まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

177名無し募集中。。。2019/07/18(木) 01:28:38.830

「もぉみやったらももの事、好きなんだからぁ」

ももはニンマリ笑いながら顔を近づけてきた。
少し前まではよく耳にしていたその言葉。
もはや自分達の間ではネタのようになったそれになぜか言葉がつまった。

「…まあまあね」

口から出たのはいつもとは違う言葉。
それは自分の口から出たくせに予想外のものでしまったと焦ったのはほんの一瞬。
それよりも僅かに戸惑ったような様子を見せるももの反応に焦りは治った。
相手から来られるとダメなのが小さい頃から全然変わらない。
おかしくて小さく笑いが漏れてしまった。
それに目ざとく気づいたももはひどーいと高い声でわかりやすく拗ねたような反応をした。

「もう、うるさいよもも」

注文をしていた佐紀が店員が去るのと同時にももを咎めた。

「だってみやが…」
「まあまあなんだからひどくないでしょ」
「そうそうよかったじゃんもも」

呆れた様子の佐紀にポンポンと肩を叩く茉麻。
二人は見ていなかったのかいつものネタに対する反応だけ。

「全然よくないよ。そこは主役に気を使うところじゃないの」

説明するのが面倒だったのかすぐに二人の言葉にのったももは素直になりなよみや、なんていつもみたいに言ってきた。
ももに本当に素直に言ってみたらどんな反応をするのか。
まあまあなんて言うだけで戸惑うももに悪戯心がわいてくる。
みんなお酒が入っているから今なら冗談で流せるし。

言ってしまおうか

口から出てしまう寸前だった。

178名無し募集。。。2019/07/18(木) 01:31:35.020

「相当気遣ってるでしょ。まあまあなんて」

めんどくさそうな佐紀の言葉ではっとする。
手の中のグラスはいつの間にかだいぶ量を減らしていた。

「そーそー前は確か嫌いじゃないだったじゃん」
「まあそうだけど」

千奈美の追い打ちにちょっと不満そうにももは肯定する。
いいですけどねとちっとも良くなさそうな態度。
また悪戯心が疼きだす。

ちょっとなら大丈夫

「じゃあ好きって事で」
「うっわ、みやちょーてきとー」
「心がこもってなーい」

意図した通りの調子で言えたそれに千奈美とももが全く正反対の反応を示した。

「ほら、もも好きだってよかたったじゃん」

千奈美の笑いをこらえながらの言葉に不満たっぷりのもも。

「みや、もっと心をこめて」
「はぁ?」
「昔は可愛く言ってくれたのに」

ほそっと言うもものその言葉にイラッときて手近にあった生ハムをその口に突っ込んだ。
急なことに目を白黒させながらも素直にムシャムシャと食べる姿につい表情が緩みそうになる。
お酒って怖いわぁなんて他人事のように思いながらまた別の一枚をももの口元にもっていく。

「そういえば嫌いじゃない以外を聞くのって初めてじゃない?」
「確かに。でも、ももは相変わらずだね」
「高校の時から成長してないなーももは」

わざとらしく呆れたように笑う千奈美もそう大して変わらない。
わかりやすくムッとしたももにいつものように噛み付き合いが始まると察してしまう。
それが始まるのが今日はなんだか嫌で反論しようと開いたももの口にまた生ハムを一枚。
何とも表現し難い声を出したももは勢いを削がれたようで不服そうにしながらもおとなしくムシャムシャと口を動かした。

179名無し募集中。。。2019/07/18(木) 01:33:13.850

「高校の時といえばももってなんでうちに来たの?大学は結局元の方に行ったじゃん」

ふと思い出したような佐紀のその問いは自分も知りたいもので、摘んでいた生ハムを今度は自分の口に入れる。
口の直前まで運んでいたせいで口を開けた状態だったももは不満の声をあげた。
それを見て笑う千奈美は器に残る最後の一枚をさらっていった。
項垂れるももの様子を気にせず佐紀は答えを促す。
一瞬考えるような仕草をした後、ももはヘラリと笑った。
その姿に答える気は無いんだなとわかってしまう。

