まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

413 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/18(水) 20:08:46.90 0

明確にはわからないが何かが足りないようなそんな感覚。
だが忙殺される日々にその感覚は追いやられていくばかり。
何故か仕事関係ではないと確信があるだけに後回しにする事に何の躊躇もなかった。
それでも日に日に増していく違和感に桃子は苛まされていた。
いつものように笑顔を浮かべ、いつものようにやりとりをし、求められている仕事を全うする。
もはやそれは反復作業のようなものでどこか意識が乖離していた。
気がつけば明かりもつけずに自宅の椅子に座っていた。
うっすらとしか記憶に残っていない今日という一日。
それでも誰かにお叱りを受けた記憶はない。
とりあえず無難にはこなしたはず。
まるで夢遊病者のような自分の有様に桃子は呆れ、脱力した。
明かりをつける気力もわかずそのまま机に突っ伏する。
明日が久々のオフという事もあり動く気にもならない。
いつの間にか寝ていたのか甲高い着信を知らせる通知音に飛び起きた。
鞄の中、光るぼうっと手を伸ばし確認する。
表示された雅の文字。
意識が急浮上する。
慌てて通話を押そうとするも僅かな差で切れてしまった。
すぐに折り返し電話をするも繋がらない。
電源が落とされている。
背筋に冷たいものが走る。
たまたまというには不穏すぎる。
遅まきながらも気づく違和感の正体。
ほぼ毎日何らかの形であった雅からの連絡。
それがここ一ヶ月程は今あった着信の一度きり。
最後に会ったのは半月前。
会ったというよりも事務所ですれ違っただけ。
あの時の様子はどうだったか。
心臓が嫌な音をたてた。
あの時、既に雅の様子はおかしかった。
目が合った瞬間、哀しげな色を浮かべすぐに逸らされた。
急いでいた事もあって気のせいかとも思ったがそうではなかった。
何故あの時に行動しなかったのか。
後悔が波のように押し寄せてくる。

414 :名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/18(水) 20:09:35.20 0

だが、原因がわからない。
その前に会った時は何も無かったはず。
午後からのオフが重なって出掛けたあの日。
年齢相応の洋服が必要だったために雅に選んでもらった。
全くといっていい程に理解のできないコーディネート。
散々、ヤダとか変とか文句をつけた。
それでも楽しそうに選んでいた雅。
最終的には押し切られる形となって洋服一式は雅の意見が全面的に取り入れられ桃子の意見は一切合切、却下された。
その後は雅の買い物に付き合い、軽口の応酬。
いつもと変わらないやりとり。
むしろいつもより終始、機嫌がいいような印象さえ受けた。
あの日は翌日の仕事が早いためにどちらかの家に泊まる事もなく、帰宅した。
その後は事務所ですれ違うまで会っていない。
電話も最後にした時はいつもと変わらなかった。
メールを確認するも特に問題があるように思えない。
返信の文面が素っ気ないのは今に始まった事ではないし、筆不精なのはわかりきった事。
それでも以前よりはマシなはず。
自分の行動を振り返ってみてもメールを読み返してみてもわからない。
連絡の九割は雅から。
以前は十割雅からでそれが一度別れの原因になった。
まさかまたそれが原因なのか。
めんどくさがりでどこか斜に構えていたあの頃。
あの時の別れを思い出し桃子は頭が痛くなった。
履歴を呼び出し再度、電話を鳴らしてみるも繋がらない。
何度掛け直しても結果は同じ。
少し前までの毎日のように否が応でも顔を合わしていた日々が懐かしい。
直接、家に行こう。
そう決めるのに時間はかからなかった。
時刻はもう深夜。
以前の自分ならば考えられない行動に思わず笑いが漏れた。

415 : 名前募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/18(水) 20:12:01.23 0

