304名無し募集中。。。2019/09/05(木) 01:04:00.480
「……あっつ」
耳に届いた自分の声は、めちゃくちゃ不機嫌だった。
「ん……ぅ」
息が苦しい、気がする。え、何これ、おっもいんですけど。
肩をひねろうとしたみやは、ずっしりした重たさに阻まれた。
あー何かにのしかかられてるんだって思った瞬間、首のあたりにふわふわしたものが当たる。
くん、て香るのは、ちょっぴり甘いミルクみたいな柔らかい匂い。みやの大好きな匂い。
「……もも?」
呼びかけてみたけど、みやの上に乗っかった熱は全然動く気配がない。
みやが寝る前にかけてた毛布の代わりに、ももがみやの体をぴったりと包んでいる。
ももの方が体温高くて、じわっとお腹のあたりが温かい……のは、良いんだけど。
ちょっとさ、さすがに重たいわけ。
寝返りを打とうとして、ふと自分の手がぎゅって掴まれてることに気がつく。
掴まれてるっていうか、ももの両手にがっちり握られてるっていうか。
しかも、指先がなんでかしっとりしてるわけ。
「あー、また」
ぴくん、て動かした指先が、ふにゃっとしたものに触れる。
ちょっと湿ってるそれは、たぶん……ももの舌。
前もあったんだよね。ももがみやの指しゃぶりながら寝てたこと。
「もう……」
ももにくわえられてる方の指をを引こうとしたら、ぎゅってももに握り返される。
寝ぼけてるはずなのに力強すぎでしょ。
「もも、もーも」
握られてない方の腕を何とか回して、ももの背中をトントンって叩く。
小さく呻き声がしたかと思ったら、ちゅ、って指先が吸われた。
305名無し募集中。。。2019/09/05(木) 01:04:29.080
「もーも、ももちゃん、起きて」
「ゃ……」
「もも?」
ふんわり目覚めてきたのか、みやの鎖骨にももがぐりぐりとおでこを擦り付けてくる。
ようやく解放された指先は、シワシワになってた。
マジで、いつから吸われてたんだろ。
「み、ゃ……?」
「うん」
「もぉ、ねてた……?」
「ん、ねてたね」
うー、ってふにゃふにゃの声を上げながら、ももが目を擦る。
舌ったらずなもも。だめだこれ、完全にねぼすけさんじゃん。
「ねえ、みや喉乾いたんだけど」
「ゃ……」
お腹のあたりが軽くなったかと思ったら、ぎゅーってももがしがみついてくる。
「ちょっとキッチン行くだけ」
「ちょっと?」
「ちょっと」
「ほんとにちょっと?」
「ほんとにほんと。ちょっとだから、ね」
ちっちゃい子をあやすような気持ちで、ももの背中をぽんぽんと叩く。
だんだんとももの力が緩んでくるのを感じながら、みやはゆっくりとももの腕から抜け出した。
早くね、って拗ねた声でももが言う。言われなくたって、速攻で戻るから。
306名無し募集中。。。2019/09/05(木) 01:05:05.110
お水を持って戻ってきたら、ももは毛布を抱っこして待っていた。
戻ったよって気持ちを込めてほっぺにキスをしたら、ももが首に腕を回してきた。
きゅーってももに引き寄せられるまま、触れるだけのキスをいっぱいかわす。
「おみず、いる?」
「いる」
ペットボトルをほいって手渡すと、ももはそれを両手で掴む。
なんだか危なっかしく思えて、みやはその下にそっと手を添えてあげた。
ももの喉がこくこくと音を立てる。なんだ、ももも喉乾いてたんじゃん。
「……も、いい」
ももに押し返されたペットボトルをサイドテーブルに置くと、それを待ってたみたいにももがみやのお腹に抱きついてくる。
「なぁに、あまえんぼ?」
「ちがうもん」
そうは言うけど、ももはがっちりしがみついて離してくれそうにない。
はいはいって言いながら、ももの頭を撫でてあげる。
ももは心地良さそうに、猫だったら喉でも鳴らしそうな勢いで甘えた声を出した。
「昨日は遅かったの?」
「ちょっとだけね」
「そっか。おつかれ」
腕の中で、ももが小さく頷く。
ももだけお仕事で、みやは明日早いから先に寝ちゃうねってメールしたのが昨日の夜。
