まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

332名無し募集中。。。2018/07/08(日) 22:14:19.480

背の高い竹林にぐるりと囲まれたこの家は、かつて僕と一人の画家が暮らしていた。

竹林のある高台は、降りていけばすぐ広い公園で、遊歩道は平日も人が絶えず行き交う。
さらに道を一本出ればビルが建ち並ぶこの都会にあって、この家の周りだけはいつもしんと静かだった。
画家が出ていったのは何年前だっただろう。彼は何もかも置いて、行ってしまった。
捨てられてしまった僕は
その事実を認識してしまった今もまだ、何年もの時間が積み重ねられたこの家から離れることができず
こうしてときどきふらりと立ち寄っては
時が止まったままの空間に、寄りかかる場のないこの身を置く。

その日、僕は朝からキッチンにいた。
裏庭に面した薄いガラス窓から光が差し込んでいた。良い天気だった。
からからに乾いたシンクに土埃が模様を描いている。じっと座って、それをただ眺めている。
そうしていると眠くなってきて、時折うつらうつらと舟を漕ぐ。

家の外から風の音にまぎれ、人の声が聞こえた気がして、僕は目を開けた。
とぎれとぎれの会話が玄関に近づき、鍵のかかっていないドアが開く音がする。
玄関を上がってくる靴音はふたつ。僕は慌てて、キッチンと居間を隔てるドアの影に身をひそめた。

「ねえ、いいの?」と、女の声が聞こえた。
「大丈夫」もう一人の声も女だった。
薄く開いたままになっているドア越しに、いよいよ二人が居間に入ってきたのがわかり
僕の視線は逃げ場を探して、狭いキッチンを一周した。
錆び付いた窓の掛け金が目についたが、開けられる気はしない。
気付かれずに家から抜け出すことを諦め、僕は息を殺したまま、二人の会話を聞くことになった。

334名無し募集中。。。2018/07/08(日) 22:16:40.220

「不法侵入じゃないのこれ」
「え?だからなに」
「みや、なんか怒ってる?」
「怒ってない」
「なんでこんなとこ知ってるの」
「この空き家、昔、みやの親戚が住んでた」
「……へぇ」
「なに、その、急にテンション下がった感じ」
「いや、なんか、面白い。連れて行きたい場所って言われて、こういうとこだと思わないじゃん」
「ごめん」
「なんで謝るの?」
「誰もいないとこで、話したいことがあって」

僕は隙間から二人を覗き見た。
高いヒールの靴が見えた。ワンピースにカーディガンを羽織った硬質な女性と
ジーンズを穿き白いシャツを着た華やかで柔らかい女性。ミヤと呼ばれているのはジーンズの方だ。

「それって、今じゃなきゃだめ?」
「うん」
「別にそんなのここじゃなくたって」
「じゃあ、なんでももは着いてきたの」
「なにそれ。みやが一緒に来てって言うから」
「断ってもよかったのに」
「意味わかんない」
「何の話かわかってるくせに、わかんないフリしないで」

居間には画家が置き去りにしていったイーゼルが大小5脚。お気に入りだった革のソファと小さいテーブル。
天井まである書棚は空間だらけで、下の段にだけ画集が並べられている。
モモと呼ばれた女性が背後のイーゼルに手を触れた。捕まるように握りしめる指先はずいぶん小さい。

「今はまだ、言わないで」

335名無し募集中。。。2018/07/08(日) 22:19:06.940

午後になると室内は急に暗くなる。床のフローリングに青い光が広がっていた。
ミヤはソファの背に片手をついた。ネイルの施された爪の先が革を引っ掻いている。
「悪いけど、待てない」
「みや」
「それができるなら、そうできるなら、そうしたいけど」

ミヤがモモの方へ歩み寄り、片手を伸ばして肩に触れたように見えた。
モモはショックを受けたように後ずさり、もつれた足音が床に響いた。
「何が怖いの」
こちらに背を向けているミヤの呟きが聞こえた。モモは緩く首を横に振った。
「何がいけないの。駄目だって言うなら説明してよ」
「それは」
「誰にも知られなきゃ、いいじゃん」

