雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - なっさんともーさん 7
605名無し募集中。。。2018/12/03(月) 23:26:19.170

思い掛けず与えられた時間は、でも、楽しくおしゃべりするような時間でもなかった。
あと35分。私は助手席のもーさんを気遣いながら、ブレーキに置いていた足をゆっくり浮かせる。
「眠っていいよ」と言うと「大丈夫」と返ってきた。
それだけのことだけど、もーさんが起きててくれるなら、嬉しい。
前を見ながら時々、どうでもいい話題を探して、ちょっとずつ話す。
誰かと2人でいて、こんな風に、会話に気を使うなんてあんまりないことのような気がして
私はほんの少しだけ緊張していた。
慣れない道のせいかもしれないけど。
「何か、お礼しないと」ともーさんが言った。
「こんなわざわざ時間使って送らせてさ。私なんて、なっさんに何もしてあげれてないのに」
「いいよそんなの」私は急いで言った。
そんなこと言わないで。そういう関係に、なりたいんじゃない。
「何があっても、貸し借りなしでいいの」
そう言うと、もーさんはふふと小さく笑った。
「筋を通すも何もないね。それじゃ恋人じゃん」
不意に投げられた言葉がじわっと、胸に広がる。冗談だとわかっているけど
それでも良くない?良くないか。何だよそれ。
駄目だ。ゆっくりブレーキをかける。進んだらいけない。
このまま、まだこのまま、ふわっとさせておきたい。
このまま、目的地になんて、ずっと着かなくても。
なんて。
そんなこといくら思ったって、着いてしまう。
着くに決まってる。ほんと、カーナビって優秀です。
下り坂の途中、大きくカーブを切る手前
「この先は、ややこしいからここで、大丈夫」
そんな、もーさんの言葉に私は何か言いかけて、口を噤む。
左に寄せながらハザードボタンを探すと、もーさんの手が伸びてきた。ランプが点滅する。
「通りに出るんだったら、ここ右に抜けて」
「わかった。まあ、大丈夫。ナビの言う通り行く」
住宅街は、しんとしていた。
「今日は本当に、ありがとうございました」
「いえいえ、お大事にね。お疲れ様でした」
私は気持ちを切り替える。よし。無事に送り届けた。そう思うと、じわじわした安堵が体の力を緩ませた。
これで、足取りを見送ったら、あとはのんびり自分のうちに帰ればいい。
シートベルトをはずしたもーさんが、後部座席を振り返る。そこに、コートとバッグを置いていた。
私は前を見ていた。対向車が来ても通れると思うけど
トラックが来たら少し下がらなければいけないかもしれない。
それは、まったく予期していないことだった。
ごそごそと荷物を探り、体を起こしたもーさんの頭が
そっと、私の左肩に乗せられた。
ハッとして、私は動けなくなる。
ハザードの点滅するライトが、うるさい。ううん、この点滅が、私たちを覆い隠してくれている。
どれくらい時間がたっただろう。もーさんが、口を開いた。
「どうして、何も言わない?」

