まとめ:雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ

128名無し募集中。。。2019/09/11(水) 00:21:50.930

「遅かったね」って、みやは言った。
最初私にはその言葉が聞き取れなくて、扉の取っ手に指をかけたまま、固まってしまった。
ううん、ほんとは聞こえてたけど。この人は何を言ってるんだろう。
私が、みやから責められる理由なんか、あっただろうか。
「待っててなんて、言ってなかったと思うけど」
言いたくもないことを、言ってしまった。

広いウッドデッキに椅子を置いて、みやが座っている。
デッキから見えるのは鬱蒼と茂った黒い木々。その隙間から遠くに、チラチラと街明かり。
都会から、そこまで離れてるわけじゃない。
もうひとつ、置いてあった椅子に私は腰掛けた。
川のせせらぎの音が足元から上がってくる。私は両手で音を立てないようにそっと、スカートのしわを伸ばしていた。
月の光が落ちていて、私の手の甲は青白く発光しているようで
ライトもないのにこんなに明るいんだとか、夜になってだいぶ気温が下がったなとか
カーディガン持ってきて正解だったなとか、そんなことを考えていた。

隣からフッと吐息のような笑いが漏れ聞こえて、空気が緩んだ。
「うん。そう。私が勝手に待ってただけだけど」
みやの独り言のような呟きに、私は鼻からゆっくり息を吸う。
言葉を発する前に横からみやの手が伸びてきて、私の左手にそっと触れ、それから重なった。
思わず動いたかかとが椅子の足を蹴ってしまったから
「ごめん」って言葉が口からこぼれ落ちた。
みやの手が私の手の甲を叩く。「そういうのやめよう?」

立ち上がったみやを私は見上げた。
ここに来るまでのことを思った。
特急列車に乗っている間に、たくさんのことを考えた。
みやからの気まぐれなLINE。一枚の画像は、言ってみればただの旅先の風景で
不意に、そこにある心境の変化を感じたと思ったのは、気のせいかもしれない。
勘違いならそれでもいいかって、それならそれで笑えばいいんだし
それで明日からまた何も変わらない、ただ幸せな毎日が続いたらいいって。
「返事がないから」
みやの声は不思議なくらい静かで、やっぱり、何かが違う。
来ないと思った?って言って、笑ってやろうかと思ったら
「来ると思った」って、みやは屈んで、私に口付けた。
この唇を、私はよく知っている。
指先が髪を撫で、耳の後ろを通って首筋に降りた。
知らないフリをしてやりたい。

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