まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

373名無し募集中。。。2020/06/04(木) 20:30:38.340

どうにか笑顔を貼り付けていた数分間。
幸いなことに電話がかかってきたおかげで限界がくる前にその場から離れられることができた。
たまたまかかってきたその電話に出るふりをして急用ができたとお店から出た。
追いかけてきた愛理の送るよという申し出を断り適当に歩き出す。
とりあえず大通りに出ようとうっすらとした昔の記憶を頼りに進んですぐに失敗を悟る。
よく来ていた頃の記憶にある街並みとはだいぶ違っていた。
ひしめくように古い住宅が建っていたところは見通しの良い道路に、可愛らしい雑貨屋さんがあったところはマンションに。
よく足を運んだ大きめの公園は公園のままだけれど砂場と東屋があるだけの場所になっていた。
この公園を抜けたところには三人でよく行っていた喫茶店があった。
あのマスターはまだいるだろうか。
少し早くなる歩調のまま足を進める。
公園を出てすぐの角を曲がって愕然とした。
他の場所があんなに変わっていたのだから予想できたはずなのに。
かつての喫茶店は影も形もなくがらんとした駐車場になっていた。
急に重くなった気のする足を動かして公園に戻り東屋のベンチに座り込んだ。
そうすると頭を占拠するのは桃子のこと。
さっき紹介されたのに婚約者のことなんてほとんど覚えていなくて記憶に残っているのは桃子が婚約者を見る目だけ。
あの写真の女性を見る目とは遠く、どちらかというと高校の時に佐紀に向けていたそれに近かった。
あのよく似た男性は一体なんなのか。
自然と俯いていく顔からぽたりぽたりと汗が落ちても拭うのが億劫で。
思い返されるあのアルバムの写真。
あれはおそらく桃子が高校生から大学生までの間のもの。
当時、あの写真の女性もよく似た男性も全く見た覚えがない。
知っているつもりでなにも知らないとつくづく思い知らされる。
あのアルバムと桃子とその婚約者のことばかりがぐるぐるとする。
どれくらいただ座り込んでいたのか不意にスマホが着信を知らせていることに気づいた。
画面に表示されていたのはいつもなら出ない登録していない番号。
ぼうっとした思考のまま通話を押してしまったそれに出ると聞こえてきたのはよく知った声だった。

374名無し募集中。。。2020/06/04(木) 20:31:51.500

「あれ?サクラ?」
『あれ?じゃないわよ。電話には出ないしSNSもSMSもメールでも連絡つかないから心配したじゃない!』
「えっ?そんなの…あーごめん。スマホ壊しちゃって」
『はぁ?何やってんのまったく』
「ごめん。色々あって代わりのスマホ何もしてなかった」
『まぁあんたが無事ならとりあえずいいわ。ところで急で悪いんだけど今日どこかで時間取れるかしら』
「いつでも大丈夫だけどどうしたの?」
『いとこが会ってみたいって。あんたと偽装結婚してくれる物好きな子がどんな子か見せなさいよってうるさくってね。失礼しちゃうわよね』

近くにそのいとこがいるのか微かに女性の声が聞こえてくる。
漏れ聞こえてくる少しのやりとりだけでも仲が良いのが伝わってきてどんな人なのかと落ちていた気分が少しだけ上向きになる。

「私はいいけどそっちまで戻ったら結構遅い時間になるのにいいの?」
『それは大丈夫よ。いとこがね、弟に会いにいくって言い出したせいでもう近くまで来てるのよ。って、ちょっ…待ちな』

時間と場所を決める前に一際大きな声が聞こえて電話は唐突に切れた。
かけ直すべきか悩んでいると時間と場所がメッセージで送られてきて、それに了解と短く返す。
指定された場所は桃子の通っていた大学の近くの店。
何度か行った事のあるその店はまだあるのかとどこかほっとした気分になる。