「なんだっけなぁ。気分?」
「なにそれーむかつく」
「ちーちゃんも気分がのらないからって進路、専門学校にしたんだから一緒でしょ」
「一緒じゃありませーん」

ももに噛み付く千奈美の姿はあの頃のまま。
それを横目にグラスを傾けるが口に広がる味にあれっと首を傾げてしまう。
テーブルの上に残っているグラスの中身と自分の手元にあるグラスの中身はよく似た色で間違えたのだとわかった。
まぁいっかと残り少ないそれを飲み干して自分のグラスを手に取り、一口飲んでまたもも達の会話に耳を傾ける。
すでに話の内容はずれ始めていて数分もしないうちに完全に話は高校の頃のものから食べ物の話へと移り変わっていった。
諦めているとはいえやっぱり理由はきけないかと残念に思いながらまたお酒を一口。
薄い味が口に広がった。

「高校といえばもも意外にモテてたよね」

新しい一杯を頼もうと動かした手はなんの脈絡もなく熊井ちゃんから発せられた言葉に止まった。

「えっなに、初耳なんだけど」
「熊井ちゃん、それマジ?」

途端にその場はざわめき、一瞬で皆の目は熊井ちゃんに集まる。
その隙に逃げたのか本人はいつの間にか席を外していた。

180名無し募集中。。。2019/07/18(木) 01:35:20.440

それだけに質問は熊井ちゃんに集中するも要領を得ない説明に皆、首をかしげるばかり。
具体的にどんな相手がいたとかないのという問いにも誰かはわかんないんだけどえーととまた考え出す熊井ちゃん。
気のせいで話が終わりそうになったその時、何か思い出したのかパッと顔が輝いた。

「ほらあの黒髪の。中学の…確か大学も」

それ以上出てこないのかまた考え出す熊井ちゃん。

「みやは何か覚えてる?」
「全然」
「だよねー、ももがモテたねー」

ないわと笑う千奈美に同意する茉麻は何故か微妙な顔。
あっと熊井ちゃんが声を漏らすのと茉麻が口を開くのは同時だった。

「モテたといえばみやでしょ」
「そーそー、みやはまじでやばかったよね」

いきなりこちらに向いた矛先。
同意する大きな千奈美の声に熊井ちゃんの声は消されて何を言ったのかわからなかった。

「そーでもないよ、それよりく…」

あまり触れて欲しくないその話題を否定して熊井ちゃんに聞こうにもまた千奈美に遮られた。

「いやいや、あれでモテてないとかないから」
「帰りとかよく声かけられてたよね」

即座に千奈美と佐紀に否定される。

「あれはただのナンパでしょ」
「ナンパも多かったけどさ今時珍しく手紙渡してきたのもいたじゃん。みやあの人とは付き合ったよね」
「あーあのちっこい人、そーいえばみやのタイプって謎だよね。あのちっこい人の次は熊井ちゃんより大きい人だったし」
「ちゃらかったり、真面目だったりね」

181名無し募集中。。。2019/07/18(木) 01:38:02.930

さっきの話は完全に流れてしまった。
水を向けた本人は熊井ちゃんと二人で別の話で盛り上がっている。
少々恨みがましい気持ちを抱えながら千奈美と佐紀の話に耳を傾けると出てくるのは過去の彼氏と彼氏もどき達。
中にはあまり覚えていない人もいてよく覚えてるななんて他人事のように感心した。
だけどそのほとんどは何回か遊びに行っただけで付き合っていると勘違いした男達。
付き合ってないと否定したところで話が長くなるだけなのはもう嫌と言うほど知っていた。
だから曖昧に濁して肯定も否定もしない。
それに曖昧にしたおかげで回避できていた面倒な付き合いもあるだけに適当に合わせるしかない。
二人の会話に軽く相づちを打ちながら聞き流す。

