LIVEのため大阪へ遠征にやってきた
紗枝、周子、美穂、歌鈴、友紀。
LIVEが終わり、時間ができた紗枝は、
周子と京都へ向かった。慣れ親しんだ祇園を歩く
紗枝だったが、実家へは帰らない。そこには紗枝の
決意があった。
紗枝、周子、美穂、歌鈴、友紀。
LIVEが終わり、時間ができた紗枝は、
周子と京都へ向かった。慣れ親しんだ祇園を歩く
紗枝だったが、実家へは帰らない。そこには紗枝の
決意があった。
女子寮 | |
周子 | 紗枝はーん、もう支度できたー? |
紗枝 | うーん、まだまだやなぁ〜。 |
周子 | 手伝おっかー? あたしもうだいたい終わったし。 ってゆーか、持ってくものもあんまり無いしなー。 |
紗枝 | いやいや、周子はんに手伝ってもらうほどやあらしまへんよ。 ほんの少し、荷物が多いだけやから……。 |
周子 | 何をそんなに持ってくつもりなん? |
紗枝 | いやぁ〜、和服を包んで持っていこか、どないしょーて……。 周子はんは身軽やなぁ。 |
周子 | まーね。なるほど、和服かー。貫くねー。 普通の洋服にしたら楽なのに。 ま、それが紗枝はんらしさなんだろうけど。 |
紗枝 | せやなぁ。制服はすかーとやし、 寝るときなんかは和装やないけど、 外を出歩くときはこれやないと、なぁ……。 |
周子 | まーねー。わかるけど、なかなか大変だなぁ、それ。 |
美穂 | あ、紗枝ちゃん、周子ちゃん。 もう荷造り終わった? |
周子 | あ、美穂ちゃん、おつかれー。 あたしはそこそこ。紗枝はんはまだまだって感じかなー。 |
紗枝 | どんくさい子で、お恥ずかしい話やわぁー。 |
美穂 | そうなんだ、紗枝ちゃん、手伝おうか? 遠出するときは、持っていくものをまとめておくといいよ。 |
紗枝 | ふふっ。おおきに。 美穂はんも周子はんも、優しいなぁ♪ せやけど、ほんまに大丈夫どす。 |
周子 | ほーんと、紗枝はんはできた子だねー。 ちょっとだけ頑固だけどね。 |
紗枝 | うふふふー。 それは……たぶん、遺伝や思います。 うちの両親は頑固な人たちやったから〜。 |
美穂 | へぇ、そうなんだ。 どんなご両親だったの? |
周子 | そういや、聞いたことなかったね。 |
紗枝 | ん〜……厳しい人やったかなぁ。 京都の古い家の人に、そこに嫁いだ人やから、 しきたりやら何やら、大事にするもんが多くて。 |
美穂 | へぇ……でもきっと、厳しくしつけられたからこそ、 紗枝ちゃんの大和撫子な性格ができたんだね。 |
紗枝 | せやろか〜? うち、そないに撫子やろか〜? |
周子 | たぶん、自分で思ってるより相当、大和撫子だよ。 |
紗枝 | ほんまに〜? まぁ、うちはうちらしゅう、いきたいなぁて思てます〜♪ |
美穂 | うんっ! 明日の紗枝ちゃんのLIVEも、紗枝ちゃんらしく頑張ってね! |
紗枝 | はいな〜♪ |
翌日 | |
紗枝 | みんなで車移動なんて、珍しいなぁ。 周子はんと美穂はんと、それから〜? |
歌鈴 | はっ、待って〜〜〜〜っ! |
周子 | あ、誰か走ってきたよー。 あれって、確か……。 |
歌鈴 | はっ、待ってください〜! まだ出発しないで〜っ! って、あぁ〜っ! |
周子 | 何もないところで、こけた……。 |
歌鈴 | あたたた……。 ど、どうみょ……。 |
紗枝 | みょ、やて? |
歌鈴 | ど、どうも、道明寺歌鈴です……ど・う・も……。 |
周子 | いやー、歌鈴ちゃん、見事な転びっぷりだったわー。 |
歌鈴 | すみませんっ、すみませんっ、お恥ずかしいです〜っ! |
紗枝 | 歌鈴はん、どうもあらしまへんか〜? 怪我なんかしたら、あきまへんよ〜。 見たとこ、大丈夫そうやけど……よしよし。 |
歌鈴 | ほんと、すみませんっ。 私、転び癖があって!うぅ〜っ。 紗枝ちゃん、やさしいですね〜っ。 |
紗枝 | うちはなんもしてまへんよ。 ほら、立って、荷物持って。しゃんとしぃや〜。 |
歌鈴 | ありがとうございます〜。うぅ〜。 |
周子 | うんうん。やっぱり紗枝はんはよくできた子やわ。 んじゃ、いこかー。 |
紗枝 | あら〜、もうみんな揃ってはるのん? |
