まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

538名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/08/23(水) 02:57:12.360

二段重ねのお弁当箱はピンク色。
誰かさんとお揃いなのは他の皆には内緒。

「みやちゃん、今日もお弁当ですか?」

珍しい、と言いつつ有加の指先がペリペリとサンドイッチのビニールを剥ぐ。

「最近、ママが朝余裕あるっぽくてさ」

優しいママさんですねえ、とふわふわした微笑みでひかるがおにぎりを頬張る。
実のところは、母親が作ってくれたわけではないのだけれど。
ささやかな秘密はくるりとハンカチの中に折り畳んだ。

桃子がやけに張り切った調子で「お弁当作ってあげる」と言い出したのは昨晩のこと。
確か、1日中ダンスレッスンがあるなんて話をしたタイミングだった。
少し前から、桃子の中で流行っているらしいお弁当作り。
最初の数回はハート形のニンジンや、海苔でスマイルが描かれたご飯だった。
それが最近は、疲れてきたのか、はたまた飽きてきたのだろうか。
シンプルで王道なお弁当が多くなってきていた(全面に唐揚げを詰めるのだけはどうにか遠慮してもらった)。
それでも嬉しいものは嬉しいし、弁当の入った小袋を提げて歩くだけでにやけそうになる。

「……あれ?」

蓋を開けてみて、期待していたものと少々異なる光景に疑問符が声になった。
ウインナーで作られたタコさん。もしくはカニさん。
ちょっと不揃いな足が微笑ましくて、密かに雅のお気に入りだったのに。
朝は確かに香ったはずの彼らは見当たらなかった。
単なる勘違いだったのだろうか、と思いながら雅は箸を手に取った。
少々焼き色が激しい卵焼きと、昨晩余った鶏の照り焼き。
プチトマトは桃子がベランダで育ててくれたもの。
ほうれん草の煮物は冷凍食品だけれど、それなりに美味しいので良しとしよう。
まずは、卵焼きを一口。
優しい甘さが舌に広がって、雅の頬は自然と緩む。
桃子は甘い方が好きだと知ったのは、はてさていつのことだったっけ。
鶏の照り焼きは、こってりしたのが食べたいと言う桃子の注文に合わせたもの。
冷蔵庫にあったものを適当に使って料理をすると、すごい!と桃子は目を丸くしていた。
少し皮の固いプチトマトは、噛み締めるごとに太陽のエネルギーがじわりと滲み出る。
今夜も、ちゃんと桃子の顔を見て「ごちそうさま」と「ありがとう」を言いたい。

539名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/08/23(水) 02:58:32.040

数時間前まで一緒にいたのに、もう桃子の温かさが恋しいのが可笑しかった。

——お礼に晩ご飯作るけど、今日来る?

雅が送ったメッセージは、即座に既読がつく。
数秒の後、ぴょこりと送られて来るスタンプ。
愛らしいウサギのキャラクターが、全力ダッシュしている。
行く!!と無邪気な顔で食いつく桃子に重なった。

有意義なダンスレッスンを終えて家に帰ると、既に窓には明かりが灯っていた。

「おかえりー。あ、お邪魔してます」
「ただいま」

お邪魔していると言うわりに、他人の家のソファを占領して読書をする桃子。
まあ気にしないけどさ、と思ってしまう時点で甘やかしていることを雅は自覚していない。

「遅くなっちゃったし、ちょっと手抜きになるけどいい?」
「いいよー」

みやが作るものは何でも美味しいから。
そんな殺し文句をさらりと言いのけて、桃子の注意は再び持っていた本へと移る。
かあっと火照る頬を誤魔化すように、雅は冷たい水に手をさらした。


昨夜が肉だったので、今日は魚にしようと鯵を買ってきた。
小口切りにしたネギと、酒や醤油、砂糖を混ぜる。
そこへチューブのニンニクと生姜を投入して、一煮立ちさせればタレの完成。
ギザギザとしたゼイゴを取り除き、塩を振った鯵はグリルの中へ。
後は作り置きしておいたピクルスでも添えれば、それなりの晩ご飯になるだろう。

