まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

589名無し募集中。。。2019/03/13(水) 23:53:33.380

やつは、寝ていた。
広い広いベッドの上で大の字になって、スマホを握ったまま。

「うっそでしょ……」

お風呂から上がってすぐにそんな光景を目にしたら、誰だってそう言いたくなるでしょ。
だって、ここどこだと思う?ホテルよホテル。
いわゆるあのホテル。休憩とかで使われる、あの。
そんなところに二人で来て、することなんて決まってんじゃん。
それが分かってて、寝たっていうの? この人は。
ゆっくりベッドに近づいて、完全に眠りこけている顔を覗き込んでみる。
半開きの唇はなんだかまぬけで、さっきとは別人みたいだった。
綺麗にくるんと上を向く睫毛を見れば、本人なのは明白なんだけども。
ほっぺを小指でつつくと、ぷにぷにした弾力が伝わってきた。
うっわすごい。見た目以上に柔らかい。……じゃなくってさ。

「起きないし」

こんだけ遊ばれても起きる気配が全くない。何なのこの人。
途方に暮れてベッドに座り込んだら、スプリングが軽く軋む音がした。


ももが彼女――夏焼雅と出会ったのは、数時間前に遡る。
場所は、ももが毎週末通っている、とあるバー。
何のためかって? えーそれ聞いちゃう?
このバーに来るのは、なんでか知らないけど寂しさを抱えた人が多いのね。
そういう人を引っかけ、じゃなかった、癒してあげるのがもも。
狙い目はカウンターの隅っこで、一人でちまちま飲んでるような子。
そんな子を見つけたら、まずは隣に座ってそっと話しかけてみる。
一人で飲んでるわけだから最初は警戒心マックスな人が多いんだけど、そこはもう、ももの魅力でメロメロにしちゃうわけ。
上手くいったら、バーから二人でエスケープ。
幸いなことに、この辺はそういうホテルもピンからキリまでそろってるからね、後はお察しの通り。
ま、ももが相手するのはもっぱら女の子ばっかりなんだけどね。

590名無し募集中。。。2019/03/13(水) 23:57:20.930


というわけで、ももは今日もカウンターでオレンジジュースを飲んでいた。
彼女はカウンターの端で何故かマッコリを飲んでいた。
この店、マッコリなんて置いてたんだ。ちょっと意外。
彼女の横顔は整っていて、ぱっと目を引く感じだった。
すっと引かれた眉のラインの直線的な感じが、潔くて素敵だなって思った。

「マスター、同じの」

ももの視線なんて気にもせず、さらっとマッコリを飲み干した彼女はそう言った。
滑らかに上下するその喉に、そこから発せられた少し掠れた低めの声に、体の中心がぽっと熱くなる。
今日はこの子だ、って直感した。

「隣、いーい?」
「どーぞ」

ももをちらっと流し見て、彼女は少しだけ肩を引きながら椅子に座り直した。
マスターが新しいマッコリを差し出す。
丸いグラスを受け取る爪の先は、ラメ入りのグラデーションでキラキラとしていた。

「ねえ、ここよく来るんですか?」
「いや、初めてで――」

ももが話しかけると、彼女はようやくしっかりとこっちを見てくれた。
ぴたっと停止する視線。
さっきまで興味なさそうだったのが、あれ、この子ちょっと可愛くない?って顔に変わる。
来た、ってももは思う。
戸惑い半分、期待半分のこの視線が好き。それがももに向けられてるってだけで堪んないよね。
にやけないように、ももは必死で頬の筋肉を保つ。

適当に会話を盛り上げたら、相手が良い感じに高まってきたのを見計らって夜の街に誘い出す。
その頃にはもう、相手の視線は期待と欲望たっぷりになってるの。
獲物を捕らえた瞬間の、猛獣みたいなぎらついた視線。
食べられちゃうんだ、って予感が、ももの体を熱くさせる。
ホテルに着いたらあとはもう、ベッドの上で素肌を曝け出して、本能のままに触れ合うだけ。

