まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

182名無し募集中。。。2019/12/10(火) 00:38:18.200

その日、みやがあのバーを訪ねたのは本当に偶然だった。
ももに会えるかもって全然思ってなかったわけじゃないけど、その期待もだいぶ薄れかけていた。
だって、いつ行っても見かけないし、マスターに聞いたら「最近見ないねえ」なんて答えが返ってくるし。
だからその日、みやは期待なんかしてなかった。
星座占いが1位でも、ラッキーカラーがピンクのハンカチを持っていても。
みやは本当に、何も期待なんかしていなかった。


店のドアをくぐると、マスターがちらっとみやの顔を見てカウンターの端に目をやった。
いつの間にかお決まりになったみやの席。
今日はいつもより遅くなっちゃったけど、そこだけはぽっかり空いている。
マスターが開けといてくれたのかな。分かんないけど。
いつも通りそこに腰掛けると、マスターは珍しくスパークリングワインを差し出してきた。
マッコリ切らしちゃったのかな。
マスターと目を合わせたら、マスターは眉を小さく上げてすーっと視線を横に滑らせた。

「今日、来てるよ」

えっ、って大きな声が出そうになって、みやは思わず太ももに爪を立てた。
誰が、なんて聞く必要ない。
もも、って思った途端、体の中の血液が急速にぐるぐる回り始める。
今すぐにでも飛び上がりたい気持ちを抑えて、みやはとりあえず深呼吸した。
マスターの視線をたどって、ゆっくりと首を――。
そう思った時、後ろからガラスと机がぶつかる鈍い音が聞こえてきた。
ざわって胸の奥がして、慌ててみやは振り返る。
マスターの視線の先、テーブル席に座っているのは確かにももで。
その向かいに立つのは、みやの知らない綺麗な女の人。
何話してるか分かんないけど、その女の人の横顔に浮かんでる笑顔だけでこめかみの辺りがピリピリ痺れる。
ももが表情を固くすればするほど、相手の笑顔は濃くなっていくみたい。
この人、ヤバイ。みやの直感がそう言った。
ようやく再会できたのに、さすがにあそこに割って入るのは無理。
ずっと見てたら気づかれちゃいそうだったから、みやは椅子の上で姿勢を整える。
口に含んだスパークリングワインが、舌先から喉の奥までをじわじわと刺激した。

183名無し募集中。。。2019/12/10(火) 00:43:43.470


様子を見ようって決めてからどのくらい経ったっけ。
100%怪しいその女に連れられて、ももが席を立った。
ご丁寧に手まで繋いじゃって、ほんと何あれ。
追いかけていきたい気持ちと、みやの知らないももに出会う怖さが頭の中でグラグラ揺れる。
二人がドアの向こうに消えていくまで、みやはずっと動けないままだった。
きっと二人はあのままどこかのホテルに入って、それから。
透き通った白ワインの中で小さな泡がぷつぷつと上がっていくのを眺めながら、みやの頭が勝手にその先を想像しようとする。
やめやめ、違うこと考えよ。
目を閉じたら、今度はあの夜のことが鮮やかな写真みたいにいくつもいくつも浮かんでくる。

もものくりっとした目がきらめく瞬間。
ももの白い肌が透き通る瞬間。
ももの薄い唇が綺麗に笑う瞬間。

それが、今夜は、あの女のもの。
ぶるって体が震えた。内臓に冷たい氷水でも流し込まれたみたい。
やだな。あんだけ魅力的な子猫ちゃんなんだし、あんなの当たり前のはずじゃん。
……なのに、さー。
どろっとした黒い何かが、みやの足下からじわじわと肌にまとわりついてくる。
このままここに座ってたら、飲み込まれちゃいそう。

「お客さん……捨て猫は懐きませんよ」

マスターの低い静かな声がして、みやはそっと顔を持ち上げた。
ちょっと困ったように眉を下げて、マスターがみやを見つめてる。

「良いです、たぶん。それでも」
「はい?」

威嚇されても、爪立てられても、まあ、猫なんだから仕方ない。

「マスター、お会計これで」
「あ、ちょっと!」

千円札をカウンターに叩きつけて、みやは鞄を手に取った。

184名無し募集中。。。2019/12/10(火) 00:46:07.380


夜の空気はぬるくて、もったりと体に纏わり付いてくる。
ももがどこに行っちゃったのか、正直あてはない。
けど、何となくたどり着けるって予感がしてた。だって今朝の星座占い、1位だったし。
子猫ちゃんに初めて会った日だって、たまたまだけどちゃんと出会えたし。
だから、みやは自分のカンを信じてホテル街の中を歩き続けた。
ももと二人で駆け抜けた時はきらきらして見えたホテル街が、今は全部ぎらついて見える。
こんな、どぎつい色ばっかが溢れた趣味の悪い色彩してたっけ。
よく分かんないエネルギーが建物から染み出てくるみたい。
絡みつく嫌な空気を蹴っ飛ばすようにして、みやは大きく足を振った。

