まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

399名無し募集中。。。2018/11/30(金) 21:32:36.060

「どう?終わりそう?」
そう言いながら、くまいちゃんが私の手元とモニタを交互に見る。
「大丈夫だと思うよ」
顔を見ると、くまいちゃんはニコニコしながら「やったー」と言った。
「そんな行きたいか」
「だってさ、営業部との飲み会とか普通ないじゃん」
「そういえば初めてかもね」
「知らなかった人と仲良くなれるかもしれないし」
くまいちゃんってば。前向きで良き。
私はといえば、別に出会いとかいらないし、ちょっと面倒くさいというのが正直なところ。
先日、うちのチームの企画で大きな売上を立てた営業チームが慰労会をやろうと言ってきた。
会費なし。向こうの部長が全部出すというので
まあ、いつもの飲み会よりはちょっぴり浮き立っている。
気合入ってるよね。みんな17時上がりで。とか言ってんだもん。
もーさんにも声かかってんのかな。ちらっと私は思った。
開けっ払った広い座敷にはけっこうな人数がひしめいていた。呼ばれてない部のやつもいるし。
遠くにもーさんを確認した時、私はドキっとして、なんとなく離れたところの座布団をキープした。
いるかもなーと思ってても、実際目にすると焦る。そういうことある。あるんだよね。
後ろに置いたバッグを開けて、確認する。
そっか。来てるならどっかでタイミング見つけてハンカチ渡せばいいや。
新垣部長の挨拶は、全員への労いに満ちていて、まあ悪くない話だった。
乾杯については事前に通達が回っていた。
「部長が挨拶の締めに『乾杯するのだ』とおっしゃいますので
そしたら全員『のだー!』と大きく声を上げていただいて、乾杯をお願いします」
企画部に来た営業の新人くんが、そう説明して回っていた。
すげー。そんなルールあるんだ。営業って大変だねー。
新人くんが帰った後に、ひとしきり皆で言い合ったんだけど。
実際の『のだー』コールで上げた企画部の震え声は営業部全員の声に完全に掻き消された。
宴が始まってからもやっぱり、向こうの方が騒ぎ声も大きかったりして
急にドッと上がった笑い声の方を見ると、テーブルの端っこに、もーさんがいた。
営業の男性3人くらいに囲まれているもーさんはものすごく小さく見えた。
両手でグラスを持ったまま、ひたすら頷いていたり
料理積み上げた小皿もらって嬉しそうにしてたり
かと思えば散らかった空のグラスまとめてたり、店員さん呼ぼうと手をあげてたり
……もーさんばっか見ててもしょうがないじゃん。
「なっさーん」
隣にしみはむが割り込んできた。ナイスタイミング。
「ちゃんと食べてる?」
「めっちゃ食べてる」
「これもらおうっと」しみはむは私の目の前にあった大皿から揚げ物を取った。

