まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

210名無し募集中。。。2018/11/15(木) 21:36:20.700

仲良く遊んでいたはずが言い争うような声が聞こえて、雅は子ども部屋に向かった。
珍しい。あまり喧嘩をしないところがうちの子達のいいところだ、と雅は思っているが、たまに些細なことで言い争いが始まってしまう。
そしてそれは必ずと言っていいほど奈々美と結で、今回もやはりそうだった。

「いる!」
「おらん!」
「い、いぐもん!」
「おらへん!」

煽るような顔の結。困ったように眉を下げて反論する奈々美。
手を出した方が負け、という桃子の作った家訓を守り、必死に口喧嘩をしているちびっこが可愛くて、つい顔がほころぶ。

一向に終わりそうにないそれにしびれを切らした桃子が、とうとう間に割って入った。
「ももママ来ちゃったね」
「そうだね」
声のする方を見やると二段ベッドの上から知沙希と舞がひょっこりと顔を出していた。

「なんで喧嘩になったのか、説明できる人」
桃子が問うと奈々美と結がぴしっと手を伸ばす。
「じゃあ、奈々美」
「はい。私がサンタさんにお手紙を書いていたら、結が『サンタなんかおらん』って言いました」
「それで?」
「私はサンタさんは存在すぐって思うから、喧嘩になりました」
「結は?何か付け加えたいことはある?」
「…ないけど」
「けど、なに?」
「けどサンタおらんって言われたもん」
結は早口でそういうと、急に目に涙を浮かべ始めた。口は達者でもまだまだ子どもなのだ。雅は結の小さな頭を撫でた。

桃子はこういう時、どちらの側にも付かず、双方の意見を聞く。いわばこの家の裁判長だった。
「たとえ片方にしか非がなくても、どっちの意見も平等に聞いてあげないとダメ。叱るのはそのあと」というのが持論らしい。

「結は誰かにサンタさんはいないって言われたのかな?」
桃子が優しく訊ねると、結は涙声で訴えた。
「男子がな、お前ん家にくるサンタはニセモノやって」
「ひどい!なんでそんなこと言うの!」
舞がむっとしたような顔で言った。
「ウチにはトンネルがないやん」
知沙希が「トンネル?」と首を傾げる。
トンネルの真意について思案していると、自分の机の前でやり取りを見ていた梨沙があっと声をあげた。
「結、それトンネルじゃなくて煙突じゃない?」
「あぁ、煙突やったわ」
結は恥ずかしいのかぽりぽりと頭を掻いた。
「サンタは煙突から入ってくるやろ。せやからな、煙突のない家に来るサンタはニセモノなんやって…」
「そんなぁ」
結の隣でじっと話を聞いていた奈々美はがっくりと肩を落とした。

結の話から推測すると、男子にからかわれてショックを受けた結が奈々美に八つ当たりをしたというところだろう。
桃子は結の気持ちにも寄り添いつつ奈々美と仲直りをさせ、さらにウチにくるサンタがニセモノなわけがないと5人を前に演説をしていた。
子ども達は桃子の周りに集まり、熱心に話を聞いている。
雅はそんな桃子の姿を目にするたびに、誇らしい気持ちになるのだった。

「今度そんなこと言われたら、家に連れてきなさい。ももがちゃんと説明してあげるから」
「はい!!」
元気な声が子ども部屋に響いた。先ほどまで不安に揺らいでいた5人の目が、今はまっすぐに桃子を見つめている。
雅が「じゃあみんなでサンタさんにお手紙書こうか」と提案すると、結も奈々美ももうすっかり上機嫌だった。

211名無し募集中。。。2018/11/15(木) 21:39:29.520

子供たちが寝静まったあと、リビングで桃子とこっそりと手紙を読んだ。
サンタ代行の大切な仕事だ。

絵を描くのが上手な梨沙は、新発売のカラーペンとパステル。
知沙希と舞は、アイスクリームメーカー。
読書好きな奈々美はダレン・シャンの全巻セット。
結は悩みに悩んで、高級なめたけ。
どれもあの子達らしいチョイスだった。

「いいなぁ、あの子達にはサンタさんくるんだもんね」
「何?みやもほしいものあるの?」
「あるある。ありまくり」
桃子はふぅん、と呟いたあと、何を思ったかそのまま雅を押し倒した。

「ちょ、何すんの」
「プレゼントほしいんでしょ?指でも口でもいくらでもあげるって」
「え?クリスマスまだまだ先だし。それに、こ、子どもが見たらどうするの」
「プロレスしてたって言えば大丈夫だよ」
「いやいやいや」
「声出さなきゃわかんないから」
必死に抵抗しても、桃子は「いいから」と頑なに身体を離そうとしない。

「ね、さすがにまずいって」
「プレゼントほしいんでしょ」
「もも、ここリビングだよ?年頃の梨沙が見たらどうするの?まだ小さい結が見たら?多分ショック受けるんじゃない?」
誰よりもあの子達を愛している桃子にはこれが一番効くことを雅はよく知っている。

「あっそう」
「また今度にしようよ」
「知らない」
「部屋戻ってからとかさ」
「いいよもう」
どうやら機嫌を損ねてしまったらしい。
むすっとした表情のまま桃子はようやく雅の身体を離した。

床に押し倒された雅をそのままにして、桃子は子ども達の書いた手紙を元に戻した。
そして上着を持って玄関に向かった。

「もも、どこ行くの」
「コンビニ」
「…気をつけてね」

雅はもう1つ、桃子について知っていることがあった。
不機嫌のあとのコンビニは彼女なりの反省であることを。
そして、必ずパピコを買って帰ってくることを。

素直にごめんって言えばいいのに。
雅はその不器用さが可愛いと思う自分に苦笑いをした。

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