に使いたいという声がありますね。ゲーム自体でもワンアクションで表示できますが、セカンドモニターだとこう(フッと視線を落とす動作をして)非常に便利。ただ、(ジッと見て)こうやっていたら見つかりますよ。(サッと一瞬だけ見て視線を画面に戻す)こうやらないと(笑)。
――地図を見るときも油断はできないと。地図と天気予報は欲しいなと思っています(笑)。
小島 まだ言えないですが、セカンドデバイスだけの楽しみかたもあると思っていてください。
――さまざまなインタビューを読み返していて、「これは『MGS』ではない」と言われるのを危惧されていたかと思うのですが、今回のスタイルで、これは間違いなく『MGS』なんだという、コアの部分はなんですか?
小島 あの緊張感だと思います。まぁ、ステルスというゲーム、ビハインド視点、ゲームから画面を切り替えずにメニューを開ける部分など、そういった発明の塊が『MGS』だと思われている部分があって、それでほかのゲームと似ている部分を見て、そう思われるみたいなんですね。
それはある程度意図的で、なぜなら操作感を一般的なものに近く合わせなければいけないですから。いままで、『MGS』はとんがっていたので、好きな人はいいですけど、ほかのゲームをやっていた人が入ってこれない。そこでフォーカステスト(※)などもやって、ボタン配列やUIなども決めているので、もしかしたらそういった部分が、オリジナリティーが画面にないと思われるのかもしれません。
ただ、“潜入の奥にあるもの”はちゃんとオリジナリティーがあります。まだ言えないところも多いですが。
※編注:テスターに遊んでもらい、操作に詰まるところがないか、本来迷うべき場所でないところで迷ったりしないかなど、さまざまな項目をチェックする。