まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

149 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/10/05(水) 20:25:05.32 0

毎朝通る通学路。
春の心地良い風を感じながら、眠気の覚めきらないまま重たい足を前に進める。
学校自体は嫌いじゃないけど、勉強なんてしたくないし今の担任だって苦手だし。
きっとアイツがいなかったら毎日遅刻と早退の繰り返しだろうなー。
なんて考えていると少し遠くから聞こえてくるアイツの甲高い声。

「あ、みやー!おはよー!」
「おはよ、桃子先輩」
大きく手を振ってくる桃子に言葉だけで返す。
毎朝恒例のやりとりだけど、照れくささや恥ずかしさやから雅は一度も手を振り返せたことがない。

自分と同じ中学に通う一つ上の先輩。
3年生の嗣永桃子。
自分の家と学校の丁度真ん中くらいにある桃子の家。
いつからだろ?この人の登校時間に合わせて家を出るようになったの。
雅はふと一年前の春を思い返した。


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桃子とは小学校高学年からの知り合いだった。
特別仲がいい友達じゃない。
行事やなんかで会ったときに少し話したり、放課後大人数で遊ぶ時に居たかな程度の関係。

今のように仲良くなったきっかけが、雅の中学校入学、そして部活の体験入部だった。


「ねぇみやー、部活どうするー?」
「まだなーんにも。ちぃは?」
「私もまだー」

部活の一覧表を眺めながらアテもなく一緒に廊下を歩く相手は、他の小学校から上がってきた徳永千奈美。
彼女とはクラスが一緒になり、席も近いことから会ってすぐに打ち解けられた。

「ちぃは運動部とかがいいんじゃないの?」
「うーん、でもここの学校の運動部ってめっっっちゃハードなんだって!!」
「別にちぃ運動苦手じゃないんでしょ?」
「ちがぁう!お腹空いちゃうじゃん!!!」
「あ、そこ?」

目を合わせて笑う二人。
出会ってまだ日は経ってないけど、千奈美のこういう性格のお陰で仲良くなれたんだろうなあと雅は思った。

150 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/10/05(水) 20:25:32.14 0

「てかねぇねぇ!」ぺちぺちと雅の方を叩く千奈美。
「ん?」
「ダンス部とかは?」
「あーいいかも。丁度この階じゃん、覗いてみる?」
「うん!れっづごー!」

ダンス部が部室として利用しているのは3階にある多目的室だった。
部室に着くと、あちらこちらから色んな音楽が流れていて、それに合わせて踊る先輩、それを眺める1年生。
パッと見50〜60名程集まっている様だった。
男女比的には9割女子。あまり男子には人気の無い部活らしい。