別々に寝るのは今までにもあったけど、寂しくさせちゃったかな。
最近はももの仕事が立て込んでたのもあって、たぶんちょっとだけ溢れかけてたんだと思う。
ももの、バケツの水。
「知ってるよー、ももが頑張ってること」
「……ん」
ももの声がちょっとだけトゲトゲする。
あ、照れた。
「もも?」
「……もうねた」
「あは、そっか」
自分でそう言ったら本当に眠たくなったのか、ももの腕がぐんと重たくなる。
そう感じた途端、なんだかももから漂ってくる匂いも強くなった気がした。
そしたらみやも何だか一気に眠たくなってきて。
おやすみ、って最後に言えたかどうか、よく分からないまま、みやは意識を手放した。
307名無し募集中。。。2019/09/05(木) 01:05:27.350
次の日、みやがバタバタ朝の準備をしている間に、ももは目を覚ましたみたいだった。
「夜のこと、覚えてる?」
今日の服を姿見の前で確認しながら、ももにそう聞いてみる。
まあ、返ってくる答えは想像つくんだけど。
「ん? 何のこと?」
今のもも、絶対すっとぼけた顔してる。全く、調子いいんだから。
鏡ごしにももと目が合った。ベッドに寝転がったまま、ももがみやを見てふにゃって笑う。
そのまま寝ちゃいそうじゃん。
ま、何だかすっきりした顔してるしいっか。
「今日、夕方には帰ると思う」
「ん、待ってる」
「あ、洗濯物回しといて」
「んー……覚えてたら」
「こーら」
「えへ」
ぺろりと舌を出して、ももがいたずらっ子みたいにニヤッて笑う。
そんなんで誤魔化されないんだからね。
なんて思うけど、なんだかんだで許しちゃう未来も想像つく。
「じゃ、いってき、」
言いかけた瞬間、見上げるももの目にうっすらとした寂しさが見えた気がして。
ちゃんと一人でお留守番できたら、ご褒美あげるから。
ベッドに寄り道してほっぺにちゅってしたら、ももは満足そうに目を細めた。
おわり
「……あっつ」
耳に届いた自分の声は、めちゃくちゃ不機嫌だった。
「ん……ぅ」
息が苦しい、気がする。え、何これ、おっもいんですけど。
肩をひねろうとしたみやは、ずっしりした重たさに阻まれた。
あー何かにのしかかられてるんだって思った瞬間、首のあたりにふわふわしたものが当たる。
くん、て香るのは、ちょっぴり甘いミルクみたいな柔らかい匂い。みやの大好きな匂い。
「……もも?」
呼びかけてみたけど、みやの上に乗っかった熱は全然動く気配がない。
みやが寝る前にかけてた毛布の代わりに、ももがみやの体をぴったりと包んでいる。
ももの方が体温高くて、じわっとお腹のあたりが温かい……のは、良いんだけど。
ちょっとさ、さすがに重たいわけ。
寝返りを打とうとして、ふと自分の手がぎゅって掴まれてることに気がつく。
掴まれてるっていうか、ももの両手にがっちり握られてるっていうか。
しかも、指先がなんでかしっとりしてるわけ。
「あー、また」
ぴくん、て動かした指先が、ふにゃっとしたものに触れる。
ちょっと湿ってるそれは、たぶん……ももの舌。
前もあったんだよね。ももがみやの指しゃぶりながら寝てたこと。
「もう……」
ももにくわえられてる方の指をを引こうとしたら、ぎゅってももに握り返される。
寝ぼけてるはずなのに力強すぎでしょ。
「もも、もーも」
握られてない方の腕を何とか回して、ももの背中をトントンって叩く。
小さく呻き声がしたかと思ったら、ちゅ、って指先が吸われた。
305名無し募集中。。。2019/09/05(木) 01:04:29.080
「もーも、ももちゃん、起きて」
「ゃ……」
「もも?」
ふんわり目覚めてきたのか、みやの鎖骨にももがぐりぐりとおでこを擦り付けてくる。
ようやく解放された指先は、シワシワになってた。
マジで、いつから吸われてたんだろ。
「み、ゃ……?」
「うん」
「もぉ、ねてた……?」
「ん、ねてたね」
うー、ってふにゃふにゃの声を上げながら、ももが目を擦る。