400名無し募集中。。。2018/11/30(金) 21:35:13.860

「そうだ、派遣のあの子いるじゃん、営業に来てる」
唐揚げを一口食べてから、しみはむは顔で座敷の向こう側を指した。
さっきまでさんざん眺めてたし。と思いながら、私は一応視線を投げ、うんうんと頷いた。
しみはむは急に声を潜めて私に顔を寄せた。
「あの子さ、亀井くんと付き合ってるっぽいよ」
「え、それ誰、知らない」
「えー知らないんだ」
そう言うと、しみはむは反対側のテーブルを箸先でちらっと示した。
その先に、隣から頭を小突かれ、へらへら笑っている男の子がいた。
「一緒に帰ってるとこ見たって人がいてさ」
「営業だよね?」
「そうそう。あの派遣ちゃんに資料持たせてさ、外回り連れ出して直帰とか」
私は動揺して飲もうとしていたグラスをがちんと噛んだ。
そ、そうか。まあ、もーさんも女だし。女だしって当たり前だけど。
うちの会社は別に社内恋愛にどうこう言ったりしないし、いいんだけど、別にいいけど。
「あの、亀井、さんってどういう人なの」
「すっごいマイペースって聞いたことあるかな。成績はいいみたい」
落ち着こう。とグラスの中身を飲み干した私に、しみはむがくっついてきた。
「なっさんも『彼氏欲しい〜』とか言ったらいいんだよ」
「なに、急に」
「そういうこと言わないじゃん。だからみんな、絶対オトコいるんだろうなあ
きっと派手に遊んでたりするんだろうなあって、思っちゃってると思うよ」
「別に、今いらないし」
「髪色変わるたんびに、男変わってんだろうなとか」
私はしみはむの二の腕をぎゅっと掴んだ。
「ちょっ、そ、そんなこと言われてんの?」
「や、うそうそ。冗談だよ冗談」
慌てたようにそう言って、笑顔をつくるしみはむの黒目を私は覗き込んだ。
言われてるんだ。影でそんなこと言われてるんだ。
「別に心配してるわけじゃないけどね。なっさんなら彼氏なんて
その気になればすぐできるんじゃないのって思うし」
「……だったら、逆ナンでもすればいいわけ?するよ?」
冗談めかしてきゅっと睨んでやると、しみはむは二の腕を掴んでいる私の手を叩いた。
「いらないとか言ってるとあっという間に三十路なわけよ」
「そんなの、わかってる」
「逆ナンだってアリだと思うよ」
そんなこと言われたら、真面目に考え出しそうになるじゃん。
うーんと眉間にシワを寄せる私を見て、しみはむは笑った。
「けど、やっぱ私は、なっさんの真面目なとこ見てくれる人がいいなって思う」

401名無し募集中。。。2018/11/30(金) 21:38:15.130

なんだかんだ勧められるまま飲んでたら、知らない間にずいぶん酔っていた。
ということに、立ち上がって気付いた。
ずっと隣にいたしみはむを避けようとして、私はヨロヨロと壁に手を付いた。
しみはむが無言でふくらはぎをペシッと叩いてくる。
わかってます。社の飲み会は仕事のうち、醜態晒すなですよね。わかってます。さーせん。
小奇麗な和風の居酒屋だった。私は框に腰を下ろすとサンダルを履いて広い廊下を見た。
玉砂利の上の平たい飛び石は黒くてツヤツヤしてる。
こういうとこなら化粧室も広くてきれいだろう。
自分の顔どーなってんだろ。メイクも直しておかないと。
化粧室の矢印がある角を曲がろうとして
私はその反対側を進んだ奥に、もーさんと、ヤツを見つけた。
ヤツというのは流星Bと呼ばれているマーケの30代の男である。企画でも営業でもないじゃん。
その渾名は、シューティングスターの如く流れていく情報を的確に掴むその手腕から。
ということになっているが
裏には、絡まれるとあまりにもウザいので流星に乗って宇宙の果てまで飛んでいって欲しい。
という社員の願いが込められていた。
飲み会では時間がたつにつれ周りから人が逃げていくのが特徴で
どうせぼくなんかとネガティブモードで帰っていくのが常である。
何か話しているようだがちょっと距離があって聞こえない。
角の柱に貼り付いて聞き耳を立てると
「ぼくみんなに嫌われてるのかなあ」
という流星Bの声が聞こえてきて、わかるかな?私は心底ゲンナリだよ。
「そんなことないですよぉ」
というもーさんの声も聞こえてきた。ご愁傷様でーす。
「でも良かった。こうして桃ちゃんが話聞いてくれるもんね」
「大丈夫ですよ。私だけじゃなくって、みーんな心の中で尊敬してるんですって」
「ううん、ううんそんなことない。ぼくには桃ちゃんしかいないよ」
「えー?そんなこと言われても困りますぅ」
一瞬どうしようかと思ったものの、なんとなく、もーさんなら大丈夫かなーという気もする。
適当にあしらって、するっと戻ってくるんじゃないだろうか。
「ね、この後さ、二人で抜けない?もっといっぱい話したくなってきちゃった」
「そんなのだめですよぉ」
「いい店知ってるんだ。ねえ、行こうよ」
その時私は、ずっと下ろされていた流星Bの右手がひらりと動くのを見て、激しく焦った。
こいつにケツを掴まれた女子社員が何人もいるらしいことを思い出したのだ。
いや思い出したくもないけど、私も入社したばっかりの頃、すれ違いざま触られそうになったことがあって
その時は思いっきり不恰好に体捻ってなんとか逃れたんだけど
新入社員の泣き寝入りに調子こいて最低。こいつ、こいつこんなところでまで。
カーッとなった私が、なんとかそれを阻止しようと踏み出しかけた時だった。
突然流星Bの体がガクンと落ちた。
「っ……あぁ」
流星Bは情けない声を上げて蹲り、両手で右足の甲を押さえている。
何が起きたのかわからず、私はその場でバクバクする胸を押さえた。
もーさんは立ったまま流星Bを見下ろしている。冷え切った表情だった。

