まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

520名無し募集中。。。2020/04/13(月) 01:51:03.180

「そんなことあったっけ?」
「たぶん生徒会の劇決めた時だったと思う」

生徒会の劇という言葉に一瞬であの時の舞台の最後が蘇って言葉に詰まる。
その間に桃子は手の中の缶をこちらに戻すと立ち上がり本棚の方へ。
隅の方に置かれたアルバムを取ってくるとまた右隣に座った桃子はこちらに見せるようにアルバムを開いた。

「これこれ。覚えてない?」

ほらっと劇の練習の準備中の写真の片隅を指差す。
そこには誰かの手と缶が写っていてその強烈な缶の色に思い出が蘇る。
そう確かに劇に決めた時に桃子が謎の飲み物を買ってきていた。

「あぁこれね、懐かしい」

残りを飲んだ千奈美が何故かハマってしばらくの間良く飲んでいた。
だからきっとこの手は千奈美。
写真の中央には間違えて熊井ちゃんの上着を着た桃子と桃子の上着に袖だけ通してあれっという顔をする熊井ちゃん。
懐かしさについアルバムをめくってしまう。
ドレスを着てみた男役三人に囲まれた桃子の写真から緩い練習前のおふざけの写真が続き、全員で動物の着ぐるみを着てる写真で手が止まる。

「この後からが大変だったんだよね」

この写真を撮った後、いきなり現れた先生によって空気は一変した。
それは過去演劇部の顧問だったという大学の非常勤講師で劇をするなら演技指導がいるかとと余計な気を回した生徒会顧問が連れてきた。
そのおかげでセリフを覚えてたらいいというような棒読みは許されず夏休みの後半のほとんどをこの劇のために費やすことになってしまった。
もちろん、練習前の戯れはなくなり写真を撮っている余裕なんてなくてアルバムの次のページは一気に本番の一週間前に写真部の手によって撮られた集合写真。
ポスター用に撮った無駄にキメている七人の写真と演技指導の先生も一緒に写った写真。
先生の知り合いという現役のメイクさんに施されたメイクに皆テンションが上がってる中で撮ったのを覚えている。

521名無し募集中。。。2020/04/13(月) 01:52:07.080

「もも意外にお坊ちゃんっぽくなって似合ってたよね」
「普通にカッコよかったでしょぉ」
「いや、それはちょっとどうだろう」

次のページには男役をやった四人の写真とそれぞれ一人で写った写真。
文化祭の後、販売されたこの劇の個人の写真ではダントツで熊井ちゃんのものが売れていた。

「この写真めっちゃ売れたよね」
「写真部がお礼言ってきたの覚えてるよ」

ぺらっとページをめくると今度は女役の三人の写真とそれぞれが一人で写ったもの。

「みやのドレス姿も綺麗だったよね」

懐かしむようにシミジミと言う。
あの時は一言もそんなこと言わなかったくせに。

「えぇ?ももあの時、梨沙子可愛い佐紀ちゃんエロいしか言ってなかったじゃん」
「それはほら改まって綺麗とか言いづらいじゃん」

少し照れたようにそう言う桃子はぐっと自分の缶チューハイを飲み干した。

「あっこれもすごい売れたんだよね」

桃子が指したのは熊井ちゃんの指が顎に添えられた自分の写真。
このシーンで黄色い悲鳴が上がったのを覚えている。
缶に手を伸ばすと中身はいつのまにか空になっていた。
ガサガサと袋をあさっていた桃子の手にはプラスチックのコップ。
勝手に注がれて渡された赤ワインを一口飲みまたページをめくる。

「これ覚えてる?」

写真の端、間違えて出てきそうになった千奈美の足とそれを引き留める茉麻の指先がちらっと写っている。

「覚えてる、覚えてる。あの時、目の前にいたくまいちょーがすごい焦ってた」

522名無し募集中。。。2020/04/13(月) 01:53:17.350

次々とめくられるアルバムにあの時の舞台が鮮明に思い出される。
ページがめくられるごとにどんどんとボトルの中身が減って行く。
舞台の時系列の通りに貼られた写真。
桃子は写真部から販売前に全部もらっていたために全く抜けがなく、まるで動画を見ているような気分になってくる。

「あれっ?」

見たいような見たくないようなそんな気持ちでめくった最後のページ。
そこに貼られていたのは最後ステージの上で挨拶をしている写真。

「これで終わり?」
「その文化祭のはそれ一冊のはずだけど」

桃子は本棚の他のアルバムをパラパラとめくり確認し出した。
あるはずの一枚。
あの舞台の写真で一番売れていた写真。
物語の最後、桃子と自分のキスシーン。
手で口元を隠すようなそれは本当にしたのかと話題をよんだ。
本当は見つめ合うところで終わるはずだったそのシーンを盛り上がりそうだからと勝手に変えた桃子。
生徒会のメンバーにも本当にしたのか聞かれたけれど桃子は秘密とかわしていたその問題の一場面。