「あれ?みや?」

突然かけられた声に顔を上げると懐かしい顔。

「熊井ちゃん?」
「久しぶりー」

満面の笑みで近づいてくる熊井ちゃんの後ろには高身長の男性と小さな女の子。

「久しぶり。旦那さん?」

手で示すと明らかに熊井ちゃんの顔にはてなマークが浮かぶのがわかる。
一瞬の間を置いてブンブンと大げさなまでの反応が返ってくる。

「違う違う。弟と姪っ子だよ」

弟君はぺこっと軽くこちらに頭を下げて先帰ってるからと熊井ちゃんに一声かけて公園から出て行った。

375名無し募集中。。。2020/06/04(木) 20:33:25.930

「あっ、みやは結婚したの?」
「えっ?」
「その指輪違った?」
「…結婚はまだだけど近いうちにするつもり」
「おめでとう!結婚式は絶対よんでね」

体全体で祝う気持ちを表すのは相変わらずで懐かしいけれどその祝福を手放しで喜べない。

「ももも結婚するみたいだし、あとはもう…」
「えっ熊井ちゃんなんで知ってるの?」
「昨日、会った時に聞いたの。でもももが結婚するとは思わなかったなあ。結構長く女の人と付き合ってたし前に結婚するつもりはないって言ってたし」
「はっ?」

今入ってきた情報に色々とついていけない。
聞きたいことが一気に溢れて思わずちょっと待ってと頭を抱えてしまう。
横でオロオロし始める熊井ちゃんには悪いけれど少し整理するのに時間がかかった。

「熊井ちゃんはももが女の人と付き合ってたの知ってたの?」
「うん、デートしてるの見たことあって」
「それいつ?」
「えーとっ確かももが高二の時だったかな」

ふと思い出すのは桃子がモテてたとか言ってた熊井ちゃんの話。

「前に熊井ちゃんが言ってたももがモテてたってそれ?」

んっ?っと少し考えて思い出したのかパァっと顔が輝く。

「違うよ。それとは別に、あれっ?違わない?」
「熊井ちゃん落ち着いて。とりあえずそれとは別にってところ教えて」
「ももね、なんか後輩の女の子から何回か告白されててそれを見たことがあったの」
「それで違わないっていうのは?」
「その時は付き合ってなかったデートしてた人がわかんないなら試しに付き合ってみない?って言ってた所をたまたま見ちゃって」

んっ?と自分の言葉に首を傾げながら熊井ちゃんは言葉を続ける。

376名無し募集中。。。2020/06/04(木) 20:34:21.720

「冗談好きなんだからってももが流してて中学の時の先輩って紹介してもらって。でもそのあと一ヶ月ぐらいかなぁその人とももがキスしてるの見ちゃって付き合ってるんだーって」
「…長いっていうのはなんで?」
「大学卒業した後いつだったかは忘れたけど、ももとその女の人がホテルから一緒に出てくるの見たからまだ続いてたんだなぁって」
「…結婚しないって話はいつ?」
「そのホテルから出てきた時に一人になったももに見つかってちょっとお茶しようって。それで色々話してるうちに何か周りに結婚する人が増えてきたねって話しててその流れで言ってた。つい、さっきの人と付き合ってるから?って聞いたら違うって言ってたけど」

そういえばどっちの否定だったんだろうっと。
付き合ってることなのか付き合ってるからしないなのか、それを今更真剣に考え出した熊井ちゃん。

「どっちだったのかなぁ」
「それはちょっとわからないけどもも、他に何か言ってなかった?」

えーとっと一生懸命思い出そうとする熊井ちゃんを待つこと数分。

「あっ!約束次第かなって言ってた」
「約束?」
「うん、それ以上は詳しくは教えてくれなかったけど。少なくともその約束の期限まではしないって」

あっだから結婚するのかなとうんうんと熊井ちゃんは一人で納得し出している。

期限のある約束

誤魔化された、もらう約束をしていたという桃子の言葉。
確かにあの時、三十になったらと言っていた。

「ねぇみや、良かったら久しぶりにお昼一緒にどう?」
「えっ?あぁ、この後人と会う約束してるからちょっと無理かな」

時計を見るとそろそろ動かないといけない時間になっていた。

「そっかぁ残念」

また連絡ちょうだいねと去っていく熊井ちゃんを見送る。
重い足を動かし少し歩いて大きい通りに出てタクシーに乗り込む。
しばらくしてサクラからのメッセージ。

ごめんなさい。一人増える、弟の方も会いたいって

それに大丈夫と返して目を閉じる。
約束の時間の数分前、お店に入ってすぐ。

何も大丈夫じゃない。

気づいたサクラがこっちよと手を振っているけれど反応できない。

サクラの対面。

そこにいたのは写真の女性とさっき会った桃子の婚約者だった。

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