まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

470名無し募集中。。。2019/05/07(火) 03:50:29.110

こんなド深夜ですが自分の中で双子の雅人くんと桃香ちゃんが盛り上がってしまったので投下していきます



つんつん、とみやに肩をつつかれた時、私はちょうどにんじんを星形に切っているところだった。
今日の夕飯のメインはシチューで、そこに入れる当たりの印。
もうちょっと待って。そんな気持ちで肩を小さく回したら、今度は軽く叩かれる。

「……何?」

隣に立ってるみやを見上げると、みやの視線は私じゃなくてソファに注がれていた。
正しくは、ソファに座る私たちの息子、雅人の後頭部に。
さっき帰ったばかりの雅人は、さっきからずっとソファに陣取ってテレビを見ている。

「ねえ、まさの首さ」

みやはすっとこっちに顔を寄せてきて、ひそひそ声でそう言った。

「首?」

ちょっと首を伸ばしてみたけど、ここからじゃ高校生になって染めた金髪のウルフカットが見えるだけだった。

「首がどうかした?」
「んー、みやの見間違いかもしんないけど……絆創膏が」
「へ? バンソコエード?」

なんでまたそんなとこに。
なんて思ってたら、みやがこっちを見てくいって片方の眉を持ち上げる。

「んー……あれでしょ、多分」
「あれ?」
「あれはあれよ、怪我じゃなくってあれ」
「あれって……あー、あれ?」
「ん、あれ」

言いながら、みやの人差し指が私の肩先をくるりとなぞった。
にやって笑うみやの目に、一瞬だけ熱がよぎる。昨晩のことが蘇って、肩から腕にかけて甘い痺れがぞくっと走った。

「ちょっと」
「んー、何?」
「……なんでもない」

すぐにいたずらっ子みたいな顔に戻ったみやが、お皿の上に並べてあったきゅうり入りのちくわをつまむ。
ちょっと、それ明日のお弁当用なんですけど。
みやを咎めようとした時、玄関の方から鍵の開く音が耳に届いた。

471名無し募集中。。。2019/05/07(火) 03:51:17.270

「ただいまーっ!」

ぱたぱたって廊下から聞こえてきたと思ったら、リビングのドアが勢いよく開く。
うるせえな、って耳を塞ぐ雅人の横を通り過ぎ、台所に走ってくるのは桃香だった。
私たちの娘で、雅人にとっては双子の妹でもある。
なんでか知らないけど、いちいち動作が大きいんだよねーこの子。一体誰に似たんだか。

「おかえり、もか」

みやが声をかけると、桃香は嬉しそうにこっちへ駆けてきた。
素直に感情が表に出ちゃう感じは、何となく大型犬みたいだなって思う。

「あれ、お弁当……」

大きく膨らんだ部活用バッグを漁る桃香が、シンクを覗き込んで不思議そうに声を上げた。
そこには、空になったお弁当箱の先客が一つ。

「ん? あー、今日はね、まさが珍しく出してくれたから」

いつもは3回くらい言わないと出さないのにね、ってみやとも話したばかり。
今日はどういう風の吹き回しか、帰ってきてすぐ出してきたんだよね。

「ふーん。やればできんじゃん」
「……っせえな」

桃香がぼそっと言った言葉に、雅人が背中を向けたまま反撃してくる。
テレビはついてるけど、たぶんスマホを見てるんだろうなって感じ。
あんな状態で耳はこっち向いてるんだから、雅人の五感ってどうなってるんだか。
桃香は桃香で、雅人の一言が気に食わなかったらしく、ふんって鼻を鳴らす。
でも、なんだかんだで雅人に寄っていくんだから、双子って面白い。
雅人を後ろから覗き込むようにして、桃香はソファに背もたれに腕を引っかけた。

「仲いーよねえ」

みやがしみじみと言う。同意の気持ちを込めて、私もうんうんって頷く。
さて、料理に戻りますか。
そう思っていたら、桃香がぽろっと口にした言葉に私とみやは凍り付いた。