周子 | うん、とっくにね。 |
友紀 | ……つまり、野球ってのは最高のスポーツってわけ。 そんであたしは、自分が好きなものを、 みんなと楽しみたいだけなんだよね! |
美穂 | へぇ……そうなんですか。 野球のルールについては難しくってよく分からなかったですけど、 友紀さんの情熱は伝わってきましたよ! |
友紀 | でしょ〜? やっぱさー、情熱ってのはパッションなんだよねー! |
美穂 | ……は、はぁ? |
紗枝 | ほらほら友紀はん、美穂はんが困ってはりますやろ〜? |
友紀 | お、紗枝ちゃんやっほー! え、美穂ちゃん困ってた? なんで!? |
美穂 | あっ、いえ、大丈夫ですよ。 ちょっとだけ、野球については難しいなーって。 |
周子 | ほらほら、あとがつっかえてるからとっとと進んでー。 |
歌鈴 | おっ、お邪魔します〜。 |
紗枝 | ほいほい、みぃんな揃いましたえ〜。 プロデューサーはん、おたの申します〜。 |
P | では、出発。 |
友紀 | よーしみんなーっ、しまってこー! |
紗枝 | ほらほら、友紀はん。 そないなこと元気よう言っとらんと、 ちゃあんとしーとべるとをしめましょなー。 |
友紀 | ありゃ、一本とられたー! |
美穂・歌鈴 | ふふっ。 あははっ。 |
大阪 | |
紗枝 | ふ〜、ようやっと着きましたなぁ。 |
友紀 | んーっ、来たーっ!敵地! |
歌鈴 | て、敵地……ですか? な、何か危険がっ!? |
友紀 | ここは虎の住む地っていうか、 キャッツとは因縁があるというか、まぁ、つまりそういう……。 |
周子 | 友紀さんさー、むりやり野球ネタこじつけてない? |
友紀 | そ、そんなことはっ! |
美穂 | ふふっ。今回は紗枝ちゃんのLIVEなんですから、 きっと敵じゃなくって味方になってくれますよ! |
紗枝 | そう思ってくれたら、うれしいなぁ。 みぃんなうちの味方になってくれるよう、気張って参りまひょ。 |
LIVE会場 | |
歌鈴 | わぁ…… おっきい会場ですねぇ……。 |
紗枝 | せやなぁ。 こんな大きな会場で、みんなにうちの晴れ姿、 見てもらえるんやなぁ……。 |
友紀 | 紗枝ちゃん、特大のホームラン、決めちゃってよ! あたし達もみんな応援してるからさ! ねっ、歌鈴ちゃん! |
歌鈴 | ふぇっ、は、は、はい! 応援しましゅ!頑張りましゅ! |
周子 | 噛んでる噛んでる。 ま、紗枝はんなら大丈夫でしょ。 レッスンもきっちりしたし、本番にも強い子だし。 |
美穂 | そうだよね。 紗枝ちゃん、たしかに芯があるもんね。 |
紗枝 | なんや、褒められてるみたいで恥ずかしいわぁ。うふふふ〜。 |
友紀 | ほめてるほめてる! |
美穂 | ふふっ。 こうして普段はマイペースなのに、本番はしっかりしてるのも、 紗枝ちゃんのすてきなところだよね。 |
歌鈴 | なるほど……つまり、本番さえしっかりしてれば、 ドジな私でも、見直してもらえるかも……! |
周子 | いやー、歌鈴ちゃん、それは……。 |
歌鈴 | ち、違いましたかね……。 |
紗枝 | 歌鈴はんはどんくさいところも、 それがかいらしい思われてるんやから そのままでええんちゃいますか? |
歌鈴 | はぁ……なるほど……。 |
周子 | あ、このどんくさいところってのは、ドジするところって意味ね。 |
美穂 | ふーん、そうなんですね! |
友紀 | ところで、そろそろスタンバイしなくていいの? |
紗枝 | あら〜、またのんびりしてしもて〜。あかんわぁ〜。 |
周子 | 紗枝はんと話してるとこれだからなー。 さ、準備しよっか。 |
紗枝 | あらためまして…… みなはん、今日はうちのLIVE、よろしゅうおたの申します。 気張りますさかい、応援したってや〜。 |
友紀 | よーっし、楽しんでこーっ! |
周子・歌鈴・美穂 | おー。 はいっ! はいっ! |
LIVEへ | Sakura Bloom |
花簪 HANAKANZASHI | |
LIVE後 | |
紗枝 | ふぅ……みなはんのおかげで、無事にLIVEも終えられましたわ。 ほんまに感謝してます。おおきに。 |
歌鈴 | 紗枝ちゃん、すっごくよかったですっ! あの、よかったですっ!とにかく、すてきで、よかったですっ! |
周子 | ふふふ、よかったしか言えてないやん? |
歌鈴 | よかったんですよ〜。 とにかく、その、言葉が出てこないんですけど、よかったから〜。 |
美穂 | ふふっ。私たちもみんな同じ気持ちだよ。 |
友紀 | ま、いいLIVEだったのは間違いないよね! しっかりレッスンもやって、ちゃんとLIVEも成功して、 紗枝ちゃん向かうところ敵ナシって感じだよねー。 |
紗枝 | そんなこと、あらしまへんよ〜。 |
友紀 | で、無事LIVEも終わったわけだし、このあとは? もうゲームセットだし、延長戦ってことはないよね? |
今日、明日はもうオフだと伝えた…… | |
友紀 | やったー! ふふふっ、じゃあ観光しよ!ねっ! |
紗枝 | うちは、せっかくやし京都に寄ってこかなぁって思て。 |
周子 | いいねー。じゃああたしもそうしようかなー。 |
友紀 | 残念っ!じゃあ紗枝ちゃん達はまた今度で! |
美穂 | ふふっ。 じゃあ歌鈴ちゃん、いい観光地、知ってますか? |
歌鈴 | ふぇっ、は、はい! でもなんで私!? |
友紀 | 奈良生まれなら大阪のことも詳しいでしょ!たぶん! |
歌鈴 | そんな、決めつけですよ〜? まぁ、ちょっとくらいなら、来たことはありますけど〜。 |
友紀 | じゃあ決まり〜っ! いこいこ!ほらほら〜♪ |
歌鈴 | ちょ、ちょっと待って〜!あぁ〜。 |
美穂 | ふふっ。じゃあプロデューサーさん、またあとでご連絡しますね。 あっ、友紀さん、歌鈴ちゃん、待って〜! |
祇園 | |
紗枝 | なんや、そない久しぶりでもあれへんのに、懐かしいなぁ……。 |
周子 | 紗枝はん、たまに帰ってるんじゃなかったっけ? |
紗枝 | そらまぁ、盆暮れ正月には、なぁ。 けど、あいどるとして一人前になったと思われへんと、 ほんまの意味では、清い気持ちで帰られへんから。 |
周子 | まぁ……そらそうやね。 |
紗枝 | せやから、プロデューサーはんと来るんも、 ほんまはついでやのうて、ちゃあんと凱旋できたらなぁ、て。 |
選択肢 | (赤)うなずく |
紗枝 | ……分かってもらえて、うれしいわぁ。 |
このあたり……懐かしいなぁ。 ここらは小さいころから庭みたいなもんやったから。 | |
周子 | そうだったんだ? 祇園が? |
紗枝 | 日舞やらお茶やらの手習いは、このあたりでやってましたから。 一緒に習ってはった、 芸者はんや舞妓はんなんかが遊び相手になってくれたんどす。 |
周子 | へぇ。じゃあもしかしたら、 子どもの頃に、ここらであたしとすれ違ってたかもね。 |
紗枝 | そうやったかも、わかりまへんなぁ。ふふっ。 |
周子 | ……あ、じゃあ、その言葉もその頃に? |
紗枝 | 姐さんたちが、練習してはったのを真似てたら、なぁ。 大仰しいのはうちも分かってるんやけど、 染みついてもうた言葉やから。 |
周子 | 紗枝はんらしくて、いいとおもうけどね。あたしは。 |
紗枝 | ふふ。おおきに。 さて……もう少し歩いたら、帰りまひょか。 大阪でみんなと合流なら、ええ時間どすやろ。 |
周子 | そうだけど……いいの? |
紗枝 | なんどすか〜? |
周子 | せっかく京都に寄ったんだから、挨拶の一つでもしていったら? 実家なんだし、泊まっていったって……。 |
紗枝 | ……ふふ。 周子はんにそないなことを言われるとは、思わへんかったなぁ。 |
周子 | いやぁ、やっぱね。 |
紗枝 | ……ええんどす。 今のうちが帰るんは、京の家やのうて、事務所の寮。 |
今のうちが一緒におるんは、京のお父はんやお母はんやない。 プロデューサーはんや周子はん、みんなどす。 | |
周子 | ……そうやね。 |
紗枝 | せやから、帰りまひょ。 ここでの散歩は、ただの想い出やから。 |
お父はん、お母はん。うち、気張ってます。 またいつか、京にあいどるとして凱旋するさかい…… そんときは楽しみにしててなぁ。 |
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