ミヤの腕がモモの体を抱き締めるのが見えた。ミヤはしゃくり上げるように息を呑んでから
何か言った。何を言ったのかは聞こえなかった。

急に頭が痒くなって、僕は力任せに頭を掻いた。思いのほかその音は響き
咄嗟に腕をほどいてこちらを振り返ったミヤと目が合ってしまった。
モモはこちらを見て、声にならない悲鳴を上げ両手で口許を覆った。

僕は逃げ損ねてしまい、その場で固まったまま二人を見つめた。
ミヤがゆっくり近づいてくる。
ドア越しにミヤはしゃがみこみ、僕の目を覗き込んだ。
「ビックリした。猫ちゃん。いつからいたの」
僕がとぼけて小首を傾げると、ミヤは手を伸ばし、僕の頭をそっと撫でた。
やさしい指だった。

434名無し募集中。。。2018/07/11(水) 01:19:14.810

あれから十日ほどたっていた。
表の気温はだいぶ上がっていたが、この家の中は夏になってもひんやりとした空気を湛えた。
この快適な秘密基地は僕だけのものだと思っていたのだけれど。
その日、僕の耳は二つの足音を再び捉えた。

棚の上でだらりと四肢を投げ出していた僕は、首だけをもたげて、居間に入ってきた二人を確認した。
ぐるりと室内を見回したモモは僕を見つけると顔を引きつらせた。
ミヤは笑い「人に慣れてるし、首輪してるから飼い猫だよ、怖くないよ」と言った。
ふと視線を下に移すと、二人は指先で繋がっていた。

モモは俯いて、鼻息を立てると「強引すぎるよ、今日のみやはどうかしてる」と呟いた。
「じゃあ、なんで着いてくるの。それならどうかしてるのはももの方じゃないの」
そう言うと、ミヤはモモの指を握り直した。何も言わないモモの手を引き、ソファに座らせた。
モモは軽く肘を引いたが、ミヤが手を握って離さないので諦めたのか、ソファの背に体を埋めた。
「やっぱ一時の気の迷いとか、そういうんじゃない?そうだと思うよ」
「それは、みやのこと信用できないってことなのかな」
「そうじゃなくて、きっと、よくある勘違いだよ。たぶん」
「みやの気持ちが?」
「そう」
「もものこと好きだっていう気持ちが?」
ミヤはちょっと鼻声で、最後に小さくしゃくりあげるように語尾が掠れた。
モモは眉間にぎゅっと皺を寄せた。
「だからそういうこと言わないでって言ってんじゃん」

居間全体が、見たこともないような色に染まっていた。
僕は天井を見た。見飽きたシミのいくつか、長い事点いていない煤けた電灯も
壁紙の模様も、今僕が横たわっている棚板ですら、まるで初めて見る知らないもののように思えた。
「信じてもらえるまで、何度だって言うから」
ミヤの言葉が乾いた部屋の温度を上げた。
この家の空気が、二人の色に染め替えられていくのを感じて、僕は目を細めた。

435名無し募集中。。。2018/07/11(水) 01:24:51.080

ミヤは僕に背を向けるように体をひねり、モモの頬に左手を伸ばしていた。
その手首を掴んだモモが微かに唇を動かす。
こちらから見えるミヤの横顔から、伸びた睫毛が何度か瞬いて、何か喋っている。
それから、頭が傾いて、額が軽くぶつかったように見えた。
ミヤの手首を掴んでいる指先がぴくりと動いて、止まった。
二人は額をくっつけたまま、じっとしている。

