802名無し募集中。。。2017/12/30(土) 01:05:41.490
傷ついてる。そんなつもりなかった。
あれからずっと、うちはぐるぐると同じことを考えている。
自分で選んだことだから。
そう言い聞かせて、物分かりの良いフリをしていたはずなのに。
もも? もう、どこに行っちゃったの。
佐紀ちゃんの声がして、はっと現実に引き戻された。
MV撮影の合間、休憩もそろそろ終わるというのにももがいない。
たったそれだけで、大方の想像がつくようになってしまった。
探してくる。
平静を装って椅子から立ち上がったうちの腕は、冷たい指先に捕まった。
離して、キャプテン。
交わした視線だけで、佐紀ちゃんの言わんとすることが伝わってくる。
行くなと制する瞳は強い。でもそんなものに負けてる場合じゃないし。
キャプテン、ともう一度呼びかけたけれど、力は緩まない。
……佐紀ちゃん、お願い。
いや無理だから、と佐紀ちゃんが静かに首を振る。
その度に揺れる髪の毛から伝わって、冷たい空気が鼻先に触れた。
5分で戻るから。
無理に振りほどいた手首には、赤黒い跡が浮き上がる。
803名無し募集中。。。2017/12/30(土) 01:06:11.760
見当をつけて覗いた部屋に、ももの姿はちゃんとあった。
電気なんてついていなくて、ドアを閉めると部屋の中はほとんど真っ暗になった。
視覚が邪魔。そんな気がして目を閉じた。
ももの肺からこぼれる荒い息が降り積もって、むせ返りそう。
探しに来た。
簡潔に、目的だけを告げる。
ゆっくりと踏み出したはずの靴底は、やけに派手な音を立てた。
できれば、今は会いたくなかったかな。
その音だけで、全身がももの体温を想起する。
きっと間違ってない。差し出した指が、しっとりとしたももの髪の毛を捉えた。
だから、そんな顔するくらいなら来なくていいって。
呆れたような声とは裏腹に、小刻みに震えるももの体はちっぽけに感じた。
また、そうやって。人の気持ち勝手に作りやがって。
我慢できないくせに。
いつもの自分じゃ考えられないくらい、強引にももの体を抱き寄せた。
ううん、どちらかというと締め上げた。
呼吸の詰まる音がする。息苦しいのか、ももが背中を何度も叩いてくる。
5分で戻るって言っちゃったの。
だから黙って、その熱をうちに預けてよ。
ももの口を手のひらで覆って、もう一方でももの全身を弄った。
あと2,3分てとこ?余裕だし。
804名無し募集中。。。2017/12/30(土) 01:06:56.700
白昼夢のような時間のさなか、ふと佐紀ちゃんの言葉がよぎった。
自分が特別だって思うの、やめた方がいいよ。
そんなの、もう分かってる。
うちがいようが、いなかろうが、ももは何も変わらない。
もものくぐもった声が手のひらにぶつかって、限界が近いことを知った。
誰でもいいなら……うちでいいじゃん。
声に出したら、それはストンと腹に落ちた。
スタジオに戻ったのは、ジャスト5分後。
マネージャーさんと佐紀ちゃんからお小言を食らったけど、あんまり耳には残らなかった。
上の空だったのは、ももも同じ。おそらく、あっちは別の理由だけど。
ももが珍しくNGを連発したこととか。
うちもつられてミスてしまったこととか。
他のみんなにもミスが連鎖したこととか。
目の前で起こる全てを受け流しながら、うちはただ腹の底に沈んだ言葉のことを考えていた。
傷ついてる。そんなつもりなかった。
あれからずっと、うちはぐるぐると同じことを考えている。
自分で選んだことだから。
そう言い聞かせて、物分かりの良いフリをしていたはずなのに。
もも? もう、どこに行っちゃったの。
佐紀ちゃんの声がして、はっと現実に引き戻された。
MV撮影の合間、休憩もそろそろ終わるというのにももがいない。
たったそれだけで、大方の想像がつくようになってしまった。
探してくる。
平静を装って椅子から立ち上がったうちの腕は、冷たい指先に捕まった。
離して、キャプテン。
交わした視線だけで、佐紀ちゃんの言わんとすることが伝わってくる。
行くなと制する瞳は強い。でもそんなものに負けてる場合じゃないし。
キャプテン、ともう一度呼びかけたけれど、力は緩まない。
……佐紀ちゃん、お願い。
いや無理だから、と佐紀ちゃんが静かに首を振る。
その度に揺れる髪の毛から伝わって、冷たい空気が鼻先に触れた。
5分で戻るから。
無理に振りほどいた手首には、赤黒い跡が浮き上がる。
803名無し募集中。。。2017/12/30(土) 01:06:11.760
見当をつけて覗いた部屋に、ももの姿はちゃんとあった。
電気なんてついていなくて、ドアを閉めると部屋の中はほとんど真っ暗になった。
視覚が邪魔。そんな気がして目を閉じた。
ももの肺からこぼれる荒い息が降り積もって、むせ返りそう。
探しに来た。
簡潔に、目的だけを告げる。
ゆっくりと踏み出したはずの靴底は、やけに派手な音を立てた。
できれば、今は会いたくなかったかな。
その音だけで、全身がももの体温を想起する。
きっと間違ってない。差し出した指が、しっとりとしたももの髪の毛を捉えた。
だから、そんな顔するくらいなら来なくていいって。
呆れたような声とは裏腹に、小刻みに震えるももの体はちっぽけに感じた。
また、そうやって。人の気持ち勝手に作りやがって。
我慢できないくせに。
いつもの自分じゃ考えられないくらい、強引にももの体を抱き寄せた。
ううん、どちらかというと締め上げた。
呼吸の詰まる音がする。息苦しいのか、ももが背中を何度も叩いてくる。
5分で戻るって言っちゃったの。
だから黙って、その熱をうちに預けてよ。
ももの口を手のひらで覆って、もう一方でももの全身を弄った。
あと2,3分てとこ?余裕だし。
804名無し募集中。。。2017/12/30(土) 01:06:56.700
白昼夢のような時間のさなか、ふと佐紀ちゃんの言葉がよぎった。
自分が特別だって思うの、やめた方がいいよ。
そんなの、もう分かってる。
うちがいようが、いなかろうが、ももは何も変わらない。
もものくぐもった声が手のひらにぶつかって、限界が近いことを知った。
誰でもいいなら……うちでいいじゃん。
声に出したら、それはストンと腹に落ちた。
スタジオに戻ったのは、ジャスト5分後。
マネージャーさんと佐紀ちゃんからお小言を食らったけど、あんまり耳には残らなかった。
上の空だったのは、ももも同じ。おそらく、あっちは別の理由だけど。
ももが珍しくNGを連発したこととか。
うちもつられてミスてしまったこととか。
他のみんなにもミスが連鎖したこととか。
目の前で起こる全てを受け流しながら、うちはただ腹の底に沈んだ言葉のことを考えていた。
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