606名無し募集中。。。2018/12/03(月) 23:29:06.140

やっちまった。と私は思った。
あまりの動揺に、これはまずいことになったのだ。という某部長の口癖が頭の中でこだまする。
私は混乱しながらそれを全力で振り払った。
そう。具合悪くて会社から車で送り届けてる相手が肩に寄りかかってきたら、まず
「ちょっと大丈夫?」とか「具合悪い?もうちょっと車で休んでく?」とか
とっさに口から出てるだろうと思うわけで
固まって無言のまま既に数分たってしまった今
私は、何か意識してることをはっきり悟られてしまったわけで
どうしよう。
こういうとき、なんて言えばいいの?
車内の空気はむせ返りそうなほど、濃く、色が深くなっていて
私は音を立てないようにそーっと唾を飲み込んだ。
で、でも、そっちだって、おかしいじゃん。どうして何も言わない。
またそれきり黙ったまま。私に、何を伝えようとしてる?
なんでもいい。
何か言葉にしないと、窒息しそうだ。この、空気に。
「……誘ってんの?」
思わず、私はそんな言葉を吐いていた。自分で自分の言葉に戦慄する。
いや、その時私は、本当にそう思うしかなかった。
肩の上で、もーさんの頰がかすかに動いた。
笑っている。
私の中で、言葉にできない感情が膨れ上がって、破裂寸前で
「いいの?」何を言ってんだ。言葉は掠れた。
「何が?」
「……やっても」
「何を?」
ふざけてる。いいの?いいなら、するけど。
私は寄りかかっているもーさんの体を起こすと
首を傾け、唇に顔を近づけた。間近に
急にふっと吐息をかけられて、狼狽えた私の唇はもーさんの頰を擦った。
かすかに。それだけで
どれだけそうしたかったか、思い知らされる。
狂ってる。
もーさんは優しく、手で私の体を押し返すと
「送ってくれてありがとう」と言い
体を起こして助手席のドアを開ける。冷たい空気が一気に流れ込んできた。
私は顔も上げられず、見送ることもできず
ハンドルに手を置いて、必死に崩れ落ちそうな体を支えていた。
この気持ちって、私の知ってる限り、恋でしかない。
わかってやってんの?
そっちは、どうなの?

607名無し募集中。。。2018/12/03(月) 23:32:48.270

2人きりになりたい。
とても、シンプルな話ですよね。
いろんな手段があると思う。内線かけて繋がったら誘ってみるとか。
実際に仕事してるとこへ出向いていって「ちょっといい?」って連れ出すとか。
別にいいよ。しても。全然、こっちからしたっていいんだけど
私にもさ、プライドってもんがあるじゃん。
粉かけられて、そのままホイホイまた「さーせん、もっかいお願いしまっす」なんて
言いに行けってか!?
先に仕向けてきたのはそっちなんじゃないの?そっちだよね。肩に顔なんか
肩に顔なんか、顔乗っけてきたり……したのは。
それってもうあれだよね。完全に、あの、何だっけ。
健康診断の問診票を配っていた総務の須藤さんがボソっと「誘い受け」と独り言を言い
私の後ろを通り過ぎて行った。
それだ。その、よくわかんないけど卑怯なやつ。
急に、そんなことするから、だから、私はもーさんに、キ
手のひらでバン!っとデスクを叩くと、フロア中の人がこっちを見た。
「いっ……た」私はジンジンする手のひらを抑えながら体を折り曲げた。
どうして、あれきり、何も連絡してこないの。
週末は何も手につかなかった。もーさんのことばっかり考えてた。
この気持ちが何なのか、1人で考えてても、わかんない。教えてよ。
これまで私、どんな恋愛してたっけ。少なくとも、こんなんじゃない。
うまくいくことばっかじゃなかったけど、自分の気持ちだけは絶対信じてた。
だけど今、自分のことが信じられない。足元がグラグラして、1人じゃ立っていられない。
仲良くなりたかった。いろんな話して、いっぱい笑って
励ましあえるような、楽しみを分けあえるような、友人になれると思ってた。
なのにどうしてこんなことになってるんだろ。
今、お預け食らった犬みたいに、ただ一方的に、飢えてる。
くっそ……こんなの全然、私じゃない。
次会ったらどうしてくれよう。がぉ!って食ってやろうか。
自分の顔がぶわっと引き攣るのがわかった。それから、カッと熱くなる。
勢い良く顔を上げると、一斉にフロアの空気が引いた。
私は構わずモニタに向かい、ブラウザを立ち上げる。
職権乱用って大嫌い。だけど、もうなりふり構ってられない。死んじゃうもん。
生き死にに関わってるんだから、しょうがない。
派遣の勤務予定表を見る。
ああ、さすがに、あれから少しはセーブしたのかな。前に見た時ほど、遅くまで予定は埋まっていない。
午後の1時間、空きを見つけて
私は彼女をリザーブした。