しばらくしてみやの足を止めさせたのも、カンに似た何かだったかもしれない。
ギラつく建物の間で、窮屈そうに建っている三階建てのホテル。
雪の結晶みたいに小さな明かりが、いくつも壁に張り付いていた。
ちょっと入り組んだ門を抜けると、無人のホールに行き当たる。
ずらっと並ぶ部屋の写真と、空室を示すランプ。
どうしよう、と思った瞬間、奥の自動ドアが鈍い音を立てて開いた。
そこから現れたのは、紛れもなくあの女。
うっすら笑った唇が妙に赤く浮き上がって見える。

「あ……」

ついつい出ちゃった声は、向こうにも聞こえちゃったみたいだった。
みやをちらっと見た女の口から、「あぁ」って何かに思い当たったような声が漏れる。

「もしかしてあなた……ももちゃんの?」

その先をふわりとはぐらかして、人懐こい笑顔がみやに向けられた。
バーでの出来事を知らなきゃ、無害で可愛いただの女子にしか見えない。
みやが言葉に詰まっているうちに、向こうはゆっくり近づいてきた。
みやの顔をじっと覗き込んで少し考えた後、彼女は「へえ」と眉を上げた。

「ももちゃんてば、趣味悪いとこ変わんないな」
「は?」

しみじみ言う声は、変に明るく聞こえた。
ぶつけられた言葉の棘と、声の空気が全然マッチしてなくて戸惑う。
その間に、女の両手がみやの手を掬い上げる。

「これ、差し上げますね」

掌に押し付けられる、硬い感触。女が大事に持っていたせいか、その表面は生暖かい。
部屋のカードキーだってすぐに分かった。

「早く、行ってあげた方が良いんじゃないかなあ」

ふふふ、と楽しげな笑い声を残して、女はするりとみやの横を通り抜ける。
鼻先に触れたのは、甘ったるいムスクの香り。
胸のあたりが嫌な感じで、みやは急いで自動ドアに飛び込んだ。

52名無し募集中。。。2019/12/30(月) 02:23:11.200

−−早く行ってあげた方が良いんじゃないかなあ。

女の声が頭の中でわんわん響く。
カード番号を便りにみやが目指した部屋は廊下の突き当たりにあった。
壁の隅っこの薄暗さがじわじわと体を冷やしていくみたいで、みやは小さく震えた。
みやはこの先に行かなきゃなんないの。
覚悟を決めてカードキーを押し当てると、ドアはいとも簡単に開く。
深呼吸して開いたドアの向こうは、不気味なくらい静かだった。
部屋のライトは全部消えてて、部屋の奥の方だけぼんやりとオレンジっぽく光ってる。
本当にこの部屋にももが?
そう思った瞬間、部屋の奥から痛みに耐えるような呻き声がした。

「ま、……のちゃ……?」

荒い息の合間、聞こえたのは確かにももの声。
それは、傷ついた野性動物の低い唸り声にも、迷子になった子どもの声にも聞こえる。

「……もも?」

ドアの前から動かず、みやはそうっと明かりの方へ呼びかけてみた。
耳をすませたら、ざらついた呼吸が部屋の空気を静かに揺らしてるのが分かった。

ぐちゃぐちゃのシーツの上で、ももは背中を丸めて小さくなっていた。
みやはしゃがみこんで、ももの顔を覗きこんだ。
近くに寄ると、ももからじんわりと熱気が発せられてるのが分かる。
張り付いた前髪を持ち上げようとおでこに触れると、ももは怯えたように体をびくってさせた。

「ぅ……あ」

腫れぼったい瞼の奥で、ももの目は妙にぎらついて見えた。
涙なんだか、唾液なんだか分からない跡が、ももの頬にいっぱい残ってる。
心臓にたくさんの細かい針が突き刺さったみたいに痛む。
震えそうになる声を抑えて、みやはそっと尋ねた。

「怪我、してるの? どこか、痛い?」

ももが、ほんの少しだけ首を横に振る。
ふと、ピンクのハンカチを鞄に突っ込んできたことを思い出す。今日のみやのラッキーアイテム。
洗面台で軽く濡らしたハンカチを、ももの頬にそっと押し当てた。
ガーゼ地だから柔らかいはずだけど、ももの肩が小さく跳ねる。
ももは何も言わなくて、みやの手を払いのけることもなかった。
やがて、ふーって吐き出された熱い息がみやの手に触れた。

「……みや」

小さく、掠れたももの声が聞こえる。
前髪の隙間から、まっすぐにみやだけを狙う目。
すごく強い力でぐるぐる巻きにされて、引っ張り込まれちゃいそう。
いっか、巻き込まれちゃっても、ってみやは思った。

53名無し募集中。。。2019/12/30(月) 02:26:35.760


そっと押し倒したももの体は、全部がぼんやり熱かった。
本当に熱でもあるんじゃないかって心配になる。

「……もも?」
「……、っ、やく」

ももの腕が、足が、みやの体に絡み付いてきた。
さっきよりずっとずっと潤んだももの目が、もう限界って言うようにぎゅって細くなる。

「ん、わかった」

ベッドについてた手を動かそうとしたら、ふと何か硬いものに当たった。
予想してない感触に目をやって、みやは初めてベッドの上に散らかったソレに気がついた。
ヒダに包まれた生々しい形が、キノコみたいな形のマッサージ器が目に飛び込んでくる。
みやだって、さすがに、写真くらいは見たことがある。……みやのイメージより、1.5倍くらいおっきいけど。
よく見てないけど、たぶんその表面はぬめぬめしていて、それが何か考えそうになってみやは首を振った。
なに、なにあれ。
よそ見してたら、ももがみやの手に緩く噛みついてきた。親指の下の、柔らかいところ。
急かされてる、って分かる。でも、みやはゆっくりとそれに抵抗した。