「いい匂いがする!」
「お魚焼いてるからね」
「おおー! なんか美味しそう!」

犬が尻尾を振るように、桃子は足をパタパタさせた。
それがあまりにも愛らしく、今すぐにでもソファに飛び込んでしまいたくなる。
グリルの中で無残な姿になった鯵を想像して、雅はそれをぐっと堪えた。

そろそろかと引き出したグリルには、皮の向こうでフツフツと脂が躍る鯵。
焼きたてのそれを皿に引き上げて先ほどのタレをかけ、ピクルスを脇に添える。

「もも、もも、早く持ってって」
「ほいほい。わっ! え、美味しそ」
「今食べるのが絶対美味しいよ」

だから早く、と雅が急かす必要はなかった。
桃子がきびきびと皿をリビングのテーブルに並べる。
ご飯茶碗を両手に持って雅も後に続き、あっという間に食卓は整えられた。

540名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/08/23(水) 03:00:13.690

鯵の香味ダレも、ピクルスも、桃子の口に合ったらしい。
全部をペロリと平らげて、桃子は満足げに「ごちそうさま」と手を合わせてくれた。
片付けをしようと立ち上がった雅は、自分の弁当袋も手に取った。
その途端、チラチラと桃子の視線がこちらに向けられたのを感じた。
何かを催促するような目つき。
何を求めているのか分かっていても、ついつい意地悪したくなるのは何故だろう。
お昼にはあんなに素直な気持ちだったのに、桃子を前にすると行動は正反対になる。
お揃いで買った弁当箱をバラし、水を張った洗い桶の中へ。

「あ、もも」
「うん! なになに?」

期待に満ちた瞳に、雅の心がぐらりと揺れる。
しかし今は、まずタコさん(もしくはカニさん)失踪事件の答え合わせをしなくては。

「今日のお弁当、ウインナー入ってなかったよね?」
「えっ……作ってないよ?」
「もも?」
「……ないって」
「桃子さん?」
「う……」

ぴゅーっと逃げていく背中は、寝室のドアの向こうに消えていく。
どうやら図星だったらしい。
雅の脳内に、るんるんとお弁当を作る桃子の様子が鮮明に浮かんだ。
可愛らしい口に消えていくウインナーたち。
たぶん、それがタコさん(もしくはカニさん)失踪事件の真相だろう。
今度こそ、抑えきれなかった。
洗い桶に浸った食器たちを置いて、雅は桃子の後を追った。

541名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/08/23(水) 03:00:46.740

「もーもっ」
「わわっ?!」

ベッドの上に丸くなっていた背中に飛びつくと、桃子が間抜けな声を上げる。
拗ねたフリでもしようとしていたのだろうけれど、少し間に合わなかったらしい。

「今度は、みやがお弁当作ってあげる」
「ほっ、本当!」

雅が耳元に囁くと、弾かれたように桃子が振り返る。
捕まえた、と雅はその頬に手を添えた。
ぴく、と桃子が小さく震える。

「で、ウインナーは?」
「……食べましたごめんなさい」
「ん、いいこ」
「むぅ……子ども扱い」

雅の指先から逃れて、ぷいっとそっぽを向く桃子。

「もう一個言いたいことあるんだけど」
「何?」

その首筋に鼻先を擦り付けると、耳元にそっと息を振りかけて。

「お弁当、ちょー美味しかった。ごちそうさま」

みるみるうちに耳の先が染まっていくのを認めて、雅は内心にやりとした。
どういたしまして、と返事はあったものの、顔はそっぽを向いたまま。
どうせ本気ではないし、と雅は勝手に桃子の首筋を味わった。
うなじから匂い立つ香りに、砂糖たっぷりのホットミルクが思い浮かぶ。

「……美味しそう」
「へ?」
「ううん、なんでもない」

いただきます、と心の中でつぶやくと、雅はそっと桃子をベッドに横たえた。

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