まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

482 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/23(金) 23:54:10.18 0

『みやももフェルト』その2

日曜日の駅ビル。雑貨ショップの棚の前にしゃがみこんで
ぬいぐるみを眺めているももを見つけた。
この前の通学路で会ったときから、半月くらいかな。

エスカレーターを降りて行くももの後を、こっそりつける。
2Fまで降りると、目の前は黒い壁に囲まれたブランドショップ。
似合わない店に慣れたように入っていくももを見て
慌てて追いかけるようにこっちも店に入った。

音楽がうるさいくらいガンガン鳴っている薄暗い店内の奥の方
進んでいくと横から急に腕を掴まれた。
「みやってやっぱ目立つね」
私の顔見て、ももが得意げな顔してる。

「おっかしーな、バレてないと思ったんだけど」
「鏡に思いっきり映ってた」
「あっそ」
「人のことつけてる時間あるんだったらお茶でもしようよ」
「えっ」

何、そんなこと言ってくるの初めてじゃん。
ドキドキしてみたけど
ももの言うまま、なりゆきに任せてみたら自販機でお茶買って
エレベーターの前にあるソファに誘導されていた。
「ここか」
ビルん中にいくらでもカフェがあるのに
「あれ?何か問題でも?」
「いえ全然」
「この間はちょっとだったから」

そう言うとももは隣に座って、自分のペットボトルを差し出してきた。

483 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/23(金) 23:56:29.76 0

「この間友達に言われたんだけど」
「うん?」
「嗣永先輩って、いっつもみやに絡んでたよねって」
「まあ、学年違うわりには」
「最初に喋ったのって小学校の時の運動会の」
「そうそうそう。みやの鉢巻き拾ってあげたの」
「絶対うちより下かと思った」
「こっちは前から知ってたよ。みや入学したときから可愛いって話題になってたもん」
「あ そう」
ちょっと照れた。

「でもその後ももだって有名人になったじゃん」
「それは言わないで」
「生徒会長立候補の選挙活動と演説と」
「言わないでって言ってんじゃんっ」
「そいで見事に落ちるっていうね」
肩を思いっきり叩かれて、お茶を零しそうになる。
「いいの。あれはあれで」
「でもあの時、かっこいいなあってちょっと思った」
「ほんと?」ももの顔が一瞬でにやけた。言うんじゃなかった。

「まあねーあれでみんな何だかんだ言ってももの良さに気付いたとこあるよねえ」
勝手に喋りだしたので放っておいてお茶を飲む。

そう。あれからみんながももに気付いてしまった。
クラスで話題になってると何だかモヤモヤした。
私の方が先に知ってたのに。

「ももさ、時々うちのクラスに遊びに来てたりしたじゃん?」
「あー中学んとき」
「あれも話題になってた。いっつもみやんとこ来るから」
「嬉しかった?」

485 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/23(金) 23:58:19.78 0

なんでこっちが喜んでることになってんの。
「それおかしいじゃん?いっつも一方的に来といて」
「えっ迷惑だった」
「そういう話じゃなくって」

噛み合わないのはいつものことだけど
今日はいつもよりさらに伝わらない。
どうしてうちらがこんな関係になってるかって
けっこう2人にとって重要な話じゃない?というか、言っちゃうけど

「言っちゃうけどももが絡んでくるのって、うちのこと好きだからでしょ。要は」

この際はっきりさせたい。

だって
廊下で会ったらいつだってニコニコ笑いかけてきた
校舎の2階の窓からこっち見て手を振ってきた
図書室で隣に座ってきたりもしたし
体育祭の練習頑張ってるとこ見ててくれて
後から声かけてくれた
部活で揉めて落ち込んでるときにお菓子くれた
遠くにいても絶対見つけてくれる
いつも一緒にいたわけじゃないし
別に何も約束なんかしたことなかったけど
ずっとずっと

「特別にみやのこと気にしてた。そうでしょ」
言い始めたら熱くなっちゃって、お茶を置いて、ももの両手を取っていた。
ももは目を丸くしてこっちを見たけど
だってそうでしょ。ずっと私はももの特別なんだって
そう思ってたし。

じっと見つめると、ももは何度かまばたきしてから、上の方を見た。
「うーん……それは、逆じゃない?」

は?

