まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

390名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/24(月) 08:23:23.090

定期演奏会の朝、桃子は両親に見送られ家を出た。
今日は直接ホールに集合することになっている。
第一、二部の衣装と第三部の衣装。本番後打ち上げへ向かうための私服。先輩達へ書いた手紙。楽器。持ち帰った楽譜のファイル。その他諸々と合わせると、かなりの量になる。
どうせ打ち上げは私服なんだから、集合の時も制服じゃなくて私服にしてくれれば良いのに。
去年もおんなじこと考えてたなぁ、もも成長してない?
この大荷物を抱えて電車に乗るというだけでちょっと憂鬱になるのも去年と一緒。
駅で、雅がホームにいるのを発見した。
「みーやんおはよう。大荷物だよねぇ」
「もも先輩、おはよう。こんだけ荷物持って電車とか、マジであり得ないし。送ってもらえばよかった」
「行きより帰りだよ。絶対家族に荷物回収してもらってから打ち上げに参加したい。そういえば、みーやんのご家族は見にこられる?うちは家族全員で来るって言ってるよ。弟がめんどくさいって愚痴ってた」
「みやんちも皆来てくれるみたい。荷物の回収もお願いしてあるし。弟にソロ頑張ってって言われたし」
「おー。うちと違って良い弟さんだね。みーやん人気者だし、チケット販売もめっちゃ多かったから、ソロ吹いた時とか司会の時声援凄そうだね。ご家族の方がビックリしそう」
「演奏聞いての歓声は嬉しいけど、見た目だけで貰う歓声は嬉しくないし。ちゃんと聞いてってなりそう」
「ため息つかないの。それでもお客様なんだからさ。今年はみっしげさん達のファン、舞美のファン、みーやんのファンで凄いことになりそうで、ちょっと面白半分だけど期待してる」
「そんな期待のされ方はやだ」
「ももは一般人枠だから。みーやんは人気者枠で頑張って」
「もも先輩だって美人枠なのに、ほんとうちの学校見る目ないし」
「なになに。誉めてもなにもでないよ?そっかぁ。もも美人て思ってくれるんだ。嬉しいなぁ」
「だって、横顔とかほんと綺麗だし口の形とかも良いなって思うし」
「ちょっと。もういい。やめて」
「あ、照れてる。珍しい」
そんな会話をしている間に、ホール最寄りの駅へ到着した。
ホールにはもう何人か到着していて、開館時間を待っていた。

391名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/24(月) 08:25:09.500

荷物を全員一緒の大きな楽屋へ置いて、楽器の準備をしてステージに向かう。
手伝いに来てくださっているOGの皆さんも参加して、ミーティングが始まった。
「おはようございます。OGの皆さん、今日はよろしくお願いします。三年生、いよいよ最後の本番です。今までの吹奏楽部の思い出全部を振り返って、今日が一番ハッピーな本番だったって言えるステージにしましょう。
一、二年生、私達三年生とは最後ですが、気負いすぎずに楽しみましょう。以上です。石川先生、お願いします」
「おはよう。今日しか出来ない、最高の演奏しようね。以上。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
午前中の練習は、軽い音出しと最終リハーサルを兼ねた通し練習で終わる。
練習を終えたら、各自担当する仕事へと忙しく散って、OGの皆さんと最終打ち合わせ、花束や頂いた祝電の確認等々、忙しい。
時間に追われてしまって、三年生との最後を噛み締める余裕なんてどこにもなかった。
「もー、忙しいの嫌い。この時間を味わいたいし噛み締めたいの」
あ、佐紀ちゃんがキレた。
佐紀ちゃん、ホルンに三年生がいない分金管セクションの三年生達に可愛がられてたもんなぁ。
そうだよね。この時間をもっと噛み締めたいよね。
ももも一緒だよ。きっと、舞美も一緒。
早目に仕出しのお弁当を食べて、皆で歯磨きもして、余裕が出来た子は最後の練習をしている。
桃子はなんだかふわふわ気持ちが漂ってしまって、落ち着けずに楽屋内をうろうろしていた。
「ももちゃん捕獲」
そんな声と共に後ろかられいなに抱きしめられた。
「相変わらずももちゃんは気持ちが入るのに時間がかかるねぇ」
えりも横から頭をなででくれる。
「もー。さゆ達が甘えさせてあげられるの今日が最後なんだからね」
さゆみはそう言って桃子の頬を痛くないように摘まんでくる。
「だって、頭では分かってるんですけど、なんか実感湧いてこなくて、気持ちが落ち着かないんです。本当に今日が最後なんですか?うっかり残っちゃったりしてくれませんか?」
「もーもーちゃん。いい加減に覚悟して。今日が最後なの」
「うー……。分かってるんですけど、やっぱりやだなぁって思っちゃって。ごめんなさい。ちょっと気持ち切り替えに行ってきます。戻るまでに、立て直すんで、そしたら誉めてください」
桃子は楽屋から出て、ステージ裏の通路、暗がりへ足を向けた。