今日もまた、午後の光が部屋に深く射し込んできていた。
ミヤはゆっくりと片手で引き寄せたモモの頬にキスをした。
モモがふっと笑った。
「ねえ」
「そうやって、バカにされても構わないから」
「どうして私がみやのことバカにしてるって思うの」
「今、鼻で笑ったじゃん」
「だって、みやが」
「うるさい」
ミヤはそう言うとモモの頭を抱き寄せ、唐突に、不器用に唇を重ねた。
すぐに離した唇を今度はゆっくりと合わせたとき
モモは安心したように目を閉じた。軽くミヤの腕に触れていた手が落ちる。
抱き寄せられるまま体を預けながら、その指先がソファの端を握りしめた。

ソファの微かに軋む音、革が擦れる音を僕は久し振りに聞いた。
モモは仰向けに押し倒され、ミヤの唇を受けていた。
目は閉じたまま、時折鼻先を合わせて、二人は何度も口付ける。
ミヤの指がモモの髪を梳いた。躊躇うように伸ばしたモモの手がミヤの肩に触れる。
横顔を覆い隠しているミヤの髪の隙間から、チラリと赤い舌先が見えた。
ぎこちなくモモの唇を割ると、絞り出すような吐息が漏れる。
肩にしがみついていたモモの手が、ミヤの髪をかきあげた。
その滑らかなミヤのうなじと、ワンピースの裾がまくれて露になったモモの真白い膝が
僕の目に焼き付いた。
二人は、部屋の中がすっかり暗くなるまで、そうして口付けていた。

436名無し募集中。。。2018/07/11(水) 01:29:24.980

ミヤはたまに一人でやってきて、僕におやつをくれた。
僕には、いつも食べ物を置いてくれる家が近所にあったが
ミヤの持ってくるおやつはとりわけ美味しかった。
ご褒美に食らいつく僕を見ながら、ミヤはいろいろな話をした。
どうやら画家にこの家を貸していたのが、ミヤの親戚のようだ。
「空いてるから良かったら住んでいいよって、言ってもらってるんだけど」
噛み応えのあるイカ味のおやつに僕は夢中だった。
「一人暮らしするには広すぎるよね」
額を撫でられ、僕が顔を上げると、ミヤは目を細めた。
「なぁに?」
モモと住みたいのなら、僕は出ていってもいいよ。
伸ばされた人差し指の先を舐めると
ミヤは「君はいい子だって、ももに言っとく」と言って喉の下を撫でた。

それから、ミヤがきれいに掃除をした居間で、二人は少しの時間を過ごすようになった。
寄り道のように二人はふとやってきて、何かを求め合った。
時々忍び笑いが聞こえると、僕を笑っているのではないかと思わず顔を上げて見るが
大抵彼女達は見つめ合い笑っていた。

モモはこの家に来ると、極力僕を意識しないようにしていた。
生き物同士、相性というものがある。僕も極力知らんぷりをしてやっていた。

まれに、モモと目が合うことがあった。ミヤの背中に腕を回し、耳元に何か囁きながら
宙を彷徨う視線がこちらを捉えるとき、きまってモモは何か言いたげだった。言われなくても邪魔などする気はない。
ぷいと顔を逸らし毛繕いなどしていると、そのうち視線は離れた。

何度の逢瀬を観測しただろう。
二人は、止まっていたこの家の時間を動かし始めたのだろうか。
初めて会ってから一夏も待たぬ間に
僕は二人の匂いにもすっかり馴染んでいた。

462名無し募集中。。。2018/07/11(水) 23:13:14.330

玄関の開く音を聞くのは、少し久し振りのような気がした。
一人の足音を察知して僕は一瞬緊張し、それからすぐにミヤのことを思い出した。
玄関先に駆けていくと、ミヤは笑顔で僕に手を振った。僕の尻尾は知らぬ間に立ち上がっていた。
「しばらく来れなかったもんね、ごめんね」
ミヤの甘い声が好きだ。そう思う。居間に入っていくミヤを僕は追いかけた。
足にまとわりつくと「踏んじゃう、危ないよ」と声が降ってきた。