そしてダンスをすることなく1年生に何やら説明をしている先輩達の中に、見覚えのある顔を見つける。

「あーなんだっけ…つぐ…つぐ…」
「なに?みやなんか言った?」
「いやあそこにいる背の小さい先輩、あの人小学校からの先輩なんだよね」

周りで流れている音楽にかき消されないように少し声を大きくして千奈美に伝える。
するとその声が聞こえたのか、その“背の小さい先輩”がこちらを向いて歩き始めた。

「みやこっち向いてるじゃん、挨拶しなよ」
「いやそんなに仲が良いってわけでも…」
「え、でもこっち向かってきてない?」
「向かってきてる」

無表情で向かってくる先輩に若干気まずさを感じる雅。
が、二人の前に立ち止まった瞬間その無表情から一変記憶に残る笑顔で桃子は言った。

「雅ちゃんだよね?覚えてる?小学校の時に放課後色鬼やったりしたじゃん?あとポコペンとか!」


これが桃子との再会。そして、雅の中学校生活を大きく左右するキッカケでもあった。

196 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/10/06(木) 20:03:24.80 0

桃子との再会、そして千奈美の「運動部は嫌だけど文化部はもっと嫌」この発言から、丁度いいと理由でなんとなく雅と千奈美はダンス部に入部することにした。
ダンス部は毎日、多目的室と放課後空いている教室に部員が幾つかのグループに分かれて練習をする「グループ練習」
そして、最後に1時間程多目的室で部員全員が集まって行う合同練習、通称「合わせ」の時間に区切られていた。
グループ練習では千奈美と同じグループ。
そしてグループは別だったものの、合わせの時間になれば桃子も居る。
小学校では先輩後輩なんて気にしたこと無かったけど、中学に入ると急に芽生える上下関係の意識。
その点桃子のように前から知っている先輩という存在は雅にとって心強かったし、いい意味で気を遣わずに話をできる安心感もあった。

部活が終われば帰り道が同じな部員同士で自然と行動を共にする。
桃子と雅の一番の接点はそこにあった。
毎日の様に一緒に下校する流れで自然と連絡先を交換し、下校後も連絡を取り合うようになっていった。


雅がダンス部に入部して半年以上経ったある日のこと。
いつもの様に下校後、家で横になりテレビを見ていると雅の元に一通のメールが届いた。
今となってはこのやりとりから桃子を意識するようになったのかもしれない。
雅はそんな風に考えた。

【なんかちょっと疲れちゃってさ】

差出人は桃子。
こんな風に桃子が弱音と取れる発言を自分にしてくるのは意外だった。

【なんかあったんですか?】
【うーん、あった。まだ1年生は誰も知らないことだから、明日部活の時話すね】

正直イラっとした。
話振ってきたのそっちじゃん。頼ってくれてるのかな?って少し嬉しかったのに。なにそれ。
…嬉しかった?いや、うん。一友達としてね。うん、そう。友達。

雅のモヤモヤとした気持ちは次の日の朝になっても消えることはなかった。
当然授業も頭に入ってこない。
5時間目までの授業が終わり部室に向かうその足は決していつも通りではなくすごく早足で。
あー千奈美に後で文句言われるわ、なんて思ったのも1人部室に着いてからのことだった。

197 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/10/06(木) 20:04:42.16 0

部室の隣にある部員が荷物を置いたり、資料や音源のCDなどが置いてある多目的準備室。
部屋に入るとそこには一人で窓から外の様子を眺めている桃子の姿があった。

「桃子先輩」
「…っ…あ、みや」雅は自分でも意外な程の不機嫌さが表に出てしまったからか、驚いた様子の桃子に少し罪悪感を感じた。
が、このモヤモヤをいち早くどうにかしたい。

「桃子先輩昨日のメールの話」
「あぁごめんね、もしかして気にしてくれてた?」

もしかしてじゃない。すっごく気にしてた。
…何でだかはわかんないけど。とにかく昨日のあのメールからずっと頭がそのことでいっぱいだった。

「ごめんねみや、なんか気遣わせちゃったみたいで」
「別に大丈夫ですよ、それよりなんかあったなら聞きます、話くらいなら」

自分の意に反してぶっきらぼうな発言しかできないことに更にイライラが募る。
本当はあのメールの意味を早く知りたいし、頼ってくれているならそれを確信したかった。

「実はね、今日の部活終わりにみんなにも話す予定だったんだけど…3年生が2年生に引き継ぎの時期で来春には引退できるように新しい部長と副部長を決めたのね。それでもも、部長になったんだ」

不機嫌な雅とは対照的にゆっくりと落ち着いた口調で話を始める桃子。

「あー…え、はい」
「それでね、もも別にクラスとかでも目立つ委員会に入ったこともないし、リーダー的な存在?そういうのもやったことないし、でもすごくやりたかったの。だから自分から立候補したの。」
「はい…」
「でも正直ね、不安はいっぱいあったり、一番効いたというか、とどめ刺されたって言うのかな。それが帰ってお母さんに報告したらあまり良い言葉を貰えなかったことなんだ」