392名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/24(月) 08:25:59.570

ここなら、誰もいない。
今、弱音は全部ここで吐き出して、置いていこう。
「三年生とこれが最後なんてやだ。寂しい。
司会とか緊張するししたくない。声震えたらどうしよう。
ソロの時緊張して間違えたり止まっちゃったらどうしよう。
あーーーーーーーーーーもう。本番来てほしくないっ!!」
思いきって叫んでみたら、なんかスッキリした。
うん。このダメダメな気持ち、まるっと飲み込んじゃうしかないんだよね。
やっと、気持ちが現実に追い付いた気がする。
「よしっ!切り替え終わり!本番に備える!先輩に甘えて!後輩を甘やかして!絶対泣かない!最後まで乗りきる!」
桃子が楽屋へ戻ろうとして後ろを振り返ったら、雅が立っていた。
「うわ、みーやん。今の見てたりとかしちゃった、よね?カッコ悪いとこ見られちゃったなぁ。みーやんにはかっこいい先輩でいたいのに」
「別に、カッコ悪くないと思う。もも先輩はカッコいい」
「ありがとう。みーやんはどうしてこんな所に来たの?」
「ちょっと一人になりたくて、来てみたらもも先輩が叫んでた」
「あー。皆考えることは同じかぁ。もも、ここにいない方がいい?」
「時間とか仕事が大丈夫なら、いてほしいけど。もも先輩がヤじゃなければ」
「あんまり長くは無理だけど大丈夫だよ。手、大丈夫?」
「まだ大丈夫だけど、できたら、繋いでほしい、です」
「ふふっ。はい、手、だして?」
差し出された両手を包み込むようにして暖める。
「ももも甘えん坊って言われるけどさ、みーやんのが甘えん坊だよね」
「そんなことないし。もも先輩のが部長達には本当に甘えん坊だし」
「あー。みっしげさん達はねぇ、何だか無条件に甘やかしてくれるからさぁ。ももだって結構みーやん甘やかしてると思うんだけどなぁ」
「それはわかってるけど。無条件じゃないって思う」
「もも心外。かなり甘やかしてると思うよ?ハグとかも拒んだことないし、毎回手も暖めてるし」
「じゃー、ついでにハグして、ほしいかも」
「ついでにって言い方はどうなのさ」
ぶつぶつ言いながら、みーやんの背中に手を回した。
みーやんもももの腰に手を伸ばしてきたから、抱き合ってるみたいな体勢になった。
「これで満足?」
「もーちょっと。ソロ、成功するように、充電」
「もも充電器じゃないんですけどー。まぁ良いけどさ。かっこいい、ももが惚れちゃうようなソロ期待してるから」
離れてから見たみーやんの顔は何時ものように赤くなっていた。
「絶対もも先輩が惚れちゃうようなソロ聞かせるし」
「楽しみにしてるね」