指先に摘まれた棒状のおやつはくらくらするほどの魅力的な匂いを放っている。
僕は思わず我を忘れ、その手を前足の先で叩いていた。
ミヤは一瞬びっくりした顔をして、それから笑った。
見たこともないおやつだった。
床に転がされたそれを、片方の前足で押さえつけておいてから、たまらず端に歯を立てた。
「そんなに好き?取らないから安心して食べな」
ミヤは袋を逆さにして、中に残っていた数本をさらに床に転がした。
端にかじりついたまま、僕は慌ててもう片方の前足を伸ばし、転がっていく一本を押さえる。
「ジャーキーが好きだったんだ」とミヤは言った。
その新しい言葉を僕は脳裏に刻み付けた。
ミヤは僕に新しいことを教えてくれる。

長い時間をかけて一本すべてを食べ尽すと、満足感に満たされた。
残りはここに置いておいても大丈夫だろうか。
顔を上げると、ミヤはソファで膝を抱えている。
そのとき初めて、僕はミヤが啜り泣いていることに気が付いた。

部屋を染めている青がいっそう深くなったような気がする。
ミヤは膝に顔を埋め、肩を何度も震わせた。
その切ない声が心を切り裂いて、僕は戸惑い、どうしたらいいのかわからないまま
ゆっくりとミヤに近づいた。

463名無し募集中。。。2018/07/11(水) 23:16:11.510

僕がソファに前足をかけると、ミヤは顔を上げ、涙に濡れた目で微笑んだ。
ソファに上がりミヤに身を寄せると、鼻の上を撫でられ、熱い指先が耳に触れる。
その心地良さにうっとりとして、僕はその場に体を横たえた。
「ももはもう、ここには来ないんだって」
とミヤは言った。
耳の裏側を撫でられる。頭を擦り付けるようにねだると、ミヤの指は首の後ろの毛を梳いてきた。
「好きなだけじゃダメなんだって。なんだろ、むずかしい」
僕はミヤの手に前足をかけた。ミヤはその前足をゆるく掴むと、軽く揺らしてきた。
「終わっちゃうのかな。なんて。まだ、始まってもないのに」
その手に両前足をかけ、仰向けになって後ろ足で小刻みに蹴る。
しっとりとした手首が鼻先に当たっている。
「この家にいるとき、何度も、このまま時間を止めたいと思ったけど
そんなの無理で、人生って、どんどん進んでっちゃうんだよね」
後ろ足を止め、頭を反らして逆さまにミヤを見た。その頬に一粒、涙が零れ落ちるのが見えた。
「くやしい」

力をゆるめると、ミヤが手をするりと抜く。熱が離れ、僕は起き上がると頭を振った。
ミヤは傍らのバッグからペンとを取り出していた。
そしてしばらくの間考え込み、テーブルに紙切れを置くと、短く何かを書き付けた。

裏返した紙切れをテーブルの真ん中に滑らせる。
それから、ミヤは思い直したように再びそれを手に取ると小さく畳んで、僕の顔を見た。
「来ないと思うけど」
首輪をつままれる。僕はされるがままにしていた。
「来ないと思うけど、もし、ももが来たら、渡して」
首との隙間に、折り畳んだ紙片が差し込まれる。違和感に体を捻り後ろ足で一掻きすると、それはぽろりと落ちた。
「ごめんごめん、邪魔だよね」
ミヤは笑い、床に落ちた紙片を拾うと再び僕の首輪をつまんだ。
「こうしたら、あんまり気にならないかな」
どうしたのかはわからないが、さっきのような刺激は感じない。あの紙切れは首輪におさまったようだった。
ミヤは名残惜しむように僕の額に触れると、立ち上がる。意識が僕から離れたのがわかった。
僕はソファの上に座ったまま、振り返らずに出て行くミヤの背中を見ていた。

