今は亡き耳かきコリッの避難所

あれは、そう、漏れがまだ厨房の頃だった。
ある日、漏れの従姉が息子のY君(当時4歳)を連れて漏れの家へ遊びに来た。
ふと、彼の耳に目をやると、何か違和感を覚えた。
懐中電灯を持ってきて照らしてみると、なんと、彼の耳の穴は耳垢で完全に塞がっていた。
初め、これは漏れには手が出せないかとも思ったが、こんな大物は二度と拝めないだろう。
という誘惑にかられて、手持ちの中で一番角度の浅い耳掻きを手に取った。
まず、耳穴と耳垢の境目に割り込ませるように、耳掻きの先をゆっくりといれた。
ここでY君が痛がるようなら、万事休すだったが、彼は平然としていた。
漏れは「しめた!」と思い、ゆっくりと梃子で石を持ち上げるように耳垢を剥がしていった。
さらに、耳穴の外周に沿って一周するようにした。
これで手前の方は完全に剥離したが、耳垢が何処まで続いているか解らなかった。

次に漏れが用意した物は、先が平たく作られた切手を鋏むのに使うピンセットだった。
ピンセットで耳垢の先を掴んで、そうっと動かしてみる、もし、耳垢が鼓膜に癒着していたら、
無理に取るのは余りにも危険な行為だった。が、この期に及んでもY君は平然としたままだった。
そこで、耳垢を徐々に大きく動かしていって、最後に「痛かったらすぐに言うんだよ」とY君に言ってから、
おもむろに引き抜くとその耳垢は直径8?o位長さが20?o位のまるでコルクの栓のような大物だった。
反対の耳は完全には塞がっていなかったが、出てきたブツはまるでマカロニのようだった。
従姉に聞くと、彼が生まれてから一度も耳掃除をした事が無かったらしい。
収穫したブツは、勿論漏れが気の済むまで観察したことは言うまでも無い。

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