393名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/24(月) 08:31:23.090

本番まで、あと一時間。
二人で手を繋いで楽屋に戻ったら、何だか注目を浴びてしまった。
雅の手を離して、さゆみ達のところへ向かう。
「ももちゃん、イチャイチャする余裕が出てきたってことで良い?」
「イチャイチャはしてないですけど、気持ちの余裕はできました。立て直し遅くてごめんなさい。やっと、楽しむ覚悟は出来ました。なので誉めて、ちょっとでも良いんですけど、できればたくさん甘やかしてください」
「最後の最後まで甘えん坊のままかぁ。全くももちゃんは困った子だよ」
「みっしげさん、そう言いながら超笑顔じゃないですか」
最後だし、と思って珍しく桃子から三人一人づつにハグをしてみた。
「今まで一杯甘えさせてくれてありがとうございます。もも、先輩達が憧れで、大好きです」
一人づつに抱きしめられて頬にキスまでされて、最後はいつも通り三人に囲まれるように抱きしめられた。
「可愛いこと言うなぁ、ももちゃんは」
「えりも、ももちゃん大好きだからね」
「ももちゃん、れな達の後輩でいてくれてありがと」
「もも、先輩達の後輩になれて良かったです。先輩達がいてくれたから、吹奏楽始められました。最後も、ももの憧れのかっこいい先輩達を魅せてください」
「ももちゃんの憧れのポジションはさゆ達のものだからね」
そう言って三人は笑った。
衣装に着替えて、最終ミーティングが始まる。
「最終ミーティング始めます。最後なんで一旦楽器置いて、皆で肩組もうか。石川先生、お願いします」
「楽しかったこと、苦しかったこと全部纏めて、音にのせて届けましょう。三年生、今まで頑張ってきたのは見てきてる。皆を誇りに思う。三年間の成果を見せてください。
下級生、先輩の素晴らしさを目に焼き付けて、精一杯の尊敬の気持ちを込めて一音一音大切に演奏しましょう。以上。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「えー。どうあがいても、三年生とのステージはこれが最後です。いろんな気持ちがあると思うけど、全部飲み込んで、楽しみましょう。
三年生、私達は下級生の憧れでいなきゃ駄目だから。後輩達を全力で惚れさせちゃおう。
一、二年生。今まで私達についてきてくれてありがとう。皆が私達を先輩にしてくれました。泣いても笑っても最後だけど、どうせなら笑って最後の本番を楽しみましょう。以上です。本番よろしくお願いします」
「よろしくお願いします!」

394名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/24(月) 08:59:00.860

最終ミーティングが終わって、各自軽く音出しをする。
あ、みーやんがみっしげさん達に囲まれてる。
れなさんがみーやんハグして、残りの二人が頭撫でてる。
みーやんもみっしげさん達と仲良いよね。何話してるんだろ。
そういえば、タイ交換してもらってないや。今行っても良いかなぁ。
「みっしげさん、あの、お願いしてたタイ交換、してもらえますか?」
「あー。ごめん、遅くなっちゃったね。ももちゃんさ、さゆがつけたげるからそのままじっとしてて?」
「はーい。…なんでみっしげさんそんなニヤニヤしてるんですか?もも、なんかおかしな事とかしました?」
「おかしな事はしてないけど、今このタイミングでここに来るのかぁと思って。ほんとももちゃんはさゆの事大好きだね」
「何を今さら当たり前の事言うんですか?さっき言ったじゃないですか。大好きですよ?」
「最後のステージ、さゆ達以外目に入らないくらい惚れ直させてあげる」
「楽しみにしてます。ももも、ちょっとは先輩達に惚れてもらえるように、大好きとか憧れの気持ちが届くように、ソロ頑張ります」
「楽しみにしてるね。さて。みんなー。時間10分前、アナウンス入るから移動準備ねー」
舞台袖へと向かう途中、やっぱりみーやんの手は冷たくなっていて、繋いで暖めながら移動した。
「みーやん、頑張ろうね。楽しもうね」
「ん。頑張る。みや負けないから」
何と勝負してるんだろ。緊張?
ステージ袖。お客様がちょこっとだけ見える。
高まる緊張。タイに触れて、深呼吸。うん、大丈夫。
ももには、最高で最強の先輩がついてる。
肩を叩かれて、もしかしてって振り返ったら、やっぱりみっしげさん。
タイを触って、最高の笑顔を見せたら、みっしげさんも笑ってくれた。
そのまま一回ぎゅってしてくれて別の子に向かっていった。
本番五分前、進行を監督してくださってる新垣さんから、入場の合図を貰って、ステージへと進む。まだステージは暗くて、客席が明るい。
静かに着席をして、客席の照明が落とされるのを待つ。
三分前。客席が暗転した。
コンミスのえりさんが立ち上がってチューニング。
ステージが明るく照らされて、石川先生が入場した。