「今は爽やかそうな黒髪の長身イケメンだっけ」
「それ先月別れたんじゃなかった?」

それは思い出しただけで疲れる勘違い男。
佐紀の問いかけに仕方なく頷く。

「それ聞いてないし。なんでなんで?」
「ちょっとね」
「ちょっとってそれが気になるんじゃん」

お酒のせいか止まらない千奈美に少し参る。
爽やかイケメンなんて見かけだけのなんでも否定して自慢話しかしないナルシスト男。
数度会っただけなのに周りに彼女だと吹聴していて気づけば否定するのも面倒くさいほど広がっていた。
だからいつものように肯定も否定もせずにいたらいきなり別れようなんて意味不明なメールを送ってきたのが先月のこと。
その時のやりとりは思い出すだけでうんざりする。
あの時の凄まじい勘違い。
なんでだったのか全くわからない。

「えーみや覚えてないの?」

千奈美の言葉に無意識に声が漏れていた事に気付き、慌てて適当な理由を口にした。

「あえていうなら性格の不一致?ってやつ」
「どんな?」
「まあ色々?」

お酒のせいか思った以上に絡んで来る。
どんなに聞かれてもないものはなくて答えるのに非常に困る。
答えに窮しているとグラスを二つ持った茉麻が割って入ってきた。

182名無し募集中。。。2019/07/18(木) 01:41:01.90

「はいこれ。そう言うちーはどうなの?」
「あー。んー」

途端に渋い顔になった千奈美は手渡されたたグラスを一気に煽る。
その勢いに止めようとすると水だからって茉麻に囁かれた。

「せーかくのふいっちで別れました」

ワンテンポ遅れて水じゃんって渋い顔をしてそんな事を言う千奈美。
なにそれみやの真似?なんて笑いが起きる。
話が流れそうな空気にホッとした。
このまま話が自分の事から逸れる事を期待したのにそうはならなかった。

「今度合コンあるけど二人も来る?」

来る面子を見せてくる佐紀に乗り気の千奈美。
水を差すようで気は引けたけれどタイプじゃないからと断ると佐紀は心底不思議そうに疑問をぶつけてくる。

「みやのタイプってどうなってんの?ちーちゃんはわかりやすいけどみやほんとバラバラ」
「あーそれあたしもききたい」
「んー直感?」
「何それなんかあるでしょ」
「ないない」
「あっでも全員、年上で色白なのは共通だよね」

指摘されたのは最近まで自分自身ですら自覚のなかった無意識の選別。
ちゃんと付き合ったのは全員、黒髪で色白で少しだけ年上。

「あっもも…」

ドキッと大きく心臓が跳ねた。
さっと血の気が引いていくのがわかる。

「なに?」

真後ろから聞こえたももの声。
バレたわけじゃないとわかってホッとする。
狭いのに千奈美との間に座ろうとするももに苦情の声が上がる。
それを軽くスルーしてももは隣に腰を落ち着けた。

183名無し募集中。。。2019/07/18(木) 01:47:21.090

「どこ行ってたの?」
「ちょっと電話をね」
「ねえもも高校の時モテてたってマジ?」

興味津々といった様子で千奈美はももに絡みに行く。

「いきなりなんの話?」

本当に何もわかっていない時とは少し違うその声の調子と表情はどちらかといえばはぐらかそうとする時のものと似ていて熊井ちゃんの言葉が真実味を帯びる。
だけど皆は気づかないのか本当になんの話だかわかりませんといった様子を見せるももに笑い混じりに説明する。

「さっきくまいちゃんが高校の時にももがモテてたって。本当のところどうなの?」
「モテてたよ」

予想に反してあっさりと肯定したもも。
どちらにせよ絶対はぐらかすと思っていただけに驚く。

「複数の男子に結婚してとかももモテモテで困っちゃったよ」

大振りな動作とわざとらしい物言いに一瞬で驚きは収束した。
この後に続くモテた相手も想像がつく。

「マジ?」
「それ小学生でしょ」

驚く千奈美と冷静な茉麻の声は同時だった。

「なあんだ」

つまんないと言わんばかりの千奈美にネタバラシするのが早すぎると茉麻に文句を言うもも。
呆れたようにそれを見る佐紀とはうらはらに釈然としない表情の熊井ちゃん。

「もも何回か…」

今度はピリリと高い電子音でまた熊井ちゃんの発言が遮られる。
ごめんと断りを入れてももはまた席を離れた。

「ねぇ、熊井ちゃん今何って言いかけたの?」
「何回か告白の場面みたいなの聞いたことがあって、相手の人はしっかり見た事ないんだけど一回はたぶんももが行ってた中学の…」

