まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

668 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/03(金) 04:46:37.36 0

年を越す前、周囲が最後の追い込みにかかる時期には早々に大学からの合格通知を手にしていた。
年が明けなんとなく気の抜けた状態。
気の緩みからか風邪を引き、免疫力が弱まった所に登校し、今度はインフルエンザ。
五日間の出席停止の終わりと同時に始まった自由登校。
今日からはもう卒業式まで来る必要のない学校へそれでも足を運んでいた。
駐輪場に自転車を置き、向かう先は部室棟。
秋まで所属していた、もはや幽霊部員しかいない文芸部の部室。
一番端にあるその部屋に入る。
しんと冷え切った室内。
部屋の片隅にあるロッカーから毛布を一枚取り出す。
無駄に大きい使い込まれ、草臥れたソファ。
一つだけある小さな電気ストーブをソファの側に寄せる。
テーブルの上に荷物を置き、鞄から文庫本を取り出す。
いつものように毛布を被り寝転んだ。


急に吹き込んできた冷風に意識が浮上する。
いつの間に寝ていたのか文庫本は床に落ちていた。

「あっいた」

入口から聞こえてきた耳慣れた声。
ゆっくりと体を起こす。
視界に入る明るい髪色。

「夏焼さん、寒いから早く閉めてくださーい」

「ねぇ最近いつも入る気がするんだけど授業出なくていいの?」

後ろ手にドアを閉め雅がソファに近づいてくる。

「んー、みやはバカだねぇ。出なくていいからここにいるんだよ。それよりただでさえ、成績良くないのにサボってたら留年するよ」

文庫本を拾い上げ、やや端にズレると当たり前のように隣に腰掛ける。

669 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/03(金) 04:47:34.85 0

「はっ?今日はサボってないし。今もう昼休み。それと出なくていいとか意味わかんない」

時計を指差され、視線を向けると確かに昼休みの時間。
だが、まだ始まって1分も過ぎてない。
教室から部室棟に来るには些か早過ぎる。
走ってきたのか顔が少し赤く息も乱れている。

「三年生はもう自由登校なんだよ。それと今日はって偉そうに言う事ではないし、ここに来るの早過ぎ。そんなにももに会いたかったの?」

揶揄うような口調で言うと途端にむっとする雅。

「何言ってんの、違うし。昼寝に来たの」

被っていた毛布を引き剥がされ、強奪された。
端にズレたせいでストーブの恩恵にもあやかれない。

「寒い!返して。もう一枚あるんだから取ってきなよ」

「えーももが取ってきなよ。ね、もうちょっと端、寄って」

「先輩!もも、セ、ン、パ、イ!」

「はいはい。じゃあ先輩、ありがたく使わせてもらいますね」

体に毛布を巻きつけ寝転がる雅。
全く聞き入れる気がない。
さすがに寒い。
仕方なく立ち上がり毛布を取り出す。
振り返るとソファは完全に雅に占拠されていた。
ソファ以外に座る所は無いにも関わらずだ。

「ちょっとみや、ももが座るとこない」

やや眠そうな表情で頭の方を少し空ける。
不満ながらもそこに座る。

「もも、ひざかして」

承諾する前に雅の頭が太ももに乗った。
あまりの珍事に抗議するのも忘れてしまう。
既に目を閉じ寝る状態の雅。

670 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/03(金) 04:48:47.61 0
「みや、お昼ご飯は?」

「んーいらない」

「体調悪いの?」

「ねむいだけ」

億劫そうに答えるその様子に口を閉ざす。
すぐに聞こえてくる寝息。
視線は雅から離れない。
短くなった髪に着崩された制服。
そのせいでよく見える白い首筋とちらりと覗く鎖骨に視線を囚われる。
無意識に触れそうになった手をぎゅっと握り締めた。
深いため息が漏れた。
無理矢理、雅から目を逸らし文庫本を手に取る。
少し折れ曲がってしまったページを開いた。
先程までは気にならなかった時計の音がやけに耳につく。
全く進まないページ。
諦めて鞄にしまい音楽プレーヤーを取り出す。
目を閉じて音に集中しようにも足の上にある雅の存在に気を取られる。
一曲聴いただけで諦め、イヤホンを外し異変に気付いた。
荒い呼吸音。
眉間にはややシワが寄っていた。
首筋に手の甲をあてた。
熱い。
明らかに熱が出始めている。

