まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

163名無し募集中。。。2019/01/10(木) 22:16:55.150

撤収作業を終え高橋さんの所へ向かう前に借り物だというマイクとスピーカーを返しに二人はとある場所へ向かった。といっても桃子はどこへ行くのか知らされていないのだが。
道中では雅がモデル撮影のアルバイトで起こったエピソードを色々話してくれた。後輩のモデルにいつもおせんべいを食べている子がいて、ある日雅がその子にコンビニで買ってきた
12袋入りのせんべいを差し入れしたらそれ以来雅を慕ってくれるようになってくれたのだがちょっと慕われ過ぎてその子が雅の舎弟みたいになってしまい少し困っているという話が桃子は一番面白いと思った。

そんな話をしていたらいつの間にか高橋さんのお店とは逆の方向にある商店街の中に桃子たちは足を踏み入れていた。この商店街は近くにある某大型スーパーの影響で昼間でも一通りはそれほど多くない。
そのため町おこし的なイベントをやってるのをよく見かけるが正直言ってあまり効果はないように見受けられる。そしてわざわざそんな所にやって来たということは行き先は1つしかない。だがそこは桃子にとってあまり訪れたくない所だった。

そのあまり訪れたくない場所に到着するとシャッターが下りていた。雅が「ついたよー」とスマホで連絡をした数秒後、シャッターが上がって中から桃子と同じくらい小柄な女性が現れた。その女性は桃子に気づくと一瞬驚いた表情を見せたがすぐに怪訝そうな顔に変わった。

「え・・・?何でももがいるの?」
「・・・いや、いたら悪い?てか佐紀ちゃんみやと知り合いだったの?」
「少し前に高橋さんが紹介してくれたの、路上ライブやりたい子がいるから機材貸してくれって頼まれちゃって。というかこっちからしたらそのセリフまんまあんたに返しますけど、って感じなんだけど」
佐紀はスピーカーを店内に運びながら桃子に言った。

佐紀とは高校と大学の同級生で桃子の親友・・・ではなく腐れ縁のような関係である。大学卒業後は高齢の親戚に代わってここ、清水楽器店をいとこの桜子とともに切り盛りしている。
商店街の中では大きい建物であるこの店は1Fは楽器の販売、2Fは中古CDの販売、買取を行っており常連客の間ではひそかにしみハムレコードと呼ばれているとかいないとか。

桃子は週1,2日ほどここでCDのクリーニングや陳列を手伝っている。佐紀からはもっと出てもいいのにと言われているが、会社を辞めて以来どうも働く気力が沸かず断っていた。
そして断る度に佐紀からの小言が繰り出されるが無理強いはしてこないのでその点に関しては気を遣ってるのかなと思い桃子は密かに感謝している。

164名無し募集中。。。2019/01/10(木) 22:20:35.580

雅とのことについて事情を説明すると佐紀はうんうんと頷いたあと「なるほどね、確かにみやの歌は私も前に聴いたけどすごい良かったし感動した。あんたと違って大きな夢を持ってる人は輝いて見えるし応援したくなるよね」と桃子に嫌味を言った。

桃子はばつの悪そうな顔をしながら「あーはいはいどうせ何かやりたいことがあったわけじゃないのに会社を辞めたダメダメ人間ですよ。・・・ねえみや、高橋さん待ってるしそろそろ行こう」
と言い雅を促して店を出ようとする。                            

「もう、都合悪くなるとすぐこうなんだから・・・。あ!もも!あさって桜子いないんだけど代わりに出てくれない?」
佐紀が呼び止めてきたため桃子は立ち止まって少し考えたあと、明日連絡するよと佐紀に言った。

「わかった、なるべく早くね。・・・ねえ、もも。こう見えても結構あんたのこと心配してんだからさ、早くやりたいこと見つけなよ。なんならうちのアルバイトとしてそれなりの待遇も用意できるから」
その言葉を聴いた桃子が振り向くと佐紀は心配そうな表情をしていた。佐紀とはそれなりに長い付き合いだが初めて見る表情で少し困惑してしまう。
桃子は何て言おうかなと迷ったが「うん、ありがとう。そんな悲しい顔しないでよ」と笑いながら佐紀に手を振りながら言って店を後にする。
佐紀と別れた後雅にももと佐紀ちゃんって仲良いんだねと言われたが、桃子は何をどうしたらそういう事になるのかと思ったので慌てて否定した。

ようやく高橋さんの所に辿り着くと高橋さんは待ってたよーと言いながら今日の余りだというボロネーゼ(コーヒー付き)を二人に出してくれた、お代はいらないということなのでお言葉に甘えて頂くことにする。
食べ終わったあと、雅は自分のことについて色々と話してくれた。