592名無し募集中。。。2019/03/14(木) 00:00:50.260


……の、はずだったんだけどなー。
かなり良い感じだったじゃん。この部屋入るまでさあ。
手まで繋いじゃって、彼女の手も火照ってて、今日は絶対熱々な夜になるって思ってたのにさあ。
なによ、これ。
脳天気な寝顔にイラッときて、額に軽くデコピンしてみる。

「っ!?」

わりとクリーンヒットしちゃったのか、彼女の瞼がぷるぷると震える。
そのたびに揺れる睫毛が、ベッドサイドの明かりをキラキラと反射した。

「ん……? みや、ねてた?」
「寝てたね。ばっちり」
「んー……そっかぁ」

一瞬起きたかと思った彼女は、くるんと向きを変えて今度は胎児みたいに体を丸めてしまった。
ああもう!

「ちょっと! また寝ちゃうの?」
「んぅ……ねてな、ぃ」
「寝てるでしょうが! そういうの寝てるって言うの!」

こうなったら強硬手段よ。彼女の体をぐいぐいと揺さぶると、さすがの彼女もゆるゆると目を開けた。
そのまま彼女の両手を無理矢理引っ張り上げて、ベッドの上に座らせる。
「何?」って向こうは不満そうに目を擦ってるけど、不満なのはこっちの方よ。

「ねえ、ここがどういうところか分かってる?」
「えー……ほてる?」

純粋な目でそんなこと言いながら、頭をこてんって傾げんのずるい。
そりゃホテルはホテルだ。そうじゃなくて。

「あのねえ、あなたとももは二人きりで一晩過ごすわけ。分かる、この意味?」
「一晩……」

彼女の視線がふわふわと明後日の方向へ漂う。
頼りない様子を見ていると、ももの中でじわじわと不安が大きくなる。

「……ももと、シたいんじゃないの?」
「うぇ? あー……そういうことかあ」

ぼんやりとしていた瞼が、ようやくぱっちりと開いた。遅いわ、にぶちん。
ま、いっか。始めちゃえばこっちのもんだし。
そう思ってたももの耳に、信じられない言葉が彼女の口から飛び出す。

「シてもいいけどぉ、みやよく分かんないよ?」
「……は?」
「そーゆーこと、シたことないし」
「……うっそでしょ」

なんでそんなあっけらかんとしていられるわけ?
ぽりぽりと頬を掻いて、へらっとだらしなく笑う顔が信じられなくてももは二度見した。

「え、今まで彼氏は? 恋人は?」
「みや、なかなか信じてもらえないんだけどさぁ、ミケーケンなの、そういうの」

593名無し募集中。。。2019/03/14(木) 00:01:58.250

一周回って、怒る気力も湧いてこない。
未経験じゃ仕方ないわ、うん。守備範囲外。さよーなら。
とんだ外れくじだった。今日はもものアンテナが悪かった、仕方ない。

「……分かった。今日はもう帰る」

荷物をまとめるためにベッドから降りようとしたら、彼女の声が背中に纏わり付いてくる。

「は? もう深夜じゃん」
「深夜でも何でも、ここにいたって仕方ないし」
「なんで?」
「ここにいる意味がなくなったからでしょ!」

誰のせいだと思ってんのよ、誰の。
今、自分の顔が渋いものでも食べたように歪んでる自覚がある。可愛い顔が台無しじゃないのよ。
その顔のまま振り返ったら、彼女は尚もきょとんとした表情のままベッドに座っていた。

