607名無し募集中。。。2019/06/28(金) 01:55:10.960
なんで居るの
朝起きて、リビングのドアを開けた瞬間見えた光景に、思わずそんな言葉が浮かぶ
そのままを口にしていた
「んー?なに、居たら悪いの?」
「いや、そんなことないけど」
びっくりした
ももはいつも、夜中か朝方にはベッドを抜け出して帰ってしまう
その物音で目覚めることもあれば、外から聞こえるタクシーの音で察することもあるんだけど
どちらにせよ、初めて朝になってもももが居た
人工的な部屋の灯りじゃなくて、日光のおかげで明るい部屋にももが居る
ももが、居る
嬉しいやらなにやら、色んな感情が押し寄せてきて混乱する
「あの、牛乳あるけど、...飲む?」
変にたどたどしくなったみやの言葉に嬉しそうに頷くももを見て、まだ夢でも見てるんじゃないかって本気で思った
608名無し募集中。。。2019/06/28(金) 01:56:24.000
「あのさ、いつ、帰るの?」
「え」
「え?」
牛乳も飲みきってグラスを流しに運んだタイミングで聞いてみたら、目をまん丸にしたももに見つめられてこっちが戸惑う
「みや今日空いてるでしょ?」
「うん」
「ももも1日暇だから一緒に居よ」
あーやっぱり自分に都合のいい夢を見てるだけなのかもしれない
ももに手を伸ばして、ほっぺをつねってみた
「いふぁっ!ちょ、みゃっ?」
「ちゃんと触れる...」
夢じゃない
ももが少し赤くなったほっぺをさすりながら睨んでくるけど、そんなことより現実が受け止めきれない
そっか、ももは今日1日帰らないんだ
みやと一緒に居てくれるんだ
嬉しくて嬉しくて、だけどバレないようにニヤけそうになる口元を引き締めた
609名無し募集中。。。2019/06/28(金) 01:58:03.170
「本当にいいの?」
「だから、いいってば」
みやが何度も聞くから、ももは呆れたような顔で頷いた
だけどさ、2人で街を歩いてるとこなんて
あの人に見られたら困るんじゃないの?
そんな言葉を口にできるほど、みやは強くないから
現実にはそっと蓋をして、夢みたいな時間を楽しむことにした
「はらじゅく、はらじゅく」
「もも行ったことないでしょ」
「ば、ばかにしないで、ももだってはらじゅちゅ...はらじゅくくらい行ったことあるから!」
「あは、噛んだ」
「むー、いいもん先行く」
そういえばももって子供っぽかったなって
最近忘れかけてた当たり前のことを、ふと思い出す
こんな風にももの前で笑ったの、久々かも
気が付けば、ぷりぷりと怒りながら人混みの中を先に行こうとするももの手をとっていた
「もも、迷子になるから」
咄嗟に口を突いた言い訳
恥ずかしくなって離そうとしたら、追いかけるように握り返される
盗み見たももの表情からは、何もわからなかった
「おいひ〜」
「でしょ?やっぱタピだよね、みやこれだけ飲んで生活できるもん」
「え、そんなんだから肩カリッカリなんだよ!」
みやのおすすめのお店に連れてって、2人で他愛もない話をして
ちょっと前に流行ったお店に行って定番を頼んで、せっかくチーズを伸ばして写真を撮ろうとしたのに、ももは顎が疲れるとか言い出して伸びる前に噛みちぎりながら食べるから、ちょっと喧嘩になったけど
そんな機会も最近は無かったから、なんだか昔に戻った気がした
610名無し募集中。。。2019/06/28(金) 02:00:44.340
すっかり日も暮れて、駅の改札前
一緒に改札を通るものだと思ったのに、繋がれた手を引っ張られて振り返った
「もも、こっちだから」
あー、そうか、そうだよね
昔みたいに、家の方向が一緒だからって理由で同じ電車に乗る気でいたけど
ももがこのまま自分の家に帰るわけないよね
いきなり頭上から冷たい水を浴びせられたみたいに、一気に体温が下がるのがわかった
「そっか、じゃあ、またね」
「うん、今日はありがとう。楽しかった」
本当に?
本当に、みやと居れて楽しかったって思ってる?
相変わらず、心の中でしか言えない
繋がった手が、緩む
離したくない、でも、ダメ
名残惜しい気持ちのまま、ももの手を離した
にっこりと微笑んで、手を振って
そのまま背中を向けて改札を通ってからは、振り返らなかった
きっとまた、しばらくももは来ない
次に会えるのはいつだろう
手に残る温もりを確かめるように、ぎゅっと握ってみた
ももだってみやみたいに
ほんの少しだけでも、寂しいって思えばいいのに
なんで居るの
朝起きて、リビングのドアを開けた瞬間見えた光景に、思わずそんな言葉が浮かぶ
そのままを口にしていた
「んー?なに、居たら悪いの?」
「いや、そんなことないけど」
びっくりした
ももはいつも、夜中か朝方にはベッドを抜け出して帰ってしまう
その物音で目覚めることもあれば、外から聞こえるタクシーの音で察することもあるんだけど
どちらにせよ、初めて朝になってもももが居た
人工的な部屋の灯りじゃなくて、日光のおかげで明るい部屋にももが居る
ももが、居る
嬉しいやらなにやら、色んな感情が押し寄せてきて混乱する
「あの、牛乳あるけど、...飲む?」
変にたどたどしくなったみやの言葉に嬉しそうに頷くももを見て、まだ夢でも見てるんじゃないかって本気で思った
608名無し募集中。。。2019/06/28(金) 01:56:24.000
「あのさ、いつ、帰るの?」
「え」
「え?」
牛乳も飲みきってグラスを流しに運んだタイミングで聞いてみたら、目をまん丸にしたももに見つめられてこっちが戸惑う
「みや今日空いてるでしょ?」
「うん」
「ももも1日暇だから一緒に居よ」
あーやっぱり自分に都合のいい夢を見てるだけなのかもしれない
ももに手を伸ばして、ほっぺをつねってみた
「いふぁっ!ちょ、みゃっ?」
「ちゃんと触れる...」
夢じゃない
ももが少し赤くなったほっぺをさすりながら睨んでくるけど、そんなことより現実が受け止めきれない
そっか、ももは今日1日帰らないんだ
みやと一緒に居てくれるんだ
嬉しくて嬉しくて、だけどバレないようにニヤけそうになる口元を引き締めた
609名無し募集中。。。2019/06/28(金) 01:58:03.170
「本当にいいの?」
「だから、いいってば」
みやが何度も聞くから、ももは呆れたような顔で頷いた
だけどさ、2人で街を歩いてるとこなんて
あの人に見られたら困るんじゃないの?
そんな言葉を口にできるほど、みやは強くないから
現実にはそっと蓋をして、夢みたいな時間を楽しむことにした
「はらじゅく、はらじゅく」
「もも行ったことないでしょ」
「ば、ばかにしないで、ももだってはらじゅちゅ...はらじゅくくらい行ったことあるから!」
「あは、噛んだ」
「むー、いいもん先行く」
そういえばももって子供っぽかったなって
最近忘れかけてた当たり前のことを、ふと思い出す
こんな風にももの前で笑ったの、久々かも
気が付けば、ぷりぷりと怒りながら人混みの中を先に行こうとするももの手をとっていた
「もも、迷子になるから」
咄嗟に口を突いた言い訳
恥ずかしくなって離そうとしたら、追いかけるように握り返される
盗み見たももの表情からは、何もわからなかった
「おいひ〜」
「でしょ?やっぱタピだよね、みやこれだけ飲んで生活できるもん」
「え、そんなんだから肩カリッカリなんだよ!」
みやのおすすめのお店に連れてって、2人で他愛もない話をして
ちょっと前に流行ったお店に行って定番を頼んで、せっかくチーズを伸ばして写真を撮ろうとしたのに、ももは顎が疲れるとか言い出して伸びる前に噛みちぎりながら食べるから、ちょっと喧嘩になったけど
そんな機会も最近は無かったから、なんだか昔に戻った気がした
610名無し募集中。。。2019/06/28(金) 02:00:44.340
すっかり日も暮れて、駅の改札前
一緒に改札を通るものだと思ったのに、繋がれた手を引っ張られて振り返った
「もも、こっちだから」
あー、そうか、そうだよね
昔みたいに、家の方向が一緒だからって理由で同じ電車に乗る気でいたけど
ももがこのまま自分の家に帰るわけないよね
いきなり頭上から冷たい水を浴びせられたみたいに、一気に体温が下がるのがわかった
「そっか、じゃあ、またね」
「うん、今日はありがとう。楽しかった」
本当に?
本当に、みやと居れて楽しかったって思ってる?
相変わらず、心の中でしか言えない
繋がった手が、緩む
離したくない、でも、ダメ
名残惜しい気持ちのまま、ももの手を離した
にっこりと微笑んで、手を振って
そのまま背中を向けて改札を通ってからは、振り返らなかった
きっとまた、しばらくももは来ない
次に会えるのはいつだろう
手に残る温もりを確かめるように、ぎゅっと握ってみた
ももだってみやみたいに
ほんの少しだけでも、寂しいって思えばいいのに
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