185名無し募集中。。。2019/07/18(木) 01:49:14.990

「みーやー」

いきなりスマホを片手に千奈美がずしっと肩にのしかかってきた

「この人どう思う?」

それに反応して画面を一緒に覗き込む熊井ちゃん。
興味はもうスマホの画面に移ったようで話を遮られたのは気になっていないようで。
仕方なく見せられたスマホに目を向ける。
画面に表示されている男性は一般的には好まれそうな感じ。
だけどそれはさっき話題になった男とどこか似ていて少なくとも今は良い印象を持てなかった。

「あんまり好みじゃないな」
「えーじゃあこの人は?」

指を横に滑らせて次の一枚を見せてくる。

「んー」
「ダメかぁ」

じゃあと次々と見せられる画像に好みの人なんていなくて渋い返事ばかりしてしまう。
今はいいやっていう断り文句もみやのタイプのリサーチなんて言われてしまえば意味がない。
次々と出てくる画像に辟易していたところで過去の勘違い男が画面に現れ思わず反応してしまった。

「この人興味あるの?」
「いや、違うから」
「えー明らかに反応違ったじゃん」
「あれ、これみやのストーカー君じゃん」

スマホを片手に戻ってきたももは千奈美のスマホを覗き込むとそう言い放った。

「ストーカー?」
「そっなんか勘違いしたみたいで彼氏面でみやの周りうろちょろしてた迷惑野郎。知り合いなら縁切った方がいいよ」

げっ最悪と心底嫌そうに千奈美はすごい勢いでスマホを操作し始めた。

186名無し募集中。。。2019/07/18(木) 01:50:35.300

「じゃあももは迎えが来たから帰るね」
「今の家から?」
「うん、ももの可愛い弟が起きて待ってるみたい」

弟発言で皆の抗議の声は一瞬で静まる。

「みやはどうする?」

時計を見るとなかなか良い時間で何より今帰らないと日付けが変わってしまう。

「帰ろうかな」

躊躇いなく答えたせいかまた即座に上がる抗議の声にごめんまた今度なんて返事をしながらももと外に出た。
あの場にいてまた男性の話になっても困る。
それに最近は会えないことが多いからせっかくの機会を逃すのも惜しい。

「あれ?迎えは?」

出てすぐの店の駐車場にそれらしき車は見当たらない。

「あっちに停めたから」

指差す先にあるのはコインパーキングで首を傾げてしまう。
角を曲がり見えたのは見慣れたもものピンクの愛車。
保険料が高いからとか言って誰にも運転させないその車なのに。

「保険かえたの?」
「んーんどうして?」

いつの間にか料金清算機の前にいたももは財布を片手に渋い顔。

「みや百円持ってない?」
「あるよ」

コインの投入口にそのまま百円玉を入れる。
領収書をしっかり発行するももに苦笑してしまった。
鞄から鍵を取り出し運転席側にまわるももに思わず間の抜けた声を上げてしまう。

「どうかした?」
「ももが運転すんの?」
「そりゃあこれももの車だからね」
「飲酒運転じゃん」
「今日はまだ飲んでないよ。とりあえず乗って。車出さないとまたお金払わないといけないから」

187名無し募集中。。。2019/07/18(木) 01:52:06.180

急かされ乗った車は間髪おかず発進した。
以前乗せてもらった時よりはるかに素早い出庫にある意味で感心する。
いくつも疑問が浮かぶ中、間違えて飲んだソフトドリンクがもものだったらしい事に気付いて顔が熱くなっていくのがわかった。

「…をすっかり忘れてて」

ももがいきなり話し出したのか上の空だったのか聞き逃してしまった最初の部分。

「慌てて来…」
「ごめん何を忘れてたの?」
「今日の集まり」
「それなのによく思い出したね」
「店長にあれ誕生日プレゼントにもらって思い出して。慌てて来たから家に車置いてくる暇なかったんだよね」