440名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/24(月) 18:45:49.320

只今より、2016年、寺田学園女子高等学校吹奏楽部、第18回定期演奏会を開始致します。
石川先生は、指揮台の上で皆を見て目を細め優しい笑顔を見せてくれた。
指揮棒が上がって、緊張の一瞬の後、演奏が始まる。
第一部、一曲目は春の猟犬。
9月なのに、春の猟犬。季節的にどうなのかといつも思う。
曲の最後の連符続きの箇所、セクション練習でカメさんに何回もやり直すように言われたっけ。
二曲目、三曲目はコンクール曲。
課題曲の楽譜に書かれたみっしげさんからのメッセージ。
自由曲のみっしげさんソロはかっこよかった。コンクールの時より更にかっこよくなっていた。
四曲目は下級生メインで演奏するため、席の移動を行う。
すれ違い様にさゆみは小さく頑張れと言ってくれた。
初めて座るファーストの席。
一年生のオーボエのソロに合わせ、桃子もソロで副旋律を吹く。
もう叶わないことだけどさ、めぐのソロに合わせて吹きたかったよ。
一部最後の曲は、元の席に戻って演奏。
やっぱり、先輩達との演奏はこっちの席の方が落ち着く。
途中ゆったりとしたメロディーをクラリネット、フルート、オーボエが奏でる。激しい連符部分を吹ききったら、もう一度繰り返されるメロディー。途中かられなさんのアルトサックスのソロも加わる。
何となく先輩達を近く感じられてお得な気がする曲。
一部が終わり、紺野さんの司会を聞きながら二部の開始を待つ。
毎年、定期演奏会の二部はテーマを決めてそれに沿った選曲がされる。
今年はコンクール自由曲からテーマを持ってきていた。
『和』日本人の作曲した曲や、和楽器の使われる曲を演奏する。
聞いた事ない曲でも、日本人なら何となくのせられてしまうリズム達。
どこか懐かしく聞こえるメロディ。
二部では三曲を演奏する。
自由曲の抒情的祭は東北のお祭りや津軽三味線がイメージされた曲。
二部の最後の曲は、大阪の祭囃子がテーマになっていて、チャンチキや神楽鈴など吹奏楽で使用するのは珍しい和楽器が使われる。
まあのおうちが神社で神楽鈴を借りられるなんて思わなかったなぁ。
激しいお祭りの終わりと共に、二部も終わってしまった。
全員退場し舞台袖の机に楽器を置いて、ダッシュで楽屋へ向かう。
桃子達はお客様の休憩時間20分の間に、お手洗いを済ませたり、着替えをしなければならない。
指揮台やもう使わない打楽器なんかもOGの皆さんがステージから片付けてくれる。
演奏衣装を脱いで、ピンクのポロシャツと真っ白のスキニー。頭には銀のティアラ。
みっしげさんのタイを、こっそりポケットへ入れて。
真っ赤なバンダナをカウボーイみたいに緩く首に巻いた舞美と、白いテンガロンハットを被った佐紀とハイタッチして、舞台袖へ戻る。
第三部も、頑張ろうね