表通りに出てすぐにタクシーを拾う。
行き先を告げ目を閉じた。
程なく雅の住むマンションに着いた。
一人暮らしを始めたと同時に貰った合鍵。
一度も使った事のないそれを今使うのは若干気が咎めるがそんな事は言ってられない。
静かに解錠して中に入った。
真っ暗な部屋。
勝手知ったる他人の家。
一直線に寝室の扉を開けた。
ベッドで眠る雅。
常夜灯に照らされたその顔には涙の跡。
桃子はそっとその跡をぬぐうように頬を撫でた。
「みや」
低く、掠れたような情けない小さな声。
それにも関わらず雅の目が薄っすらと開かれた。
定まらない視線がぼうっとあちこちを彷徨う。
「みや」
「もも?」
雅は緩やかに焦点を結んだ。
覚醒しきっていない甘い声。
「みや」
起こす様にもう一度呼ぶ。
雅の目が驚いた様に見開かれ跳ね上がる様に飛び起きた。
そんな雅の目にしっかり視線を合わせて口を開いた。
「みや、ごめん」
桃子のその言葉に雅は過剰反応を示した。
雅の目からとめどなく涙が零れ落ちる。
小さい子がイヤイヤする様に首を振り、耳を塞いだ。
「みや、聞いて」
雅の手首を掴み耳の側から無理矢理、引き離す。
「聞きたくない」
顔を逸らす雅。
手首を掴んでいた手を放し雅の顔を桃子は自分の方に向けさせた。
「それでも聞いて。ごめん。理由がわからないのに謝るのは悪いと思ってる。でも私の行動の何かがみやを傷つけたんだろうって事だけはわかる。だからごめん。私はまた別れるのだけは避けたい。何がみやを傷つけたのか教えて欲しい」
バシッと鈍い音と痛みが桃子を襲った。
目を白黒させる桃子にまた同じ衝撃が二度三度と襲い掛かる。
「ちょっ、みや、やめ」
「意味わかんない。別れたいのはもものくせに」
振り下ろされるクッションを払い除けると視界に入ったのは涙と怒りと哀しみでぐしゃぐしゃになった雅の顔。
その雅から出た言葉に桃子は呆気に取られた。

416 : 名前募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/18(水) 20:13:06.08 0

「えっ、なんで」
「とぼけないでよ」
弱々しく呟かれた言葉にだが全く身に覚えのない桃子からは間の抜けたような声が漏れただけだった。
「ごめんみや。本当にわかんない」
すうっと雅の顔から表情が抜け落ちた。
「男の人とデートしてたじゃん」
「はっ?」
あまりにありえない看過できない言葉。
「みや、何言ってんの?」
思わずキツくなる口調。まるで喧嘩を売っているようなそれに雅の表情も険しくなる。
「そっちこそ何やってんの。まだ卒業した訳でもないのに。あんな人目に付きやすいところで男と二人で歩いてるなんて」
桃子はその言葉に何となくひっかかるところがあった。
「それに他の人とデートするための服をみやに選ばせるなんてサイテー」
雅に選んでもらった服。
それでひっかかりはすっかりなくなった。
あんまりな勘違いに桃子は全身から力が抜け笑いが溢れた。
そんな桃子の様子に雅の眦がつり上がった。
「何がおかしいの」
怒りを露わにする雅を手で制する。
「みや、それ勘違い。仕事だよ」
これ見てとマネージャーからのメールを雅の顔の前に示す。
仕事の概要が書かれているメール。
勘違いだと理解してくれたのか表情がやわらかくなっていく。
「わかってくれた?」
雅は安堵と恥ずかしさの入り混じったような表情で小さく一つ頷く。
しかしそれはすぐに少し拗ねたものへと変わった。
「でも不安にさせるももも悪い。みやが連絡しないと全く連絡がないなんて信じらんない。ももがめんどくさがりなのも忙しいのもわかってるけど少しは努力するって約束してくれたのに。もうどうでもよくなったとか思っちゃうじゃん」
赤い顔でそっぽを向く雅に桃子は反省しながらもニヤけるのがとまらない。
こんなに素直な雅。
可愛い、愛おしい。
真剣に謝るべきなのだろう。
だが口から別の言葉がついて出ていた。
「許してにゃん」
「ふざけてんの」
白い目で見られるもその赤い顔で今は全く気にならない。
「みやったらもものこと好きだなぁ」
ニヤける顔を止めることもせず言い放つ。
「まあまあ、ね」
そっぽを向いて答える雅は耳まで赤く染まっていた。
可愛すぎるその反応に我慢ができなくなる。
真っ赤な耳に唇を寄せる。
「愛してる」

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます