まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

762名無し募集中。。。2018/02/13(火) 19:49:54.050

協力者の目星は既に付いていた。昔、一緒に寺田屋の舞姫として群舞をしたことがあるレイナとアイリだ。
レイナの父親もアイリの父親も巡回班の班長をしている。見回りの予定表を手に入れるには十分だろう。

問題は、二人がそのことを大人たちに告げないかどうかだ。まずは明日学校で二人を呼び出し、それとなく話してみる必要がある。

 
翌日、ミヤビは早速レイナとアイリを空き教室に連れ出した。

「それ本気で言っとーと?」
「本気です」
猛反対するかと思ったが、レイナは意外にも冷静に話を聞いてくれていた。

「ミヤに何かあったらどうするの?」
「それはその時。覚悟はしてる」
アイリも反対はしなかった。もしもの時を気にかけてくれているようだった。

「途中で失敗しても生きて帰って来られなくても、どうしても行きたい。マイハのためでもあるけど、これはミヤのためでもあるから」
レイナとアイリは一瞬困惑したように目配せをしたが、そこまで言うならと最後は笑って引き受けてくれた。
そうと決まれば次はどのようにして森に行くか決めなければならない。

 
見回りの予定表はレイナが何とかしてくれることになったが、予定表を手に入れたところで、ミヤビが動けなければ意味がない。
側近の人は学校の中には入って来ないものの、常に学校の外で待機しているため、学校の行き帰りに森へ行くのは得策ではない。

「あとはもう寝てる時を見計らうしか……」
「ミヤとアイリが入れ替わる、とかどうかな?」
「そんな魔術使えたと?」
魔術じゃなくて、とアイリが説明を始めた。
「ミヤとアイリって背丈が似てるから夜なら誤魔化せないかな? ほら、髪の長さも同じくらいだし」
アイリ曰く、アイリの母はアイリの父が巡回から帰ってくるのを居間で待っているため、その隙に裏から抜け出せるという。

「それでどうやってミヤと入れ替わるの」
「ミヤの家、ご不浄が外にあるでしょ。アイリがお家を抜け出したあとミヤの家のご不浄に潜んでおくんだよ。ミヤはご不浄行きたいって部屋を出るの」
「流石に側近も中までは入らないから……」
「その間に入れ替わって出てくるってわけ」
「暗くて顔もよー見えんけん」「バレないってわけです!」
アイリは得意げに鼻を膨らませた。

「でもさ、そのあとアイリもお家戻らないとアイリが何か知ってるってバレるよね?」
「それは大丈夫! 上手く撒ける自信あるんだ」
「ホントに大丈夫?」
「任せて! お父さんが帰って来る前にアイリもお家に戻るから」
「レイナ、巡回のことはよくわかっとーとよ。時間帯は班毎に変わるっちゃけど、行って帰って来るのに2時間はかかる」

ミヤビとアイリがレイナの発言に驚いていると、弟がこの間尾行したけん、とレイナは笑った。

763名無し募集中。。。2018/02/13(火) 19:54:45.210

・・・

こうして決まった脱出計画は、念入りに打ち合わせを重ね、とうとう本番の日を迎えた。今夜9時、アイリの父親達が森の周辺の見回りを行うことになっている。
その隙にミヤビは迷いの森へと向かうのだ。

巡回の経路はレイナが弟から上手く聞き出してくれた為、鉢合わせにならないよう緻密な計画を立てた。
あとはもう成功を天に祈るのみだ。


レイナは成功祈願に大切にしていた水色の組紐でミヤビの髪を結わいてくれた。
「これしとったら絶対に大丈夫やけんね」
「レイナちゃんありがとう。迷惑かけてごめんなさい」
「レイナも6人のこと気になるけん手伝ったとよ」
「絶対成功させますんで」
「うん。気ぃつけてね」
レイナはミヤビの背中をポンと叩いた。三人で舞姫をしていた時、本番前によくやってくれたおまじないだ。
ミヤビは背中のじんとした痛みにレイナの優しさを感じていた。いつまでたってもミヤビにとってレイナはお姉ちゃんのような存在だった。


アイリは一番危険な役回りだ。親の目を盗んで家を抜け出し、ミヤビに成りすまし、ミヤビが無事に森へ駆け出したあと、再び家に戻らなければならない。
アイリが無事に家に戻れたのかミヤビは確認する術もない。ただお互いを信じて走るしかないのだ。

「最後に聞くけど、本当にいいのね? こんな博打に賭けてくれるのね?」
「うん。だってアイリにとってもあの長屋の7人は大切な仲間だもん」
「……わかった。ありがとうね、アイリ。無事を祈ってる」
「ミヤもね」
「じゃあ、今夜の9時、決行で」


こうして作戦は実行された。
アイリは暗闇の中、ご不浄で息を潜めて待っていた。「気をつけてね」と小さく囁くと、ミヤビに成りすましご不浄を後にした。
遠ざかっていくアイリの足音を聞き届けてから、ミヤビはご不浄を出た。近くに誰もいないことを確認すると、音を立てないように、けれども早足で森へと駆け出した。

心臓が早鐘のように打っていた。
これまでの人生で最も緊張した瞬間であることは間違いなかった。

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