優しく落ち着いた表情のまま話す桃子、しかしその表情にはどこか悲しげな様子も見て取れた。
確かに部活で部長という大役を担うということは、保護者の役割分担にも大きく影響してくる。
桃子の家には弟がいることも知っていた、きっと親の負担が増えるという点からちょっとした口論にでもなり、家族思いの桃子のことだから昨日のあのメールに至ったのだろう。

198 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/10/06(木) 20:05:00.08 0

「桃子先輩、なりたくて部長になったんですよね?だったらそれでいいじゃん」
「え?」

意外そうな顔で聞き返す桃子。
自然とタメ口になってしまったことに慌てる雅。

「あ、いやタメ口になっちゃってすみません」
「いやそこは別にいいの!だってみや覚えてないかもしれないけど、小学校の時ももにずっとタメ口だったよ?ずっと思ってたけど敬語の方がなんか変な感じしちゃう。それに呼び方もあの頃は“もも”だったし」
「あー…そうでしたっけ…なんかそんな気もしなくもないっていうか…」

思い当たる節はある。
小学生の頃は先輩後輩問わずお互いタメ口で、しかもあだ名や下の名前で呼んでいた。
しかし流石に今となっては「桃子先輩」から「もも」という呼び名に変えることには抵抗があった。

「とにかく、桃子先輩がなりたくてそうなったなら、それでいいじゃないですか。親だって結局はきっとサポートしてくれると思いますし。それで足りなかったらまあ…部活中に関してはうちがサポートするし」
「みや…」
「だからさ、桃子先輩は桃子先輩で、部長頑張ってくださいよ。うちめっちゃ応援するから」

何言ってんだろ自分、そんなことを思った瞬間、桃子に正面からふわりと抱きしめられた。
手を回すこともせず、驚きと恥ずかしさとで固まる雅。

やば、え、めっちゃドキドキしてる…。

「ありがとうみや、そう言ってくれる人が部員に一人でもいると、ももすごく心強い」
「う、うん…」

抱きしめられて名前を呼ばれ、自分の言った事を思い返して、この時初めて雅は自分の気持ちに気がついた。



あー、この人のこと支えてあげたい。友達とかじゃなくて、多分好きになっちゃってるんだろうなぁ…。

287 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/10/10(月) 00:31:30.67 0

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「ねぇみや何考えてるの?」
「え?あ、なんでもない。ちょっとね。」
「えー気になるー」
「なんでもないってば」

隣を歩く桃子に話しかけられ我に返る。
自分の桃子への想いに気付いてからも、桃子との関係は一切変わらなかった。
いや、変わるのが怖かっただけかもしれない。

こうして毎日偶然を装いつつも二人で登校できる関係。
部活中も下校中も、下校後も話せる関係。
それが崩れてしまうのが怖くて、雅はあれから今日までずっと桃子への想いを隠し通してきた。

「新入生もうすぐだね入ってくるの」
「あーそっか、もうそんな時期かぁ」
「みやももう先輩になるんだねぇ」にやにやしながら言う桃子。
「いや、なんで笑ってんの!」
「いやーべっつにー」
「うちだってちゃんと先輩できるし」
「そうじゃなくて、みやが新入部員だった頃のこと思い出すなーと思って」
「いいから!そういうの!」

自分が今まで考えていたことを見透かされているような気分になり、急に恥ずかしくなる。

「あの頃はみやもまだスカート長かったよねー」
「いや、ももみたいに3年になっても膝上にしない方が珍しいから」
「えーそんなことないよー」
「だってそもそも身長伸びたら短くなるじゃん?あ、もも足が…」
「ちょっとみやぁ!」

校門が見える頃には眠気なんてすっかり覚めて足取りも軽くなっていた。
恋とは偉大だ。
一人なら憂鬱な筈の行動も、隣に桃子がいるだけでこんなにも楽しい時間に変えてくれる。