「みや、起きて。体調悪いなら帰ろ」

肩を軽く叩くと薄っすらと目を開けた。
とろんとした目は確実に体調がおかしい時、特有のもの。

「…いや」

「だったら保健室で休もう。ここで寝てたらよけいに悪くなるよ」

それにも雅は首を微かに横に振り拒絶の意を示す。
だからと言ってこのままでいい筈もない。
立ち上がろうとすると制服のブレザーの端をぎゅっと捕まえられた。

671 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/03(金) 04:50:53.41 0

「…どこいくの?」

熱のせいか少し潤んだ瞳にまるで縋られているようでドキッとする。
だが、やや幼げな口調にますます心配になる。

「みやの担任の先生に早退するの伝えに行く」

「いかなくていい、かえんない」

まるで駄々っ子のような口調。
頭をそっと撫でながら問いかける。

「なんで?今日何かあるの?」

言う気が無いのか体調が更に悪化したのか、口も目もぎゅっと閉じてしまった。
何があるにしろこのままの状態が良い訳がない。

「ねえ、みや手放して」

そう言っても制服から手は放されない。
無理に振りほどくのも躊躇われる。
幸い捕まえられているのはブレザーだけ。
仕方なくブレザーを素早く脱ぎ捨て、ドアへ走り出す。

「すぐ戻るから」

がばりと起き上がりこちらを見た雅の目には涙が浮かんでるように見えた。

一歩外に出ると刺すような寒さ。
校舎内に入るとカッターシャツしか来ていないのが目立つのか走っているのが目立つのか視線が突き刺さる。
雅の担任がいるはず教科準備室に行くも誰もいない。
それならばと保健室に行くも午後から出張の貼り紙が。
あまりのタイミングの悪さに呆然としてしまう。

「もも?どうしたの?」

後ろから掛けられた声に振り返る。

672 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/03(金) 04:51:52.24 0

次の授業の資料かプリントの束を手に抱えている茉麻。

「みやが体調不良で。早退させようと思ってきたんだけどこれだし、担任の先生もいないし」

「あー、まぁが伝えとくよ」

どこか苦笑いのようにとれる表情の茉麻に首を傾げる。
みやの荷物を取りに行くために茉麻の横に並ぶ。

「ところでもも、なんでそんな寒そうな格好してんの?」

「んー?成り行き?」

何それと聞く茉麻を笑って誤魔化す。
すぐに教室に着く。
空っぽの机に薄っぺらな鞄。
普段なら何をしに学校に来ているのかと苦言を呈したくなる状態。
だが、今はそれがありがたい。
何も考えず軽い鞄だけを持って部室に駆け戻った。

静かに部室内に入る。
ソファで寝ている雅に近づく。
真っ赤な顔に荒い呼吸。
抱きしめられるように握られているブレザー。
頬にある涙の跡、目尻に溜まった涙。
出るときに見た涙は雅は見間違いではなかった。

「みや、起きて帰ろう」

ブレザーに手をかける。
少し力を入れた。

「やっ!」

パチリと目が空き、強く抵抗された。
予想外の行動に呆気にとられる。
雅の焦点が緩やかに結ばれていく。
ただでさえ赤い顔がさらに紅潮する。
普段なら揶揄って遊ぶ所だが今はただただ心配になるばかり。
ぱっと放され戻ってきたブレザーは見る影もなくくしゃくしゃだった。

