まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

42 夏焼雅生誕祭企画@無断転載は禁止 2017/08/27(日) 21:56:19.71 0

「みや、お誕生日おめでとう!」

その言葉に続いて、ぱーんと口に出しながら、クラッカーを引く真似をした。
静かな部屋に、相手のいない祝いの言葉が響く。

何事も練習が大切だ。練習で100%以上の力を出せないのに、本番で100%の力を出せるはずがない。
15年間のアイドル活動により学んだことの中の一つである。

今日はみやのお誕生日だ。二人きりでお祝いをするのなんて、出会ってから初めてのこと。
さすがに、少し緊張する。

練習もほどほどに、疲れて休憩していた、生地を泡立てる作業を再開する。
みやには過去の失敗作(通称オムかぼ)を知られているから、今回こそは成功させたい。
あの経験から、お菓子作りはレシピに忠実にということを学んだ。
まあ、期待値が低いほど上手く見えるから都合がいいというものだ。
驚くみやの表情を想像すると、思わず口角が上がった。

出来上がった生地を、クラストを底に敷き詰めた型へ流し込む。
「ケーキ作り 難易度低い」で検索した結果、チーズケーキを作ることにしたのだ。
ケーキの中では比較的簡単にできるらしい。
ベイクドだと一晩寝かす必要があるということで、レアチーズケーキにした。
あとは冷蔵庫に入れて、2時間ほど冷やせば完成だ。

プレゼントは用意したし、あとは、みやの帰りを待つだけ。
ふと時計を見ると、まだみやの帰宅時間には時間がある。
早く帰ってきてほしいなあ。そう思いながら、読みかけの小説を開いた。

43 夏焼雅生誕祭企画@無断転載は禁止 2017/08/27(日) 21:57:13.20 0

−−−−

「…も、もも」

やわらかい感触と、あたたかい声。目を開けると、そこには、みや。

「……え、みや!?」
「はーい。みやですよー」

おかしそうに笑いながら顔の横で手を小さく振るみや。
回らない頭で、寝てしまっていたことと、みやが帰ってきたこと、
そして、サプライズは失敗に終わったということを知る。

「ごめん、寝ちゃってた……」

申し訳なさと情けなさで押しつぶされそうになっていると、みやは優しく笑った。

「サプライズしようとしてくれてたんでしょ?それだけで嬉しいから」

そう言うと、子どもにするみたいに、頭を撫でてくれる。みやの手のひらから溢れる優しさに、心がほどけた。

「ね、これ鳴らそうよ」

そう言って、みやはテーブルの上に出しっぱなしだったクラッカーを両手に持った。
片手に持った一つを渡してくれる。

せーの、という声を合図に、同時に紐を引っ張る。
パンッという大きな音と、火薬の香り。嬉しそうなみやの笑顔。

練習の成果を出すことはできなかったけれど。
部屋中に、二人で鳴らした音が響き渡った瞬間、幸せだなあって思った。

「みや、お誕生日おめでとう」
「ありがとう。25歳もよろしくね?」

こちらこそという思いをこめて、ぎゅっと、みやの体を抱きしめた。

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