「……もも、ここで何してたの」

ももの歯にびくって力が入る。

「あの女と、何を」
「……うぅぅ」

ももはみやの手に歯を立てたまま、低く唸った。へえ、言いたくないってわけ。

「もも」

イラッとした気持ちをそのまま声にしたら、そっとみやの手からももが離れた。
歯を立てられてた辺りをチロチロと舐めてくるももは、なんだか捨て猫みたいにしょげた目をしてる。
違う、こんな風に責めたいんじゃないのに。
気まずくて伏せた目の端で、何かがちらりと目に入る。
鎖骨のあたり、赤黒い歯形と、ベットリ残ったルージュの跡。
あの女、絶対わざとでしょ。みやが気づくって分かってて、挑発のつもり?
親指を押し付けてルージュを拭ったら、ももが、あって声を漏らす。
その声が、みやの中のスイッチを無理矢理押し込んだみたいだった。
女の歯形を上塗りしてやりたくて、みやはそこに強く強く吸い付いた。

55名無し募集中。。。2019/12/30(月) 02:28:55.370>>56


今日のももは、この前と全然違う。
キスのルールさえ知らないみやを「こっちだよ」って引っ張っていってくれたもも。
なのに今日は、なんだかやけに必死に、みやには思えた。
すがり付いてくる、って言ったら良いのか、きつくきつくみやを抱きしめて離してくれない。
ちょっとでも離れそうになったら、すごい力で引き戻される。

「あっ……ぁ、それ」
「いい?」
「ぃ、いっ、ぁ」

みやはむしろ、この前より全然余裕だった。
初めて女の子の体に触れて、すみずみまで味わって、ふわふわの幸せに舞い上がってたこの前とは違う。
あの時は視界の全部が白くかすんでたけど、今日はすごくクリアだった。
ももの産毛が逆立ってるのや、ももの睫毛がベッドサイドの光をバラバラに弾いてるのまで全部見える。
見えすぎて、目眩がしそうなくらい。

「んっ、く、ぁっ! もっ」

はやくはやくって追い立ててくももが、体全部でいかせて、って訴えてくる。
それがみやには、助けてって言ってるような気がした。
何があったか知らないけど、そこまで言うならしょうがない。
助けてあげても、いいよ。

不意にガリッて嫌な音が背骨に響いて、肌に鋭い熱が走る。

「いっ……」

引っかかれた、ってすぐに分かった。しかも、たぶんだけど結構深い、痛い、けど、頬が緩む。
なんでだろ、みや今声を上げて笑い出したい。
息の上がったももが、両腕でみやの体をさらにきつく締め付ける。

いっちゃう、ってほとんど息だけでももが言う。いいよ、ってみやはささやいた。

56名無し募集中。。。2019/12/30(月) 02:30:33.780


朝起きたら、なんだか変な感じだった。
動かそうとした二の腕がだるくて、体全部が強張ってる感じ。
筋肉痛みたいな鈍い痛みもある。
何より、背中がびっくりするくらいじんじんしてる。え、何これ。
戸惑って、ホテルにいるのを思い出して、昨日あったことを思い出して、あーあの時だ、って納得するまでちょっと時間がかかった。
ももは当たり前のようにいなくなってて、あいつ逃げたなってすぐに分かった。
あと、悪趣味な道具も一式消えてて、それにはちょっとだけほっとする。
まあ、さ。ですよねって感じ。予想はできてた。
捨て猫は懐かないって言われてたし、それでもいいって思ってたし。

「いっ……つ」

起き上がろうとしたら、それだけで傷が下着に擦れて痺れた。
鏡に背中を映してみたら、思った以上に痛々しくて笑いそうになる。

「やっば……痕になってんじゃん」

背中に残った痕は、アルファベットのXが三重になってるみたいだった。
うわー絶対お風呂入る時しみるやつ。猫に引っかかれたにしては重傷すぎるでしょ。
ちょっと落ち込みそうになって、ふと床の開けたところに白っぽいものが落ちてるのに気がついた。
近づいてみたら、それは名刺くらいの大きさで、どこかのカフェのショップカード。
みやには心当たりがないし、いくらラブホとはいえちゃんと掃除は入るから前の客のものでもないはず。
……ってことは。

「……あいつ」

部屋を出ていく途中、ご丁寧にカードを目立つところに置くももの姿が簡単に想像ついた。
カードには店の情報以外書かれてないけど、来いってことでいいの? もも。
捨て猫じゃなくなったら、ちょっとは懐いてくれるかも、なんて。
ちょっぴりそんなことを思いながら、みやは手の中でくるんとカードを回転させた。

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