「…なんでないんだろう」
「んっ?何か言ったみや?」

そう尋ねる桃子の唇がやけに気になる。
やたら手慣れた様子で急に手を添えられ内心の動揺を抑えるのに必死だった。
思わずギュッと目を閉じると唇の端に軽く触れた桃子の唇の感触。
あの時に自分の気持ちを確信した。

「…もも」
「なぁに?」

無意識に伸ばした手に光る指輪にはっと我に帰る。

「あーあれ、なんだっけ?」
「何それ、みや実はもう結構酔ってる?」
「そうかも」

523名無し募集中。。。2020/04/13(月) 01:54:39.820

次々と本棚からアルバムを出し後二冊残すところで桃子の手は止まった。

「やっぱりそれだけみたい。後はたぶんパソコンに入ってると思うけど見る?」

部屋の片隅に置かれたノートパソコンを指差しながら聞いてくる。

「いい。それよりあの二冊は?」

本棚の中に残された桃子の趣味とは微妙に違うアルバム。

「あれは…使ってないやつだから。何かでもらったんだけど使わなかったんだよ」
「…水飲みたい」
「はっ?急に何?」
「いいから取ってきて」
「自分で行きなよ」
「ここももん家じゃん」

露骨に嫌そうな顔をしつつも仕方ないなあと桃子は部屋を出ていった。
明らかに隠そうとしていたアルバムの中身。
それが何なのか。
いけないと分かっているのにアルバムに伸びる手を止められない。
アルバムを開いて目に入ったのは見知らぬ女性のワンショット写真。
桃子より少し年上に見える艶やかな黒髪が印象的な優しそうな女性。
次のページもその次も同じ女性のワンショット写真。
一体何のアルバムなのかわからない。
もう一冊の方を開くと今度はどこか既視感のある桃子だけの写真。
それが数ページ続いてさっきのアルバムの女性の写真と背景が酷似している事に気付いた。

「えっ…」

桃子とアルバムの女性とのツーショット写真。
自撮りでもないのにやけに近い距離で写っている二人の胸元にはお揃いらしいネックレス。
残りのページもほとんどがやけに近い二人の写真。
その距離と何よりページが進む毎に女性を向ける桃子の顔の変化に胸がざわつく。
もう何を隠そうとしていたのか答えは半分以上わかっていて。
残り数枚のページ。
これを見たらきっと想像している答えが確信に変わる。
早く見ないと戻ってきてしまう。
そう思うのに手が動かない。

524名無し募集中。。。2020/04/13(月) 01:56:00.640


トン、トン、トン

階段を登ってくる音に慌てて本棚にアルバムを戻し、本棚から離れようと振り返ると足元に一枚の写真が落ちていた。
慌てて拾おうとしゃがんだその姿勢で固まってしまう。

写っているのはベッドで眠っている女性。
ただその格好が問題だった。
大半はシーツで隠れているけれど何も身に纏っていないのが明らかで。

ドアの開く音がして咄嗟に横に積んであったアルバムを開いて別のページにさっとその写真を挟んだ。

「うっわ、みやドアの前なんかに座ってたら危ないでしょ」

もぉと言いながら水のグラスを差し出してくる桃子を茫然と眺めることしかできない。

「おーいみやどうしたの?」

おーいと顔の近くで声をかけてくる桃子の手から水を受け取ったのだけは覚えている。
そのあとは何度か誰かと会話したのはなんとなく覚えているけれどはっきりとしない。
気づけば翌日で実家の客間でぼーっとしていた。
ピンポーンとチャイムが鳴る音とガチャっとドアの開く音が同時に聞こえてくる。
ドタドタと騒がしい足音とみやーと呼ぶ声に愛理が来たんだとぼんやり思う。
久しぶりとテンション高くジャレついてくる愛理についていけずにいると手を引かれ外に連れ出された。
手を引かれるままに車に乗り、連れてこられたのは『Buono』と真新しい看板の掛かったお店。
まだ開店していないらしく積み上がった段ボールが窓からちらっと見えた。

「もも連れてきたよー」

バンっと開いた扉の先に桃子がいてやっとここが桃子のお店だと気づく。

「意外に早かったね」

段ボールを開ける手を止めて振り返る桃子に何か言わないと開きかけた口は奥から現れた人によって止まった。
昨日アルバムで見た女性とよく似た男性。
こちらに気づくとこんにちはと爽やかな挨拶。
それにどうにか会釈を返すのが精一杯。

「えーっとみやこちらが私の婚約者の…」

少し気まずそうに紹介し出した桃子の声はパンク寸前の頭では右から左にただ流れるだけだった。

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