あれと言った視線の先をたどると後部座席に黒く細長い箱が投げられていた。

「何あれ?」
「ドンペリニョンロゼらしいよ」
「は?」
「前に欲しいって言ったの覚えてくれてたみたいで卒業と就職祝いも兼ねてって」
「その店長怪しくない?就職本当にそこで大丈夫なの?」

いくら春から社員になるとはいえバイトに数万円するプレゼントなんて怪しすぎる。
以前バイトしていた時の苦々しい思い出が蘇る。
店長を蹴り飛ばして逃げたあの時のことからつい何か別の意図があるのではと疑ってしまう。
それを知っているせいかももは違う違うと笑いながら変な意図はないからと否定する。

「みやも知ってる人だよ。小学生の時よく愛理と行ってた喫茶店、覚えてる?あの時相手してくれてたお姉さんが今は店長さん」

印象深い思い出にすぐに仲の良かった三人の姿が蘇る。

「あのいつも眠そうだった人?それとも高い声の人の方?」
「違うよ、色白の背の高いお姉さん。ウェイターの制服着てた人だよ」
「ああ、あの人」

188名無し募集中。。。2019/07/18(木) 01:53:06.870

思い出の中のその人は鮮明に浮かぶけれどマニッシュな感じでお姉さんという単語に結びつかなかった。
そういえば何かお祝い事があると小さなプレゼントをくれていた。
きっと変わってないんだろうなって少し可笑しくて笑ってしまう。

「たぶんその人。だから大丈夫」
「ねぇだったらなんでバイト先、教えてくれなかったの?」
「なんとなく恥ずかしいから?」

本心なのか嘘なのか車内が暗くて判断できない。
でもどちらにしてもこれ以上の答えなんて出てこない。

「…そういえばなんで迎えなんて嘘ついたの?」
「なんかみや困ってたみたいだから。それに自分の車でって言ったら足にされそうだし」
「乾杯の時はビール飲んでなかった?」
「あれはノンアルコール。だから運転は大丈夫。帰ったらあれ一緒に飲もうよ」

みやとあれ今日飲む気でいたから早めに出たかったんだとももは笑う。

「よかったよみやが一緒に帰ってくれて。今日逃したらいつ飲めるかわかんないし」
「ももが貰ったんだから好きな時に飲めばよくない?」

ももの言葉が嬉しいのについ素直じゃない言葉が出てしまう。

「二人で前飲んでみたいねって約束したんだからみやと一緒じゃなかったらダメだよ」

当たり前のことのように言うもも。
それは小さい頃にテレビを見ながらした他愛もない約束の一つ。
まさかももがそれを覚えているなんて思っていなかった。

「まさかみや覚えてない?」
「覚えてるけど、ちょっと驚き。ももが覚えてるなんて」
「もぉみやったらひどいなぁ約束は覚えてるよ」
「今日の忘れてたのに?」
「それとこれは別ですぅ」

189名無し募集中。。。2019/07/18(木) 01:54:47.080

寄っていい?と近くのコンビニの指すももに頷く。

「えー?ももよく忘れるじゃん」
「忘れないし、ふ…」
「えっ?」

あまりに小さな声音で返された答えは聞き取れない。

「なんでもなーい」

駐車場の端にすっと停車させたももにアレっと首を傾げてしまう。

「もも運転上手くなった?」
「そうかなぁ?ここ最近よく乗ってたからかな?」

口ではそう言いながらも嬉しいらしく口元が少しにやけていた。

「で、さっきなんて言ったの?」
「んー?」

生返事しながらドアを開けるももにやっぱダメかとドアに手をかける。
運転席が閉まる直前、辛うじて聞き取れた声にドアを開ける手が一瞬止まる。
聞こえたそれは少し不満だけどそれは自分も同じだからその不満はただのわがまま。
相変わらずなももに複雑な気持ちになるけれど他より特別なことはやっぱり嬉しい。
緩む口元を隠しながら車から出るとももはいたずらな笑みを浮かべていた。

「遅かった方がおごりね」

一方的にそう言い放ってももは一足先にかけだしていた。

二人との約束は特別だから

その言葉に免じて奢ってやるかなんてゆっくり後を追った事をカゴに入った大量の食料に少しだけ後悔した。

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