舌ったらずなもも。だめだこれ、完全にねぼすけさんじゃん。
「ねえ、みや喉乾いたんだけど」
「ゃ……」
お腹のあたりが軽くなったかと思ったら、ぎゅーってももがしがみついてくる。
「ちょっとキッチン行くだけ」
「ちょっと?」
「ちょっと」
「ほんとにちょっと?」
「ほんとにほんと。ちょっとだから、ね」
ちっちゃい子をあやすような気持ちで、ももの背中をぽんぽんと叩く。
だんだんとももの力が緩んでくるのを感じながら、みやはゆっくりとももの腕から抜け出した。
早くね、って拗ねた声でももが言う。言われなくたって、速攻で戻るから。
306名無し募集中。。。2019/09/05(木) 01:05:05.110
お水を持って戻ってきたら、ももは毛布を抱っこして待っていた。
戻ったよって気持ちを込めてほっぺにキスをしたら、ももが首に腕を回してきた。
きゅーってももに引き寄せられるまま、触れるだけのキスをいっぱいかわす。
「おみず、いる?」
「いる」
ペットボトルをほいって手渡すと、ももはそれを両手で掴む。
なんだか危なっかしく思えて、みやはその下にそっと手を添えてあげた。
ももの喉がこくこくと音を立てる。なんだ、ももも喉乾いてたんじゃん。
「……も、いい」
ももに押し返されたペットボトルをサイドテーブルに置くと、それを待ってたみたいにももがみやのお腹に抱きついてくる。
「なぁに、あまえんぼ?」
「ちがうもん」
そうは言うけど、ももはがっちりしがみついて離してくれそうにない。
はいはいって言いながら、ももの頭を撫でてあげる。
ももは心地良さそうに、猫だったら喉でも鳴らしそうな勢いで甘えた声を出した。
「昨日は遅かったの?」
「ちょっとだけね」
「そっか。おつかれ」
腕の中で、ももが小さく頷く。
ももだけお仕事で、みやは明日早いから先に寝ちゃうねってメールしたのが昨日の夜。
別々に寝るのは今までにもあったけど、寂しくさせちゃったかな。
最近はももの仕事が立て込んでたのもあって、たぶんちょっとだけ溢れかけてたんだと思う。
ももの、バケツの水。
「知ってるよー、ももが頑張ってること」
「……ん」
ももの声がちょっとだけトゲトゲする。
あ、照れた。
「もも?」
「……もうねた」
「あは、そっか」
自分でそう言ったら本当に眠たくなったのか、ももの腕がぐんと重たくなる。
そう感じた途端、なんだかももから漂ってくる匂いも強くなった気がした。
そしたらみやも何だか一気に眠たくなってきて。
おやすみ、って最後に言えたかどうか、よく分からないまま、みやは意識を手放した。
307名無し募集中。。。2019/09/05(木) 01:05:27.350
次の日、みやがバタバタ朝の準備をしている間に、ももは目を覚ましたみたいだった。
「夜のこと、覚えてる?」
今日の服を姿見の前で確認しながら、ももにそう聞いてみる。
まあ、返ってくる答えは想像つくんだけど。
「ん? 何のこと?」
今のもも、絶対すっとぼけた顔してる。全く、調子いいんだから。
鏡ごしにももと目が合った。ベッドに寝転がったまま、ももがみやを見てふにゃって笑う。
そのまま寝ちゃいそうじゃん。
ま、何だかすっきりした顔してるしいっか。
「今日、夕方には帰ると思う」
「ん、待ってる」
「あ、洗濯物回しといて」
「んー……覚えてたら」
「こーら」
「えへ」
ぺろりと舌を出して、ももがいたずらっ子みたいにニヤッて笑う。
そんなんで誤魔化されないんだからね。
なんて思うけど、なんだかんだで許しちゃう未来も想像つく。
「じゃ、いってき、」
言いかけた瞬間、見上げるももの目にうっすらとした寂しさが見えた気がして。
ちゃんと一人でお留守番できたら、ご褒美あげるから。
ベッドに寄り道してほっぺにちゅってしたら、ももは満足そうに目を細めた。
おわり
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