雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - 〜みやもも奥様劇場3〜
54名無し募集中。。。2018/09/10(月) 01:01:20.440

〜みやもも奥様劇場3〜

階下からミヤの「ママー」と呼ぶ声が聞こえるまで、何をしていたのだろう。
桃子の顔が離れると、雅は急に恥ずかしくなり狼狽えた。途端に全身が汗ばむ。
慌てて立ち上がり見下ろすと、桃子はきょとんとしたように、唇を薄く開いたまま雅を見上げていた。

「また会いに来て」玄関先で桃子はそう言った。
ミヤは両側から桃子に手を取られ、その背中を預けていた。
雅は屈むとミヤに目を合わせて微笑んだ。「また遊びに来てもいい?」
コクリと頷くのを見た瞬間、その小さな体が雅に向かってくっついて来る。桃子が手を離してミヤの背中をそっと押したのだ。
そのまま抱きとめるとミヤはしがみついてきて「また来てね」と言った。
雅は恐る恐る背中に手を回し、その、壊れそうなほどの儚さを抱いた。

駅に着けば。電車に乗ってしまえば。いつものスーパーに寄れば。家に帰れば。
取り戻せるだろうと思った現実感は一向に雅の体に降りてこなかった。
遅い食事の支度をする。リビングからテレビの音が聞こえる。
テーブルに着いて夫と他愛無い会話を交わした。少しの沈黙のあと、雅はたまらず切り出していた。
「今日、一緒に寝たい」
夫の顔を見て取り繕うような笑いが漏れる。
「あ、そっか。今夜も仕事持ち帰ってるんだっけ」
来週には。そんな夫の仕事の予定を上の空で聞きながら、何度も波立つ心を抑える。
子どもではないのだから。
自室に上がろうとする夫がふと思いついたように雅の頭を撫でた時
雅はその幸せに寄り添おうとその場に立ったまま目を閉じた。

55名無し募集中。。。2018/09/10(月) 01:03:20.270

あの日は今にも雨が降り出しそうな曇天だった。教室の庭に面した廊下で桃子に口付けたのは、ほんの一瞬の幻だった。
あれから時折抱く想いはふわりと漂っては微かに心を溶かした。
ほんの一瞬、うつつとうつつの間の幻想。雅にとっては大切な、しかしそれだけのものだった。
今日までは。
ベッドに入ってからも雅は一向に寝付けなかった。この感情が自分にとって何なのか、初めて考えさせられている。
何度目かに寝返りを打った時、傍らのスマホがLINEの着信を告げ、雅はサイドテーブルに手を伸ばした。

“遅くにごめんね。今日は来てくれてありがとう”

闇の中に浮かび上がる桃子からの言葉は雅の心を締め付けた。わけもわからず苛立ち、雅は咄嗟に通話を押していた。
「あ……えっと、みや?どうしたの?ごめん起こしちゃった?」
「……ぃ」
「ん?」
雅の両手の中に桃子の声があった。
「……会いたい」
言葉にした途端、雅の舌先は痺れた。考えるも何もない、ただそれだけだった。
「みや……ねぇ、みや、聞いて」
流れ込んでくる声を握りしめる。
「何年かぶりに公園で会った時、みやが私のことすぐに気付いてくれて、覚えていてくれて、嬉しかった」
「うん。……忘れたことない」
「そう。私も、そう。それが、わかったから、おんなじだってわかったから」
「ん」
「今も、そうだよ」
雅は枕の端を指先で探った。現実がどこにあるのかわからない。
「……どうしたらいい?」
ようやく言葉を紡ぐとすぐ、耳の奥に桃子が短く吐く息が届いた。
「どうしようか」
悪戯めいた声音が雅の全身を震わせた。もはや際限なく、心が溶け出していくような気がしていた。

〜みやもも奥様劇場3〜おわり