「え、するんじゃないの?」
「……はぁ?」

さっき自分が何を言ったか自覚あるのかな、この子。
一回も経験ないって、するとかしないとか以前の話でしょうが。

「何も知らないくせに」
「知らないけど」
「じゃあ、」
「だから、教えて? みやに」

ももを遮って、彼女の低く掠れた声が、でもほんのりと熱を持った声が、部屋に響いた。
少しだけざらついた彼女の声は、ももの耳を優しく撫でる。

「あなたねえ……」
「みや。みやだよ。ね?」
「……みや、自分が何しようとしてるか分かってる?」
「うん」

いいから、って焦れたようにみやがももを手招く。
ももが近寄ったら、今度は服の袖を摘まんで引き寄せられた。

「後悔しても知らないからね」
「誘ったのそっちじゃんか」

彼女のまっすぐな視線に覗き込まれる。
そりゃそうだけどさあ。処女なんて聞いてないんだよね。
なんて言葉、そんな視線の前では飲み込むしかなくて。

「ね、なんて呼ばれたい?」

ももを試すようにニヤッと笑うみやに、ぞくっと甘い痺れがよぎった。

「……もも」
「もも」

ももがぼそっと言ったのを、みやの声が繰り返す。あ、いいなって思う。
みやの口から発せられるももの名前は、なんだか別の魔法の言葉みたいだった。

595名無し募集中。。。2019/03/14(木) 00:03:25.990


「キスして」って言ったら、みやの人差し指がぎこちなくこっちに伸びてきた。
ももの下唇をなぞって、ふにふにと摘まんで、なんだか形を確かめられてるみたい。
まだかなって思ってたら、それこそぶつかるような勢いでみやの唇が降ってきた。
触れた唇は柔らかくて安心したけどさあ、ムードってもんはないわけ。
まさか、ファーストキスじゃないでしょうね。
聞いてみたら、「さすがにそれはない」って。じゃあどこまであるんだか。

「女の子の唇、めっちゃ柔らかい……」
「もものが柔らかいの」
「……そっか」

もう一回してもいい?って、そういうのは聞かなくても良いんだよ、みや。
両腕をみやの首に回して、ぐいっとこっちに引き寄せる。
みやの唇は、さっきより迷いなく触れてきた。

初めてってこんなにも焦れったいもんだったっけ。
そう思っちゃうくらい、みやの動きは遅々として先に進まない。
でも、それでも、上から下へ、体中全部を丁寧に触られる感覚は悪くなかった。
こんなにゆったりした行為、いつぶりだっけって思う。
みやが困ったようにこっちを見てきたら、大丈夫だよって笑ってあげる。
もっと強くてもいいよって言うのに、みやは優しいままで、でもそれは嫌じゃなかった。不思議なことに。

「……ね、そこ」
「わっ」

触ってって言おうとしたら、みやの指が間違っちゃったみたいな感じでももの中心にあたった。
濡れてることにびっくりしたのか、みやが変な声を出す。もう、笑わせないでよ。

「いれて」
「えっ、どこ?」
「いい、から」

ぼうっとした意識の中で、みやの指先を掴む。
バーの明かりの下で見た、キラキラした爪を思い出す。あ、って思う。ひくん、てももの入り口が震えた。

「……ここっ」
「あっ、ま、まっ待って、もも」
「ゃっ……ぁふ」

一本じゃ足んない。もっといっぱい、ね。

本数の増えたみやの指が、恐る恐るももの中に入り込んでくる。
それを受け入れながら、勝手に突き上げてくる刺激にももは鋭く息を吐いた。
もうちょっと、あと、ちょっとなの。

「……もも」

みやに見つめられてる。みやの声、好きだなって思った。

「あっ!? ……んぅっ!」

体の中に溜まっていた熱が、一瞬にして爆発する。
全身の筋肉が強張って、ももの腰が勝手にがくんと跳ねた。


――認めよう。全ての敗因は、みやの顔がもものどタイプだったってとこにあるって。

597名無し募集中。。。2019/03/14(木) 00:04:28.010


次の日、目覚めた時の気分は悪くなかった。
はっきりしない視界のまま隣を見たら、みやはスマホをいじっているようだった。

「……ぉ、はよ」
「あ、起きた」

みやの声がする。やっぱいいなって思った瞬間、ももの上にみやが覆い被さってきた。
こちらを見下ろす視線が、ももをベッドに縫い止める。
気付けば、ももの両手はみやにしっかり捕まえられてしまっていた。

「へっ、みや?」
「おはよ、もも」

へにゃって嬉しそうに崩れるみやの表情。
でも、その目の奥には、ちりちりと燻る熱が宿る。

もしかして、とんでもないものを目覚めさせちゃったかもしれない。

そう思ったのもつかの間、ちょっぴり強引にこじ開けられる。
生暖かく湿ったみやの舌を感じながら、ももはベッドに身を預けた。

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