442名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/24(月) 18:46:49.390

第三部の一曲目頭からさゆみとのピッコロのソリ、さゆみのソロがある。
ソロが終わって礼をしたら貰えた大きな拍手。嬉しいなぁ。
花の冠をつけてるカメさんのソロもある。カメさん超美人。
曲が終わって、桃子と雅は台本を持って席を立ち舞台の隅へと向かう。
「始まりました第三部、司会を勤めさせていただくのは、フルートパート2年生の嗣永桃子と」
「サックスパート1年生の夏焼雅です」
「「よろしくお願いします」」
あ、早速みーやんに黄色い歓声がとんでる。
「早速の雅ちゃんへの声援、ありがとうございます。人気者ですね。第三部ではソロを吹いた後、拍手を頂くことが多いですが、声援も非常に嬉しいですので、名前をご存じの際は是非お願いします」
「演奏者一同励みになります。よろしくお願いします」
「第三部一曲目はピッコロやクラリネット、トランペットソロが可愛らしいサウスランパートストリートパレードをお送りしました」
「もも先輩もソロを吹いていたのに、可愛らしいとかどうなんですか」
「先輩方からの圧による表現ですのでご了承ください。さて、二曲目にお送りするのは、ジャズの定番曲であるインザムードです」
「どうぞお聞きください」
みーやんとれな先輩のソリは色気があるよね。というか、正直えっちぃ。さすがに司会的にえっちぃは使えないけどさ。
あ、れな先輩にも声援とんでる。さすが人気者部門。
「インザムード、お聞きいただきました。いやぁ、雅ちゃん達サックスは大人っぽいですね、羨ましい。ところで、私達の着ているポロシャツ、例年は楽器毎に色違いだったりするんですが、今年は石川先生以外は全員一緒の色、デザインです。
そのため、各パート小物をつけて個性を出しています。私、もものフルートパートは銀のティアラ。パートリーダー曰くお姫様イメージだとか。似合いますか?あ、拍手ありがとうございます。反応がなかったらどうしようかと思ってました」
「もも先輩、似合ってるんで大丈夫です」
「雅ちゃんから似合ってるとお墨付きも頂きました!ちょっと自信が持てそうです。そんな雅ちゃんのサックスパートは金色の王冠ですね。まるで王子様みたいです。こうやって並ぶと王子と姫でぴったりはまってて、私達お似合いのカップルみたいじゃないですか?」
「王子じゃないし、カップルでもないし」
「ご覧ください、顔を赤くしながらこの台詞。この可愛いツンデレ王子具合。ツンデレ雅王子様、私たちの着ているポロシャツの背中のロゴマークには勿論気がついてますよね?」
「もちろん。背中のロゴマークは第一回定期演奏会からの伝統です。私達吹奏楽部の第一期生の先輩がデザインされたロゴなんです」
「こうやって伝統を引き継いでいくんですね。次にお送りするのは本日をもって引退となる先輩達から伝統を引き継ぐ私達下級生がメインとなってお送りする、君の瞳に恋してるです」

443名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/24(月) 18:47:35.770

「先日OGの先輩から、誰かへ届けたい思いを込めて演奏するように、とご指導頂きました。先程王子と姫でカップルみたいと言われましたし、折角なのでみやは桃子姫への想いが届くよう気持ちを込めて演奏したいと思います。どうぞお聞きください」
はぁ!?みーやん何言っちゃってんの!?そんな台詞無かったよね!?
曲終わりの台詞、ももどうすればいいの!?
曲紹介が終わり一礼するタイミングで思わずみーやんを凝視しちゃって、礼が遅れてしまって更に慌てながらお辞儀をした。
席に戻る時に集まっていた部員達の目は生ぬるかった。
通り抜けるときにみっしげさんがソロ集中って言ってくれなかったらボロボロの演奏をしてしまったと思う。
始まってすぐのみーやんのテナーサックスのソロ、めっちゃドヤ顔で吹いているのが目にはいってイラっとした。
キャーキャー叫ぶ黄色い声援の量もヤバかった。
ももも根性で、先輩達に届いてほしいな、と思いながらソロを吹ききったことは誉めてもらいたい。終演後先輩達に誉めてもらおう。
家族や友達の声援が聞こえて、すごく嬉しかった。
星条旗カラーのシルクハットを被ったトロンボーンのソロのちいは楽しそうで、何だか微笑ましかった。
「君の瞳に恋してるをお聞きいただきました。いやぁ、雅王子の思いが心に響き渡りました。ありがとうございます、ええ」
「いえいえ、想いが届いたなら良かったです」
「ツンはどこ行ったんですか。デレデレ王子様ですか。ツンデレ雅王子に戻ってください。今回第三部の選曲には、ある映画の影響が大きくなっています。雅王子お分かりですか?」
「スウィングガールズですよね。映画公開当時は吹奏楽部の入部希望者がいきなり倍増したと石川先生が仰ってました」
「次にお送りするのも、映画で使用されていた一曲です。吹奏楽がお好きな方は私達と同じ高校生がマーチングバンドで躍りながら演奏する映像をご覧になったことがあるかもしれません。シングシングシングです」
「どうぞお聞きください」
うん。カメさんにも大きな声援、人気者。遊び心の必要なソロって本当にセンスが出ちゃうからカメさんにぴったりだと思う。
「シングシングシングをお届けしました。やっぱり先輩方のソロはかっこよくて、まだまだ精進しなきゃ、という気持ちになりますね」
「まだ先輩達には及ばないのが悔しいです。来年には越えられるよう頑張ります。さて、次にお送りするのがプログラム最後の曲となります。
ここで、第一部、第二部の司会とアナウンスをしてくださった第13期生の先輩、紺野さんへもお礼を申し上げます。ありがとうございました。皆様、盛大な拍手をお願いします」