「みやーーーー!先輩ーーーー!おーはよー!!」

校門の先から長い腕を大きくぶんぶんと振る千奈美の姿。
二人揃って手を振り返す。

「じゃあみや、また部活でね」
「ん」
「授業寝ないように!」
「あーもー、はいはい!」

桃子と別れ、雅は駆け足で千奈美の元へ向かった。

328 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/10/11(火) 02:50:52.13 0

数日後、毎年恒例の体験入部が行われた。
結果的にダンス部に入部した1年生は10名ほど。

そしてこの新入生の中で一際目立つ存在が一人。
男子の熊井友理奈である。
1年生とは思えない身長の高さと綺麗な顔立ちで、2,3年生の女子部員の間ではすぐにこの熊井の話題で持ちきりとなった。

当然その話題を繰り広げる輪の中には桃子の存在も在った。


…気に食わない。
楽しそうに笑ってかっこいいだの背高いだのばっかじゃないの。


雅の中ではみるみるうちに嫉妬の感情が芽生えた。
しかしただの純粋な嫉妬心だけでは無かったのだ。

桃子が当然のように男子を異性として見てかっこいいと言っていること。
そして、女の自分がもし仮に気持ちを告げた場合どう思われるのかという不安。

約半年前、桃子への恋心に気付いた時からずっと頭に引っかかっていた。
しかしそれは大して大きなものではなく、どこか現実味を帯びないものだった。
だがいざ目の前でこんな桃子を見てしまったらその不安は途端に大きなものへと変わっていく。


あーもう。新入生なんて入ってこなくてよかったのに…。


そんなことを考えていると不意に横から肩を叩かれた。

「ちょっとみや、顔怖くない?なんかあった?」

心配そうに顔を覗き込んできたのは副部長の清水佐紀。
副部長でありながら桃子よりもリーダーシップに長けていて人望も厚い、そして何よりこの部で一番のダンステクニックの持ち主だ。と、雅は思っている。
こんなこと桃子に言ったら本気で凹むに違いないし、それこそ嫌われかねないが。

「あ、いやそんなこと」
「ももでしょ、見てたの」
「えっ」
329 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/10/11(火) 02:51:23.73 0

心臓がドキリとした。
桃子への感情は誰にも打ち明けていなかったし、自分の中では態度にも現れないように注意していたつもりだ。

「やっぱ図星?」
「あー…まあ…」
「なに、喧嘩でもしたの?」
「全然!そういうわけじゃないんだけど…」

どうやらバレてはいないらしい。
ただ無意識に桃子を眺めていたことに気付かれたのは事実だ。
雅の中で気持ちが揺れ動いた。

ずっと一人だけで抱え込んでいた想い。
相談相手もいなければ愚痴を言う相手もいない。

佐紀ちゃんなら…。

「ねぇ佐紀ちゃん」
「ん?なに?やっぱ喧嘩したの?」
「いやほんとにそれは違くって、今日帰ったら電話できる?」
「いいよ、相談?」
「うーん、まあそんな感じ。長くなるかも」
「わかった。ご飯食べたらメールするね」
「ありがと」

桃子との関係に進展を望んでいる訳ではない。
しかし一度生まれた嫉妬心はなかなか消えず、不安は大きくなる一方だ。
話すだけ話してみよう。佐紀なら考えも大人だし、このごちゃごちゃした感情をどう消化すればいいか相談に乗ってくれる筈だ。


全体練習が終わりその後のミーティングも終えると、この日雅は桃子ではなく他の部員と下校した。
元々桃子と毎日一緒に下校するのもどちらが誘っている訳でもない。自然な流れによるものだ。
ただ今日はなんとなく、桃子と2人になるのは気が引けた。

79 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/10/18(火) 04:01:34.24 0

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家に帰りしばらくすると約束通り佐紀からのメールが届く。
雅は自分の部屋でベッドに横になるとすぐに電話をかけた。
しばらくはお互い次のテストがどうだとか担任の授業中の癖とか、くだらない雑談を続く。
そんな中、本題の桃子のことについて話を切り出したのは雅の方。