464名無し募集中。。。2018/07/11(水) 23:20:26.580

気温が落ちた頃に、やってきたモモは
誰もいない居間の真ん中に立っていた。
居間に入ろうとする僕に、思いがけず声をかけてきた。
「ごめん。何も持ってないし、何もやれないんだ」
その影が床に長く伸びていた。

僕は初めて、自分からモモに近づいてみることにした。
慎重に、距離を詰めていくつもりだったのに
あと一メートルほどまで歩み寄ったところでモモが急にしゃがみこみ
僕はびっくりして背中の毛を逆立てた。
威嚇しようと口を開きかけたところで、モモが僕の首輪を見ているのがわかった。
喉が微かに鳴る音が聞こえる。落ち着きたいのは、僕も同じだ。
仕方なく、僕はその場で座り直した。
モモは、ためらいながら、僕の方へ手を伸ばしてきた。信じ難いことだ。

しゃがみこんだモモは腰を引き、目一杯腕を伸ばして、僕に初めて触れようとしていた。
モモは顔を背けていた。僕は近づいてくる指先が震えているのを見た。
見ないから、届かないのだ。当たり前ではないか。
こんな扱いを受ける義理などない。そう思ったが
少しだけ、この時間を我慢することにした。
僕はじっと彼女を待った。
モモは息を吐き、か細い声で「お願い」と言った。

指が僕の首に近づいてくる。怯えた指先が首輪に挟まれている紙切れの、角に触れたとき
首筋が雑に刺激され、僕は急に耐えられなくなった。
短く、鋭い声で一鳴きすると、モモは飛び跳ねるように後ずさった。
彼女の体が後ろにあったイーゼルにぶつかり、派手な音を立てる。
その音に僕は酷く傷つき、考えるより前に部屋から飛び出した。
同時に聞こえたモモの悲鳴は、僕の傷をさらに抉った。
そのまま二階への階段を駆け上がる。段に積まれ雪崩落ちたままになっていた雑誌が数冊、階下へ滑り落ちていった。

465名無し募集中。。。2018/07/11(水) 23:24:26.570

二階の廊下まで上がると僕はじっと息をひそめ、様子を窺った。追ってくる気配はなかった。
僕は、画家がいなくなった時以来の怒りを覚えていた。
落ち着かなければならない。階下の音に耳をそばだてながら、毛繕いを始めた。
舌で爪先の上を擦ると、ざらざらと微かな音が立った。
家の中はしんと静まり返っている。

どうしてこんなものを受け取ってしまったのだろう。
ずれた紙切れの端がちくちくと僕の首を刺激する。
僕は知っている。ミヤはこの紙切れに「ありがとう」と書いたのだ。
僕は知っている。ありがとうというのは、別れの言葉だ。
いなくなってしまった画家も最後に「ありがとう」と言い、頭を撫でて行ってしまった。

さっき、おとなしく渡してやればよかったのだ。この首の不快な違和感からもすぐに開放されただろう。
もう少し僕が我慢できれば。そこまで考え、僕は体を舐めるのをやめてその場に踞った。
僕は気付けば今、この紙切れをモモに見せるわけにはいかないと思っている。
別れの仲介役くらい僕にだってできると、さっきまで思っていたのに
その関係の先に干渉できるのではないかなどと、驕ったことを考えている。

画家が出て行くときに一切干渉できなかったことを思い出す。

三日程前に、複数の知らない人達がこの家に入ってきた。彼らの様子から悟ったことがあった。
画家はもう二度と戻って来ないのだということ。それから、この家はじきに壊されてしまうのだということ。
彼女達が密やかに逢瀬を重ねてきたこの空間は、もう少ししたら跡形もなく消え失せる。
僕が観測した二人の時間は、誰も知る事なく、土になるのだ。
けれど、気付いたことがある。
二人が動かした時間は、止まっていた筈の僕の時間をも進ませてしまっていた。

階下の空気が動いた。モモが玄関から出て行く。もう、二人に会うこともないのだろう。
ドアが閉まる音を聞きながら
初めて僕は、悲しいと思った。

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