444名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/24(月) 18:49:24.200

「最後にお送りするのも、やはり映画スウィングガールズで使用されていた曲になります。故郷の空in swing です。部長副部長など三年生や二年生の正副代表者のソロに注目してお聞きください。
私達の司会もここまでとなります。拙い司会にお付き合いいただき、ありがとうございました。フルートパート2年生の嗣永桃子と」
「サックスパート1年生の夏焼雅でした」
「「ありがとうございました」」
曲が始まり、カメさん、みっしげさん、れなさんとソロが続いていく。
毎年、プログラム最後の曲は部長副部長と二年生の正副代表にソロがあるように選曲される。
今回は、佐紀ちゃんのホルンにソロがない曲だったので、オプションとしてソロをつくって演奏することになった。
曲が終わって、石川先生の指示で一旦ステージから全員が退場。
舞台袖で一呼吸。
アンコールの声を聞きながら用意されているペットボトルの水をまわし飲みして、新垣さんからの指示を待つ。
「いやぁ、まさか本番中にイチャイチャするとか」
ももの頬を突っつきながら小声でみっしげさんが言ってきて、大きな声は出せないから精一杯の抗議で眉間にシワを寄せ、頬を膨らませる。
「ももだっていきなり何言い出すのかってすっごく焦ったんです。みっしげさんが声掛けてくれなかったら、間違いなくソロやらかしました」
「さゆ達のお姫様は困ったちゃんな王子様に愛されてるねぇ」
「こんな愛は要らないですよぅ。もうアンコールですね」
「あと二曲、楽しもうね」
そんな話をヒソヒソしてたら、新垣さんから入場の合図が来た。
部長挨拶があるので、さゆみのフルートを預かって席に置いておく。
「会場にお越しくださった皆さん、暖かいアンコールの声援、ありがとうございます。今年度部長を勤めています第16期生のフルートパート3年生の道重さゆみです。ー」
みっしげさんへの声援も凄いなぁ。流石自慢の先輩。
舞美からの花束贈呈では、舞美へも声援が飛んでいてちょっと面白い。
桃子は精一杯の拍手と足踏みでさゆみへ感謝や尊敬の思いを届けた。
アンコール一曲目は、ディープパープルメドレー。
全部のパートにソロがあって、各パートソロをステージ前まで移動して振り付けをつけながら演奏し、ソロの後も礼をせずにパート毎にカッコつけてポーズをとってから戻る。
客席からの歓声はすさまじかった。
曲の最後に全員立ち上がって楽器を目一杯持ち上げて吹き上げる。
曲が終わっても立ったまま、石川先生の顧問挨拶を聞いた。
顧問挨拶が終わり、石川先生のカウントで風になりたいが始まる。

446名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/07/24(月) 19:07:26.990

始まってすぐに石川先生は退場してしまって、生徒達だけで最後まで演奏して、歌って、踊った。
さゆみの号令で楽器を下ろし、お礼を言って部員一同深く頭を下げたまま、緞帳が下がるのを待つ。
以上を持ちまして、2016年、寺田学園女子高等学校吹奏楽部、第18回定期演奏会を終了致します。
紺野さんのアナウンスが聞こえて、定期演奏会は終わってしまった。

定期演奏会曲目
春の猟犬
マーチ・スカイブルー・ドリーム
吹奏楽のための抒情的「祭」
吹奏楽のための民話
セント・アンソニー・バリエーションズ
風紋(原典版)
吹奏楽のための奇想曲「じゅげむ」
大阪俗謡による幻想曲
サウス・ランパート・ストリート・パレード (カラフルなポロの高校)
イン・ザ・ムード (紫ポロの高校)
君の瞳に恋してる (ピンクポロの高校)
シング・シング・シング (濃オレンジカーデに蝶ネクタイの高校)
故郷の空 in swing  (演奏は青ベストの大人達 演出は赤ベストの高校)
アンコール曲
ディープ・パープル・メドレー (カラフルなポロの高校)
風になりたい (白ブレザーの高校)

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