486 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/24(土) 00:00:53.40 0

だって
みやってば廊下で会うといつだってぱぁっと顔が輝くし
ぼーっと校庭眺めてたらずっとこっち見てるから手を振ってみたり
図書室でなにげに椅子引いてくれるから隣にも座ったけど
まあ体育祭の練習は本当に頑張ってたからね
部活で揉めてたとかは知らないけど
あのときたまたま鞄にイカが入ってたから
あげたら本当に嬉しそうな顔しちゃって
なんだかんだいっつも視界に入ってくるから
この子ほんともものこと好きなんだなあって

「そー思ってたよ」
「ちょっと待って」
「いやーそんなにもものこと好きなら仕方ないなあみたいな」

は?何言ってんの。
顔が熱くなるのを感じた。違うし。そういうんじゃないし。
「そ…そんな好きなら相手してあげようって思ってたのはこっちの方だから」

声が震えちゃった。
何かひどくショックで、呆然とした。
ももの両手を握る指がゆっくりほどけて
抜けそうになって

だけど次の瞬間
今度はももがしっかり掴んで来た。

私の手をぎゅっと握って、めっちゃニヤニヤしながら
「ねえ、みやどう思う?こういう『相思相愛』もあるのかなあ」
そう言った。

487 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/24(土) 00:02:14.94 0

ソウシソウアイ。
心の中に落ちてくるまで、ちょっと時間がかかった。
ももが顔を覗き込んでくる。

「言ってみればさ、ももはみやのこと、みやはもものことを
ずっとお互いに、勝手に『自分のもの』だと思ってた、みたいなさ?」

なにそれ。心臓が跳ねた。
急にドキドキしてくる。
「身勝手な2人だよね。うん」ももは手をぱっと放すとひとり納得したみたいに頷いてる。

それって、やっぱ特別な関係なのかな
確かに、他の子と、こんな風に思い合ったことないし。

「みやどした?」
何て事なさそうに言うももの顔を見た。このよくわかんない人
このまま、わからないままにしたくないんだよね。
友情とは何か違う、この不思議な気持ちを確かめたい。

「あのさ来週どっか遊びに行かない?」勢いで言ってみる。
初めて、約束をしてみたくなった。
ももがちょっとびっくりして、それから考えている時間が
すごくすごく長く感じた。

いいのかな。

「いいよ」

連絡先を、交換した。
お互い特別に思う気持ちを、この時初めてちゃんと交換したの。

488 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/12/24(土) 00:03:56.74 0

ーーー

いつもすっごく美味しそうに食べてるけど
味わかってんのかな、とも思う。

「これ何って言ってたっけ」
「真鯛のポワレバルサミコソース」
「ほぉー なるほど」
わかってんの?
さすがにテーブルマナーはきちんとしてる。当たり前か。
仕事モードでお上品に食べてるももを見るのも悪くない。
っと。ラディッシュ取り損ねてお皿の外にすっ飛ばした。
そして笑いをこらえ切れない模様。

お店からの帰り道は、ちょっとワインが入ってるせいか
楽しげにしがみついてくるももをぶら下げて歩く。
「アミューズが可愛かった」
「でしょ」
「今相談受けてるクライアントにちょーどいいかも」
「まあ、あとはそっちで話して」
「ありがとみや。いろいろ順調すぎて怖いくらいだなぁー」
「……重い」
「お仕事もいいことあって、みやとの生活もうまくいってるし」
「そう、だね。まあまあ、思ったよりは?」
「あとひとつだけ欲しいものがあるけど」

ももが立ち止まった。腕に絡みついたまま見上げてくる。
目がウルウルしてる。何その顔。
「いろいろ欲しがりすぎじゃない?ちょっと呆れるんだけど」
「そーなんだよねー。でも欲しいんだもん」
私の腕を揺らしながら、機嫌良さそうにまた歩き出した。
ももに引っ張られるように歩く。
これ、何かおねだりされてるんだろうか。ものすごく、怖い。
怖いけど、すごく気になる。
「な……何が欲しいの」
「あ、そんなに聞きたい〜?」
「そういうのいいから、早く言いなって」
すっごい笑顔でこっち見た。
「あのね、ももとみやの子どもが欲しい」
「はいストップ」
「ん?信号青だよ?」

ーーー
その3につづく

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