472名無し募集中。。。2019/05/07(火) 03:53:01.460

「あれ? まさ、首どーしたの?」
「あ?」

桃香は何気ない感じだったけど、雅人の返事には明らかに動揺が滲んでいた。
桃香は気づかないかな。でもみやと私にははっきり分かる。
やっぱあれ、何かあったわ。

「……何でもいいだろ」
「はー? 何その返事」
「うっせえな、大したことじゃねえし」
「なんでよ! こっちは心配してんじゃんか!」
「だからそれが余計なんだよ!」

ばんっ!と大きな音をさせて、雅人がソファを叩く。
そろそろ止めに入るべき? みやと目配せした瞬間だった。

「そんなだから彼女にもフラれんじゃんっ!」
「っ、んだよ! もかにはカンケーねーだろ!」

あちゃーってみやが目を閉じて天を仰ぐ。
少し前に、雅人がなんだかんだで失恋したらしいってことは何となく感じていた。
あの子、食べる量は減るし、桃香との言い争いもしなくなるから分かりやすいんだよね。
派手な音を立てて、雅人がリビングから出て行く。
荒い足音が階段を上がっていって、彼の部屋でぴたりと止まった。
雅人の出て行ったドアを見つめていた桃香の足が、ゆらりと廊下へ向かおうとする。

「もか、こっちおいで」
「でもっ……!」
「いいから、ね?」

そこで追いかけようとする辺り、桃香も本当は言い過ぎたってて気持ちがきっとあるんだろうな。
でも、距離を置いた方がいい時もあるからね。
お願いね、ってみやに視線を送ったら、任せといてってウインクが返ってくる。
……さて、私はもう一人の方をフォローしに行きますか。

473名無し募集中。。。2019/05/07(火) 03:54:06.320


リビングを出て、階段を上がった右手の部屋が雅人の部屋。
軽くドアを叩いてみるけど、反応はない。

「まさと、入っていーい?」

一応声もかけてみたけど、やっぱり返事はなし。
そーっとドアを開けてみたら、雅人はベッドに背中をくっつけて膝を抱えて丸まっていた。
膝に顔を埋めちゃってるから見えないけど、怒ってはいない……と思う。
部屋の中には、ヨーロッパのサッカー選手やロックバンドのポスターが飾られている。

「……あんだよ」

聞こえてくる声はちょこっと涙声。あーそっちの反応ね。感情が昂ぶって泣いちゃうやつ。
みやもそうだったなって不意に思った。
きっとそこに触れると更に拗ねちゃうからね、気付かないフリ。

「ちょっと様子見に来ただけ」
「放っとけよ」

はいはい、って言いながら、雅人の横に腰を下ろす。
無理に何か話してもらうつもりもなかったから、とりあえず無言で待ってみる。

「……俺のこと、なんもわかってねーくせに」

しばらくすると、雅人が小さな声でそう言った。
顔は伏せられたままだったから、くぐもった声のままで。

「……俺にも彼女くらいいるし?」
「えっ、なんで」

ぱっと顔を上げた雅人のぽかんとした顔は、なんだかみやにそっくりだった。
みやが拗ねて何も言わなくなっちゃった時に、ももがその原因を言い当てるとみやもこんな顔してたなって思い出す。

「桃香が言い過ぎちゃうのはね、そんだけ気にしてるってことよ」
「余計なお世話だって」
「まーね、踏み込まれたくないことはあるよね」

私も弟に若干うざがられてた時期があったっけ。姉としては寂しいんだけど、反抗期としてはきっと正解なんだよね。

「でも、大きな声上げてキレるのは良くないよ。理由は分かるでしょ?」
「……わーってるよ」

フローリングを見つめたままだったけど、雅人の声はさっきより少しだけ軽くなったみたいだった。
あ、そうだ。これだけは言っとかないと。

「あと、つけるもんはちゃんとつけなさいね」
「はぁ!?」

雅人の頬に、さっと赤みが差す。
どうやら、首のバンソコエードは本当にそういう意味だったみたい。
私の言いたかったことは伝わってるって思って良いかな。
今日の星形にんじんは雅人にあげよ、なんて考えながら私は部屋を後にする。
階下からは、みやと桃香が明るくはしゃぐ声が聞こえてきていた。

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