「そういえばももってさ、好きな人とかいるのかな」
「なに急に、それってさっき学校で言ってた相談?」
「うーん…違うような違くもないような…」
「ももってあんまり誰が好きとかそういうこと人に言わないんじゃないかなー」
「やっぱり?」
「っていうか、正直ももに関しては私よりみやの方が仲良いと思うよ?私が聞いたことあるくらいなら、みやも絶対聞いてると思う」
「べっ…別にそんな仲良くはないよ」
「そこ否定するところでもなくない?」
「あー…うん」
「なんか今日のみや、みやらしくないね。ハッキリしないっていうか」
「ごめん…」

桃子のことになるといつもこうだ。
自分がどうしたいのか、何を言いたいのか、普段なら簡単なことなのに色んな事がうまくいかなくなる。
そもそも佐紀に打ち明けて本当に大丈夫だろうか。
でも熊井君のことをもしももが好きになっちゃってたら…。
うだうだと頭のなかで考えを巡らせていると、佐紀が再び口を開いた。

80 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/10/18(火) 04:02:05.98 0

「あのさみや、もし違ったら申し訳ないんだけど」
「なに?」
「みやってもものこと好きなの?」
「え」
「いやごめんほんと違うなら違うでいいの、その、友達としてじゃなくてみたいな」

バレた…。
いやそもそも佐紀に言うつもりで電話をかけたのだから、何も問題は無い筈なんだけども。
いざ他人にハッキリと言われると急に恥ずかしくなる。

「みや?」
「あ、うん、なに?」
「もしかしてほんとにもものこと好きなの?」
「絶対誰にも言わないでねほんっとに絶対だよ特にちぃとかダメだからね」
「わかったわかった、大丈夫だから。で、いつから?」
「去年ももが部長になるって決まった時くらいから…かな、多分」

もうここまできたら全部言うしか無い。
ベッドから起き上がりテーブルに置いてある麦茶を手に取ると、雅はそれを一気に飲み干した。

「それでさっきの質問ってことは、ももに告白するつもりなの?」
「わかんない」
「わかんないって…」
「今はするつもり無いけど、いつかはするのかな?」
「私に聞かれても」
「うーん、いやさ、熊井くんって入ったじゃん」
「あの背の高い子でしょ?」
「そうそう、顔もいいし背も高いし、ももも今日他の先輩とそんな話してたし」
「ああ、だからみやあんな怖い顔してたんだ」
「…うちそんな顔してた?」
「してた。そんなに気になるならさり気なくももに聞いてみようか?」
「え…」
「いや嫌なら聞かないけど、どうする?」
「あ…えっと、どう聞くの?」
「熊井くんどう思うー?とか?それとも好きな人いるか聞いたほうがいい?答えるかはわからないけど」

81 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/10/18(火) 04:02:15.57 0

聞けるものならもちろん聞きたい。
だがそれとは真逆に、もし桃子に好きな人がいた場合それを知りたくないという気持ちもある。
悩んだところで結果なんて出そうに無い、雅は佐紀に全て託すことにした。

「任せる、なんかその時の雰囲気で」
「えぇ…結構無茶ぶりじゃない?」
「だってわかんないんだもん」
「しょうがないなぁ…明日部活の時にね」
「ありがと、ごめんね」
「ううん、じゃあ私お風呂入ってくるから、他にもなんかあったらメールして」
「わかった、佐紀ちゃんほんとありがと」

電話を終えると、再び雅はベッドへと横になった。
ぼーっと天井を見上げ考える。
今まで何も進展が無いまま半年以上募らせた桃子への想い。
それが明日になれば、進展とまでは行かないが自分の中での変化には繋がる。
期待と不安からか、さっきの嫉妬心やなんかはすっかり忘れ去っていた。

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