高校生の時に高橋さんの歌を聴いたことがきっかけで歌手になりたいと思った雅はファッション系の専門学校に進学した後、同級生とガールズバンドを結成しボーカルを務めていた。
学校卒業と同時にバンドを解散し今はモデルのアルバイトや路上ライブをしながらオーディションを受け歌手デビューへの道を模索しているらしい。
ちなみに高橋さんとの出会いはモデル仲間とたまたまお店に立ち寄ったのがきっかけで、憧れの歌手がカフェをやっていることにものすごく驚いて引退したことへのショックも吹っ飛んだとか。

166名無し募集中。。。2019/01/10(木) 22:26:05.460

しかしそのような生活を続けて約5年、オーディションは最終選考まで残ることは出来るもののデビューするまでには至っていないという。
高橋さんは「必ずしも良いものが正統な評価をしてもらえる時代じゃないからね、その時その時のタイミングってのもあるし」と冷静なことを言っているが、
桃子は雅の歌唱力を持ってしてもこんなに苦労しているのかと絶句し思わず高橋さんのコネでどうにかなんないの?と言ったらすかさずデコピンが飛んできた。

「コラッ、桃ちゃんそんな甘い世界じゃないんだよ。・・・いや、実は私も雅ちゃんならきっと大物になるはずだから知り合いの音楽関係者紹介しようか?って言ったんだけど断られちゃってね。」
高橋さんの残念そうな顔を見て雅は苦笑いを浮かべたあと話はじめた。

「うん、やっぱり夢って自分の力で叶えなきゃ意味がないっていうか・・・みやの中に変なプライドが無ければそういうお誘いも素直に受けられるのかもしれないんだけどね。
でもやっぱり歌手を目指すと思った時から決めたことなんだ」

そう言われたら何も言えないよねえと高橋さんは桃子の方に顔を向け同意を求めた。桃子も頷くしかなかったが正直複雑な気分だった。
その後、話はいつの間にか高橋さんの旦那さんとのノロケ話に変わったのだが桃子は先ほどの話を整理できず適当に相槌を打っていたらまたデコピンが飛んできて
「もう夜遅いし話聞いてくれないんならそろそろ帰りな」と言われてしまったので雅と一緒に店を出ることにした。

所々街灯が照らしている夜道を歩いていると時折風が吹いていた。強さはそれほどでもないが今の桃子にとっては結構堪える強さだ、
今日は雅と雅の歌声に出会うことができてとてもいい日だったなと思っていたが今は少し暗い気持ちになってしまっている。
雅はそんな桃子が気になったのか「どしたの」と声をかけてきた。

167名無し募集中。。。2019/01/10(木) 22:29:40.910

「いや・・・なんか悔しいなって思っちゃってさ。みやは歌手になるためにいっぱい努力してるわけじゃん?それなのにちゃんと評価してもらえて無いってすごい悔しいよ、
今日みやの歌聴いて泣いてる人いたし私もすごい心に響いたの、そういう力を持っている人が夢を叶えられないのっておかしいと思うんだ・・・」
桃子は想っていたことを雅に伝えた。雅は一度桃子から目を逸らしたあと再び桃子の方を見て話し始める。

「そうだね、確かに今まで色々オーディション受けてきてやり方も変えてみてそれでもダメで・・・ってなったら正直どうしたらいいのって思うし自信がなくなる時もあるよ。
ただ、それでも自分を信じて歌い続けていくしかないって思ってるし信じ続けてたらいつかは報われる日が来る、そんな気がするんだ・・・。
それに今日久しぶりに人前で歌ってすごい楽しかったしやっぱりみやは歌が好きなんだって再認識出来てすごい良かったから、もし今日ももに会ってなかったらこんな気持ちにならなかったと思う。
だから今日はホントにありがとう!」

雅のキラキラした表情に桃子はつい見とれてしまっていた。なんだか暗くなっていた自分がバカみたいな気分になっておもわず桃子は今日1日ずっと言いたかったことを言おうと決意した。

「こちらこそありがとうだよ!あのさ・・・私みやとお友達になりたい!一緒に買い物とか旅行とか行きたい!だから連絡先教えてください!」
桃子は少し上ずってしまった声で雅に言った。

「うん!もちろんだよ!みやも今日ずっとももと同じ事思ってたよ。・・・あ、でもちゃんと佐紀ちゃんの所手伝いなよ?貯金切り崩してまでお出かけするのはダメだからね?」
桃子は雅の忠告に「はーい」と言った後つい笑ってしまった、いつの間にか空には満月が見えていてやっぱり今日はいい日だったなと思った。

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