「みや、お家に連絡して迎えに来てもらおう?」

「…いま、だれもいない。しんせきのおそうしきできのうからいないの」

673 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/03(金) 04:52:48.19 0

今日はとことんタイミングが悪いらしい。
雅は家が遠く電車通学だったはず。
この状態で一人で帰れるのかもわからない
こうなると家に帰した所で心配しかない。

「ももも一緒に行くから取りあえず病院行こ」

コクリと頷いたのを確認して立ち上がらせる。
それだけでふらつく雅の体を支えながらコートを着せる。
なんとか駐輪場まで行き、荷台に雅を座らせた。
初めての二人乗り。
腰に回された腕に背中に密着した雅の体。
ドクドクと早鐘を打つ心臓はしかしすぐに伝わってきた高すぎる体温に静まる。
フラフラと漕ぎ出した自転車。
すぐ近くの病院に行き下された診断はインフルエンザ。
自分がかかったのと同じ型。
インフルエンザで休む前日も部室で会っていた。
流行っているとはいえ自分がうつした可能性の高さに申し訳なくなる。
高熱でぼーっとしている雅を再び自転車に乗せ我が家に連れ帰った。
ひとまずそのまま自室に。
冷え切った室内に即座に暖房を入れた。
半分意識のないような状態の雅。
誘導しながらブレザーとスカートを脱がせ、ベッドに寝かせた。
制服がシワにならないうちにハンガーに掛け、クローゼットをあさり出す。
程なくして奥に仕舞い込んでいた少し大きめのスウェットの上下を発掘した。

「みや、取りあえずこれに着替えて」

振り向くも薬を飲んだせいか既に寝ていた。
起こすのも気が引けて暑いくらいに布団を掛け、家を出た。
ドラッグストアで必要なものを手当たり次第にカゴの中に入れて行く。
ずっしりと重くなったカゴ。
普段の自分の買い物では見た事のない精算額。
病院と合わせてあっさりと諭吉が飛んでいった。
多めに貰った今年のお年玉に感謝しつつ、猛スピードで自宅に戻る。
すっかり日は暮れている。
急いで片付け、レトルトのおかゆを温め、自室に運ぶ。

674 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/03(金) 04:53:46.28 0

「みや、起きて。少しでいいから食べてお薬飲もう?」

ゆっくり開いた目はよく分かってないのかぼーっとしている。

「もも?」

「んっ?起きれる?」

コクンと頷く雅の背中を支えながらヘッドボードに寄りかからせる。

「水飲む?」

また頷く雅の口元にコップを近づける。
自分で持つ気配がないためそのまま頭を支えコップを傾かせる。
一口飲んだのを確認してからコップを離した。

「まだいる?」

小さく首を横に振るのを確認してからコップを置き、おかゆに持ち替える。

「食べられるだけでいいから食べて」

匙に少し掬い口元に運ぶ。
僅かに開いた口に差し入れる。
三回目で首を振られる。

「もう無理そう?」

首肯されおかゆを置く。
処方箋を見ながら薬を取り出し雅の口の中に。
また頭を支えコップを口元まで運びゆっくりと傾かせる。
ちゃんと嚥下したのを確認してからベッドに寝かせた。
おかゆを下げ、洗面器とタオルを持ち自室に戻る。
まだかろうじて起きていた雅に声をかけた。

「みや、着替えられそう?」

また首肯が返ってくる。
声を出すのもまだしんどいのか、頷きだけ。
顔の紅潮具合も病院に行く前とあまり変わらない。
体温計が何処に仕舞われているのかわからないため熱が少しでも下がったのかもわからない。
それでも一人で着替えられそうにはない事だけはわかる。

675 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/03(金) 04:54:47.16 0

「ごめんね。出来るだけ見ないようにするから」

もう一度、体を起き上がらせてヘッドボードにもたれかからせる。
カッターシャツのボタンを一つずつ外す手が僅かに震えている。
カッターシャツを脱がせ、キャミソールも一思いに脱がせた。
下着一枚になった雅。
うっすらと全体的に赤い素肌に目を奪われる。
バクバクとうるさい鼓動。
固く絞ったタオルを手に終始俯いている雅に近づく。
出来るだけ見ないように前側を拭く。
背中を拭こうにも家具の配置が悪い。
正面から手を回すしかなくまるで抱きつくような体勢になってしまった。
キスが出来そうなほどの至近距離。
雅の腕が背中に回る。
耳元で聞こえる吐息。
鼓動は外に聞こえるほど大きくうるさく、頭の中は沸騰しているようだった。
震える手で背中にタオルを当てた。

「…んっ」

恐らく少し冷えていたために漏れた声。
でもその声でプチンと切れた。
一周回って真っ白になった頭。
何も思考できない状態は逆によく、残りの全身を素早く拭き、事務的にスウェットに着替えさせる事ができた。
ベッドに寝かせると頭まで布団を被ってしまった雅。
静かに部屋を出て洗面器を処理。
そこまでが限界だった。
鏡に映る姿は首まで赤く、まるで自分まで発熱したかのよう。
雅の赤く染まった肌が吐息が薬を飲ます時に触れた唇の柔らかさや体を拭く時に触れた素肌の感触それらが一気に蘇る。
家に帰ってからの一連の行動が自分を身悶えさせた。
一体どれほどの間、そこにいたのか。
自室の方からの物音で我に返った。
慌てて自室に戻るとベッドから起き上がろうとしたのかベッドサイドで雅が座り込んでいた。

676 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/03(金) 04:55:48.37 0

「みや、どうしたの?」

「…ももがいなくなったから」

涙声で縋るようにぎゅっと抱きついてきた雅を宥めながらベッドの中に戻す。

「…そばにいてくれる?」

涙目で見上げられ手はぎゅっと握られる。
返す言葉などひとつしかない。

「ずっといるよ。だからおやすみ」

眠るまで頭を撫でる。
学校ではもちろんごく稀に数人で遊びに行った時でも見せてもらえない甘えた態度。
いつものツンツンした態度からは考えられない。
体調が悪いのは良くないがインフルエンザに感謝したくなった。
少しだけと布団の中に潜り込む。
握られた手はそのままにいつの間にか寝ていた。

翌朝、眩しい光に目を覚ます。
目を開くと雅の寝顔。
一瞬、状況が理解できず固まってしまった。
握られている手の感触に徐々に理解する。
雅はまだまだ起きそうにない。
ゆっくりと手を解くとそっとベッドから起きだした。
朝食の準備をして戻ると泣きそうな顔の雅。

「…うそつき」

ポツリと言われた言葉に心が痛くなる。

「ごめんね。心細かったよね」

「ずっといるっていったのに」

「うん。ごめん。みやが起きてからにすればよかった」

近づいて抱きしめると抱きしめ返された。
今だけ。
治ったらこんな事できるわけがない。
暫くして落ち着いた雅に昨夕と同じようにご飯を食べさせ薬を飲ます。
首筋に手の甲をあてる。
昨日よりは少し下がっている。
ほっと安堵の息を吐く。
手を退かそうとすると雅に手を掴まえられ昨晩のように握られる。
すぐに寝息が聞こえてくる。
熱で弱っているからなのに。
ただたまたまいただけなのに。
雅から求めらていると勘違いしてしまう。
魔が差した。
そっと頬に手を添える。
熱い唇。
柔らかな感触。

「好きだよ、みや」

直接伝える気のない言葉。
思わず漏れた言葉に我に返って赤面する。
また起きてしまわないようにさっきよりも慎重にそっと手をはなし部屋を出た。

677 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/03(金) 04:56:58.90 0

やってしまった。
頭を抱える。
この後、何もなかったかのように顔を合わせる自信がない。
ぐるぐると答えのでないどうしようが頭をめぐる。
それを遮ったのは聞いた事のない着信音。
玄関から聞こえてくるそれ。
雅の鞄を玄関に置きっ放しだった。
取り出した携帯のディスプレイにはママの文字。
切れる事のない着信に慌てて電話を取った。
明らかに娘でない声に出し不審そうな調子な女性の声。
事情を説明すると恐縮しきりですぐに迎えに行きますと電話が切れた。
それと同時に自分の携帯にも母親からの着信。
もうすぐ家に帰り着くからだけで切れた。
程なく帰ってきた家族。
旅行の土産話をしようとするのを遮って現状報告。
それが終わったのと同時に雅の両親が現れた。
一通りの親同士の見慣れたやりとり。
仕切りに謝罪と感謝をされた。
それが終わり自室に案内する。
まだ寝ていた雅を父親が抱えて帰っていった。

あの日から一度も学校に行く事なく漫然と日々を過ごしていた。
あまりのだらけ具合に叱られるも何をする気も起きない。
当初の予定では卒業まで部室に通うつもりだったのに。
もう卒業式は明日にまで迫っていた。
どう雅と顔を合わせたらいいのかわからない。
一度、雅から感謝のメールが来たのに対して当たり障りのないメールを返したきり。
それからは何も連絡はない。
部活の先輩後輩。
しかも兼部でサボリ場所確保のためだけに入って来た幽霊部員。
卒業したら何の関わりもなくなる。
たまたまあったら多少言葉を交わすかもしれない。
そんな程度の関係。
それで良いと思っていたし、それ以上は望めない。
雅への想いは明日まで。
それなのにあの日の雅を思い出してはそれ以上を望みたくなってしまう自分がいた。

678 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/03(金) 04:58:24.45 0

卒業式。
つつがなく式は終わり後は帰るだけ。
親には先に帰ってもらった。
未練がましくも部室に足を向けていた。
ドアを開け、中に一歩踏み出し硬直してしまった。
待ち構えるようにソファに座っている雅。

「なんでいるの?」

その一言に顔を顰められた。

「メール見てなかったの?」

慌てて携帯を確認すると部室で待ってるというシンプルなメール。

「ごめん見てなかった。何か用事?」

意外にも平静を装う事のできている自分に内心で拍手を送る。
言いづらそうに口ごもる雅。
何を言われるか気が気ではなかった。
暫く続く沈黙。
遠くでなるチャイムの音。
それに意を決したように雅は顔を上げた。

「みやがももの家に泊まった日の朝、みやにキスした?」

確信とは遠いその響きになんとか平静を保つ。
いつものように。揶揄うような口調で。
そう自分に言い聞かせて口を開いた。

「そんな事してないよ。もうみやってば、そんな夢見るなんてももの事、そんなに好きなの?」

いつもの調子で言ったのにいつものように否定の言葉が飛んでこない。
それどころか雅は俯いてしまった。

「…ょ」

「んっ?何?」

「好きだよ」

顔を近づけ聞き直した耳に入ってきたのは現実とは思えない言葉。
白昼夢を見ているに違いない。
雅の隣に腰掛ける。
こんな都合のいい事があるわけがない。
あの日は別として雅からの好意なんて知人以上のものを感じた事などない。
必死に思考して一つの答えにたどり着いた。
ああタチが悪いな。
浮き足立っていた心がすぅっと冷えた。

「ももの返事きかせてよ」

たどり着いたタイミングで聞かれる。
にっこりと笑って答える。

「ももも好きだよ」

679 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/02/03(金) 04:59:28.14 0

ぱっと顔を輝かせた雅に次の言葉を投げつけた。

「で?これはなんの罰ゲーム?それかどっきり?」

パシッと頬を打たれた。
涙を流す雅に頭が真っ白になる。

「サイテー」

吐き捨てるように言われる。
立ち上がる雅にやっと頭が追いつく。
今にもドアから出て行きそうな雅の腕をギリギリで掴んだ。

「はなしてよ!」

滅多に聞かない雅の大声。
疎らにいた人の目が一斉にこちらに集まる。
振りほどかれそうな手に必死に力を込めてもう一度、部室の中に引き摺りこんでドアを閉めた。
暴れる雅を押さえつけキスをした。
唇を噛まれ、一度離れる。
ジワリと広がる鉄の味。
キッと睨み付けられる。

「ごめん。信じられなくてひどい事言った。ももも好きだし、あの日キスした。誤魔化してごめん」

目を合わせていられなくて思わず俯く。

「ホント最悪」

「ごめん」

吐き捨てるような響きにますます頭も気持ちも下がる。
また沈黙が続く。
何を言っていいかわからない。
でも何か言わないと。
焦りばかりが募る。

「許して欲しかったらももから言ってよ」

拗ねたような物言いに混じるあの日聞いた甘えたような響き。
差し出された救いの手。
これを間違えるわけにはいかない。
しっかりと目を合わせる。

「みやが好き。ももと付き合ってください」

咲きほころぶような笑顔。
抱きついてきた雅。

「ずっとそばにいて」

耳元で囁かれる。

「ずっといるよ」

どちらともなく顔が近づく。
重なった唇。
血生臭くしょっぱい。
でもどこか甘く感じた。

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