402名無し募集中。。。2018/11/30(金) 21:41:09.980

ようやく私は気付いた。もーさん、ヒールで思いっきりヤツの足の甲を潰したんだ。
あれ、なんでサンダルじゃなくて靴履いてんだ?
「行くわけねぇだろ」
これまで聞いたこともない、地の底から響くような声で、もーさんはそう言い放つと
顔を上げて私の姿を発見し、涼しい表情で近づいて来た。
流星Bはまだ、ヒィヒィと呻きながら蹲っている。
「ね、ねえ、大丈夫なの、あんなことして」
私は思わず、そう声をかけた。
「大丈夫。あんだけ飲んでたら覚えてるわけないよ」
私のすぐ横で立ち止まり、にっこり笑ってそう言ったもーさんを見た時、胸に湧き上がった思い。
それは正体を現す前に一瞬で体を通過し、首の後ろから抜けて行った。
私は吹き出すと「最っ高」と言って笑った。
「あんなの複数集まって告発したら一発だけど、なかなかそうもいかないよねえ」
「ごめん」と私が謝ると、もーさんは唇をむずむずさせた。
「何の用だったの?」
「え、違う、トイレ行こうと思ってこっち来て」
「そうじゃなくて、この間、内線かけてきたじゃん」
「かっ。かけてないよ」
思わず私は嘘をついた。なんで急にその話?今する話?
「おかしいなぁ。なっさんの内線番号がしっかり表示されてたけどなあ」
「あれじゃない?混線したりすることあるし。それだ。きっとそれ」
「誰宛だったの?何があったか知らないけど伝言くらいするよ?」
そんなこと言われたら、もーさんにかけた。なんてますます言えなくなる。
「おっと」
急にもーさんは独り言のように呟くと、さっと身を翻してトイレの中に消えた。
あまりの素早さに反応できず、私がその場に立ち尽くしていると
座敷の方から誰かがふらふらと歩いて来た。
さっき、しみはむに教えてもらった。なんだっけ、そうだ、亀井さん。
近付いてきた亀井さんは私を見ると「お疲れ様でーす」と片手を上げた。
近くで見る亀井さんは、目が大きくて整ってて目立つ美形だ。もーさんって、面食いだったんだ。
人は良さそうだけどなんかちょっとチャラそうにも見える。
へぇ、こういう人と付き合うタイプなんだ。へー。
私の顔を見ながら、亀井さんはへにゃーっと満面の笑顔になった。
「おーれのモモコを見ませんでしたかぁ〜?」
それを聞き、私は脱力して壁に背をつけた。
こんな軽口平気で口に出せるって、そういうことじゃん。
おい。
なんだ。これ付き合ってないわ。
私が乾いた笑い声を立てると、亀井さんは悲しそうな顔をした。

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